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20話
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正直助かりました。
ディエゴといい今回の敵といい、敵が弱かったのです。
本来の貴族は、魔力の量で爵位がきまります。
はっきり言えば、魔力の量が一定以上でなければ、爵位が与えられません。
それが本来の大陸貴族制度です。
ですが、腐敗した国は違います。
大陸に貴族制度が導入された真意を蔑ろにして、自分の子孫に爵位を継がすようになってしまっているのです。
父の跡を継いで右将軍のになるはずだったディエゴがそうでしたし、今回襲っている敵も、魔力が少ないのに指揮官になっているのでしょう。
普通の感覚では、自分より有能な人間を配下にしたくありません。
魔力があって爵位が低い人間は、最初から役目に付けないか、閑職に追いやられる事になります。
せめて能力魔力がある人間を使いこなせればいいいいのですが、私のふるさと、エルフィンストン王国では違うのです。
だからこそ、私たちだけでも撃退できたのです。
魔術による奇襲を受けることがなかったのです。
「引くな!
引いても戻るとこなどないぞ!
なんとしてでもルシアを殺すのだ!」
アレハンドロの声でした。
次の副宰相になる事が決まっている、トーフィッケン侯爵家の長男の声でした。
悪夢で何度も聞いた声です。
聞き間違えることなどありません。
目潰しと煙幕で顔は確認できませんが、だいたいの位置は分かりました!
私は新しい魔法書を魔法袋から取り出し、休むことなく攻撃を続けました。
アレハンドロに体制を立て直す時間を与える訳にはいかないのです。
曲がりなりにも侯爵家の跡取りです。
最初に使うのを惜しんだかもしれませんが、家宝の魔道具や魔法書を家から持ち出している可能性もあるのです。
追い込まれたら、それを使う可能性もあるのです。
ですがその心配は杞憂でした。
アレハンドロは攻撃に使える魔道具も魔法書も持っていませんでした。
でも守りの魔道具か魔法書は持っているようです。
私の攻撃を受け付けません。
何度も何度も攻撃を撃退されてしまいました。
持久戦になってしまいました。
アレハンドロの持っている魔道具や魔法書がよほど強力なのか、それとも数が多かったのかは分かりませんが、私の攻撃をいくら受けても倒れません。
配下の者が全て斃されているのに、まったく怯むことなく襲いかかって来ます。
ダニエラのハルバートによる激烈な攻撃を受けても、まったく怯まずに私に襲いかかって来ます。
これがアレハンドロの切り札だったのでしょう。
まったく敵の攻撃を受けつけない防御力、これこそがアレハンドロが平気で敵地に乗り込んでこれる理由だったのです。
ディエゴといい今回の敵といい、敵が弱かったのです。
本来の貴族は、魔力の量で爵位がきまります。
はっきり言えば、魔力の量が一定以上でなければ、爵位が与えられません。
それが本来の大陸貴族制度です。
ですが、腐敗した国は違います。
大陸に貴族制度が導入された真意を蔑ろにして、自分の子孫に爵位を継がすようになってしまっているのです。
父の跡を継いで右将軍のになるはずだったディエゴがそうでしたし、今回襲っている敵も、魔力が少ないのに指揮官になっているのでしょう。
普通の感覚では、自分より有能な人間を配下にしたくありません。
魔力があって爵位が低い人間は、最初から役目に付けないか、閑職に追いやられる事になります。
せめて能力魔力がある人間を使いこなせればいいいいのですが、私のふるさと、エルフィンストン王国では違うのです。
だからこそ、私たちだけでも撃退できたのです。
魔術による奇襲を受けることがなかったのです。
「引くな!
引いても戻るとこなどないぞ!
なんとしてでもルシアを殺すのだ!」
アレハンドロの声でした。
次の副宰相になる事が決まっている、トーフィッケン侯爵家の長男の声でした。
悪夢で何度も聞いた声です。
聞き間違えることなどありません。
目潰しと煙幕で顔は確認できませんが、だいたいの位置は分かりました!
私は新しい魔法書を魔法袋から取り出し、休むことなく攻撃を続けました。
アレハンドロに体制を立て直す時間を与える訳にはいかないのです。
曲がりなりにも侯爵家の跡取りです。
最初に使うのを惜しんだかもしれませんが、家宝の魔道具や魔法書を家から持ち出している可能性もあるのです。
追い込まれたら、それを使う可能性もあるのです。
ですがその心配は杞憂でした。
アレハンドロは攻撃に使える魔道具も魔法書も持っていませんでした。
でも守りの魔道具か魔法書は持っているようです。
私の攻撃を受け付けません。
何度も何度も攻撃を撃退されてしまいました。
持久戦になってしまいました。
アレハンドロの持っている魔道具や魔法書がよほど強力なのか、それとも数が多かったのかは分かりませんが、私の攻撃をいくら受けても倒れません。
配下の者が全て斃されているのに、まったく怯むことなく襲いかかって来ます。
ダニエラのハルバートによる激烈な攻撃を受けても、まったく怯まずに私に襲いかかって来ます。
これがアレハンドロの切り札だったのでしょう。
まったく敵の攻撃を受けつけない防御力、これこそがアレハンドロが平気で敵地に乗り込んでこれる理由だったのです。
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