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第1章
第19話:人気者
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「すみません、荷役は20人と言われていたのですが、日当はいらないので薬草の採取や鳥を運ぶのに連れて行って欲しいと言う者が集まってしまいました」
グレーボアを狩った翌日、東大城門を出ると47人の貧民が集まっていた。
「ライ麦堅パンは20個しか用意していないが、それでも良いのかい?」
「勝手に集まった者までパンがもらえるとは思っていません。
私たちがいただいたライ麦堅パンを分けて食べさせていただきます。
昨日のように鳥を分けて頂ければ十分です」
「そういう事ならついて来てくれてかまわない」
予定以上の大人数、47人もの貧民を連れて東南魔境に入った。
さすがに脚の弱い者は連れてこなかったのだろう。
予定していた早さで魔境の奥に進めた。
昨日一昨日と同じように薬草を集めながら奥に進んだ。
僕が指弾で狩った中小の鳥を拾いながら奥に進んだ。
1番数を狩れるのは、商業ギルドで買ってもらえない、美味しくない小鳥だ。
次に狩れるのが、3羽で1アルの価値しかないスズメくらいの小鳥だ。
色鮮やかな小鳥は羽が飾りに使えるので1羽で1アルから2アル、美味しい小鳥も1羽で1アルになるそうだが、興味はない。
少し大きな魔鳥で、極小でも魔石があれば10アルで売れる。
カラスやハトくらいの大きさでも、魔石のない鳥は3アルにしかならないし、食べてみたいとも思わないので、全部荷役に渡す。
1度渡した鳥や魔鳥はどのようにしてくれてもかまわない。
売りたければ売れば良い、食べたければ食べて良い。
僕としては、まだ始められない子ども食堂の代わりに渡しているだけだ。
「獲物を探してくるわ」
「大物よりも数を優先するわ」
エマとリナがそう言って離れて行った。
心優しいエマとリナは、集まった全員に日当を渡したいのだろう。
ボオオオオオ、ボオオオオオ、ボオオオオオ
1時間ほどして、独特の鳴き声をあげながらダチョウが走ってきた。
ダチョウとは言っているが、テレビで観たダチョウとは違うそうだ。
異神眼で確かめた事があるのだが、かなり身体が大きくて群の頭数も多い、地球にいるダチョウとは少し違う魔鳥だ。
「僕に加護を与えてくださっているオキナガタラシヒメノミコト様、強大な魔獣を狩れる力を授けてください、荷役たちを守れる力を授けてください【身体強化】」
200kgくらいのダチョウが50頭くらい走ってきた。
本気で蹴られると人間の頭など簡単に潰れてしまうそうだ。
荷役たちを襲いそうなダチョウを優先的に狩る!
左右の両手に鉄剣を握り、ダチョウの首をスパスパ刎ねる。
頭が飛んでいったダチョウの首から血が吹き出す。
走りながら血抜きができるので、この狩り方が1番効率が良い。
200kgのダチョウだと、担い棒を使って肩で担ぐにしても、4人で1頭運ぶのが精一杯だろう。
今日は47人いるので、無理をして3人で運ぶ組を1つだけ作れば、12頭のダチョウを狩ることができる。
僕が1人で4頭運び、エマとリナが1頭運んでくれるとしたら、19頭を運べる。
荷役たちを襲って逃げようとするダチョウから順に狩る。
運べないダチョウまで殺す気はないので、他はおどかして外回りさせる。
「今日はたくさん狩れたので、集まってくれた全員にダチョウを運んでもらいたい。
日当は商業ギルドを通して雇ったのと同じ50アル。
昼食用のライ麦堅パンは帰りに買って渡します、どうでしょう?」
「ありがとうございます、助かります」
「がんばって運ばせていただきます」
「ライ麦堅パンがいただけたら、家で待つ子供たちがよろこびます」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
全員がよろこんで運ぶと言ってくれたので、担い棒に使う硬くて丈夫な魔境の木を人数分斬り倒した。
昨日一昨日手伝ってくれた荷役は僕のやり方を知ってくれているので、獲物を固定するための樹皮をナイフや短剣ではいでくれる。
「ふん、足の速いダチョウを19頭も狩るなんて、やるじゃない」
「偉そうな口を利くだけの事があると認めてあげるわ」
ダチョウたちから少し遅れてエマとリナが戻ってきた。
最初は息をするのも苦しそうだったけど、直ぐに元通りになった。
息を整えて直ぐに少し照れながらほめてくれる。
「エマとリナも凄いね、左右に逃がさず正確に追い込むのは難しいのに」
「な、何を言っているの、私たちなら当然のことよ!」
「そ、そうよ、この程度の事ではできて当たり前よ!」
「いやいや、そう簡単にできる事じゃないよ。
ダチョウの脚力はもの凄い、急所を蹴られたら即死するくらいもの凄い。
そのダチョウを思いのままに追い込めるのは、1流の猟師だけだよ」
「そ、そんなにほめたって好きにならないからね!」
「そ、そんな口説き文句に騙されたりしないんだからね!」
いつものように楽しく言い合いながら魔境から王都に戻る。
肩に食い込むくらい重いダチョウを運んでいる荷役たちもうれしそうだ。
重くて痛くて苦しいが、思っていた以上の物が手に入るからだろう。
信用があって力もある者から商業ギルドの仕事がもらえる。
会員になったばかりの僕に雇われる荷役は、荷役の中でも2流や3流なのだろう。
無理矢理押しかけて来た荷役は、仕事がもらえない非力な者たちなのだろう。
そんな人たちが1流の荷役と同じ50アル稼げるのだ。
いや、1流の荷役以上の報酬、中小の鳥やライ麦堅パンまでもらえるのだ。
さっきも言っていたが、家で待つ子供たちにライ麦堅パンを持って帰れるのがうれしいのだろう。
「左右の警戒をおこたるな、ケガなく家まで帰らないと意味がないぞ」
心配のし過ぎだとは思うが、油断して魔獣の奇襲される訳にはいかない。
グレーボアを狩った翌日、東大城門を出ると47人の貧民が集まっていた。
「ライ麦堅パンは20個しか用意していないが、それでも良いのかい?」
「勝手に集まった者までパンがもらえるとは思っていません。
私たちがいただいたライ麦堅パンを分けて食べさせていただきます。
昨日のように鳥を分けて頂ければ十分です」
「そういう事ならついて来てくれてかまわない」
予定以上の大人数、47人もの貧民を連れて東南魔境に入った。
さすがに脚の弱い者は連れてこなかったのだろう。
予定していた早さで魔境の奥に進めた。
昨日一昨日と同じように薬草を集めながら奥に進んだ。
僕が指弾で狩った中小の鳥を拾いながら奥に進んだ。
1番数を狩れるのは、商業ギルドで買ってもらえない、美味しくない小鳥だ。
次に狩れるのが、3羽で1アルの価値しかないスズメくらいの小鳥だ。
色鮮やかな小鳥は羽が飾りに使えるので1羽で1アルから2アル、美味しい小鳥も1羽で1アルになるそうだが、興味はない。
少し大きな魔鳥で、極小でも魔石があれば10アルで売れる。
カラスやハトくらいの大きさでも、魔石のない鳥は3アルにしかならないし、食べてみたいとも思わないので、全部荷役に渡す。
1度渡した鳥や魔鳥はどのようにしてくれてもかまわない。
売りたければ売れば良い、食べたければ食べて良い。
僕としては、まだ始められない子ども食堂の代わりに渡しているだけだ。
「獲物を探してくるわ」
「大物よりも数を優先するわ」
エマとリナがそう言って離れて行った。
心優しいエマとリナは、集まった全員に日当を渡したいのだろう。
ボオオオオオ、ボオオオオオ、ボオオオオオ
1時間ほどして、独特の鳴き声をあげながらダチョウが走ってきた。
ダチョウとは言っているが、テレビで観たダチョウとは違うそうだ。
異神眼で確かめた事があるのだが、かなり身体が大きくて群の頭数も多い、地球にいるダチョウとは少し違う魔鳥だ。
「僕に加護を与えてくださっているオキナガタラシヒメノミコト様、強大な魔獣を狩れる力を授けてください、荷役たちを守れる力を授けてください【身体強化】」
200kgくらいのダチョウが50頭くらい走ってきた。
本気で蹴られると人間の頭など簡単に潰れてしまうそうだ。
荷役たちを襲いそうなダチョウを優先的に狩る!
左右の両手に鉄剣を握り、ダチョウの首をスパスパ刎ねる。
頭が飛んでいったダチョウの首から血が吹き出す。
走りながら血抜きができるので、この狩り方が1番効率が良い。
200kgのダチョウだと、担い棒を使って肩で担ぐにしても、4人で1頭運ぶのが精一杯だろう。
今日は47人いるので、無理をして3人で運ぶ組を1つだけ作れば、12頭のダチョウを狩ることができる。
僕が1人で4頭運び、エマとリナが1頭運んでくれるとしたら、19頭を運べる。
荷役たちを襲って逃げようとするダチョウから順に狩る。
運べないダチョウまで殺す気はないので、他はおどかして外回りさせる。
「今日はたくさん狩れたので、集まってくれた全員にダチョウを運んでもらいたい。
日当は商業ギルドを通して雇ったのと同じ50アル。
昼食用のライ麦堅パンは帰りに買って渡します、どうでしょう?」
「ありがとうございます、助かります」
「がんばって運ばせていただきます」
「ライ麦堅パンがいただけたら、家で待つ子供たちがよろこびます」
「「「「「ありがとうございます」」」」」
全員がよろこんで運ぶと言ってくれたので、担い棒に使う硬くて丈夫な魔境の木を人数分斬り倒した。
昨日一昨日手伝ってくれた荷役は僕のやり方を知ってくれているので、獲物を固定するための樹皮をナイフや短剣ではいでくれる。
「ふん、足の速いダチョウを19頭も狩るなんて、やるじゃない」
「偉そうな口を利くだけの事があると認めてあげるわ」
ダチョウたちから少し遅れてエマとリナが戻ってきた。
最初は息をするのも苦しそうだったけど、直ぐに元通りになった。
息を整えて直ぐに少し照れながらほめてくれる。
「エマとリナも凄いね、左右に逃がさず正確に追い込むのは難しいのに」
「な、何を言っているの、私たちなら当然のことよ!」
「そ、そうよ、この程度の事ではできて当たり前よ!」
「いやいや、そう簡単にできる事じゃないよ。
ダチョウの脚力はもの凄い、急所を蹴られたら即死するくらいもの凄い。
そのダチョウを思いのままに追い込めるのは、1流の猟師だけだよ」
「そ、そんなにほめたって好きにならないからね!」
「そ、そんな口説き文句に騙されたりしないんだからね!」
いつものように楽しく言い合いながら魔境から王都に戻る。
肩に食い込むくらい重いダチョウを運んでいる荷役たちもうれしそうだ。
重くて痛くて苦しいが、思っていた以上の物が手に入るからだろう。
信用があって力もある者から商業ギルドの仕事がもらえる。
会員になったばかりの僕に雇われる荷役は、荷役の中でも2流や3流なのだろう。
無理矢理押しかけて来た荷役は、仕事がもらえない非力な者たちなのだろう。
そんな人たちが1流の荷役と同じ50アル稼げるのだ。
いや、1流の荷役以上の報酬、中小の鳥やライ麦堅パンまでもらえるのだ。
さっきも言っていたが、家で待つ子供たちにライ麦堅パンを持って帰れるのがうれしいのだろう。
「左右の警戒をおこたるな、ケガなく家まで帰らないと意味がないぞ」
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