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第1章
第52話:競売参加
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「ショウ様、教会に落ち人があったそうです」
異世界の神ガタノトーアと手先の教会を叩き潰すと決めた。
その為の準備をしていると、東貧民街の長が重要な情報を持って来てくれた。
事もあろうに、教会に落ち人があったと言うのだ!
異神眼で調べた事も、東貧民街の長ハーヴィーの集めてくれた情報でも、この世界に落ちてくるのは地球人だけだった。
日本人には限らないが、地球人には限られていた。
今回の落ち人が日本人とは決められないが、外国人でも同じだ、助ける。
見捨てると言う事だけはありえない。
★★★★★★
「本日のスペシャルゲストの1人、王都行政官のディルホーン子爵閣下です。
入札にも参加されますので、そのつもりでおられてください」
ドレイ競売の司会者が王都行政官ディルホーン子爵を紹介する。
「権力で安く買い叩く気はない、本気で競って来てくれ」
王都行政官ディルホーン子爵が権力による不正を疑われないように言う。
「本日のスペシャルゲストはもう1人おられます。
ディルホーン子爵閣下の御友人で自由騎士のショウ閣下です。
ショウ閣下は遠く東の果てにある国の王族でもあられます。
我が国では王族を証明する方法がありませんので、自由騎士を名乗られています。
ですがその桁外れの強さは皆様よくご存じですね?
敬意を払っていただき、競売が成功するよう協力願います」
司会者が僕にこびを売るような事を言う。
僕を騙して刺客のエルフ系ドレイを落札させたいのだろう。
特に襲われるような事もなく、次々と入札が進む。
「次は本日の目玉ドレイでございます。
やんごとなき方が家庭の事情でしかたなく手放す事になったドレイです。
10年に1度競売に出るか出ないかのエルフ系ドレイです。
なんと、クオーターエルフが競売にかけられました!
初値300万アルです、どうぞ!」
「300万アル」
「330万アル」
「360万アル」
「390万アル」
「420万アル」
敵の手先が入札価格をつり上げようとしている。
僕を暗殺するための餌を買わせたいのに、同時に金もうけも狙っている。
あまりの身勝手さに怒りが爆発しそうになる。
「1380万アル、入札ありませんか、本当にありませんか?」
僕も王都行政官ディルホーン子爵も入札しない。
これまでは敵の手先が値段をつり上げるだけで、僕らは1度も参加していない。
さすがにマズイと思ったのか、競うのを止めたが遅すぎる。
「1380万アル、入札ありませんか、本当にありませんか……落札」
僕と王都行政官の方を見るので、少し殺気を込めてにらんでやった。
あわてて入札を確定させたのが憶病で笑える。
★★★★★★
「本日のセミファイナルになる特別なドレイです。
やんごとなき方が家庭の事情でしかたなく手放す事になったドレイです。
シークレットドレイと同じクオーターエルフです。
先ほど1380万アルの高値となったクオーターエルフです。
初値300万アルです、どうぞ!」
司会者が、これまで1度も入札に参加しない僕と王都行政官を見ながら言う。
司会者は僕たちが最後のエルフ系ドレイの入札にも参加しないのか心配している。
八百長を見抜かれたのか心配で、報復を恐れて、引きつった表情をしている。
「「「「「……」」」」」
誰も入札に参加しない、全員が僕と王都行政官に注目している。
よほどのバカでない限り、僕の敵が落札額をつり上げているのに気が付いている。
よく競売に参加するような連中は、落札金額のつり上げに敏感だ。
「300万ですよ、たった300万ですよ、クオーターエルフですよ!」
「「「「「……」」」」」
誰1人参加しない、格安の初値にすら誰も参加しない。
これまで落札価格をつり上げて来た敵の手先も下を向いている。
有力な奴隷購入者たちに顔を覚えられるのを恐れているのだろう。
こんな悪事に加わるような連中は、ドレイ業者でも3流だけだ。
1流どころの怒りを買ったら良くて破産、最悪殺されるのを異神眼で見た。
「このままでは競売が不成立になってしまいますよ?!
300万アルですよ、たった300万アルですよ、買わないのですか?!」
司会者が僕と王都行政官の方を見て言う。
だけど僕も王都行政官も無視する。
王都行政官が有力な奴隷購入者達に厳しい視線を向けた。
「やかましい、落札価格のつり上げをするような競売に参加するか、ボケ!」
「不公平な競売に参加するわけがないだろう、クソ野郎!」
「もうガタノトーア教会の競売には参加しない、クソボケ!」
毎回ドレイ競売に参加している有力な購入者が司会者を責める。
司会者だけでなく、背後にいる教会と神官も責めている。
僕と王都行政官を敵に回す愚かな行為を責めている。
「……改めて初値を言わせていただきます、300万アルです。
不正の疑いのある入札はやり直させていただきます。
万が一本当に不正行為があれば、厳しい対応をさせていただきます。
競売の公平性を疑わせるような行為には、厳罰を与えさせていただきます。
ですので、入札をお願いいたします、300万アルです、入札再開」
司会者が形だけ違反を取り締まると言う。
自分も違反に加担しているくせに笑わせる。
「「「「「……」」」」」
だが、僕と王都行政官を恐れてか、誰も入札しない。
僕はともかく王都行政官を敵に回したら、どのような処分をされるか分からない。
法を守らず税をごまかしている連中なら、絶対に目をつけられなくない。
「300万アル」
王都行政官が家臣に任せる事無く自分で入札した。
「……330万アル」
敵の手先の1人が落札価格をつり上げようとする。
手先の中でも特にバカなのだろう、競売場の流れ、雰囲気が全く分かっていない。
競売場のほぼ全員から殺意のこもった視線を向けられている。
異世界の神ガタノトーアと手先の教会を叩き潰すと決めた。
その為の準備をしていると、東貧民街の長が重要な情報を持って来てくれた。
事もあろうに、教会に落ち人があったと言うのだ!
異神眼で調べた事も、東貧民街の長ハーヴィーの集めてくれた情報でも、この世界に落ちてくるのは地球人だけだった。
日本人には限らないが、地球人には限られていた。
今回の落ち人が日本人とは決められないが、外国人でも同じだ、助ける。
見捨てると言う事だけはありえない。
★★★★★★
「本日のスペシャルゲストの1人、王都行政官のディルホーン子爵閣下です。
入札にも参加されますので、そのつもりでおられてください」
ドレイ競売の司会者が王都行政官ディルホーン子爵を紹介する。
「権力で安く買い叩く気はない、本気で競って来てくれ」
王都行政官ディルホーン子爵が権力による不正を疑われないように言う。
「本日のスペシャルゲストはもう1人おられます。
ディルホーン子爵閣下の御友人で自由騎士のショウ閣下です。
ショウ閣下は遠く東の果てにある国の王族でもあられます。
我が国では王族を証明する方法がありませんので、自由騎士を名乗られています。
ですがその桁外れの強さは皆様よくご存じですね?
敬意を払っていただき、競売が成功するよう協力願います」
司会者が僕にこびを売るような事を言う。
僕を騙して刺客のエルフ系ドレイを落札させたいのだろう。
特に襲われるような事もなく、次々と入札が進む。
「次は本日の目玉ドレイでございます。
やんごとなき方が家庭の事情でしかたなく手放す事になったドレイです。
10年に1度競売に出るか出ないかのエルフ系ドレイです。
なんと、クオーターエルフが競売にかけられました!
初値300万アルです、どうぞ!」
「300万アル」
「330万アル」
「360万アル」
「390万アル」
「420万アル」
敵の手先が入札価格をつり上げようとしている。
僕を暗殺するための餌を買わせたいのに、同時に金もうけも狙っている。
あまりの身勝手さに怒りが爆発しそうになる。
「1380万アル、入札ありませんか、本当にありませんか?」
僕も王都行政官ディルホーン子爵も入札しない。
これまでは敵の手先が値段をつり上げるだけで、僕らは1度も参加していない。
さすがにマズイと思ったのか、競うのを止めたが遅すぎる。
「1380万アル、入札ありませんか、本当にありませんか……落札」
僕と王都行政官の方を見るので、少し殺気を込めてにらんでやった。
あわてて入札を確定させたのが憶病で笑える。
★★★★★★
「本日のセミファイナルになる特別なドレイです。
やんごとなき方が家庭の事情でしかたなく手放す事になったドレイです。
シークレットドレイと同じクオーターエルフです。
先ほど1380万アルの高値となったクオーターエルフです。
初値300万アルです、どうぞ!」
司会者が、これまで1度も入札に参加しない僕と王都行政官を見ながら言う。
司会者は僕たちが最後のエルフ系ドレイの入札にも参加しないのか心配している。
八百長を見抜かれたのか心配で、報復を恐れて、引きつった表情をしている。
「「「「「……」」」」」
誰も入札に参加しない、全員が僕と王都行政官に注目している。
よほどのバカでない限り、僕の敵が落札額をつり上げているのに気が付いている。
よく競売に参加するような連中は、落札金額のつり上げに敏感だ。
「300万ですよ、たった300万ですよ、クオーターエルフですよ!」
「「「「「……」」」」」
誰1人参加しない、格安の初値にすら誰も参加しない。
これまで落札価格をつり上げて来た敵の手先も下を向いている。
有力な奴隷購入者たちに顔を覚えられるのを恐れているのだろう。
こんな悪事に加わるような連中は、ドレイ業者でも3流だけだ。
1流どころの怒りを買ったら良くて破産、最悪殺されるのを異神眼で見た。
「このままでは競売が不成立になってしまいますよ?!
300万アルですよ、たった300万アルですよ、買わないのですか?!」
司会者が僕と王都行政官の方を見て言う。
だけど僕も王都行政官も無視する。
王都行政官が有力な奴隷購入者達に厳しい視線を向けた。
「やかましい、落札価格のつり上げをするような競売に参加するか、ボケ!」
「不公平な競売に参加するわけがないだろう、クソ野郎!」
「もうガタノトーア教会の競売には参加しない、クソボケ!」
毎回ドレイ競売に参加している有力な購入者が司会者を責める。
司会者だけでなく、背後にいる教会と神官も責めている。
僕と王都行政官を敵に回す愚かな行為を責めている。
「……改めて初値を言わせていただきます、300万アルです。
不正の疑いのある入札はやり直させていただきます。
万が一本当に不正行為があれば、厳しい対応をさせていただきます。
競売の公平性を疑わせるような行為には、厳罰を与えさせていただきます。
ですので、入札をお願いいたします、300万アルです、入札再開」
司会者が形だけ違反を取り締まると言う。
自分も違反に加担しているくせに笑わせる。
「「「「「……」」」」」
だが、僕と王都行政官を恐れてか、誰も入札しない。
僕はともかく王都行政官を敵に回したら、どのような処分をされるか分からない。
法を守らず税をごまかしている連中なら、絶対に目をつけられなくない。
「300万アル」
王都行政官が家臣に任せる事無く自分で入札した。
「……330万アル」
敵の手先の1人が落札価格をつり上げようとする。
手先の中でも特にバカなのだろう、競売場の流れ、雰囲気が全く分かっていない。
競売場のほぼ全員から殺意のこもった視線を向けられている。
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