悪役令嬢は処刑されないように家出しました。

克全

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45話

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「ギュンター、個室は空いているか?」

「ああ、大丈夫だぞ。
 だができたら次からは予約してくれ。
 空いてない時もあるからな」

「分かった。
 次からはそうさせてもらうよ。
 それでだ、猪肉料理を中心にドンドン持ってきてくれ。
 ああ、ベーコンスクランブルエッグをだせるか?」

「そりゃあオットーの店の料理だよな。
 俺に人真似をしろというのか?」

「完全に真似しろとは言わないよ。
 だけどギュンターなら、ひと工夫してもっと美味しくできるんじゃないか?」

「ちぃ!
 おだてても何も出ないぞ。
 オットーの真似をするのは嫌だが、奴より美味い料理を作るというのはいいな。
 分かった。
 だがオットーより美味い料理を作るなら、材料を吟味するから高くつくぞ」

「分かっているよ。
 単価がオットーの所くらいなら払えるよ。
 だからいい材料を使って、腕によりをかけて作ったくれ」

 ネイは私に隠れるようにイライアスとギュンターの話を聞いていましたが、いい材料を使って腕によりをかけて作るという話になって、満面の笑みとなりました。
 私にもネイの気持ちは分かります。
 美味しいものをお腹いっぱい食べるのは幸せですよね。
 特に心を許した仲間と一緒に食べる食事は、最高です。

「エールとワインだ。
 ネイちゃんのは薄いワインを持ってきたぞ」

 ギュンターが直接持ってきてくれました。
 量が多いので、給仕の子供には任せられなかったのでしょう。
 
「「「「「乾杯」」」」」

 とても美味しいですね。
 最初に金を惜しまないと言ったのがよかったのですね。
 今迄とは違って高いワインを持ってきてくれました。
 イライアス達が飲んでいるエールは、たぶんいつも通りのエールですね。
 ワインは瓶単位で幾種類も買い置きできるでしょうが、エールは自家製か樽買いですから、一種類しかないはずです。

「ママ!
 今日のワインおいしいよ!
 お家で飲むワインみたいだよ」

「そうね、おいしいわね。
 お替りいる?」

「うん!
 お替り頂戴!」

「おっと、待ってくれ。
 ワインは美味いのか?」

「ええ、いつもよりも美味しいわ。
 でも量に限りがあると思うから、飲むなら早めに注文した方がいいわよ」

 私とネイがお替りを注文しようとすると、イライアスが話しかけてきました。
 やはりエールはいつもと同じものだったようです。

「ギュンター。
 同じワインをくれ。
 飲み切れる量なら全部持ってきてくれ。
 瓶ごと持ってきてくれてもいいぞ」

「おう!
 瓶一つ分しかないから、残り全部持っていくよ。
 足らないなら買いに走らすから心配しないでくれ」

 この店はいつ来てもいいですね。
 融通を利かせてくれますし、居心地がとてもいいです。
 追われる身でなければ、ここの二階を定宿にするのですがね。
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