6 / 60
5話
しおりを挟む
「お願いです。
私を仲間に加えてください。
冒険者の経験はありませんが、護身術はたしなんでいます。
回数も効果も少ないですが、治癒魔術が使えます。
後方要員としてならお役に立てると思います」
「ほう!
それが本当なら助かるよ。
なあ、ウィリアム」
「そうですね。
ですが能力次第です。
失礼な言い方になりますが、実際の能力を確認しなければ、仲間に入れる事はできません。
ですが誤解しないでくださいね。
救いの手を差し伸べるのに反対しているのではありませんよ。
我々が狩りや依頼をこなしている間は、宿屋で待っていてもらえばいいのです」
「そうか、そうだな。
どうかな、ポーラ嬢。
今実力を確認させてもらえるかな?」
二人の騎士の会話に聞きほれていました。
安堵して、普通の状態で話をすると、二人の美声がよく分かります。
思わず聞き惚れそうになる美声だったのです。
しかも面貌を上げた顔が全く同じなのです。
双子なのでしょうか?
それともよく似た兄弟なのでしょうか?
「はい、当然の事だと思います。
冒険者は命懸けのお仕事だと聞いています。
実力の分からない人間を、仲間に加えられないのは当然です。
なにからお見せすればいいですか?」
「じゃあ護身術の方から見せてもらおうか。
でも護身術といっても色々あるよね。
遠くの敵を斃せるような技は覚えているかい?」
イライアス様と名乗られた方ですよね?
全く同じ顔なので、間違えているかもしれません。
ですが気さくに話しかけてくれる方がイライアス様だと思うのです。
「狩りの嗜みで弓術を学びました。
護身用に投擲術も学びました」
「ほう。
それがある程度使えるのなら、狩に同行してもらえるかもしれない。
背中の弓は盗賊除けの擬装ではなかったんだね。
だったら試しにあの木を狙って射てくれるかい」
イライアス様が示される木は少し遠くにあります。
目測で百メートルは離れています。
狩猟で獲物を正確に射るのなら、五十五メートルが限界なのですが、私を試しているのでしょうか?
「あの、百メートル離れていると、狩りでは正確に射れない距離だと思うのです。
飛距離を試すおつもりなら四百メートルくらい先を狙いますが?」
「ほう!
本気で狩猟をされていたんだね。
だがそれは後で試させてもらうよ。
まずはあの木を狙ってくれ」
「分かりました」
私はイライアス様の指示通り、最初に百メートル先の木を狙って的中させました。
次に距離を試されて、四百メートル以上を射ることができるのを見て貰いました。
最後に素早く射る事ができるのも確認してもらいました。
狙うべき動物がいなかったので、狩猟の腕前を披露することはできませんでした。
「これだけ弓が射れれば十分だが、刀剣の扱いも確認させてもらおう」
私を仲間に加えてください。
冒険者の経験はありませんが、護身術はたしなんでいます。
回数も効果も少ないですが、治癒魔術が使えます。
後方要員としてならお役に立てると思います」
「ほう!
それが本当なら助かるよ。
なあ、ウィリアム」
「そうですね。
ですが能力次第です。
失礼な言い方になりますが、実際の能力を確認しなければ、仲間に入れる事はできません。
ですが誤解しないでくださいね。
救いの手を差し伸べるのに反対しているのではありませんよ。
我々が狩りや依頼をこなしている間は、宿屋で待っていてもらえばいいのです」
「そうか、そうだな。
どうかな、ポーラ嬢。
今実力を確認させてもらえるかな?」
二人の騎士の会話に聞きほれていました。
安堵して、普通の状態で話をすると、二人の美声がよく分かります。
思わず聞き惚れそうになる美声だったのです。
しかも面貌を上げた顔が全く同じなのです。
双子なのでしょうか?
それともよく似た兄弟なのでしょうか?
「はい、当然の事だと思います。
冒険者は命懸けのお仕事だと聞いています。
実力の分からない人間を、仲間に加えられないのは当然です。
なにからお見せすればいいですか?」
「じゃあ護身術の方から見せてもらおうか。
でも護身術といっても色々あるよね。
遠くの敵を斃せるような技は覚えているかい?」
イライアス様と名乗られた方ですよね?
全く同じ顔なので、間違えているかもしれません。
ですが気さくに話しかけてくれる方がイライアス様だと思うのです。
「狩りの嗜みで弓術を学びました。
護身用に投擲術も学びました」
「ほう。
それがある程度使えるのなら、狩に同行してもらえるかもしれない。
背中の弓は盗賊除けの擬装ではなかったんだね。
だったら試しにあの木を狙って射てくれるかい」
イライアス様が示される木は少し遠くにあります。
目測で百メートルは離れています。
狩猟で獲物を正確に射るのなら、五十五メートルが限界なのですが、私を試しているのでしょうか?
「あの、百メートル離れていると、狩りでは正確に射れない距離だと思うのです。
飛距離を試すおつもりなら四百メートルくらい先を狙いますが?」
「ほう!
本気で狩猟をされていたんだね。
だがそれは後で試させてもらうよ。
まずはあの木を狙ってくれ」
「分かりました」
私はイライアス様の指示通り、最初に百メートル先の木を狙って的中させました。
次に距離を試されて、四百メートル以上を射ることができるのを見て貰いました。
最後に素早く射る事ができるのも確認してもらいました。
狙うべき動物がいなかったので、狩猟の腕前を披露することはできませんでした。
「これだけ弓が射れれば十分だが、刀剣の扱いも確認させてもらおう」
134
お気に入りに追加
2,985
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します
佐倉えび
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚
不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。
私はきっとまた、二十歳を越えられないーー
一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。
二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。
三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――?
*ムーンライトノベルズにも掲載
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
義妹が私に毒を盛ったので、飲んだふりをして周りの反応を見て見る事にしました
新野乃花(大舟)
恋愛
義姉であるラナーと義妹であるレベッカは、ラナーの婚約者であるロッドを隔ててぎくしゃくとした関係にあった。というのも、義妹であるレベッカが一方的にラナーの事を敵対視し、関係を悪化させていたのだ。ある日、ラナーの事が気に入らないレベッカは、ラナーに渡すワインの中にちょっとした仕掛けを施した…。その結果、2人を巻き込む関係は思わぬ方向に進んでいくこととなるのだった…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです
天宮有
恋愛
子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。
数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。
そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。
どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。
家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
大公殿下と結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい
Ruhuna
恋愛
容姿端麗、才色兼備の姉が実は私を呪っていたらしい
そんなこととは知らずに大公殿下に愛される日々を穏やかに過ごす
3/22 完結予定
3/18 ランキング1位 ありがとうございます
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?
リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。
だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。
世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何?
せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。
貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます!
=====
いつもの勢いで書いた小説です。
前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。
妹、頑張ります!
※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる