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22話

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「いいかげんにしろ!
 お前たちでは相手にならんことがまだ分からんのか!
 さっさとどけ!
 この愚か者共が!」

「バカが!
 愚か者はお前よ!
 魔道具がどれほど素晴らしくても、お前の腕はお粗末の限りだ。
 お前が使う限り、その魔道具も宝の持ち腐れよ。
 三人いれば、八時間はお前を撃退できる。
 六人いれば、交代しながら永遠にお前を撃退できる。
 だが魔道具には魔力の限界があるだろう?
 それともお前の命を削って護りを発動しているのか?
 どちらにしてもお前は終わっているんだよ」

 アレハンドロの罵りに対して、イライアス様が言い返します。
 逆に罵っていると言えます。
 それを聞いたアレハンドロは激高したようです。
 それなりの剣技でイライアス様たちに斬りかかりましたが、全く届きません。
 かすりもしません。
 下手に攻撃しようとするたびに、イライアス様たちから激烈な攻撃を受けます。

「ダニエラ、飯食って寝てくれ。
 この愚か者は絶対に逃がさない。
 屋敷の中にも一歩も入れない。
 俺たちが疲れた時に交代してもらう。
 だから今は熟睡してくれ」

「分かった。
 安心して寝かせてもらうよ。
 だが疲れたらいつでも起こしてくれ。
 一時間後でも構わないぜ」

 今度はウィリアム様がダニエラたちに休息するように指示を出されました。
 自分たちこそ大ダンジョンでの狩りで疲れているでしょうに。
 でも誰もその事には触れません。
 この情報をアレハンドロに聞かせないようにするためでしょう。
 これはできるだけ早く疲れを取らないといけません。

「ポーラさん。
 飯食って寝るよ」

 ああ、そうですか。
 私も休憩するのですね。
 自分の事は考えに入れていませんでした。
 自分の事はともかく、ネイには休息が必要ですね。
 でも先にすべきことがあります。

「ちょっとまって、ダニエラ。
 ウィリアム様、これはどうしましょうか?」

 私は魔法袋の中からひとつの魔法書を取り出して見せました。
 体力を回復させる中級上の魔術が書き込まれた魔法書です。
 厳しい戦いが続くときに、眠ることも食べる事もできない非常事態に使う魔術ですが、これを使えることを知られてもいいのか、その判断は私にはできません。
 
「イライアス、マリオ、アクセルに使ってくれ。
 俺たちは飯食って仮眠する」

 ウィリアム様はそう言うと、ルーカス、オスカーと屋敷の奥に向かわれました。
 魔法袋の中の食糧は温存して、屋敷の中にある堅パンやチーズで栄養を補給されるのでしょう。
 私は体力回復の魔法書を使ってイライアス、マリオ、アクセルを回復しました。

 そこでふと気がつきました。
 今まで自分たちが気付かなかったので、もしかしたらウィリアム様たちも気づいていないのかもしれません。
 アレハンドロを押さえつけて、鎧の上から縄を使って動けなくすればいいと。
 ですが同時に、ウィリアム様たちの事ですから、何か策略があるのかもしれないとも思いました。
 
「私も一緒に食事させていただきます」
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