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第1章
第3話:四人の願い
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エマとライアンの揺るぎない決意。
カインとアベルの適切な状況判断。
それが大人たちの気持ちを動かした。
最初は激しく反対していた大人たちも神々の試練を受ける事を認めた。
認めはしたが、絶対に安全とも言い切れなない。
少しでも神々の好意を得たくて、精一杯の準備をした。
「準備は父さんたちに任せる、俺は少しでも強くなりたいから大魔境に挑む」
普段から強くなるための努力を惜しまないライアンが言い切った。
まだ成人を迎えていないライアンは、村の外に出る事を許されない。
危険な大魔境に出て良いのは、ダンジョンの10階を楽に周れる者だけだ。
「私もライアンと一緒に大魔境にでます。
少しでも早く実戦を経験したいです」
危険な大魔境に中にあるホープ村だ、生き残るための方法は真剣に考えられ、数限りなく試されていた。
比較的安全なダンジョンでの狩りが楽にできなければ大魔境には出られない。
湧きだすモンスターの強さが一定で、単独でしか湧かないダンジョンで安全に戦えるようになってから、大魔境に出て狩りをするようになっていた。
ただ、それでも、どれだけ実力があっても、成人前の子供は村から出さない。
普通は、成人前の子供でダンジョン10階を楽に巡れるのが異常なのだ。
神の加護を受けているエマとライアンがいるからできているのだ。
実力のある猟師たちが大魔境に出て、村外で売れるような素材を集める。
戦闘力のない婦人や青年がダンジョンで確実に手に入る水や塩を採集しつつ、確率の低いダンジョンドロップを狙うのが村の体制だった。
だがアイリスが悪神ロキを含めた二重の呪いを受けた事で状況が一変した。
呪いによって日々身体腐り激痛に苦しむアイリスの姿が村人の意識を変えた。
少なくとも命の恩を受けた者たちの心を大きく揺さぶった。
「だったら俺たちも行かないとね」
「美味しいイノシシ系やウシ系の魔獣が狩れたらいいな」
カインとアベルも、エマやライアンと一緒に大魔境に出て実戦訓練をした。
村長の館の中にある神殿を奇麗に清め、生贄の魔獣を集めるたった三日間だったが、そんな短い間にも四人の実力はメキメキと上がった。
エイル神の加護を受けたエマは聖治癒術使と呼ばれる別格の存在だ。
人が努力と研究の末に編み出した治癒魔術とは比較にならない強力な回復力だ。
そんな聖治癒術で回復してもらえるのだから、少々の負傷は無視して戦える。
テュール神の加護を受けたライアンも剣使と呼ばれる別格の存在だ。
人が努力と研究の末に編み出した剣術とは比較にならない強力な力、神力だ。
その根本は身体強化にあり、魔力・気力・命力しか使えない人では対等に戦えないどころか、足元にも及ばない。
いや、これまでの人々が戦えないと思っていただけで、単なる人でも加護持ちとギリギリ戦えるかもしれない思わせる存在がいた。
それがカインとアベルだった。
同年の生まれたエマとライアン、カインとアベルは常に一緒にいた。
大人たちが生きるのに必死な村では、成人前の子供たちは子供会で一緒に育つ。
年長の子供が年少の子供の世話をするのが当たり前の村だ。
上下の関係も濃密だが、同年生まれの子供同士に関係は更に濃密だ。
カインとアベルは、同い年の仲間、エマとライアンに置いて行かれないように、必死で後を追いかける。
エマが読み書き計算を覚えれば、負けまいと覚える。
ライアンが身体強化を使えるようになったら、同じ様に使えないか試行錯誤する。
どうしても加護持ちには追いつけないと思っても簡単には諦めない。
エマとライアンにできない事で二人と肩を並べるように努力した。
その方法として、猟師としての技、冒険者としての技を極めようとした。
エマが聖治癒術を極めようとし、ライアンが身体強化と神力を高めようとする一方で、カインとアベルは父親から罠、投石、手裏剣、魔術、猟犬の扱いを学んだ。
単に強くなるのではなく、村を豊かにする方法を学んでいた。
そんな四人だからこそ、神々からどのような試練を与えられるか分からないので、少しでもレベルを上げておきたかったのだ。
そしていよいよ、神々の前で試練を乞う日がやってきた。
「神々の試練を受ける決意をした勇気ある子供たちよ、神々の前に跪いてその純粋な思いを告げるが良い」
村長であるガブリエルが神官役を務めて、四人の子供を神殿に迎えた。
村に魔獣や敵が侵入してきた時には、小さな城でもある村長の館が最後の砦になるので、村中の人を収容する場所を兼ねた神殿が造られているのだ。
成人を迎える年は着飾ると言っても、貧しい村では限界がある。
ある程度の値段で売れる大魔境産の毛皮など使えない。
どこのダンジョンでも共通してドロップされる皮で作った、新しい服だ。
村長の館内にある神殿だから、多くの都市にある独立した神殿とは比べ物にならない、狭い空間でしかない。
そんな空間にほぼ全ての神々の像が置かれているのだから、神像の大きさも人間よりも小さく、大人の腰高くらいしかない。
エマは加護を下さったエイル神の像の前に跪いた。
ライアンも加護を下さったテュール神の像の前に跪いた。
カインとアベルは二人並んでウル神の前に跪いた。
ウル神は狩猟と弓術、スキーと決闘を司る神だと言われていた。
大魔境の猟師である父親を手本にして、エマとライアンとは違う面で二人と肩を並べようとしていた、カインとアベルらしい選択だった。
「「「「エイル神、テュール神、ウル神よ、どうか我らの願いを聞き届けてください。
我ら四人に悪神ロキに呪われたアイリスを救う方法を御教え下さい。
神々の試練を受けさせていただきますので、どうかアイリスを救わせてください」
四人は何度も話し合って決めた言い方で神々に試練を乞うた。
カインとアベルの適切な状況判断。
それが大人たちの気持ちを動かした。
最初は激しく反対していた大人たちも神々の試練を受ける事を認めた。
認めはしたが、絶対に安全とも言い切れなない。
少しでも神々の好意を得たくて、精一杯の準備をした。
「準備は父さんたちに任せる、俺は少しでも強くなりたいから大魔境に挑む」
普段から強くなるための努力を惜しまないライアンが言い切った。
まだ成人を迎えていないライアンは、村の外に出る事を許されない。
危険な大魔境に出て良いのは、ダンジョンの10階を楽に周れる者だけだ。
「私もライアンと一緒に大魔境にでます。
少しでも早く実戦を経験したいです」
危険な大魔境に中にあるホープ村だ、生き残るための方法は真剣に考えられ、数限りなく試されていた。
比較的安全なダンジョンでの狩りが楽にできなければ大魔境には出られない。
湧きだすモンスターの強さが一定で、単独でしか湧かないダンジョンで安全に戦えるようになってから、大魔境に出て狩りをするようになっていた。
ただ、それでも、どれだけ実力があっても、成人前の子供は村から出さない。
普通は、成人前の子供でダンジョン10階を楽に巡れるのが異常なのだ。
神の加護を受けているエマとライアンがいるからできているのだ。
実力のある猟師たちが大魔境に出て、村外で売れるような素材を集める。
戦闘力のない婦人や青年がダンジョンで確実に手に入る水や塩を採集しつつ、確率の低いダンジョンドロップを狙うのが村の体制だった。
だがアイリスが悪神ロキを含めた二重の呪いを受けた事で状況が一変した。
呪いによって日々身体腐り激痛に苦しむアイリスの姿が村人の意識を変えた。
少なくとも命の恩を受けた者たちの心を大きく揺さぶった。
「だったら俺たちも行かないとね」
「美味しいイノシシ系やウシ系の魔獣が狩れたらいいな」
カインとアベルも、エマやライアンと一緒に大魔境に出て実戦訓練をした。
村長の館の中にある神殿を奇麗に清め、生贄の魔獣を集めるたった三日間だったが、そんな短い間にも四人の実力はメキメキと上がった。
エイル神の加護を受けたエマは聖治癒術使と呼ばれる別格の存在だ。
人が努力と研究の末に編み出した治癒魔術とは比較にならない強力な回復力だ。
そんな聖治癒術で回復してもらえるのだから、少々の負傷は無視して戦える。
テュール神の加護を受けたライアンも剣使と呼ばれる別格の存在だ。
人が努力と研究の末に編み出した剣術とは比較にならない強力な力、神力だ。
その根本は身体強化にあり、魔力・気力・命力しか使えない人では対等に戦えないどころか、足元にも及ばない。
いや、これまでの人々が戦えないと思っていただけで、単なる人でも加護持ちとギリギリ戦えるかもしれない思わせる存在がいた。
それがカインとアベルだった。
同年の生まれたエマとライアン、カインとアベルは常に一緒にいた。
大人たちが生きるのに必死な村では、成人前の子供たちは子供会で一緒に育つ。
年長の子供が年少の子供の世話をするのが当たり前の村だ。
上下の関係も濃密だが、同年生まれの子供同士に関係は更に濃密だ。
カインとアベルは、同い年の仲間、エマとライアンに置いて行かれないように、必死で後を追いかける。
エマが読み書き計算を覚えれば、負けまいと覚える。
ライアンが身体強化を使えるようになったら、同じ様に使えないか試行錯誤する。
どうしても加護持ちには追いつけないと思っても簡単には諦めない。
エマとライアンにできない事で二人と肩を並べるように努力した。
その方法として、猟師としての技、冒険者としての技を極めようとした。
エマが聖治癒術を極めようとし、ライアンが身体強化と神力を高めようとする一方で、カインとアベルは父親から罠、投石、手裏剣、魔術、猟犬の扱いを学んだ。
単に強くなるのではなく、村を豊かにする方法を学んでいた。
そんな四人だからこそ、神々からどのような試練を与えられるか分からないので、少しでもレベルを上げておきたかったのだ。
そしていよいよ、神々の前で試練を乞う日がやってきた。
「神々の試練を受ける決意をした勇気ある子供たちよ、神々の前に跪いてその純粋な思いを告げるが良い」
村長であるガブリエルが神官役を務めて、四人の子供を神殿に迎えた。
村に魔獣や敵が侵入してきた時には、小さな城でもある村長の館が最後の砦になるので、村中の人を収容する場所を兼ねた神殿が造られているのだ。
成人を迎える年は着飾ると言っても、貧しい村では限界がある。
ある程度の値段で売れる大魔境産の毛皮など使えない。
どこのダンジョンでも共通してドロップされる皮で作った、新しい服だ。
村長の館内にある神殿だから、多くの都市にある独立した神殿とは比べ物にならない、狭い空間でしかない。
そんな空間にほぼ全ての神々の像が置かれているのだから、神像の大きさも人間よりも小さく、大人の腰高くらいしかない。
エマは加護を下さったエイル神の像の前に跪いた。
ライアンも加護を下さったテュール神の像の前に跪いた。
カインとアベルは二人並んでウル神の前に跪いた。
ウル神は狩猟と弓術、スキーと決闘を司る神だと言われていた。
大魔境の猟師である父親を手本にして、エマとライアンとは違う面で二人と肩を並べようとしていた、カインとアベルらしい選択だった。
「「「「エイル神、テュール神、ウル神よ、どうか我らの願いを聞き届けてください。
我ら四人に悪神ロキに呪われたアイリスを救う方法を御教え下さい。
神々の試練を受けさせていただきますので、どうかアイリスを救わせてください」
四人は何度も話し合って決めた言い方で神々に試練を乞うた。
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