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第1章
第41話:結核、テーベ―
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「ショウ様、この子たちの母親は死病です、行かれない方が良いです」
初日から荷役に来ていた男が言う。
子供たちに申し訳なさそうにしながらも言う
僕を大切に思って言ってくれているのは分かるが、見殺しにはできない!
「僕を加護してくださっているウワツツノオ、ナカツツノオ、ソコツツノオ、オキナガタラシヒメノミコト、ウカノミタマ、アマテラス様。
この子たちのお母さんを治す方法を教えてください、おねがいします【異神眼】」
子供たちは2人はもちろんだが、僕の事を心から心配してくれているエマとリナ、多くの人たちが安心できるように、全ての神様の名前を言って魔法を使った。
僕が死病のお母さんの所に行っても、病気がうつらない事を分かってもらう。
お母さんの病気を治せるかもしれないと思ってもらう。
「この子たちのお母さんが死病であろうと治す。
僕なら死病でも治せる、心配せずに僕に任せろ。
その代わり薬草が必要だ、家にある薬草を全部持って来てくれ。
ああ、薬草だけではなく、料理に使っていたホルモンと香草塩も持ってきて」
「「「「「はい!」」」」」
僕について来ていた人たちの半分が僕の家に戻って行った。
僕の家の方に向かった人が半分で、自分の家のある方に行く人が半分。
言い方が悪かったのか、半分は自分の家にある薬草を持って来てくれる気だ。
いや、半数は僕に同行するだけなのかもしれない。
僕は2人の子供を抱えて貧民街に向かっているので、それについて来ているだけで、自分の家にある貴重な薬草をくれる人は少ないだろう。
「ここ、ここが家だよ」
粗末な家が多い貧民街の中でも、特に貧しそうな家だった。
少しでも冬の寒さを防ごうとしたのだろう、すき間を泥でうめている。
子供が、魔境から拾って来られる物は何でも持ってきたのだろう。
庭がテレビで観た事のあるゴミ屋敷のようだ。
強く引いたら壊れそうなドアを開けて家の中に入った。
死んでしまう前のお母さんを思い出す臭いがした。
ガリガリにやせた人が干草にうもれて寝ている。
貧しくて、寝る時に使う寝具が草だけなのか?
女子供だけだから、しかもお母さんが死病だから、魔境の獣を狩って毛皮にする事も、魔境の草で布を編む事もできないのか?
「君たち5人、僕の家に戻って寝具の毛布と羽毛布団を持ってきてくれ!」
気持ちよく眠れるように自分で作った毛布と羽毛布団を持って来てくれと、ついて来てくれていた男たちに言った。
「私が行くわ、リナはショウを手伝って」
エマがそう言って男たちを追いかけた。
「今日はここで泊まりましょう、私たちの寝具も持ってきて」
リナがエマの背中に言う、エマとリナは僕の気持ちを分かってくれている。
死病を治せたとしても、このままここに母子を置いて行けない。
少なくとも自分で歩けるようになるまでは目を離したくない。
「僕を加護してくださっているウワツツノオ、ナカツツノオ、ソコツツノオ、オキナガタラシヒメノミコト、ウカノミタマ、アマテラス様。
この子たちのお母さんを治す料理を教えてください【医食同源】【調理】」
先に使った異神眼のお陰で、この子たちのお母さんを治す方法をたくさん知れた。
その中で、僕がこの世界でやっても成功する方法を選んだ。
それが【医食同源】と【調理】のスキルを使って薬草料理を作る事だった。
僕に加護を与えて下さっている、光を司る太陽の女神アマテラス様は最高神だ。
健康や長寿を司っているから、治癒魔法を授かって治す事もできる。
それこそ一瞬で死病を払いのける事ができる。
だけど、そんな事ができると分かったら、僕は普通に生きられなくなる。
それでなくとも、あまりにも強大な力が恐れられている。
死病を一瞬で治せると知られたら、神のようにあつかわれるだろう。
二度と普通の人間として生きていけなくなる。
それでなくとも、もう大半の人から普通の人間扱いされなくなっている。
エマとリナ、一部の人はこれまで通り話してくれるが、多くの人が怖がっている。
あるいは僕を利用しようとしている。
これ以上人間離れしないように、死病を瞬時に治せるような治癒魔法は使わない。
普通の治癒魔法スキルでも治せるケガや病気の時は、必要なら魔法を使う。
だけど死病を治す時は、1年くらいかかる薬草料理で治す事にした。
「それと、これと、あれを細かく刻んでこっちの鍋に入れて。
貴女は、これと、あれと、それを細かく刻んでこの鍋に入れて。
君は、それと、あれと、これを細かく刻んでそこの鍋に入れて」
僕は13個の圧縮強化岩盤鍋を造った。
13個の結核治療用料理を作るためだ。
結核菌はとても強いので、長く同じ薬草料理だけを食べていると、その薬草料理に耐性ができてしまうそうだ。
だから、13個の薬草料理を組み合わせて食べるようにするのだ。
そうすれば結核菌は薬草料理に耐性ができなくなる。
何より、毎日3食同じ料理ばかり食べていられない。
人は美味しい料理を食べる事で生きる力がつくのだ。
3食全部違う美味しい料理を食べてこそ、元気で生きて行けるのだ。
4日に1回同じ料理が回ってくるのでも飽きるかもしれないのだ。
1年365日3食全部同じ料理を食べるなんて、生き地獄だ。
僕は大好きな料理なら1年365日毎日3食同じ料理でもかまわないが、多くの人は同じ料理を2食続けて食べるのが嫌らしい。
「ショウ、寝具を持ってきたわ、次は何をしたらいいの?」
エマが5人の男と一緒に寝具を運んできてくれた。
「ありがとう、しばらくここで寝泊まりするから、リナと一緒に夜営の準備をしてくれ、僕はこのままお母さんの様子を見守るよ」
初日から荷役に来ていた男が言う。
子供たちに申し訳なさそうにしながらも言う
僕を大切に思って言ってくれているのは分かるが、見殺しにはできない!
「僕を加護してくださっているウワツツノオ、ナカツツノオ、ソコツツノオ、オキナガタラシヒメノミコト、ウカノミタマ、アマテラス様。
この子たちのお母さんを治す方法を教えてください、おねがいします【異神眼】」
子供たちは2人はもちろんだが、僕の事を心から心配してくれているエマとリナ、多くの人たちが安心できるように、全ての神様の名前を言って魔法を使った。
僕が死病のお母さんの所に行っても、病気がうつらない事を分かってもらう。
お母さんの病気を治せるかもしれないと思ってもらう。
「この子たちのお母さんが死病であろうと治す。
僕なら死病でも治せる、心配せずに僕に任せろ。
その代わり薬草が必要だ、家にある薬草を全部持って来てくれ。
ああ、薬草だけではなく、料理に使っていたホルモンと香草塩も持ってきて」
「「「「「はい!」」」」」
僕について来ていた人たちの半分が僕の家に戻って行った。
僕の家の方に向かった人が半分で、自分の家のある方に行く人が半分。
言い方が悪かったのか、半分は自分の家にある薬草を持って来てくれる気だ。
いや、半数は僕に同行するだけなのかもしれない。
僕は2人の子供を抱えて貧民街に向かっているので、それについて来ているだけで、自分の家にある貴重な薬草をくれる人は少ないだろう。
「ここ、ここが家だよ」
粗末な家が多い貧民街の中でも、特に貧しそうな家だった。
少しでも冬の寒さを防ごうとしたのだろう、すき間を泥でうめている。
子供が、魔境から拾って来られる物は何でも持ってきたのだろう。
庭がテレビで観た事のあるゴミ屋敷のようだ。
強く引いたら壊れそうなドアを開けて家の中に入った。
死んでしまう前のお母さんを思い出す臭いがした。
ガリガリにやせた人が干草にうもれて寝ている。
貧しくて、寝る時に使う寝具が草だけなのか?
女子供だけだから、しかもお母さんが死病だから、魔境の獣を狩って毛皮にする事も、魔境の草で布を編む事もできないのか?
「君たち5人、僕の家に戻って寝具の毛布と羽毛布団を持ってきてくれ!」
気持ちよく眠れるように自分で作った毛布と羽毛布団を持って来てくれと、ついて来てくれていた男たちに言った。
「私が行くわ、リナはショウを手伝って」
エマがそう言って男たちを追いかけた。
「今日はここで泊まりましょう、私たちの寝具も持ってきて」
リナがエマの背中に言う、エマとリナは僕の気持ちを分かってくれている。
死病を治せたとしても、このままここに母子を置いて行けない。
少なくとも自分で歩けるようになるまでは目を離したくない。
「僕を加護してくださっているウワツツノオ、ナカツツノオ、ソコツツノオ、オキナガタラシヒメノミコト、ウカノミタマ、アマテラス様。
この子たちのお母さんを治す料理を教えてください【医食同源】【調理】」
先に使った異神眼のお陰で、この子たちのお母さんを治す方法をたくさん知れた。
その中で、僕がこの世界でやっても成功する方法を選んだ。
それが【医食同源】と【調理】のスキルを使って薬草料理を作る事だった。
僕に加護を与えて下さっている、光を司る太陽の女神アマテラス様は最高神だ。
健康や長寿を司っているから、治癒魔法を授かって治す事もできる。
それこそ一瞬で死病を払いのける事ができる。
だけど、そんな事ができると分かったら、僕は普通に生きられなくなる。
それでなくとも、あまりにも強大な力が恐れられている。
死病を一瞬で治せると知られたら、神のようにあつかわれるだろう。
二度と普通の人間として生きていけなくなる。
それでなくとも、もう大半の人から普通の人間扱いされなくなっている。
エマとリナ、一部の人はこれまで通り話してくれるが、多くの人が怖がっている。
あるいは僕を利用しようとしている。
これ以上人間離れしないように、死病を瞬時に治せるような治癒魔法は使わない。
普通の治癒魔法スキルでも治せるケガや病気の時は、必要なら魔法を使う。
だけど死病を治す時は、1年くらいかかる薬草料理で治す事にした。
「それと、これと、あれを細かく刻んでこっちの鍋に入れて。
貴女は、これと、あれと、それを細かく刻んでこの鍋に入れて。
君は、それと、あれと、これを細かく刻んでそこの鍋に入れて」
僕は13個の圧縮強化岩盤鍋を造った。
13個の結核治療用料理を作るためだ。
結核菌はとても強いので、長く同じ薬草料理だけを食べていると、その薬草料理に耐性ができてしまうそうだ。
だから、13個の薬草料理を組み合わせて食べるようにするのだ。
そうすれば結核菌は薬草料理に耐性ができなくなる。
何より、毎日3食同じ料理ばかり食べていられない。
人は美味しい料理を食べる事で生きる力がつくのだ。
3食全部違う美味しい料理を食べてこそ、元気で生きて行けるのだ。
4日に1回同じ料理が回ってくるのでも飽きるかもしれないのだ。
1年365日3食全部同じ料理を食べるなんて、生き地獄だ。
僕は大好きな料理なら1年365日毎日3食同じ料理でもかまわないが、多くの人は同じ料理を2食続けて食べるのが嫌らしい。
「ショウ、寝具を持ってきたわ、次は何をしたらいいの?」
エマが5人の男と一緒に寝具を運んできてくれた。
「ありがとう、しばらくここで寝泊まりするから、リナと一緒に夜営の準備をしてくれ、僕はこのままお母さんの様子を見守るよ」
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