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第1章
第48話:凱旋
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「ぎゃあああああ!」
レベル上げの時に何度も練習した技が見事に決まった!
カインとアベルの完全同調魔術に二乗の効果があったので、ライアンの斬撃と同調させれば三乗の効果が現れるかもしれないと練習していた。
下手な攻撃魔術では味方撃ちでライアンを殺してしまうかもしれないので、狙いは正確でなければいけないし、使える魔術も限られていた。
ライアンの魔力防御層はとても強力だが、カインとアベルが放つ最上級の完全同調魔術は、それを貫いて即死させる破壊力があった。
かといってライアンの魔力防御層を貫けない魔術にすると、ギリギリのレベ上げをしているので、斃すべきモンスターの魔力防御層も貫けない。
練習できたのは、属性による相生と相剋が明らかな亜竜だけだった。
ライアンの魔力防御層を貫かない属性魔術で、属性の相剋効果で亜竜の魔力防御層を貫ける属性魔術を放つ時だけだった。
「エマ、カイン、アベル、畳みかけてくれ」
「はい!ホーリー・ピュアリフィケイション」
「「おう!ピュアリフィケイション」」
ライアンが再びプロウジェニタ・ヴァンパイアの核があると思われる場所に、両手の剣を交差させた。
その斬撃に重ねようとエマがホーリー・ピュアリフィケイションを放ち、カインとアベルが完全同調させたピュアリフィケイションを放つ。
攻撃魔術と違って味方撃ちによる損害のない浄化魔術は、精神的な緊張無しに放てるので、失敗する可能性が低くなる。
「ぎゃっ!」
長年子供会で共に遊び学び鍛錬してきた同年生まれパーティーに奇跡が起きた。
四人の攻撃がコンマ一秒の狂いもなく同調した。
四乗攻撃が霧と化していたプロウジェニタ・ヴァンパイアの核を滅ぼした!
コロン
四人の攻撃が完全同調した場所に中くらいの魔宝石が落ちた。
「斃せたわ、プロウジェニタ・ヴァンパイアを斃せたわ!」
予言精霊ディースが歓喜の声を上げた!
ディースが見る未来からプロウジェニタ・ヴァンパイアの姿が消滅した。
明白な確定したビジョンで、プロウジェニタ・ヴァンパイアの死がディースに伝わってきたのだ。
「俺のレベルは上がっていないのだが、三人はどうだ?」
「私のレベルは上がったわ!」
「エマは悪神ロキの眷属と相性がいいから、もらえる経験値が多いんだよ」
「俺たちは亜竜ダンジョンでレベルを上げ過ぎたんじゃないか?」
「確かに、アベルの言う通りだろう」
「そうね、今の私たちならプロウジェニタ・ヴァンパイアも格下よね」
「こんなに強くなれるとは思ってもいなかったよ」
「その気になったら大陸を制覇できるんじゃないか?」
「暴君になる気ならともかく、真っ当に統治する気なら大変だぞ。
俺はそんな責任を背負う気になれないね」
「私も村長の娘という責任で十分よ。
何千何万も人の生活と命を背負うなんて重すぎるわ」
「そんな事を言われたら国を切り取る気が失せちゃったよ」
「国なんて切り取らなくても十分豊かに暮らせるんじゃないか?」
「もう大魔境に戻ろうぜ、ダンジョンなら良いが、ヴァンパイアの住処だった地下に長居したくないぞ」
「待って、人から物を盗むのは嫌だけれど、ヴァンパイアが人から奪って蓄えた物なら、正当な報酬としてもらって行ってもいいんじゃないの?」
「俺は公爵家の屋敷にある財産も持って行って良いと思うぞ」
「そうだよ、残して行っても王家が奪って行くだけだぜ」
「エマの言う事も、カインとアベルの言う事も分かるが……」
「ライアンは正義感が強いから、公爵家の民に返してあげたいのよね?」
「ああ、重税で苦しんでいたかもしれないからな」
「だったら俺たちが持って行った方が良いぜ」
「さっきも言ったけど、残して行ったら王家が奪ってお終いだぞ」
「ライアン、私たちが持って行っても私欲で使わなければいいんでしょう?
食料に変えて公爵領で炊き出ししてもいいし、孤児や寡婦を引き取って育てる資金にすればいいんじゃないの?」
「そうだぜ、エマの言う通りだぜ」
「今までの村を放棄せずに、孤児や寡婦を住まわせてもいいんじゃないか?」
「そうだな、エマと俺が亜竜ダンジョン村に行って、カインとアベルが村に残るなら、何があっても大丈夫だな?」
「ディースが私たちの側で予言してくれるなら、悪神ロキが新たな眷属に私たちを襲わせようとしても、事前に察知する事ができるわ」
「俺とアベルがずっと村に残らなくても大丈夫だよ」
「そうそう、十日も有れば村のダンジョンも五十階層層くらいになるんじゃない?」
「そうだな、父さんとヴィクトーのレベルが上がったら、二人に旧村を任せられるようになるだろう」
「ライアンも納得したのなら、ヴァンパイアの遺品だけでなく、公爵屋敷の財産も全部村に送るわよ」
「待ってくれ、送ると決まったのなら村は止めよう。
大丈夫だとは思うが、クズが盗む可能性がある。
亜竜ダンジョンの階段部分に送ってくれ」
「分かった、任せろ」
黙って聞いていた転送精霊セーレが返事をして、まず地下に残されたプロウジェニタ・ヴァンパイアの遺品を亜竜ダンジョンの階段部分に送った。
次いで公爵屋敷の財産を亜竜ダンジョンの階段部分に送った。
全ての財産を送るのに、転送精霊セーレと一緒に地下と公爵屋敷を見て回り、見逃しているヴァンパイアがいないか確認した。
「もう大丈夫だな、これで安心して村に帰れる」
「ああ、晴れ晴れとした気持ちよ」
「「帰ろう!」」
レベル上げの時に何度も練習した技が見事に決まった!
カインとアベルの完全同調魔術に二乗の効果があったので、ライアンの斬撃と同調させれば三乗の効果が現れるかもしれないと練習していた。
下手な攻撃魔術では味方撃ちでライアンを殺してしまうかもしれないので、狙いは正確でなければいけないし、使える魔術も限られていた。
ライアンの魔力防御層はとても強力だが、カインとアベルが放つ最上級の完全同調魔術は、それを貫いて即死させる破壊力があった。
かといってライアンの魔力防御層を貫けない魔術にすると、ギリギリのレベ上げをしているので、斃すべきモンスターの魔力防御層も貫けない。
練習できたのは、属性による相生と相剋が明らかな亜竜だけだった。
ライアンの魔力防御層を貫かない属性魔術で、属性の相剋効果で亜竜の魔力防御層を貫ける属性魔術を放つ時だけだった。
「エマ、カイン、アベル、畳みかけてくれ」
「はい!ホーリー・ピュアリフィケイション」
「「おう!ピュアリフィケイション」」
ライアンが再びプロウジェニタ・ヴァンパイアの核があると思われる場所に、両手の剣を交差させた。
その斬撃に重ねようとエマがホーリー・ピュアリフィケイションを放ち、カインとアベルが完全同調させたピュアリフィケイションを放つ。
攻撃魔術と違って味方撃ちによる損害のない浄化魔術は、精神的な緊張無しに放てるので、失敗する可能性が低くなる。
「ぎゃっ!」
長年子供会で共に遊び学び鍛錬してきた同年生まれパーティーに奇跡が起きた。
四人の攻撃がコンマ一秒の狂いもなく同調した。
四乗攻撃が霧と化していたプロウジェニタ・ヴァンパイアの核を滅ぼした!
コロン
四人の攻撃が完全同調した場所に中くらいの魔宝石が落ちた。
「斃せたわ、プロウジェニタ・ヴァンパイアを斃せたわ!」
予言精霊ディースが歓喜の声を上げた!
ディースが見る未来からプロウジェニタ・ヴァンパイアの姿が消滅した。
明白な確定したビジョンで、プロウジェニタ・ヴァンパイアの死がディースに伝わってきたのだ。
「俺のレベルは上がっていないのだが、三人はどうだ?」
「私のレベルは上がったわ!」
「エマは悪神ロキの眷属と相性がいいから、もらえる経験値が多いんだよ」
「俺たちは亜竜ダンジョンでレベルを上げ過ぎたんじゃないか?」
「確かに、アベルの言う通りだろう」
「そうね、今の私たちならプロウジェニタ・ヴァンパイアも格下よね」
「こんなに強くなれるとは思ってもいなかったよ」
「その気になったら大陸を制覇できるんじゃないか?」
「暴君になる気ならともかく、真っ当に統治する気なら大変だぞ。
俺はそんな責任を背負う気になれないね」
「私も村長の娘という責任で十分よ。
何千何万も人の生活と命を背負うなんて重すぎるわ」
「そんな事を言われたら国を切り取る気が失せちゃったよ」
「国なんて切り取らなくても十分豊かに暮らせるんじゃないか?」
「もう大魔境に戻ろうぜ、ダンジョンなら良いが、ヴァンパイアの住処だった地下に長居したくないぞ」
「待って、人から物を盗むのは嫌だけれど、ヴァンパイアが人から奪って蓄えた物なら、正当な報酬としてもらって行ってもいいんじゃないの?」
「俺は公爵家の屋敷にある財産も持って行って良いと思うぞ」
「そうだよ、残して行っても王家が奪って行くだけだぜ」
「エマの言う事も、カインとアベルの言う事も分かるが……」
「ライアンは正義感が強いから、公爵家の民に返してあげたいのよね?」
「ああ、重税で苦しんでいたかもしれないからな」
「だったら俺たちが持って行った方が良いぜ」
「さっきも言ったけど、残して行ったら王家が奪ってお終いだぞ」
「ライアン、私たちが持って行っても私欲で使わなければいいんでしょう?
食料に変えて公爵領で炊き出ししてもいいし、孤児や寡婦を引き取って育てる資金にすればいいんじゃないの?」
「そうだぜ、エマの言う通りだぜ」
「今までの村を放棄せずに、孤児や寡婦を住まわせてもいいんじゃないか?」
「そうだな、エマと俺が亜竜ダンジョン村に行って、カインとアベルが村に残るなら、何があっても大丈夫だな?」
「ディースが私たちの側で予言してくれるなら、悪神ロキが新たな眷属に私たちを襲わせようとしても、事前に察知する事ができるわ」
「俺とアベルがずっと村に残らなくても大丈夫だよ」
「そうそう、十日も有れば村のダンジョンも五十階層層くらいになるんじゃない?」
「そうだな、父さんとヴィクトーのレベルが上がったら、二人に旧村を任せられるようになるだろう」
「ライアンも納得したのなら、ヴァンパイアの遺品だけでなく、公爵屋敷の財産も全部村に送るわよ」
「待ってくれ、送ると決まったのなら村は止めよう。
大丈夫だとは思うが、クズが盗む可能性がある。
亜竜ダンジョンの階段部分に送ってくれ」
「分かった、任せろ」
黙って聞いていた転送精霊セーレが返事をして、まず地下に残されたプロウジェニタ・ヴァンパイアの遺品を亜竜ダンジョンの階段部分に送った。
次いで公爵屋敷の財産を亜竜ダンジョンの階段部分に送った。
全ての財産を送るのに、転送精霊セーレと一緒に地下と公爵屋敷を見て回り、見逃しているヴァンパイアがいないか確認した。
「もう大丈夫だな、これで安心して村に帰れる」
「ああ、晴れ晴れとした気持ちよ」
「「帰ろう!」」
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