32 / 103
第二章
開戦
しおりを挟む
それぞれの思惑が錯綜する中で、事態は刻一刻と動いていった。
織田家内で復権を目指す織田信雄は、同じく敗戦で名声を地に落とした滝川一益・森長可・毛利秀頼と組んで、信濃甲斐を奪還する軍を準備していた。
愚かな信雄は、徳川が裏切ることは考慮しなかったが、織田信孝が美濃から攻め込んでくることは警戒していて、動員できる半数の兵力、一万兵を集結させた。
滝川一益は大敗直後でもあり、三千兵を集めるので精一杯だった。
先陣を任された森長可も、信雄から貸し与えられた与力を併せて千兵が精一杯だった。
遊撃部隊の毛利秀頼も、信雄から貸し与えられた与力を併せて千兵が精一杯だった。
天正十年九月十五日、信雄軍は信濃に侵攻した。
秀吉も着々と体勢を固めていた。
領国となった河内・山城・丹波の検地と刀狩りを行い、明智残党を虱潰しに探した。
織田信孝・柴田勝家との決戦を考慮し、摂津と山城の境界線にあり、重大な戦略拠点である山崎に宝寺城を築城した。
宝寺城に居城を移した秀吉は、各地に使者を送り、織田家諸大名との私的な派閥を強化していった。
そして遂に三法師後見人である羽柴秀勝の名の下に、上様を弑逆した明智光秀の同盟軍、怨敵・長曾我部元親を討伐すると宣言した。
自身の家臣とした者達は勿論、表向きは織田家家臣の大名達も、指揮下に置いて討伐準備を始めた。
木下与一郎:五千兵(宝寺城に残る・毛利への備えに七千兵出雲に残す)
羽柴長秀 :五千兵(織田信孝と柴田勝家に備えて京に残る)
羽柴秀勝 :一万兵
羽柴秀吉 :三万二千兵
丹羽長秀 :一万兵(柴田勝家への備えで若狭に残る)
池田恒興 :八千兵
細川藤孝 :四千兵
筒井順慶 :一万八千兵
宇喜多秀家:二万五千兵(毛利への備えとして備前に残る)
仙石秀久 :三千兵
高山右近 :千兵(与力衆を付与)
中川清秀 :千兵(与力衆を付与)
だがこの頃、織田信雄軍は苦戦していた。
総勢一万五千の兵力ではあるが、裏で徳川家康と上杉景勝が動いているのだ。
それぞれが独立して策謀しているとは言え、信雄に対応することは難しかった。
滝川一益・森長可・毛利秀頼も中核となる重臣を失い、兵卒を指揮する下級指揮官も数多く失った状況では、臨機応変の対応が出来なかった。
毎日毎夜五月雨式に奇襲をされ、日に日に将兵を失い、遂には夜陰に乗じて味方が逃げ出してしまう状況になっていた。
十二月一日、秀吉は淡路の仙石秀久を先方に、阿波に上陸した。
水軍衆を使い、順次兵力を上陸させていった。
十二月十五日、秀吉軍が全て阿波に上陸したのを確認した織田信孝は、柴田勝家と連名で秀吉に対する弾劾状を諸大名にばらまいた。
そして軍勢を美濃から近江に進め、安土城を囲む暴挙に出た。
織田家内で復権を目指す織田信雄は、同じく敗戦で名声を地に落とした滝川一益・森長可・毛利秀頼と組んで、信濃甲斐を奪還する軍を準備していた。
愚かな信雄は、徳川が裏切ることは考慮しなかったが、織田信孝が美濃から攻め込んでくることは警戒していて、動員できる半数の兵力、一万兵を集結させた。
滝川一益は大敗直後でもあり、三千兵を集めるので精一杯だった。
先陣を任された森長可も、信雄から貸し与えられた与力を併せて千兵が精一杯だった。
遊撃部隊の毛利秀頼も、信雄から貸し与えられた与力を併せて千兵が精一杯だった。
天正十年九月十五日、信雄軍は信濃に侵攻した。
秀吉も着々と体勢を固めていた。
領国となった河内・山城・丹波の検地と刀狩りを行い、明智残党を虱潰しに探した。
織田信孝・柴田勝家との決戦を考慮し、摂津と山城の境界線にあり、重大な戦略拠点である山崎に宝寺城を築城した。
宝寺城に居城を移した秀吉は、各地に使者を送り、織田家諸大名との私的な派閥を強化していった。
そして遂に三法師後見人である羽柴秀勝の名の下に、上様を弑逆した明智光秀の同盟軍、怨敵・長曾我部元親を討伐すると宣言した。
自身の家臣とした者達は勿論、表向きは織田家家臣の大名達も、指揮下に置いて討伐準備を始めた。
木下与一郎:五千兵(宝寺城に残る・毛利への備えに七千兵出雲に残す)
羽柴長秀 :五千兵(織田信孝と柴田勝家に備えて京に残る)
羽柴秀勝 :一万兵
羽柴秀吉 :三万二千兵
丹羽長秀 :一万兵(柴田勝家への備えで若狭に残る)
池田恒興 :八千兵
細川藤孝 :四千兵
筒井順慶 :一万八千兵
宇喜多秀家:二万五千兵(毛利への備えとして備前に残る)
仙石秀久 :三千兵
高山右近 :千兵(与力衆を付与)
中川清秀 :千兵(与力衆を付与)
だがこの頃、織田信雄軍は苦戦していた。
総勢一万五千の兵力ではあるが、裏で徳川家康と上杉景勝が動いているのだ。
それぞれが独立して策謀しているとは言え、信雄に対応することは難しかった。
滝川一益・森長可・毛利秀頼も中核となる重臣を失い、兵卒を指揮する下級指揮官も数多く失った状況では、臨機応変の対応が出来なかった。
毎日毎夜五月雨式に奇襲をされ、日に日に将兵を失い、遂には夜陰に乗じて味方が逃げ出してしまう状況になっていた。
十二月一日、秀吉は淡路の仙石秀久を先方に、阿波に上陸した。
水軍衆を使い、順次兵力を上陸させていった。
十二月十五日、秀吉軍が全て阿波に上陸したのを確認した織田信孝は、柴田勝家と連名で秀吉に対する弾劾状を諸大名にばらまいた。
そして軍勢を美濃から近江に進め、安土城を囲む暴挙に出た。
1
お気に入りに追加
294
あなたにおすすめの小説
天竜川で逢いましょう 起きたら関ヶ原の戦い直前の石田三成になっていた 。そもそも現代人が生首とか無理なので平和な世の中を作ろうと思います。
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!?
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
和ませ屋仇討ち始末
志波 連
歴史・時代
山名藩家老家次男の三沢新之助が学問所から戻ると、屋敷が異様な雰囲気に包まれていた。
門の近くにいた新之助をいち早く見つけ出した安藤久秀に手を引かれ、納戸の裏を通り台所から屋内へ入っる。
久秀に手を引かれ庭の見える納戸に入った新之助の目に飛び込んだのは、今まさに切腹しようとしている父長政の姿だった。
父が正座している筵の横には変わり果てた長兄の姿がある。
「目に焼き付けてください」
久秀の声に頷いた新之助だったが、介錯の刀が振り下ろされると同時に気を失ってしまった。
新之助が意識を取り戻したのは、城下から二番目の宿場町にある旅籠だった。
「江戸に向かいます」
同行するのは三沢家剣術指南役だった安藤久秀と、新之助付き侍女咲良のみ。
父と兄の死の真相を探り、その無念を晴らす旅が始まった。
他サイトでも掲載しています
表紙は写真ACより引用しています
R15は保険です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
武田義信は謀略で天下取りを始めるようです ~信玄「今川攻めを命じたはずの義信が、勝手に徳川を攻めてるんだが???」~
田島はる
歴史・時代
桶狭間の戦いで今川義元が戦死すると、武田家は外交方針の転換を余儀なくされた。
今川との婚姻を破棄して駿河侵攻を主張する信玄に、義信は待ったをかけた。
義信「此度の侵攻、それがしにお任せください!」
領地を貰うとすぐさま侵攻を始める義信。しかし、信玄の思惑とは別に義信が攻めたのは徳川領、三河だった。
信玄「ちょっ、なにやってるの!?!?!?」
信玄の意に反して、突如始まった対徳川戦。義信は持ち前の奇策と野蛮さで織田・徳川の討伐に乗り出すのだった。
かくして、武田義信の敵討ちが幕を開けるのだった。
鶴が舞う ―蒲生三代記―
藤瀬 慶久
歴史・時代
対い鶴はどのように乱世の空を舞ったのか
乱世と共に世に出で、乱世と共に消えていった蒲生一族
定秀、賢秀、氏郷の三代記
六角定頼、織田信長、豊臣秀吉
三人の天下人に仕えた蒲生家三代の歴史を描く正統派歴史小説(のつもりです)
注)転生はしません。歴史は変わりません。一部フィクションを交えますが、ほぼ史実通りに進みます
※この小説は『小説家になろう』『カクヨム』『アルファポリス』『ノベルアップ+』で掲載します
ソラノカケラ ⦅Shattered Skies⦆
みにみ
歴史・時代
2026年 中華人民共和国が台湾へ軍事侵攻を開始
台湾側は地の利を生かし善戦するも
人海戦術で推してくる中国側に敗走を重ね
たった3ヶ月ほどで第2作戦区以外を掌握される
背に腹を変えられなくなった台湾政府は
傭兵を雇うことを決定
世界各地から金を求めて傭兵たちが集まった
これは、その中の1人
台湾空軍特務中尉Mr.MAITOKIこと
舞時景都と
台湾空軍特務中士Mr.SASENOこと
佐世野榛名のコンビによる
台湾開放戦を描いた物語である
※エースコンバットみたいな世界観で描いてます()
戦神の星・武神の翼 ~ もしも日本に2000馬力エンジンが最初からあったなら
もろこし
歴史・時代
架空戦記ファンが一生に一度は思うこと。
『もし日本に最初から2000馬力エンジンがあったなら……』
よろしい。ならば作りましょう!
史実では中途半端な馬力だった『火星エンジン』を太平洋戦争前に2000馬力エンジンとして登場させます。そのために達成すべき課題を一つ一つ潰していく開発ストーリーをお送りします。
そして火星エンジンと言えば、皆さんもうお分かりですね。はい『一式陸攻』の運命も大きく変わります。
しかも史実より遙かに強力になって、さらに1年早く登場します。それは戦争そのものにも大きな影響を与えていきます。
え?火星エンジンなら『雷電』だろうって?そんなヒコーキ知りませんw
お楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる