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第二章
第59話:公王位と投票数
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「イングルウッド侯王、ヘレンズ侯王、グレンデヴォン侯国、マートンミ侯国、マーガデール侯国、シェフィールド侯国、フリート侯国 の七つの侯王位を持つマクネイア家に、公王位を与える提案をする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
多数ならば連邦の法に従いマクネイア家に公王位を与える」
シルソー大公王国の城に集まった侯王や代理達が一斉に移動します。
投票権の多い有力国順に並んでいるのは、票数を数え易くするためでしょう。
シルソー大公王は15の票数を持っています。
領地が激減したブロデン大公王がおなじ15票なのは実力に反しています。
我が家の公王位認定投票が終わったら、票数の調整をするのでしょう。
「賛成多数をもってマクネイア家の公王位を認める。
皆さん、新公王となられたフェルディナンド殿下に拍手を」
圧倒的な賛成多数で我が家の公王位が認められました。
ブロデン大公王を僭称している連中や、侯王を自称している連中は参加していませんから、当然の結果です。
俺が連邦の侯国を手に入れる前までに侯王以上になっていた小国は、今年の実りも悪くなるのが確定しています。
もう夏も終わりなのに、作物の成長が悪すぎるのです
我が家に食糧支援を求めなければ、今年も大量の餓死者や流民を出す事が目に見えていますから、俺に媚を売るのも仕方がない事です。
「最初の議題が終わりましたので、次に議題に移りたいと思います。
次の議題は、マクネイア公王国に敗れたブロデン大公王国の扱いです。
以前は侯王でもなかった、シルソー大公王国に仕える伯爵家でしかなかったツォレルン家が、戦争に勝って勝手に大公を名乗っただけです。
領地の半分をマクネイア公王家に割譲し、残った半分も一族家臣が叛乱してブロデン大公王を僭称したり侯王を詐称したりしています。
大公王位を剥奪し、侯王位に下げるのが順当と思います。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
多数ならば連邦の法に従いツォレルン家を侯王に降格します」
恨みを晴らすように、と言うので間違いではないでしょう。
シルソー大公王であるロレンツォ殿下が、幼君の代理に出席している大臣を憎々しげに睨みつけています。
「賛成多数を持ってツォレルン家を侯王に降格します。
皆さん、画期的な決定に拍手願います」
これはちょっとやり過ぎだと思います。
謀叛人の子孫に恨みを晴らせたのがうれしいのは分かりますが、その当時のシルソー大公が無能だから多くの家臣に裏切られたのです。
今ロレンツォ殿下が拍手を強要している侯王達も、当時謀叛した家臣の子孫です。
人望を失うと足元をすくわれますよ。
自滅したら、俺がシルソー大公王を併合してしまうかもしれませんよ。
「二つ目の議題が終わりましたので、三つ目の議題に移りたいと思います。
次の議題は、マクネイア公王国とブロデン侯国の投票数です
両家の投票数を何票にするのか、忌憚のない意見を聞かせてください」
ロレンツォ殿下にしてみれば、唯一同じ投票数を持っていたツォレルン家を侯王にまで降格できたので、唯一の大投票権国として連邦に君臨したいのでしょう。
次に多い投票数を持っている大公王国でも四票しかありませんからね。
ロレンツォ殿下はツォレルン家の投票権を一票にしたいのでしょう。
そして我が家を七票以下にしたいのでしょう。
我が家は七侯王家を手に入れた時点で、七票分の投票権を持っていましたからね。
最初に手に入れた侯国、ヘレンズ侯国のロイス侯王家とは話し合いました。
正々堂々と戦って国を奪った事にしました。
イングルウッド侯国のヴェーン侯王家は、ヴェーン侯王家の卑怯な行いに激怒した俺が、戦いを仕掛けて滅ぼしました。
マートンミ侯国 のロビンソン侯王家は、向こうから国を売りに来ました。
シェフィールド侯国 のマーキンズ侯王家は、我が家がロビンソン侯王家をどう扱うかを見て、向こうから国を売りに来ました。
フリート侯国のトムソン侯王家は、国を売りに来た二家とは全然事情が違っていました。
フリート侯国は俺の治める侯国群と領地を接しているのですが、税の取り立てに苦しむ民が我が家を羨ましく思い、謀叛を起こしてトムソン侯王家を滅ぼして併合を願いでたのです。
同じく以前から領地を接していた街道都市のマーガデール侯国は、ゲヌキウス王国と国境を接するのに邪魔だったので、こちらから大金と騎士位を約束して買収しました。
最後の国境都市グレンデヴォン侯国は、マーガデール侯国と同じくゲヌキウス王国と国境を接するのに邪魔だったので、大金と騎士位を約束しただけでなく、亜竜を領境に駐屯させると脅して買収しました。
以上七つの侯王位ですが、マクネイア公王国の建国と共に消滅しました。
侯王位も公王位もカルプルニウス連邦内でしか認められない王権ですが、それでも父上のイングルウッド侯王位を消滅させたのには忸怩たる想いがあります。
「ブロデン侯国の投票数は一票。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
多数ならば連邦の法に従いブロデン侯国の投票数は一票とします」
ロレンツォ殿下だけでなく、多くの侯王家がツォレルン家を恨んでいたようで、圧倒的多数の賛成で決まりました。
問題は我が家の投票数です。
議会の流れを見ていると、我が家に十票以上の投票数を与えたい弱小侯王家が多いのですが、ロレンツォ殿下が流れに逆らっています。
別にそれほど多くの票数は必要ありません。
我が家に票数がなくても、弱小侯国を懐柔すればいいだけです。
ほんの少し食糧支援するだけで、圧倒的多数の票が買えます。
何なら、旧教を熱心に信仰している侯王家を滅ぼせばいいのです。
我が家に併合せず、侯国のままにしておけば一票手に入ります。
俺の名前では侯国を残せないのなら、父上や母上が侯王を名乗ればいいだけです。
姉上達に二人の義兄、古参家臣達に名乗ってもらえば何の問題もありません。
「マクネイア公王国の投票数を七以下にする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
賛成多数ならば改めて何票にするか決めて行きます」
露骨な誘導にでてきましたね。
興奮し過ぎて俺の怖さを忘れているのでしょうか?
別に投票数に拘っていませんが、喧嘩を売られたのは覚えておきますよ。
領内の実りはとても順調です。
新たに手に入れた連邦領は年一度の収穫ですが、予想よりも多く収穫できそうなので、来年以降は自重する事なく国を併合できるのですよ。
本領地では、魔力を使って一年に何度でも収穫できるようになっています。
少々無理をしたら、今年もそれなりの人数なら予定以上に助けられるのですよ。
「反対が多数でしたので、改めてマクネイア公王国の投票数を決めて行きます。
念のために、今度は聞き方を変えます。
マクネイア公王国の投票数を七以上にする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
賛成多数ならば改めて何票にするか決めて行きます」
ロレンツォ殿下は、弱小侯国に圧力をかけている気なのでしょうか?
我が家との婚姻政策を模索した時点で、我が家を恐れていると弱小侯国に見抜かれているのですよ。
以前話した感じでは、それなりの感受性と能力があるのが分かっています。
そんな人でも、同等以上の存在だったブロデン大公王国が凋落して圧力がなくなり、積年の恨みが解消されたら、愚かになってしまうのですね。
「賛成が多数でしたので、改めてマクネイア公王国の投票数を決めて行きます。
マクネイア公王国の投票数を十四以下にする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
賛成多数ならば改めて何票にするか決めて行きます」
やれ、やれ、どうしても我が家を十四票以下にしたいのですね。
自分と同じにはしたくないのですね。
さて、どうしたものでしょうね。
全く動かずに自然の流れに任せた方がいのでしょうか?
それとも、此方から動いて十五票以上にした方が良いのでしょうか?
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
多数ならば連邦の法に従いマクネイア家に公王位を与える」
シルソー大公王国の城に集まった侯王や代理達が一斉に移動します。
投票権の多い有力国順に並んでいるのは、票数を数え易くするためでしょう。
シルソー大公王は15の票数を持っています。
領地が激減したブロデン大公王がおなじ15票なのは実力に反しています。
我が家の公王位認定投票が終わったら、票数の調整をするのでしょう。
「賛成多数をもってマクネイア家の公王位を認める。
皆さん、新公王となられたフェルディナンド殿下に拍手を」
圧倒的な賛成多数で我が家の公王位が認められました。
ブロデン大公王を僭称している連中や、侯王を自称している連中は参加していませんから、当然の結果です。
俺が連邦の侯国を手に入れる前までに侯王以上になっていた小国は、今年の実りも悪くなるのが確定しています。
もう夏も終わりなのに、作物の成長が悪すぎるのです
我が家に食糧支援を求めなければ、今年も大量の餓死者や流民を出す事が目に見えていますから、俺に媚を売るのも仕方がない事です。
「最初の議題が終わりましたので、次に議題に移りたいと思います。
次の議題は、マクネイア公王国に敗れたブロデン大公王国の扱いです。
以前は侯王でもなかった、シルソー大公王国に仕える伯爵家でしかなかったツォレルン家が、戦争に勝って勝手に大公を名乗っただけです。
領地の半分をマクネイア公王家に割譲し、残った半分も一族家臣が叛乱してブロデン大公王を僭称したり侯王を詐称したりしています。
大公王位を剥奪し、侯王位に下げるのが順当と思います。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
多数ならば連邦の法に従いツォレルン家を侯王に降格します」
恨みを晴らすように、と言うので間違いではないでしょう。
シルソー大公王であるロレンツォ殿下が、幼君の代理に出席している大臣を憎々しげに睨みつけています。
「賛成多数を持ってツォレルン家を侯王に降格します。
皆さん、画期的な決定に拍手願います」
これはちょっとやり過ぎだと思います。
謀叛人の子孫に恨みを晴らせたのがうれしいのは分かりますが、その当時のシルソー大公が無能だから多くの家臣に裏切られたのです。
今ロレンツォ殿下が拍手を強要している侯王達も、当時謀叛した家臣の子孫です。
人望を失うと足元をすくわれますよ。
自滅したら、俺がシルソー大公王を併合してしまうかもしれませんよ。
「二つ目の議題が終わりましたので、三つ目の議題に移りたいと思います。
次の議題は、マクネイア公王国とブロデン侯国の投票数です
両家の投票数を何票にするのか、忌憚のない意見を聞かせてください」
ロレンツォ殿下にしてみれば、唯一同じ投票数を持っていたツォレルン家を侯王にまで降格できたので、唯一の大投票権国として連邦に君臨したいのでしょう。
次に多い投票数を持っている大公王国でも四票しかありませんからね。
ロレンツォ殿下はツォレルン家の投票権を一票にしたいのでしょう。
そして我が家を七票以下にしたいのでしょう。
我が家は七侯王家を手に入れた時点で、七票分の投票権を持っていましたからね。
最初に手に入れた侯国、ヘレンズ侯国のロイス侯王家とは話し合いました。
正々堂々と戦って国を奪った事にしました。
イングルウッド侯国のヴェーン侯王家は、ヴェーン侯王家の卑怯な行いに激怒した俺が、戦いを仕掛けて滅ぼしました。
マートンミ侯国 のロビンソン侯王家は、向こうから国を売りに来ました。
シェフィールド侯国 のマーキンズ侯王家は、我が家がロビンソン侯王家をどう扱うかを見て、向こうから国を売りに来ました。
フリート侯国のトムソン侯王家は、国を売りに来た二家とは全然事情が違っていました。
フリート侯国は俺の治める侯国群と領地を接しているのですが、税の取り立てに苦しむ民が我が家を羨ましく思い、謀叛を起こしてトムソン侯王家を滅ぼして併合を願いでたのです。
同じく以前から領地を接していた街道都市のマーガデール侯国は、ゲヌキウス王国と国境を接するのに邪魔だったので、こちらから大金と騎士位を約束して買収しました。
最後の国境都市グレンデヴォン侯国は、マーガデール侯国と同じくゲヌキウス王国と国境を接するのに邪魔だったので、大金と騎士位を約束しただけでなく、亜竜を領境に駐屯させると脅して買収しました。
以上七つの侯王位ですが、マクネイア公王国の建国と共に消滅しました。
侯王位も公王位もカルプルニウス連邦内でしか認められない王権ですが、それでも父上のイングルウッド侯王位を消滅させたのには忸怩たる想いがあります。
「ブロデン侯国の投票数は一票。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
多数ならば連邦の法に従いブロデン侯国の投票数は一票とします」
ロレンツォ殿下だけでなく、多くの侯王家がツォレルン家を恨んでいたようで、圧倒的多数の賛成で決まりました。
問題は我が家の投票数です。
議会の流れを見ていると、我が家に十票以上の投票数を与えたい弱小侯王家が多いのですが、ロレンツォ殿下が流れに逆らっています。
別にそれほど多くの票数は必要ありません。
我が家に票数がなくても、弱小侯国を懐柔すればいいだけです。
ほんの少し食糧支援するだけで、圧倒的多数の票が買えます。
何なら、旧教を熱心に信仰している侯王家を滅ぼせばいいのです。
我が家に併合せず、侯国のままにしておけば一票手に入ります。
俺の名前では侯国を残せないのなら、父上や母上が侯王を名乗ればいいだけです。
姉上達に二人の義兄、古参家臣達に名乗ってもらえば何の問題もありません。
「マクネイア公王国の投票数を七以下にする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
賛成多数ならば改めて何票にするか決めて行きます」
露骨な誘導にでてきましたね。
興奮し過ぎて俺の怖さを忘れているのでしょうか?
別に投票数に拘っていませんが、喧嘩を売られたのは覚えておきますよ。
領内の実りはとても順調です。
新たに手に入れた連邦領は年一度の収穫ですが、予想よりも多く収穫できそうなので、来年以降は自重する事なく国を併合できるのですよ。
本領地では、魔力を使って一年に何度でも収穫できるようになっています。
少々無理をしたら、今年もそれなりの人数なら予定以上に助けられるのですよ。
「反対が多数でしたので、改めてマクネイア公王国の投票数を決めて行きます。
念のために、今度は聞き方を変えます。
マクネイア公王国の投票数を七以上にする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
賛成多数ならば改めて何票にするか決めて行きます」
ロレンツォ殿下は、弱小侯国に圧力をかけている気なのでしょうか?
我が家との婚姻政策を模索した時点で、我が家を恐れていると弱小侯国に見抜かれているのですよ。
以前話した感じでは、それなりの感受性と能力があるのが分かっています。
そんな人でも、同等以上の存在だったブロデン大公王国が凋落して圧力がなくなり、積年の恨みが解消されたら、愚かになってしまうのですね。
「賛成が多数でしたので、改めてマクネイア公王国の投票数を決めて行きます。
マクネイア公王国の投票数を十四以下にする。
賛成の方は右に移動していただきたい。
反対の方は左に移動していただきたい。
賛成多数ならば改めて何票にするか決めて行きます」
やれ、やれ、どうしても我が家を十四票以下にしたいのですね。
自分と同じにはしたくないのですね。
さて、どうしたものでしょうね。
全く動かずに自然の流れに任せた方がいのでしょうか?
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