96 / 103
第二章
木下将監
しおりを挟む
木下将監は、秀吉の義理の弟であり、秀長の義理の兄だった。
秀吉とは直接血の繋がりのない、正室・寧々の甥である羽柴秀俊が、従五位下・侍従の官職を頂いているのだから、秀吉が織田家の足軽組頭の時代から忠誠に励んでいる将監ならば、三好秀次と同じ従三位・中納言の官位を頂いていてもおかしくはなかった。
それが自称で将監と名乗っているだけで、未だに無位無官の状態だ。
それ位、秀吉は将監を無視している。
だが与一郎は、義伯父の将監を心から信頼し、未だに後見人として立ててくれる。
秀吉が無視するのを補うように、家臣の中でも別格の扱いをしてくれて、国主並みの十五万石の領地を与えてくれている。
普通なら、与一郎が秀吉に眼を付けられないように、遠慮してもっと少ない石高にしてくべきなのだが、このような日が来ることを予期して、遠慮せずに大領を預かっていた。
十五万石の領地から得られる富と、小一郎と与一郎から学んだ商人への投資で、歴戦の家臣を多数召し抱えていた。
その兵士の数は、京に駐留している人数だけでも三千七百五十もいた。
表向きは与一郎の護衛役であったり、京屋敷の警備兵であったりすすのだが、実際には秀吉を殺す時の為の兵力だった。
あれほど将監に辛く当たって来た秀吉なら、将監の復讐を警戒しているのが普通なのだが、秀吉に仕えるようになって二十七年の忍耐が、秀吉から警戒心を奪っていた。
全ては、秀吉が与一郎を邪魔にしようとした時に、与一郎を秀吉から守るためだった。
「豊臣政権官位序列」
従一位:関白・太政大臣:豊臣秀吉
正二位:内大臣 :木下秀臣(秀吉・甥)
従二位:大納言 :羽柴秀長(秀吉・弟)
正三位:左近衛権中将 :木下秀影(秀吉・甥)
従三位:中納言 :三好秀次(秀臣・庶長子)
従三位:参議 :宇喜多秀家(秀吉・猶子)
従四位下:少将 :滝川一益
従四位下:少将 :前田利家
従四位下:少将 :三好秀勝(秀吉・甥)
従四位下:修理大夫 :蜂須賀正勝
正五位下:帯刀先生 :堀尾吉晴
従五位下:侍従 :織田秀信(織田信長・嫡孫)
従五位下:侍従 :羽柴秀俊(秀吉正室・甥)
従五位下:侍従 :細川藤孝
従五位下:侍従 :堀秀政
従五位下:侍従 :佐々成政
従五位下:侍従 :蒲生氏郷
従五位下:侍従 :佐久間盛政
従五位下:侍従 :細川忠興
従五位下:侍従 :前田利長(前田利家・嫡男)
従五位下:侍従 :織田長益(織田信長・実弟)
従五位下:侍従 :丹羽長重
従五位下:侍従 :池田輝政
従五位下:侍従 :大友義統
従五位下:侍従 :筒井定次
従五位下:侍従 :森長可
従五位下:侍従 :井伊直政
従五位下:侍従 :京極高次(秀吉側室・実弟)
従五位下:侍従 :木下勝俊(秀吉正室・甥)
従五位下:侍従 :長宗我部元親
秀吉とは直接血の繋がりのない、正室・寧々の甥である羽柴秀俊が、従五位下・侍従の官職を頂いているのだから、秀吉が織田家の足軽組頭の時代から忠誠に励んでいる将監ならば、三好秀次と同じ従三位・中納言の官位を頂いていてもおかしくはなかった。
それが自称で将監と名乗っているだけで、未だに無位無官の状態だ。
それ位、秀吉は将監を無視している。
だが与一郎は、義伯父の将監を心から信頼し、未だに後見人として立ててくれる。
秀吉が無視するのを補うように、家臣の中でも別格の扱いをしてくれて、国主並みの十五万石の領地を与えてくれている。
普通なら、与一郎が秀吉に眼を付けられないように、遠慮してもっと少ない石高にしてくべきなのだが、このような日が来ることを予期して、遠慮せずに大領を預かっていた。
十五万石の領地から得られる富と、小一郎と与一郎から学んだ商人への投資で、歴戦の家臣を多数召し抱えていた。
その兵士の数は、京に駐留している人数だけでも三千七百五十もいた。
表向きは与一郎の護衛役であったり、京屋敷の警備兵であったりすすのだが、実際には秀吉を殺す時の為の兵力だった。
あれほど将監に辛く当たって来た秀吉なら、将監の復讐を警戒しているのが普通なのだが、秀吉に仕えるようになって二十七年の忍耐が、秀吉から警戒心を奪っていた。
全ては、秀吉が与一郎を邪魔にしようとした時に、与一郎を秀吉から守るためだった。
「豊臣政権官位序列」
従一位:関白・太政大臣:豊臣秀吉
正二位:内大臣 :木下秀臣(秀吉・甥)
従二位:大納言 :羽柴秀長(秀吉・弟)
正三位:左近衛権中将 :木下秀影(秀吉・甥)
従三位:中納言 :三好秀次(秀臣・庶長子)
従三位:参議 :宇喜多秀家(秀吉・猶子)
従四位下:少将 :滝川一益
従四位下:少将 :前田利家
従四位下:少将 :三好秀勝(秀吉・甥)
従四位下:修理大夫 :蜂須賀正勝
正五位下:帯刀先生 :堀尾吉晴
従五位下:侍従 :織田秀信(織田信長・嫡孫)
従五位下:侍従 :羽柴秀俊(秀吉正室・甥)
従五位下:侍従 :細川藤孝
従五位下:侍従 :堀秀政
従五位下:侍従 :佐々成政
従五位下:侍従 :蒲生氏郷
従五位下:侍従 :佐久間盛政
従五位下:侍従 :細川忠興
従五位下:侍従 :前田利長(前田利家・嫡男)
従五位下:侍従 :織田長益(織田信長・実弟)
従五位下:侍従 :丹羽長重
従五位下:侍従 :池田輝政
従五位下:侍従 :大友義統
従五位下:侍従 :筒井定次
従五位下:侍従 :森長可
従五位下:侍従 :井伊直政
従五位下:侍従 :京極高次(秀吉側室・実弟)
従五位下:侍従 :木下勝俊(秀吉正室・甥)
従五位下:侍従 :長宗我部元親
13
お気に入りに追加
304
あなたにおすすめの小説
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。

土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
改造空母機動艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。
そして、昭和一六年一二月。
日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。
「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。
克全
歴史・時代
西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。
幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。
北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。
清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。
色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。
一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。
印旛沼開拓は成功するのか?
蝦夷開拓は成功するのか?
オロシャとは戦争になるのか?
蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか?
それともオロシャになるのか?
西洋帆船は導入されるのか?
幕府は開国に踏み切れるのか?
アイヌとの関係はどうなるのか?
幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる