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第1章
第14話:二度目の夜営
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「上位個体の肉と肝臓だけ取り出して先を急ごう」
ライアンが言い切った。
金よりもアイリスを解呪する事が最優先なのは、四人共通の願いだ。
だが、美味しいと言われている上位個体の魔獣を手に入れたのだ。
腐らせずに食べ切れる量くらいは持って行きたいと思って当然だった。
「そうよね、少しくらい時間がかかっても美味しいモノは確保すべきよね」
「やったね、一度は上位個体を食べてみたかったんだ」
「俺も香肉と言われるフォレスト・ウルフを食べてみたかったんだよ」
ライアンが急いでファイター・フォレスト・ウルフの所に戻った。
首を斬り飛ばしているので血抜きはできていた。
普通個体よりも巨大な四百キロ級だ、一頭だけでも四人では食べ切れない。
内臓だけ取り出したが、猟犬見習たちがその場で食べだした。
カインとアベルが許可していたとはいえ、少々行儀が悪い。
よほど美味しい香りがしていたのだろう。
四人は猟犬見習たちを引き連れて先を急いだ。
昼食は村で用意しておいた半干蛇肉を歩きながら食べてすませた。
まだ日暮れには三時間も間があったが、前回と同じ水場で夜営の準備をした。
前回使ったカマドが四カ所とも無事に残っていた。
夜営する場所が決まっていたので、少し前から油の木の枝を切り、枯れ木を拾って燃料の準備も少しできていた。
猟犬見習たちが広く散開して危険が無いか調べてくれる。
エマが水を汲み煮炊きの準備をする。
カインとアベルが燃料にする枯れ枝と倒木を集める。
ライアンが覚えたばかりの魔獣の解体をする。
少々力任せだが、多少の粗雑さは野趣あふれるとも言える。
大きな葉の表面をきれいに拭いて、解体した肉を置いて行く。
水を汲み火を熾し鉄兜をきれいに洗ったエマがライアンを手伝う。
幼い頃から子供会で一緒だった四人だ、味の好みは良く分かっている。
味噌や醤油はないが、各種香草を混ぜる事で独特の味になる香草塩がある。
胡椒や唐辛子に近い香草もあれば、山葵や山椒に近い香草もある。
それらをブレンドした香草塩を村民全員が持っている。
村民一人一人は大げさだが、家によって独自の香草塩、味がある。
エマがライアンとカインとアベルから預かった香草塩を肉に振る。
目分量だが、ライアンが公平に四等分したファイター・フォレスト・ウルフの香肉の各部位だ。
カインとアベルだけで夜が明けるまでの燃料を集めるので、前回よりも時間がかかったが、それでも日暮れ二時間前には十分な枯れ枝や倒木を集められた。
ライアンの解体も終わって、下味も十分ついていた。
じゅううううう!
ライアンがファイター・フォレスト・ウルフから外した脂を、四人それぞれが鉄兜鍋にひいていく。
「「「「「くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん」」」」」
香肉ではなく脂肪でしかないのに、周囲一帯に何とも言えない美味しい香りが広がって、猟犬見習たちが耐えきれずにご飯を催促する。
「仕方のない奴らだな」
「こんなに美味しそうな香りなら仕方ないね」
カインとアベルが六頭の猟犬見習たちに骨付きスネ肉を与える。
夜営中ではスネ肉を美味しく長時間煮込むなんて不可能だ。
他にもっと美味しい肉があるのに、時間と手間をかけてスネ肉を叩く必要もない。
そんな事をするよりは、可愛い猟犬見習たちに与える方が良い。
四人全員がそう思ったから、四本の骨付きスネ肉が与えられた。
だが、四本では六頭には二つ足らない。
足らない分は、同じ様に硬くて直ぐには美味しく食べられない、骨付きの首肉と軟骨肉が与えられた。
「「「「「がう、がう、がう、がう、がう」」」」」
猟犬見習たちは、貪り喰らうとしか表現できないほど夢中になって食べる。
猟犬見習たちが食べるのに夢中になっている間は、四人が食べるのを我慢して周囲に気配を探った。
満足するまで食べた猟犬見習たちは、等間隔に夜営地から離れた。
骨を咥えて咬み続けるのには吹き出しそうになるが、ちゃんと警戒はしている。
できるだけ遠くの危険を察知して、主人に知らせられるようにしている。
いよいよ四人が食べられる時間になった。
猟犬見習たちががっついて食べたので、それほど待った訳ではないのだが、それでも美味しい肉を食べるのを我慢するのは、更に食欲をかき立てる。
香脂をひいて熱く熱した鉄兜鍋に、自分好みの香草塩を塗したロース肉を入れる。
じゅううううう!
肉の焼ける、何とも言えない美味しい香りが、更に食欲を刺激する。
ライアンは、レアで食べたいところを我慢してミディアムレアまで焼く。
我慢に我慢を重ねた待望の香肉ロースを貪り喰らう。
強大なファイター・フォレスト・ウルフの肉とは思えないやわらかさだった。
最初に脂の甘さが舌をとろかせ、噛みしめると濃厚な旨味が口一杯に広がり、何とも言えない好い香りが鼻を抜けて脳髄まで麻痺させる。
あっという間に四等分したロース肉を食べ尽くしてしまった。
次にロース肉と同じくらいやわらかくて、ロース肉以上に旨味が強くて美味しい内もも肉を焼き、満足するまで休むことなく喰らう。
四等分したとはいえ、400㎏級のファイター・フォレスト・ウルフの後脚二本分の内もも肉だ、それなりに食べ応えがあった。
少しは空腹感が減ったので、スライム水袋を破って水分を補給する。
鉄兜鍋で汁物を作る時は水袋を温存するのだが、今日はどうしても焼肉が食べたかったので、水袋を使う事にしたのだ。
エマはもうお御腹一杯の様子だが、ライアン、カイン、アベルはまだ食べたらない様子で、旨味の詰まったランプ肉を鉄兜鍋に入れた。
じゅううううう!
再び周囲一帯に香肉独特の美味しい香りが広がる。
普通なら肉食の魔獣が先を争って集まってくるのだが、ライアンたちが斃した大量のフォレスト・ウルフが捨て置かれていたので、それを食べて満腹になっていた。
ライアンが言い切った。
金よりもアイリスを解呪する事が最優先なのは、四人共通の願いだ。
だが、美味しいと言われている上位個体の魔獣を手に入れたのだ。
腐らせずに食べ切れる量くらいは持って行きたいと思って当然だった。
「そうよね、少しくらい時間がかかっても美味しいモノは確保すべきよね」
「やったね、一度は上位個体を食べてみたかったんだ」
「俺も香肉と言われるフォレスト・ウルフを食べてみたかったんだよ」
ライアンが急いでファイター・フォレスト・ウルフの所に戻った。
首を斬り飛ばしているので血抜きはできていた。
普通個体よりも巨大な四百キロ級だ、一頭だけでも四人では食べ切れない。
内臓だけ取り出したが、猟犬見習たちがその場で食べだした。
カインとアベルが許可していたとはいえ、少々行儀が悪い。
よほど美味しい香りがしていたのだろう。
四人は猟犬見習たちを引き連れて先を急いだ。
昼食は村で用意しておいた半干蛇肉を歩きながら食べてすませた。
まだ日暮れには三時間も間があったが、前回と同じ水場で夜営の準備をした。
前回使ったカマドが四カ所とも無事に残っていた。
夜営する場所が決まっていたので、少し前から油の木の枝を切り、枯れ木を拾って燃料の準備も少しできていた。
猟犬見習たちが広く散開して危険が無いか調べてくれる。
エマが水を汲み煮炊きの準備をする。
カインとアベルが燃料にする枯れ枝と倒木を集める。
ライアンが覚えたばかりの魔獣の解体をする。
少々力任せだが、多少の粗雑さは野趣あふれるとも言える。
大きな葉の表面をきれいに拭いて、解体した肉を置いて行く。
水を汲み火を熾し鉄兜をきれいに洗ったエマがライアンを手伝う。
幼い頃から子供会で一緒だった四人だ、味の好みは良く分かっている。
味噌や醤油はないが、各種香草を混ぜる事で独特の味になる香草塩がある。
胡椒や唐辛子に近い香草もあれば、山葵や山椒に近い香草もある。
それらをブレンドした香草塩を村民全員が持っている。
村民一人一人は大げさだが、家によって独自の香草塩、味がある。
エマがライアンとカインとアベルから預かった香草塩を肉に振る。
目分量だが、ライアンが公平に四等分したファイター・フォレスト・ウルフの香肉の各部位だ。
カインとアベルだけで夜が明けるまでの燃料を集めるので、前回よりも時間がかかったが、それでも日暮れ二時間前には十分な枯れ枝や倒木を集められた。
ライアンの解体も終わって、下味も十分ついていた。
じゅううううう!
ライアンがファイター・フォレスト・ウルフから外した脂を、四人それぞれが鉄兜鍋にひいていく。
「「「「「くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん、くぅ~ん」」」」」
香肉ではなく脂肪でしかないのに、周囲一帯に何とも言えない美味しい香りが広がって、猟犬見習たちが耐えきれずにご飯を催促する。
「仕方のない奴らだな」
「こんなに美味しそうな香りなら仕方ないね」
カインとアベルが六頭の猟犬見習たちに骨付きスネ肉を与える。
夜営中ではスネ肉を美味しく長時間煮込むなんて不可能だ。
他にもっと美味しい肉があるのに、時間と手間をかけてスネ肉を叩く必要もない。
そんな事をするよりは、可愛い猟犬見習たちに与える方が良い。
四人全員がそう思ったから、四本の骨付きスネ肉が与えられた。
だが、四本では六頭には二つ足らない。
足らない分は、同じ様に硬くて直ぐには美味しく食べられない、骨付きの首肉と軟骨肉が与えられた。
「「「「「がう、がう、がう、がう、がう」」」」」
猟犬見習たちは、貪り喰らうとしか表現できないほど夢中になって食べる。
猟犬見習たちが食べるのに夢中になっている間は、四人が食べるのを我慢して周囲に気配を探った。
満足するまで食べた猟犬見習たちは、等間隔に夜営地から離れた。
骨を咥えて咬み続けるのには吹き出しそうになるが、ちゃんと警戒はしている。
できるだけ遠くの危険を察知して、主人に知らせられるようにしている。
いよいよ四人が食べられる時間になった。
猟犬見習たちががっついて食べたので、それほど待った訳ではないのだが、それでも美味しい肉を食べるのを我慢するのは、更に食欲をかき立てる。
香脂をひいて熱く熱した鉄兜鍋に、自分好みの香草塩を塗したロース肉を入れる。
じゅううううう!
肉の焼ける、何とも言えない美味しい香りが、更に食欲を刺激する。
ライアンは、レアで食べたいところを我慢してミディアムレアまで焼く。
我慢に我慢を重ねた待望の香肉ロースを貪り喰らう。
強大なファイター・フォレスト・ウルフの肉とは思えないやわらかさだった。
最初に脂の甘さが舌をとろかせ、噛みしめると濃厚な旨味が口一杯に広がり、何とも言えない好い香りが鼻を抜けて脳髄まで麻痺させる。
あっという間に四等分したロース肉を食べ尽くしてしまった。
次にロース肉と同じくらいやわらかくて、ロース肉以上に旨味が強くて美味しい内もも肉を焼き、満足するまで休むことなく喰らう。
四等分したとはいえ、400㎏級のファイター・フォレスト・ウルフの後脚二本分の内もも肉だ、それなりに食べ応えがあった。
少しは空腹感が減ったので、スライム水袋を破って水分を補給する。
鉄兜鍋で汁物を作る時は水袋を温存するのだが、今日はどうしても焼肉が食べたかったので、水袋を使う事にしたのだ。
エマはもうお御腹一杯の様子だが、ライアン、カイン、アベルはまだ食べたらない様子で、旨味の詰まったランプ肉を鉄兜鍋に入れた。
じゅううううう!
再び周囲一帯に香肉独特の美味しい香りが広がる。
普通なら肉食の魔獣が先を争って集まってくるのだが、ライアンたちが斃した大量のフォレスト・ウルフが捨て置かれていたので、それを食べて満腹になっていた。
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