61 / 103
第二章
双頭侵攻
しおりを挟む
二軍に別れた与一郎と長秀は、それぞれが確実に国衆地侍を従え、戦略目標を目指した。
長秀は南信濃を遠江に向けて侵攻し、信濃田中城の保科正直を調略したのを契機に、南信濃衆を次々と調略した。
調略した南信濃衆を先方として、堅実に遠江に向けて侵攻。
毛利秀頼が追われた飯田城を取り返した秀長は、改めて毛利秀頼に信濃伊那郡十万石と飯田城を与える朱印状を渡した。
長秀軍は吉岡城に入り、遠江に攻め込む構えを見せて、尾張にいる徳川家康に圧迫をかけた。
一方甲斐に占め込んだ与一郎は、秀吉から武田三郎信清に一万石と勝山城を与えると言う許可をもらっていたので、それを言い訳に武田遺臣が降伏臣従し易いようにした。
その結果多くの武田遺臣が降伏臣従してきたが、望月兵大夫による調略を優先して後回しにしていた、信濃上田方面の根津昌綱が頑強に抵抗してきた。
根津昌綱は後北条に味方し、本領と根津城に加え、甲斐国手塚千貫と清野一跡二千七百貫の広大な領地を与えられていた。
更に今後の功名次第で、海野領より四千貫の領地を与えると、北条氏政より約束されていた。
だが望月兵大夫には、そのような事を認める権限はなかったし、与一郎も認める気がなかったので、後北条の援軍を当てにして望月兵大夫の調略を拒否した。
出来るだけ人的損耗を避ける与一郎ではあったが、後北条の威を借る根津昌綱を許すわけにはいかなかった。
夜盗衆・伊賀衆・甲賀衆・信濃衆。武田遺臣を駆使して、根津昌綱の与力同心は勿論、家臣にも調略を仕掛けた。
調略が成功するように、武力的威圧をかけようと、降伏してきた甲斐衆を先方に、根津昌綱が占拠している小諸城を四万二千兵の大軍で囲んだ。
これに恐怖した根津昌綱の雑兵が逃げ出した。
半農半武の地侍は田畑に戻った。
後北条の援軍が当てに出来ず、このままでは滅ぼされると考えた根津信政・禰津常安・真田昌幸・望月信雅などの一族は、必死の説得を試みた。
雪が降り始め、後北条の援軍が峠を越えられない時期となって、ようやく根津昌綱は諦め降伏臣従に応じた。
だが与一郎は根津昌綱を信濃や甲斐に残すのは危険と判断した。
雪で完全に交通が遮断される前に、根津昌綱などの疑わしい国衆地侍を岐阜城に送ることにした。
高山右近・中川清秀・黒田官兵衛の九千兵に、甲斐信濃の国衆地侍の人質を護衛させ、美濃岐阜城に送った。
与一郎と長秀が甲斐信濃を平定した時には、雪が激しくなり身動きが出来ない状況となっていた。
長秀は南信濃を遠江に向けて侵攻し、信濃田中城の保科正直を調略したのを契機に、南信濃衆を次々と調略した。
調略した南信濃衆を先方として、堅実に遠江に向けて侵攻。
毛利秀頼が追われた飯田城を取り返した秀長は、改めて毛利秀頼に信濃伊那郡十万石と飯田城を与える朱印状を渡した。
長秀軍は吉岡城に入り、遠江に攻め込む構えを見せて、尾張にいる徳川家康に圧迫をかけた。
一方甲斐に占め込んだ与一郎は、秀吉から武田三郎信清に一万石と勝山城を与えると言う許可をもらっていたので、それを言い訳に武田遺臣が降伏臣従し易いようにした。
その結果多くの武田遺臣が降伏臣従してきたが、望月兵大夫による調略を優先して後回しにしていた、信濃上田方面の根津昌綱が頑強に抵抗してきた。
根津昌綱は後北条に味方し、本領と根津城に加え、甲斐国手塚千貫と清野一跡二千七百貫の広大な領地を与えられていた。
更に今後の功名次第で、海野領より四千貫の領地を与えると、北条氏政より約束されていた。
だが望月兵大夫には、そのような事を認める権限はなかったし、与一郎も認める気がなかったので、後北条の援軍を当てにして望月兵大夫の調略を拒否した。
出来るだけ人的損耗を避ける与一郎ではあったが、後北条の威を借る根津昌綱を許すわけにはいかなかった。
夜盗衆・伊賀衆・甲賀衆・信濃衆。武田遺臣を駆使して、根津昌綱の与力同心は勿論、家臣にも調略を仕掛けた。
調略が成功するように、武力的威圧をかけようと、降伏してきた甲斐衆を先方に、根津昌綱が占拠している小諸城を四万二千兵の大軍で囲んだ。
これに恐怖した根津昌綱の雑兵が逃げ出した。
半農半武の地侍は田畑に戻った。
後北条の援軍が当てに出来ず、このままでは滅ぼされると考えた根津信政・禰津常安・真田昌幸・望月信雅などの一族は、必死の説得を試みた。
雪が降り始め、後北条の援軍が峠を越えられない時期となって、ようやく根津昌綱は諦め降伏臣従に応じた。
だが与一郎は根津昌綱を信濃や甲斐に残すのは危険と判断した。
雪で完全に交通が遮断される前に、根津昌綱などの疑わしい国衆地侍を岐阜城に送ることにした。
高山右近・中川清秀・黒田官兵衛の九千兵に、甲斐信濃の国衆地侍の人質を護衛させ、美濃岐阜城に送った。
与一郎と長秀が甲斐信濃を平定した時には、雪が激しくなり身動きが出来ない状況となっていた。
12
お気に入りに追加
298
あなたにおすすめの小説
日本が危機に?第二次日露戦争
杏
歴史・時代
2023年2月24日ロシアのウクライナ侵攻の開始から一年たった。その日ロシアの極東地域で大きな動きがあった。それはロシア海軍太平洋艦隊が黒海艦隊の援助のために主力を引き連れてウラジオストクを離れた。それと同時に日本とアメリカを牽制する為にロシアは3つの種類の新しい極超音速ミサイルの発射実験を行った。そこで事故が起きた。それはこの事故によって発生した戦争の物語である。ただし3発も間違えた方向に飛ぶのは故意だと思われた。実際には事故だったがそもそも飛ばす場所をセッティングした将校は日本に向けて飛ばすようにセッティングをわざとしていた。これは太平洋艦隊の司令官の命令だ。司令官は黒海艦隊を支援するのが不服でこれを企んだのだ。ただ実際に戦争をするとは考えていなかったし過激な思想を持っていた為普通に海の上を進んでいた。
なろう、カクヨムでも連載しています。
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。
克全
歴史・時代
西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。
幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。
北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。
清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。
色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。
一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。
印旛沼開拓は成功するのか?
蝦夷開拓は成功するのか?
オロシャとは戦争になるのか?
蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか?
それともオロシャになるのか?
西洋帆船は導入されるのか?
幕府は開国に踏み切れるのか?
アイヌとの関係はどうなるのか?
幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?
蒼雷の艦隊
和蘭芹わこ
歴史・時代
第五回歴史時代小説大賞に応募しています。
よろしければ、お気に入り登録と投票是非宜しくお願いします。
一九四二年、三月二日。
スラバヤ沖海戦中に、英国の軍兵四二二人が、駆逐艦『雷』によって救助され、その命を助けられた。
雷艦長、その名は「工藤俊作」。
身長一八八センチの大柄な身体……ではなく、その姿は一三○センチにも満たない身体であった。
これ程までに小さな身体で、一体どういう風に指示を送ったのか。
これは、史実とは少し違う、そんな小さな艦長の物語。
近江の轍
藤瀬 慶久
歴史・時代
全ては楽市楽座から始まった―――
『経済は一流、政治は三流』と言われる日本
世界有数の経済大国の礎を築いた商人達
その戦いの歴史を描いた一大叙事詩
『皆の暮らしを豊かにしたい』
信長・秀吉・家康の天下取りの傍らで、理想を抱いて歩き出した男がいた
その名は西川甚左衛門
彼が残した足跡は、現在(いま)の日本に一体何をもたらしたのか
※この小説は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』で掲載しています
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
故郷、甲賀で騒動を起こし、国を追われるようにして出奔した
若き日の滝川一益と滝川義太夫、
尾張に流れ着いた二人は織田信長に会い、織田家の一員として
天下布武の一役を担う。二人をとりまく織田家の人々のそれぞれの思惑が
からみ、紆余曲折しながらも一益がたどり着く先はどこなのか。
超克の艦隊
蒼 飛雲
歴史・時代
「合衆国海軍ハ 六〇〇〇〇トン級戦艦ノ建造ヲ計画セリ」
米国駐在武官からもたらされた一報は帝国海軍に激震をもたらす。
新型戦艦の質的アドバンテージを失ったと判断した帝国海軍上層部はその設計を大幅に変更することを決意。
六四〇〇〇トンで建造されるはずだった「大和」は、しかしさらなる巨艦として誕生する。
だがしかし、米海軍の六〇〇〇〇トン級戦艦は誤報だったことが後に判明。
情報におけるミスが組織に致命的な結果をもたらすことを悟った帝国海軍はこれまでの態度を一変、貪欲に情報を収集・分析するようになる。
そして、その情報重視への転換は、帝国海軍の戦備ならびに戦術に大いなる変化をもたらす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる