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第二章
第61話:亜竜外交と迎撃戦
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父上と母上が仲良く連邦領に向かって移動している途中、ついでなので、ゲヌキウス王国の王侯貴族を威圧して回ってもらいました。
特に何をする訳ではなく、亜竜に乗って街道を進むだけなのですが、王侯貴族だけでなく民にも絶大な威圧になります。
民から見れば、完全武装して騎乗するだけで恐ろしいと思っていた領主ですが、亜竜に比べると子供以下の弱々しい存在です。
領主と我が家が戦いになったら、領主に味方して城砦に籠るよりも、我が家に投降した方が良いと思わせるのです。
領民全ての逃げられてしまったら、税が全く手に入りません。
それでは土地を治めている意味がありません。
領主を続けようと思ったら、我が家に臣従するしかないのです。
どうしても臣従するのが嫌なら、土地を捨てて逃げるか、城を枕に討ち死にするしかないのです。
「マクネイア伯王、インマヌエル殿下御入場。
マクネイア伯王妃、パトリツィア殿下御入場」
父上と母上がゲヌキウス王国の王城に招かれました。
予定では無視して通過する事になっていました。
ですが父上と母上は礼儀を守られますので、国王から招待の使者が来ると断れなかったのです。
国王としても、我が家と敵対するのだけは避けたいのでしょう。
配下の貴族士族に良好な関係を築いているとアピールしたいのでしょう。
国賓を迎えるような待遇だったそうです。
父上と母上を、傭兵上がりの下賤な者と言って蔑むような連中は、王宮から排斥されていたそうです。
少なくとも舞踏会場でそのような事を話題するような愚者は、一掃されていたそうです。
そうしておかないと、王家が滅ぼされると言う事くらいは、愚かな側近達もようやく気が付いたのでしょう。
いえ、父上と母上のお話を聞くと、性根の腐った連中らしく、何時でも王家を見捨てられるようにしているのでしょう。
沈む船からネズミが逃げるように、王家から逃げて我が家取り入れるようにしているのでしょう。
「マクネイア伯王家の武勇と忠勤は大陸全土に知れ渡るほどだ。
伯王殿下本人は、干上がり麦一粒も育たない炎竜砂漠を農地に変えた。
王家に叛意を示した不義不忠の貴族を討伐された。
そればかりか、王家の命に従って連邦にまで外交に赴き、比類なき功績をあげた。
嫡男のフェルディナンド公王殿下は、王家の命に従ってカルプルニウス連邦に赴いた際に、襲ってきた侯王の首を取り実力で侯王の位を手に入れられた。
それだけでなく、多くの侯王領を攻め取り、遂には公王の位に登られた。
そのような英傑を多数輩出するマクネイア家を伯王位のままにはしておられない。
国王陛下の英断により、マクネイア家に侯王の位を授ける」
王の側近も色々と考えたのでしょう。
このままでは、我が家が何時勝手に王を名乗るか分かりません。
それくらいなら、此方から侯王に位を授けて王家の威信を保とうしたのでしょう。
ですが、それはある意味我が家に喧嘩を売っているのと同じです。
実力を伴わないのに上から目線を示したら、怒りを買う場合があります。
そのまま戦争になって国を奪われる可能性すらあったのです。
ですが、我が家にその心算はありませんでした。
少なくとも数年はゲヌキウス王国を奪う気はありません。
それほどの戦力、人材、食糧がないのです。
実を言いますと、俺は理想主義な面があるのです。
自分が思い描く理想の統治ができなのなら、領地などいらないと思うのです。
父上と母上の躾けられた、寡婦や孤児を助けなければいけないと言う考えがなければ、連邦にまで遠征していません。
「謹んで侯王位をお受けさせていただきます。
国王陛下が民を慈しむ統治をされている限り、我が家は陛下の剣となって戦い、盾となってお守りします」
父上は条件つきで侯王位を受けられました。
国王と側近は心から安心したでしょう。
傭兵時代から、父上が約束を厳守される事は有名ですから。
父上と母上は五日ほど王城に滞在されました。
国王は、我が家と王族との政略結婚を進めようとしましたが、父上と母上の審査に通過するような者は一人もいなかったそうです。
父上と母上は、王都を出ると二手に分かれられました。
ゲヌキウス王国から連邦に向かう街道は三つあります。
その内の東街道を父上が、西街道を母上が使われました。
それはゲヌキウス王国内の貴族を威圧するためだけではありません
連邦内の愚者とクラウディウス王国を誘いだすためでした。
俺も父上も母上も、連邦内での戦争は避けたいと思っていました。
いえ、地力が極端に下がった大陸全土で戦争をすべきではないと考えていました。
なのに、連邦を東西から挟むオピミウス大公国とクラウディウス王国、腐れ外道の教皇の指示を受けて、連邦に攻め込もうとしていたのです。
連邦ほどではありませんが、オピミウス大公国とクラウディウス王国でも不作が続いていたのです。
我が家からの支援がないのと、不作を利用して金儲けを企む貴族や商人がいた事で、表向き連邦では発生していない餓死者が大量にいたのです。
そのような状況なのに、オピミウス大公国とクラウディウス王国は、俺を殺すために連邦の有力侯国家に食糧支援しているのです。
愚かとしか言いようがありません。
俺達には、完璧に戦争を回避する方法がありませんでした。
選べるのは、何所で戦争をするかだけでした。
仕方がないので、極力被害の無いように誘導しました。
俺が連邦で本拠地にしていた場所は、最初は中央ゲヌキウス王国寄りでした。
ですがブロデン大公王国との戦いを経て、北東に大きく移動して、オピミウス大公国との国境近くになっています。
そこに父上の率いる亜竜軍団が、ゲヌキウス王国東街道を使って北上してくるのですから、オピミウス大公国には脅威です。
俺だけが相手でも、国内貴族から戦争に反対する声が上がっていたのです。
そこに大陸最強と称えられた父上が来られるのです。
教皇からの命令であっても、参陣を拒む貴族が大量に出るのが当然です。
これでオピミウス大公国との戦争は回避できました。
一方クラウディウス王国との国境線には、母上しかおられません。
元傭兵の勇者ですが、父上の勇名に隠れてそれほど名が知られていません。
女性で母親ですから、愚かな連中は舐めてかかります。
そして愚かな連中は、自分に都合の良い噂を信じるのです。
女に操れる亜竜は極端に弱く、駄馬と変わらないと言う噂を。
「女が操る亜竜など驢馬も同然、恐れる事は何もない!」
「亜竜を狩れば莫大な富が手に入るぞ!」
「途中の町や村は略奪し放題だぞ!」
「畑の麦や野菜は取り放題だ!」
クラウディウス王国の指揮官は、楽観的な噂を鵜呑みにできずに恐れを抱いている騎士を叱咤激励し、戦意を煽っていたそうです。
無理動員した兵士達が亜竜に挑めるとは最初から思っていなかったようです。
亜竜と戦う前に通過する町や村で、好き放題に略奪できると言って、戦意を煽っていたそうです。
クラウディウス王国で無理矢理徴兵されるのは、兵役免除金を支払えない貧しい者達ばかりで、他国との戦いとなれば奪い犯し殺すのが当然なのです。
「誇り高きマクネイア家の戦士たち!
何の罪もない民から財貨を奪うだけでなく、誇りも名誉も踏み躙り、命まで奪おうとする蛮族を絶対許すな!
命を惜しまず誇りのために戦え!」
「「「「「おう!」」」」」
百戦錬磨の母上は、家族で話し合った通り、一番農地に被害を与えない場所にクラウディウス王国を誘い込まれました。
その上で一騎当千の家臣を率い、二万のクラウディウス王国を迎え討たれました。
特に何をする訳ではなく、亜竜に乗って街道を進むだけなのですが、王侯貴族だけでなく民にも絶大な威圧になります。
民から見れば、完全武装して騎乗するだけで恐ろしいと思っていた領主ですが、亜竜に比べると子供以下の弱々しい存在です。
領主と我が家が戦いになったら、領主に味方して城砦に籠るよりも、我が家に投降した方が良いと思わせるのです。
領民全ての逃げられてしまったら、税が全く手に入りません。
それでは土地を治めている意味がありません。
領主を続けようと思ったら、我が家に臣従するしかないのです。
どうしても臣従するのが嫌なら、土地を捨てて逃げるか、城を枕に討ち死にするしかないのです。
「マクネイア伯王、インマヌエル殿下御入場。
マクネイア伯王妃、パトリツィア殿下御入場」
父上と母上がゲヌキウス王国の王城に招かれました。
予定では無視して通過する事になっていました。
ですが父上と母上は礼儀を守られますので、国王から招待の使者が来ると断れなかったのです。
国王としても、我が家と敵対するのだけは避けたいのでしょう。
配下の貴族士族に良好な関係を築いているとアピールしたいのでしょう。
国賓を迎えるような待遇だったそうです。
父上と母上を、傭兵上がりの下賤な者と言って蔑むような連中は、王宮から排斥されていたそうです。
少なくとも舞踏会場でそのような事を話題するような愚者は、一掃されていたそうです。
そうしておかないと、王家が滅ぼされると言う事くらいは、愚かな側近達もようやく気が付いたのでしょう。
いえ、父上と母上のお話を聞くと、性根の腐った連中らしく、何時でも王家を見捨てられるようにしているのでしょう。
沈む船からネズミが逃げるように、王家から逃げて我が家取り入れるようにしているのでしょう。
「マクネイア伯王家の武勇と忠勤は大陸全土に知れ渡るほどだ。
伯王殿下本人は、干上がり麦一粒も育たない炎竜砂漠を農地に変えた。
王家に叛意を示した不義不忠の貴族を討伐された。
そればかりか、王家の命に従って連邦にまで外交に赴き、比類なき功績をあげた。
嫡男のフェルディナンド公王殿下は、王家の命に従ってカルプルニウス連邦に赴いた際に、襲ってきた侯王の首を取り実力で侯王の位を手に入れられた。
それだけでなく、多くの侯王領を攻め取り、遂には公王の位に登られた。
そのような英傑を多数輩出するマクネイア家を伯王位のままにはしておられない。
国王陛下の英断により、マクネイア家に侯王の位を授ける」
王の側近も色々と考えたのでしょう。
このままでは、我が家が何時勝手に王を名乗るか分かりません。
それくらいなら、此方から侯王に位を授けて王家の威信を保とうしたのでしょう。
ですが、それはある意味我が家に喧嘩を売っているのと同じです。
実力を伴わないのに上から目線を示したら、怒りを買う場合があります。
そのまま戦争になって国を奪われる可能性すらあったのです。
ですが、我が家にその心算はありませんでした。
少なくとも数年はゲヌキウス王国を奪う気はありません。
それほどの戦力、人材、食糧がないのです。
実を言いますと、俺は理想主義な面があるのです。
自分が思い描く理想の統治ができなのなら、領地などいらないと思うのです。
父上と母上の躾けられた、寡婦や孤児を助けなければいけないと言う考えがなければ、連邦にまで遠征していません。
「謹んで侯王位をお受けさせていただきます。
国王陛下が民を慈しむ統治をされている限り、我が家は陛下の剣となって戦い、盾となってお守りします」
父上は条件つきで侯王位を受けられました。
国王と側近は心から安心したでしょう。
傭兵時代から、父上が約束を厳守される事は有名ですから。
父上と母上は五日ほど王城に滞在されました。
国王は、我が家と王族との政略結婚を進めようとしましたが、父上と母上の審査に通過するような者は一人もいなかったそうです。
父上と母上は、王都を出ると二手に分かれられました。
ゲヌキウス王国から連邦に向かう街道は三つあります。
その内の東街道を父上が、西街道を母上が使われました。
それはゲヌキウス王国内の貴族を威圧するためだけではありません
連邦内の愚者とクラウディウス王国を誘いだすためでした。
俺も父上も母上も、連邦内での戦争は避けたいと思っていました。
いえ、地力が極端に下がった大陸全土で戦争をすべきではないと考えていました。
なのに、連邦を東西から挟むオピミウス大公国とクラウディウス王国、腐れ外道の教皇の指示を受けて、連邦に攻め込もうとしていたのです。
連邦ほどではありませんが、オピミウス大公国とクラウディウス王国でも不作が続いていたのです。
我が家からの支援がないのと、不作を利用して金儲けを企む貴族や商人がいた事で、表向き連邦では発生していない餓死者が大量にいたのです。
そのような状況なのに、オピミウス大公国とクラウディウス王国は、俺を殺すために連邦の有力侯国家に食糧支援しているのです。
愚かとしか言いようがありません。
俺達には、完璧に戦争を回避する方法がありませんでした。
選べるのは、何所で戦争をするかだけでした。
仕方がないので、極力被害の無いように誘導しました。
俺が連邦で本拠地にしていた場所は、最初は中央ゲヌキウス王国寄りでした。
ですがブロデン大公王国との戦いを経て、北東に大きく移動して、オピミウス大公国との国境近くになっています。
そこに父上の率いる亜竜軍団が、ゲヌキウス王国東街道を使って北上してくるのですから、オピミウス大公国には脅威です。
俺だけが相手でも、国内貴族から戦争に反対する声が上がっていたのです。
そこに大陸最強と称えられた父上が来られるのです。
教皇からの命令であっても、参陣を拒む貴族が大量に出るのが当然です。
これでオピミウス大公国との戦争は回避できました。
一方クラウディウス王国との国境線には、母上しかおられません。
元傭兵の勇者ですが、父上の勇名に隠れてそれほど名が知られていません。
女性で母親ですから、愚かな連中は舐めてかかります。
そして愚かな連中は、自分に都合の良い噂を信じるのです。
女に操れる亜竜は極端に弱く、駄馬と変わらないと言う噂を。
「女が操る亜竜など驢馬も同然、恐れる事は何もない!」
「亜竜を狩れば莫大な富が手に入るぞ!」
「途中の町や村は略奪し放題だぞ!」
「畑の麦や野菜は取り放題だ!」
クラウディウス王国の指揮官は、楽観的な噂を鵜呑みにできずに恐れを抱いている騎士を叱咤激励し、戦意を煽っていたそうです。
無理動員した兵士達が亜竜に挑めるとは最初から思っていなかったようです。
亜竜と戦う前に通過する町や村で、好き放題に略奪できると言って、戦意を煽っていたそうです。
クラウディウス王国で無理矢理徴兵されるのは、兵役免除金を支払えない貧しい者達ばかりで、他国との戦いとなれば奪い犯し殺すのが当然なのです。
「誇り高きマクネイア家の戦士たち!
何の罪もない民から財貨を奪うだけでなく、誇りも名誉も踏み躙り、命まで奪おうとする蛮族を絶対許すな!
命を惜しまず誇りのために戦え!」
「「「「「おう!」」」」」
百戦錬磨の母上は、家族で話し合った通り、一番農地に被害を与えない場所にクラウディウス王国を誘い込まれました。
その上で一騎当千の家臣を率い、二万のクラウディウス王国を迎え討たれました。
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