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第1章
第31話:魔獣の内臓
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「聞いて来たわ、魔獣の内臓は使わないって」
「臭くて汚いから、魔獣の内臓は捨てるんだって」
「そうか、それは良かった」
「まさかと思うけれど、食べる気なの?!」
「村では猟犬に食べさせていたけれど、人間は食べなかったよ?」
「僕の住んでいた所では、きれいに洗って食べていたんだ。
少なくともウシ系やブタ系の魔獣の内臓は、美味しく食べていたよ」
「私は絶対に食べたくないわ!」
「私も食べたくない、あ、そうだ、魔獣をおびき寄せるのに使わない?」
「分かったよ、エマとリナに食べろとは言わないよ」
もしかして、魔獣の内臓は毒なのかな?
大好きだったホルモンはもう食べられないのかな?
そうだ、異神眼で確かめればいいんだ!
異神眼で確かめようと思ったけれど、上手く見る事ができなかった。
この世界の人が昔食べた姿を見たけれど、全然美味しそうじゃなかった。
でも、さっと洗っただけで何の下ごしらえもしていなかった。
まだ若い僕でも、料理の下ごしらえが大切な事くらい知っている。
(アマテラス様、教えてください、魔獣の内臓には毒があるのですか?)
(毒はありませんよ、この世界の内臓も、日本と同じように食べられますよ)
(どうしてこの世界の人はホルモンを食べないのですか?)
(単に食文化が遅れているだけです)
(美味しいホルモンを食べたいのですが、どうすればいいですか?)
(ショウには調理スキルを授けています。
狩った魔獣を前にして、調理スキルを使えば良いのです。
それだけで下ごしらえのやり方も料理法もわかります)
(ありがとうございます!)
「僕に加護を授けて下さったアマテラス様、レッドコーナーエルクを美味しく食べる方法を教えてください【調理】」
アマテラス様が言っておられたように、どのように解体して下ごしらえすれば良いのか、レッドコーナーエルクの内臓を食材にする方法が分かった。
たくさんの方法の中から、この世界でもできる方法が分かった。
「え、神様が内臓を美味しく食べる方法を教えてくださるの?!」
「ウソでしょう、内臓を美味しく食べる方法なんてあるの?!」
僕が【調理】魔術を使うのを見ていたエマとリナがものすごく驚いた。
信じられないという表情がとてもかわいい。
「あるよ、だけど無理に食べる事はないよ。
信じられない、気持ちの悪い物を食べなくても、美味しい鳥があるよ。
僕が料理した物を食べなくても、王都で美味しい物を食べられるよ」
「……それはそうなのだけれど……」
「……ショウに加護を授けられた神様が美味しいと言われるくらいだし……」
エマとリナが、これまでの常識と神の言葉の間で悩んでいる。
「無理矢理今直ぐ答えを出さなくてもいいんじゃないか?
僕が食べているのを見てから決めればいいよ。
それで決められなかったとしても、僕以外の人が食べるようになってから決めてもいいんじゃないか?」
「……うん、そうさせてもらうわ」
「私もまだ食べる気にはなれないわ」
僕たちはもう1度商業ギルドに行った。
僕が3000kg級のレッドコーナーエルクを運び荷役たちが魔樹小枝を運んだ。
「もう自由騎士殿が何を狩っても驚かんぞ。
約束の狩りでは、こんな化け物はいらないからな。
普通の魔獣でいい、いや、魔獣ではない獣で良いから目立たないようにしてくれ」
軽口を言い合えるようになっていた東大城門の当番兵にひかれてしまった。
それでも、自由騎士とからかってくれるくらいには親しみを感じてくれている。
「はい、フロストシープやダチョウくらいにさせてもらいます、安心してください」
東大城門から商業ギルドまでの間、多くの人たちの歓声に迎えられた。
冒険者ギルドの前を通る時には、多くの冒険者がギルドに逃げ込んでいた。
手を振って笑顔を向けてくれたのは、荷運びを手伝ってくれた人たちだけだ。
まるで英雄を迎えるような歓声を受けて、商業ギルドまで行った。
商業ギルドでも大歓迎されて、マスターに敬語を使われる状態だった。
「ショウ殿、これほどの魔獣だと競売でしか適正な値段で売れません。
過去にレッドコーナーエルクが狩られた事はありますが、無傷ではなかった。
あちらこちらに大きなキズや火傷があったのですが、これは全くの無傷です。
ギルドが2割の手数料をいただくことになりますが、預からせていただいて競売させていただきたい、この通りです」
ギルドマスターが深々と頭を下げて頼んできた。
「いいですよ、預かり証を出してくださるのでしたら、競売でかまいません。
ただ、先にエマとリナが聞かせていただいていたのですが、魔獣の内臓は捨ててしまうという事なので、内臓を回収させてください」
「それはかまいません、どうせ肉が傷まないように捨てる場所です。
エマ殿とリナ殿が言われていたように、猟犬を飼われるのですか?
それとも肉食魔獣をおびき寄せる餌に使われるのですか?」
「肉食魔獣をおびき寄せる餌にするつもりです」
ギルドマスターにウソを言ってレッドコーナーエルクの内臓を回収した。
先に売ったダチョウ37頭分の内臓も回収した。
火魔術と水魔術を使って複合魔術で冷凍や冷蔵現象を起こさせた。
異神眼で調べた冷凍庫や冷蔵庫の原理を再現した。
魔獣の内臓を全部氷漬けや氷温保存にして、傷まないようにした。
内臓以外は全部売って、ダチョウ37頭で4万4400アルだった。
魔樹小枝を売った分が5万1360アルだった。
大人の男なら魔樹小枝を3抱え以上運べるが、女子供が運べるのは1抱えから2抱えだから、総額でこの程度の値段になってしまうが、十分な利益だった。
日当が50アル428人で2万1400アル。
ギルド手数料が10アル428人で4280アル。
パン代が20アル428人で8560アル。
売値から経費を引いた額が6万1520アル。
エマとリナに半分渡して残ったのが3万0760アル。
これまでの貯金を合わせて2億1338万7921アルだ。
「臭くて汚いから、魔獣の内臓は捨てるんだって」
「そうか、それは良かった」
「まさかと思うけれど、食べる気なの?!」
「村では猟犬に食べさせていたけれど、人間は食べなかったよ?」
「僕の住んでいた所では、きれいに洗って食べていたんだ。
少なくともウシ系やブタ系の魔獣の内臓は、美味しく食べていたよ」
「私は絶対に食べたくないわ!」
「私も食べたくない、あ、そうだ、魔獣をおびき寄せるのに使わない?」
「分かったよ、エマとリナに食べろとは言わないよ」
もしかして、魔獣の内臓は毒なのかな?
大好きだったホルモンはもう食べられないのかな?
そうだ、異神眼で確かめればいいんだ!
異神眼で確かめようと思ったけれど、上手く見る事ができなかった。
この世界の人が昔食べた姿を見たけれど、全然美味しそうじゃなかった。
でも、さっと洗っただけで何の下ごしらえもしていなかった。
まだ若い僕でも、料理の下ごしらえが大切な事くらい知っている。
(アマテラス様、教えてください、魔獣の内臓には毒があるのですか?)
(毒はありませんよ、この世界の内臓も、日本と同じように食べられますよ)
(どうしてこの世界の人はホルモンを食べないのですか?)
(単に食文化が遅れているだけです)
(美味しいホルモンを食べたいのですが、どうすればいいですか?)
(ショウには調理スキルを授けています。
狩った魔獣を前にして、調理スキルを使えば良いのです。
それだけで下ごしらえのやり方も料理法もわかります)
(ありがとうございます!)
「僕に加護を授けて下さったアマテラス様、レッドコーナーエルクを美味しく食べる方法を教えてください【調理】」
アマテラス様が言っておられたように、どのように解体して下ごしらえすれば良いのか、レッドコーナーエルクの内臓を食材にする方法が分かった。
たくさんの方法の中から、この世界でもできる方法が分かった。
「え、神様が内臓を美味しく食べる方法を教えてくださるの?!」
「ウソでしょう、内臓を美味しく食べる方法なんてあるの?!」
僕が【調理】魔術を使うのを見ていたエマとリナがものすごく驚いた。
信じられないという表情がとてもかわいい。
「あるよ、だけど無理に食べる事はないよ。
信じられない、気持ちの悪い物を食べなくても、美味しい鳥があるよ。
僕が料理した物を食べなくても、王都で美味しい物を食べられるよ」
「……それはそうなのだけれど……」
「……ショウに加護を授けられた神様が美味しいと言われるくらいだし……」
エマとリナが、これまでの常識と神の言葉の間で悩んでいる。
「無理矢理今直ぐ答えを出さなくてもいいんじゃないか?
僕が食べているのを見てから決めればいいよ。
それで決められなかったとしても、僕以外の人が食べるようになってから決めてもいいんじゃないか?」
「……うん、そうさせてもらうわ」
「私もまだ食べる気にはなれないわ」
僕たちはもう1度商業ギルドに行った。
僕が3000kg級のレッドコーナーエルクを運び荷役たちが魔樹小枝を運んだ。
「もう自由騎士殿が何を狩っても驚かんぞ。
約束の狩りでは、こんな化け物はいらないからな。
普通の魔獣でいい、いや、魔獣ではない獣で良いから目立たないようにしてくれ」
軽口を言い合えるようになっていた東大城門の当番兵にひかれてしまった。
それでも、自由騎士とからかってくれるくらいには親しみを感じてくれている。
「はい、フロストシープやダチョウくらいにさせてもらいます、安心してください」
東大城門から商業ギルドまでの間、多くの人たちの歓声に迎えられた。
冒険者ギルドの前を通る時には、多くの冒険者がギルドに逃げ込んでいた。
手を振って笑顔を向けてくれたのは、荷運びを手伝ってくれた人たちだけだ。
まるで英雄を迎えるような歓声を受けて、商業ギルドまで行った。
商業ギルドでも大歓迎されて、マスターに敬語を使われる状態だった。
「ショウ殿、これほどの魔獣だと競売でしか適正な値段で売れません。
過去にレッドコーナーエルクが狩られた事はありますが、無傷ではなかった。
あちらこちらに大きなキズや火傷があったのですが、これは全くの無傷です。
ギルドが2割の手数料をいただくことになりますが、預からせていただいて競売させていただきたい、この通りです」
ギルドマスターが深々と頭を下げて頼んできた。
「いいですよ、預かり証を出してくださるのでしたら、競売でかまいません。
ただ、先にエマとリナが聞かせていただいていたのですが、魔獣の内臓は捨ててしまうという事なので、内臓を回収させてください」
「それはかまいません、どうせ肉が傷まないように捨てる場所です。
エマ殿とリナ殿が言われていたように、猟犬を飼われるのですか?
それとも肉食魔獣をおびき寄せる餌に使われるのですか?」
「肉食魔獣をおびき寄せる餌にするつもりです」
ギルドマスターにウソを言ってレッドコーナーエルクの内臓を回収した。
先に売ったダチョウ37頭分の内臓も回収した。
火魔術と水魔術を使って複合魔術で冷凍や冷蔵現象を起こさせた。
異神眼で調べた冷凍庫や冷蔵庫の原理を再現した。
魔獣の内臓を全部氷漬けや氷温保存にして、傷まないようにした。
内臓以外は全部売って、ダチョウ37頭で4万4400アルだった。
魔樹小枝を売った分が5万1360アルだった。
大人の男なら魔樹小枝を3抱え以上運べるが、女子供が運べるのは1抱えから2抱えだから、総額でこの程度の値段になってしまうが、十分な利益だった。
日当が50アル428人で2万1400アル。
ギルド手数料が10アル428人で4280アル。
パン代が20アル428人で8560アル。
売値から経費を引いた額が6万1520アル。
エマとリナに半分渡して残ったのが3万0760アル。
これまでの貯金を合わせて2億1338万7921アルだ。
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