四代目 豊臣秀勝

克全

文字の大きさ
上 下
88 / 103
第二章

九州国分

しおりを挟む
 秀吉から全権を与えられた与一郎は、九州の領地を決めたが、それに先立って今迄羽柴家と毛利家の両属となっていた、備後と石見の国衆地侍を羽柴家の家臣とした。
 その代わり石見の吉川家には肥後を与え、備後の小早川家には筑前一国と肥前のうち一郡を与えた。
 九州攻めで先方を務め、吉川元春を失った毛利家に気を使ったのだ。
 小早川隆景は養子の小早川秀包に、七万五千石を分け与えた。
 心労で亡くなった大友宗麟の嫡男・大友義統には、豊後一国が安堵された。
 長年秀吉に仕えた黒田官兵衛には、日向と大隅に二カ国三十万石が与えられた。
 大友家を支えて戦い続けた猛将・立花統虎は、大友家から独立させて、筑後柳川城を中心に十三万二千石を与えて大名とした。
 龍造寺政家は、肥前国の内七郡三十二万石が安堵された。
 大村喜前も肥前国の内三万五千石が安堵され。
 松浦鎮信も肥前の内六万三千石が安堵された。
 長年秀吉に仕えてきた毛利勝信には、豊前小倉を中心に六万石を与えた。
 筑前の秋月種実は、日向の櫛間と財部に移封され、黒田官兵衛の与力にされた。
 秋月種実の次男・高橋元種も、縣と宮崎に移封された黒田官兵衛の与力にされた。
 伊東祐兵も、日向の飫肥・曾井・清武の領有が認められたが、黒田官兵衛の与力にされた。
 相良頼房は肥後人吉二万石を安堵され、吉川元長の与力にされた。
 島津四兄弟には、薩摩を出来る限り四等分して領地を分けた。
 これは、四兄弟は仲良く協力できても、次世代に成れば争うだろうと考えたからだった。
 更に博多を復興させるために、藤堂高虎・石田三成・小西行長・山崎片家などを町割奉行に任じ、神屋宗湛や島井宗室ら町衆も動員して、九州の羽柴家蔵入地を管理させる体制を築こうとした。
小早川隆景:筑前  :三十三万石五千石
     :肥前一郡:三万五千石
毛利勝信 :豊前小倉:六万石
立花統虎 :筑後柳川:十三万二千石
龍造寺政家:肥前七郡:三十二万石
大村喜前 :肥前  :三万五千石
松浦鎮信 :肥前  :六万三千石
大友義統 :豊後  :二十七万石
吉川元長 :肥後  :三十一万石
黒田孝高 :日向  :十二万石
     :大隅  :十七万五千石
島津義久 :薩摩  :七万九千石
島津義弘 :薩摩  :七万九千石
島津歳久 :薩摩  :七万九千石
島津家久 :薩摩  :七万九千石 
 九州に残って国衆や地侍を慰撫していた与一郎に、とんでもない話が飛び込んできた。
 一つは九州で大敗した丹羽長重の大幅減封であり、一つは恩賞の不服を口にした羽柴秀勝の勘当だった。
 それでなくても羽柴於次丸秀勝が亡くなった事で、羽柴家の後継者を巡って織田家旧臣の動向に気を付けないといけないのに、長年友情を示してくれた丹羽長秀の遺児を粗末に扱う事は、再び天下を騒乱に巻き込んでしまう恐れがあった。
 羽柴小吉秀勝に関しては、初陣を済ましたばかりの子供だ。
 その子供に二十八万石を与えるなど狂気の沙汰なのに、その二十八万石が少ないと文句を言うなど、許されることではなかった。
 与一郎は、弟に代わって謝る三好秀次を逆に慰め、九州の事は秀次に任せて急ぎ今日に戻った。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家
歴史・時代
 榎本艦隊北上せず。  それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。  生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。  また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。  そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。  土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。  そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。 (「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です) 

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

日本が危機に?第二次日露戦争

歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。 なろう、カクヨムでも連載しています。

【架空戦記】蒲生の忠

糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。 明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。 その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。 両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。 一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。 だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。 かくなる上は、戦うより他に道はなし。 信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した 若き日の滝川一益と滝川義太夫、 尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として 天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。

札束艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 生まれついての勝負師。  あるいは、根っからのギャンブラー。  札田場敏太(さつたば・びんた)はそんな自身の本能に引きずられるようにして魑魅魍魎が跋扈する、世界のマーケットにその身を投じる。  時は流れ、世界はその混沌の度を増していく。  そのような中、敏太は将来の日米関係に危惧を抱くようになる。  亡国を回避すべく、彼は金の力で帝国海軍の強化に乗り出す。  戦艦の高速化、ついでに出来の悪い四姉妹は四一センチ砲搭載戦艦に改装。  マル三計画で「翔鶴」型空母三番艦それに四番艦の追加建造。  マル四計画では戦時急造型空母を三隻新造。  高オクタン価ガソリン製造プラントもまるごと買い取り。  科学技術の低さもそれに工業力の貧弱さも、金さえあればどうにか出来る!

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

アユタヤ***続復讐の芽***

夢人
歴史・時代
徳川に追われた茉緒たちは大海を超えて新天地に向かいます。アユタヤに自分たちの住処を作ろうと考えています。これは『復讐の芽***』の続編になっています。

処理中です...