54 / 60
53話
しおりを挟む
「ルシア様。
一曲踊っていただけないでしょうか?」
「よろしくてよ。
ウィリアム様。
イライアス様。
ネイの事宜しくお願いしますね」
「「お任せください」」
ネイを社交会に披露して一カ月経ちましたが、あまり状況に変化がありません。
とても困ってしまいます。
父に男子が生まれればいいのですが、なかなか思い通りに行かないモノです。
ですがそれも仕方がない事のです。
男と女に大きな魔力の差があると、子供が生まれないのですから。
偶然魔力差を乗り越えて妊娠することがありますが、生まれた子が家格に相応しい魔力を持つことは珍しいのです。
大抵は魔力の低い方の親に影響されます。
そうでなければ、無制限に愛人を持てる貴族が多くの子供を持ち、その血統だけが繁栄したことでしょう。
「ルシア様。
何か気になる事でもありましたか。
ダンスに集中していただいていないようですが?」
「ええ、とても気になる事があってよ。
大切な娘に変な虫がつかないか気になって仕方ないの」
「それは、それは。
随分と大切になされているのですね。
年齢を考えれば、ルシア様の実子には思えないのですが?」
「実子かどうかなんて些細な事よ。
サンディランズ家の血統を引き継ぎ、公爵家を継ぐだけの魔力があればいいのよ」
「……さようでございますね。
ネイ様は公爵家を継ぐに相応しい魔力を持っておられるのですね」
某侯爵家の長男が、憎しみを籠った眼で、でも表情には笑顔を浮かべて、また私に話しかけてきました。
諦めの悪い男です。
私が男爵の爵位を購入したので、私かネイの婿に収まりたいようです。
侯爵家を継ぐだけの魔力に恵まれず、次期当主の座を弟に奪われ、なんとか家を出て身の安全を図りたいのでしょう。
恐らく弟に殺されそうなのですね。
「ええ、私もネイも公爵家を継げるだけの魔力を持っているわ。
でも責任重大な公爵家は継ぎたくはないのよ。
だから、父が跡継ぎに相応しい男子をもうけてくれることを願っているのよ」
「なんと!
せっかくの公爵位を捨てると言われるのですか?
ルシア様が望まれるのなら、逆ハーレムも夢ではないのにですか?」
本当に下劣な男です。
私が、何時、逆ハーレムを望んでいると口にしたというのです。
どうせ父の政敵が、私を誹謗中傷する噂を流しているのでしょう。
徹底的に調べて報復してやろうかしら?
「そのような事は全く望んでいませんわ。
買い求めた男爵領に引きこもって、社交界とはかかわらず、静かに暮らしたいと思っていますのよ」
「ルシア様。
次は私と踊ってくださいますか?」
ネイをイライアスに任せて、ウィリアムが私をダンスに誘います。
何かあったのでしょうか?
一曲踊っていただけないでしょうか?」
「よろしくてよ。
ウィリアム様。
イライアス様。
ネイの事宜しくお願いしますね」
「「お任せください」」
ネイを社交会に披露して一カ月経ちましたが、あまり状況に変化がありません。
とても困ってしまいます。
父に男子が生まれればいいのですが、なかなか思い通りに行かないモノです。
ですがそれも仕方がない事のです。
男と女に大きな魔力の差があると、子供が生まれないのですから。
偶然魔力差を乗り越えて妊娠することがありますが、生まれた子が家格に相応しい魔力を持つことは珍しいのです。
大抵は魔力の低い方の親に影響されます。
そうでなければ、無制限に愛人を持てる貴族が多くの子供を持ち、その血統だけが繁栄したことでしょう。
「ルシア様。
何か気になる事でもありましたか。
ダンスに集中していただいていないようですが?」
「ええ、とても気になる事があってよ。
大切な娘に変な虫がつかないか気になって仕方ないの」
「それは、それは。
随分と大切になされているのですね。
年齢を考えれば、ルシア様の実子には思えないのですが?」
「実子かどうかなんて些細な事よ。
サンディランズ家の血統を引き継ぎ、公爵家を継ぐだけの魔力があればいいのよ」
「……さようでございますね。
ネイ様は公爵家を継ぐに相応しい魔力を持っておられるのですね」
某侯爵家の長男が、憎しみを籠った眼で、でも表情には笑顔を浮かべて、また私に話しかけてきました。
諦めの悪い男です。
私が男爵の爵位を購入したので、私かネイの婿に収まりたいようです。
侯爵家を継ぐだけの魔力に恵まれず、次期当主の座を弟に奪われ、なんとか家を出て身の安全を図りたいのでしょう。
恐らく弟に殺されそうなのですね。
「ええ、私もネイも公爵家を継げるだけの魔力を持っているわ。
でも責任重大な公爵家は継ぎたくはないのよ。
だから、父が跡継ぎに相応しい男子をもうけてくれることを願っているのよ」
「なんと!
せっかくの公爵位を捨てると言われるのですか?
ルシア様が望まれるのなら、逆ハーレムも夢ではないのにですか?」
本当に下劣な男です。
私が、何時、逆ハーレムを望んでいると口にしたというのです。
どうせ父の政敵が、私を誹謗中傷する噂を流しているのでしょう。
徹底的に調べて報復してやろうかしら?
「そのような事は全く望んでいませんわ。
買い求めた男爵領に引きこもって、社交界とはかかわらず、静かに暮らしたいと思っていますのよ」
「ルシア様。
次は私と踊ってくださいますか?」
ネイをイライアスに任せて、ウィリアムが私をダンスに誘います。
何かあったのでしょうか?
119
お気に入りに追加
3,029
あなたにおすすめの小説

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
蜜柑
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

必要ないと言われたので、元の日常に戻ります
黒木 楓
恋愛
私エレナは、3年間城で新たな聖女として暮らすも、突如「聖女は必要ない」と言われてしまう。
前の聖女の人は必死にルドロス国に加護を与えていたようで、私は魔力があるから問題なく加護を与えていた。
その違いから、「もう加護がなくても大丈夫だ」と思われたようで、私を追い出したいらしい。
森の中にある家で暮らしていた私は元の日常に戻り、国の異変を確認しながら過ごすことにする。
数日後――私の忠告通り、加護を失ったルドロス国は凶暴なモンスターによる被害を受け始める。
そして「助けてくれ」と城に居た人が何度も頼みに来るけど、私は動く気がなかった。

氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。

幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~
流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。
しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。
けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる