四代目 豊臣秀勝

克全

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第二章

伴天連追放令

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「ところで与一郎、伴天連が日本人を奴隷にして、海外に連れ去っていると言うのは本当か」
「本当でございます」
「止めさせる事は出来るか」
「羽柴家も戦で捕虜にした者を奴隷としております。それを伴天連だけ禁止するのは、公平とは言えません」
「我らが戦で捕まえた者を奴隷にするのは、人死にを少なくするためだ」
「その通りではありますが、伴天連が不公平だと騒ぎ、天下の政に信者が不満を持つように仕向けるでしょう」
「伴天連が日本人を連れ去るのを止めさせるには、我らも奴隷を解放せねばならぬのだな」
「はい。六宮を猶子に迎えるにあたり、日本から奴隷をなくすことにしましょう。羽柴家が率先して行えば、今迄の犠牲者を助ける事は出来なくても、これから連れ去られる者はいなくなります」
 秀吉は与一郎の意見を聞いたうえで、イエズス会準管区長のガスパール・コエリョを呼び出して詰問した。
 だがコエリョは素直に謝らず抗弁した。
 いや、強弁したと言うほどだった。
 しかも、小型だが最新鋭の軍船・フスタ船に大砲を三門積み込み、大阪城を威嚇する暴挙に出てしまった。
 激怒した秀吉は、伴天連を日本から追放すると宣言した。
 同時にフスタ船を拿捕するように海賊衆に命じたが、搭載されている大砲の威力と帆走能力が和船を凌駕しており、全く歯が立たなかった。
 そこで秀吉はコエリョを人質として、降伏しなければコエリョをはじめ、日本にいる伴天連全員を死刑にすると、フスタ船の船長を脅迫した。
 三日間に渡って激しい交渉が行われたが、拷問寸前にまで追い込まれたコエリョに懇願で、船長も遂に折れてフスタ船を秀吉に引き渡した。
 だがこのコエリョの行動が、日本の未来を大きく変えた。
 一向衆や叡山の僧兵など、現生利益の為に武装して天下を騒がせた宗教家に辟易していた大名国衆は、伴天連も同じだと気が付いたのだ。
 一部の愚か者は、この後も伴天連の教えを妄信したが、秀吉は段階的にキリシタンの力を奪う事にした。
 伴天連の教えに騙されているキリシタンは後回しにして、元凶である伴天連を追放するように、日本中の大名国衆に命じたのだ。
 同時に海賊衆が小型の南蛮船すら拿捕出来なかった事と、南蛮船の大砲に大阪城が無抵抗である事に危機感を感じたのだ。
 そこで船大工に、フスタ船と同型船の量産と、フスタ船を強化発展大型化させた、日本独自の軍艦を研究開発するように命じた。
 勿論、堺や国友村の鉄砲鍛冶達にも、フスタ船に搭載されていた大砲の量産と、大砲を強化大型化した大砲を研究開発するように命じた。
 更に大阪城の防備も、海上を含む全周囲から大砲で砲撃されることを想定した、強化増改築を命じた。
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