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第二章
佐々成政
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だがこの状況は、羽柴長秀が仕掛けた罠だ。
佐々成政が攻め込んで来たと言う事は、柴田軍側の砦も開いている。
柴田軍が北国街道を突進する事を前提に、多くの罠と馬防柵や逆茂木が配置させていた。
そして柴田軍の足が止まる場所には、左右から鉄砲を撃ち矢を射掛ける砦が配されていた。
木下利久と堀秀政が、左右の陣地から雨霰と鉄砲を撃ち矢を放つ。
佐々成政は急いで進もうとするが、馬防柵と逆茂木に阻まれ、左右からいいように攻撃を受けてしまう。
だがここで、金森長近・不破勝光・原長頼の三人が、それぞれ二千兵を率いて後詰を行い、木下利久と堀秀政の砦に攻めかかった。
木下利久と堀秀政は、三将の攻撃を受け、佐々軍への攻撃が疎かになった。
その時間を生かして、佐々軍は体勢を立て直した。
落とし穴や馬防柵があるため、勢いを付けて進めないが、着実に前進を再開した。
だが佐々軍の前には、羽柴長秀が築かせた堅固な砦があった。
事前に作らせておいた資材を使い、柴田勝豊の遺臣が寝返ると分かった時から、夜を徹して作らせておいたのだ。
如何に佐々成政とは言っても、一度鉄砲と弓矢に滅多撃ちにされ、多くの死傷者を出してしまった後では、同数の兵士が護る堅固な砦を落とすのは難しい。
羽柴長秀と黒田官兵衛が連携して護る砦は、佐々成政の攻撃であろうと弾き返した。
いや、効果的に鉄砲と弓矢を使い、確実に佐々軍を損耗させていった。
佐久間盛政が攻撃を開始してから四時間、再び戦線は膠着状態に入った。
柴田勝家率いる本軍一万兵が残っていたが、長秀軍にも堀尾吉晴軍三千兵がいた。
柴田勝豊の遺臣と一緒に北国街道を守っていた堀尾軍は、柴田勝豊軍が裏切る事が分かっていたので、絶好の場所に隠し砦を作っていたのだ。
柴田軍が全て北国街道を突き進んだ時には、背後から奇襲する予定だったのだが、歴戦の柴田勝家には通用しなかった。
しっかりと陣を整え、堀尾軍に砦を出る機会を与えなかつた。
長秀軍と柴田軍の膠着状態は、佐久間盛政が攻撃を開始してから八時間となり、柴田軍にも焦りの色が見えてきた。
流石に今日中に秀吉が岐阜から戻って来るとは思えないが、秀吉が中国大返しと阿波大返しを成し遂げたことは、柴田軍に大きな重圧となっていた。
そこで柴田勝家軍は、堀尾軍の砦に三千兵の抑えを残し、残る七千兵で佐々軍の援軍に駆け付け、攻め疲れた佐々軍と交代した。
そして火の出るような勢いで、羽柴長秀と黒田官兵衛の護る砦に攻めかかった。
甕割柴田の旗本部隊による攻撃は、羽柴長秀と黒田官兵衛と言えども守り切るのは難しかった。
だが最初からこうなる事は想定してあったので、北国街道沿いの砦は縦深陣地に作られており、撤退しながら奥に奥にと誘い込んでいた。
佐々成政が攻め込んで来たと言う事は、柴田軍側の砦も開いている。
柴田軍が北国街道を突進する事を前提に、多くの罠と馬防柵や逆茂木が配置させていた。
そして柴田軍の足が止まる場所には、左右から鉄砲を撃ち矢を射掛ける砦が配されていた。
木下利久と堀秀政が、左右の陣地から雨霰と鉄砲を撃ち矢を放つ。
佐々成政は急いで進もうとするが、馬防柵と逆茂木に阻まれ、左右からいいように攻撃を受けてしまう。
だがここで、金森長近・不破勝光・原長頼の三人が、それぞれ二千兵を率いて後詰を行い、木下利久と堀秀政の砦に攻めかかった。
木下利久と堀秀政は、三将の攻撃を受け、佐々軍への攻撃が疎かになった。
その時間を生かして、佐々軍は体勢を立て直した。
落とし穴や馬防柵があるため、勢いを付けて進めないが、着実に前進を再開した。
だが佐々軍の前には、羽柴長秀が築かせた堅固な砦があった。
事前に作らせておいた資材を使い、柴田勝豊の遺臣が寝返ると分かった時から、夜を徹して作らせておいたのだ。
如何に佐々成政とは言っても、一度鉄砲と弓矢に滅多撃ちにされ、多くの死傷者を出してしまった後では、同数の兵士が護る堅固な砦を落とすのは難しい。
羽柴長秀と黒田官兵衛が連携して護る砦は、佐々成政の攻撃であろうと弾き返した。
いや、効果的に鉄砲と弓矢を使い、確実に佐々軍を損耗させていった。
佐久間盛政が攻撃を開始してから四時間、再び戦線は膠着状態に入った。
柴田勝家率いる本軍一万兵が残っていたが、長秀軍にも堀尾吉晴軍三千兵がいた。
柴田勝豊の遺臣と一緒に北国街道を守っていた堀尾軍は、柴田勝豊軍が裏切る事が分かっていたので、絶好の場所に隠し砦を作っていたのだ。
柴田軍が全て北国街道を突き進んだ時には、背後から奇襲する予定だったのだが、歴戦の柴田勝家には通用しなかった。
しっかりと陣を整え、堀尾軍に砦を出る機会を与えなかつた。
長秀軍と柴田軍の膠着状態は、佐久間盛政が攻撃を開始してから八時間となり、柴田軍にも焦りの色が見えてきた。
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そして火の出るような勢いで、羽柴長秀と黒田官兵衛の護る砦に攻めかかった。
甕割柴田の旗本部隊による攻撃は、羽柴長秀と黒田官兵衛と言えども守り切るのは難しかった。
だが最初からこうなる事は想定してあったので、北国街道沿いの砦は縦深陣地に作られており、撤退しながら奥に奥にと誘い込んでいた。
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