9 / 9
第一章
第9話:大団円・ダウンシャー公爵フランシス視点
しおりを挟む
「凄いわ、ウィリアム。
ウィリアムが強いとは聞いていましたが、ここまで強いとは思ってもいませんでしたわ、本当に凛々しくて勇ましくて素敵でしたわ」
「いやぁあ、姫君にそのように褒められると恐縮してしまいます」
「姫君だなんて他人行儀な言い方はしないでください、ウィリアム。
私達は学園の学友ではありませんか」
不愉快である。
この場でウィリアムを殴りたいくらい不愉快である。
愛娘が一目惚れするところを見なければいけない父親の気持ちなど、実際にその場に遭遇した事のない人間以外は理解できないだろう。
思いっきり殴りたいのに、殴ったら愛娘に一生恨まれる。
代わりにジェラルド侯爵達を骨も残さずに焼殺してやったが、全然気分が晴れないどころか。中途半端に苛立ちが残るだけだ。
「ダウンシャー公爵閣下、ダウンシャー公爵閣下、ダウンシャー公爵閣下」
止めろ、止めてくれ、その恋する乙女の目は他に向けてくれ。
どれほど好意を持たれても、娘の同級生に手を出す事はできない。
前世の芸能人が、娘より年下の玄人にハニートラップされたのを記事にされ、娘に最低と言われているのを見た事があるのだ。
赤の他人でもそんな風に言われるのだ。
愛娘の親友に手をだしたら絶縁されかねない。
「お父様もメアリーとアリスを失ってお寂しいでしょう。
あんな女でもお父様にっては妻でしたし、不義の子だと分かるまでは可愛がっておられましたものね。
キャロラインなら性格はいいし美人だし、お父様の後妻には最適です。
身分だけの性格の悪い女に後妻に入られては私が困ります。
ねえ、キャロライン、貴女もお父様なら文句はないわよね」
いいのか、本当にいのか。
こんな美人の若い娘を後妻に迎えていいのか。
そんなことができるのなら、愛娘をウィリアムに盗られる気持ちも素こそは慰められる……
訳がないだろ、一発本気で殴らせろ。
ウィリアムが強いとは聞いていましたが、ここまで強いとは思ってもいませんでしたわ、本当に凛々しくて勇ましくて素敵でしたわ」
「いやぁあ、姫君にそのように褒められると恐縮してしまいます」
「姫君だなんて他人行儀な言い方はしないでください、ウィリアム。
私達は学園の学友ではありませんか」
不愉快である。
この場でウィリアムを殴りたいくらい不愉快である。
愛娘が一目惚れするところを見なければいけない父親の気持ちなど、実際にその場に遭遇した事のない人間以外は理解できないだろう。
思いっきり殴りたいのに、殴ったら愛娘に一生恨まれる。
代わりにジェラルド侯爵達を骨も残さずに焼殺してやったが、全然気分が晴れないどころか。中途半端に苛立ちが残るだけだ。
「ダウンシャー公爵閣下、ダウンシャー公爵閣下、ダウンシャー公爵閣下」
止めろ、止めてくれ、その恋する乙女の目は他に向けてくれ。
どれほど好意を持たれても、娘の同級生に手を出す事はできない。
前世の芸能人が、娘より年下の玄人にハニートラップされたのを記事にされ、娘に最低と言われているのを見た事があるのだ。
赤の他人でもそんな風に言われるのだ。
愛娘の親友に手をだしたら絶縁されかねない。
「お父様もメアリーとアリスを失ってお寂しいでしょう。
あんな女でもお父様にっては妻でしたし、不義の子だと分かるまでは可愛がっておられましたものね。
キャロラインなら性格はいいし美人だし、お父様の後妻には最適です。
身分だけの性格の悪い女に後妻に入られては私が困ります。
ねえ、キャロライン、貴女もお父様なら文句はないわよね」
いいのか、本当にいのか。
こんな美人の若い娘を後妻に迎えていいのか。
そんなことができるのなら、愛娘をウィリアムに盗られる気持ちも素こそは慰められる……
訳がないだろ、一発本気で殴らせろ。
0
お気に入りに追加
82
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説

呪われた令嬢と呼ばれた私が、王太子の妃になりました
ゆる
恋愛
「呪われた娘」と蔑まれ、家族からも見捨てられた公爵令嬢ロミー。
唯一の味方だった母を失い、孤独な日々を送る彼女に持ち上がったのは、侯爵家の嫡男・レオンとの婚約話。しかし、顔も姿も見せないロミーを「呪われた醜女」だと決めつけたレオンは、翌日には婚約を一方的に破棄する。
家族からも嘲笑われ、さらなる屈辱を味わうロミー――だが、その場に現れた王太子アレクセイが、彼女の運命を大きく変えた。
「面白い。そんな貴族社会の戯れ言より、お前自身に興味がある」
そう言ってロミーを婚約者として迎えた王太子。
舞踏会でフードを剥がれ、その素顔が明かされた瞬間、誰もが息を呑む――
ロミーは呪われた娘などではなく、絶世の美貌を持つ先祖返りのハイエルフだったのだ!
彼女を蔑んだ家族と元婚約者には、身分剥奪と破滅の裁きが待っている。
一方、ロミーは王妃となる道を歩みながらも、公爵家の地位を保持し、二重の尊厳を持つ唯一無二の存在へ。
修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね
星里有乃
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』
悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。
地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……?
* この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。
* 2025年2月1日、本編完結しました。予定より少し文字数多めです。番外編や後日談など、また改めて投稿出来たらと思います。ご覧いただきありがとうございました!

異世界から帰ってきたら、大好きだった幼馴染みのことがそんなに好きではなくなっていた
リコピン
恋愛
高校三年生の夏休み直前、勇者として異世界に召喚された明莉(あかり)。無事に魔王討伐を終えて戻ってきたのは良いけれど、召喚される前とは色んなことが違っていて。
ずっと大好きだったイケメン幼馴染みへの恋心(片想い)も、気づけばすっかり消えていた。
思い描いていた未来とは違うけれど、こちらの世界へついてきてくれた―異世界で苦楽を共にした―友達(女)もいる。残りわずかの高校生活を、思いきり楽しもう!
そう決めた矢先の新たな出会いが、知らなかった世界を連れてきた。
―あれ?私の勇者の力は、異世界限定だったはずなのに??

不憫なままではいられない、聖女候補になったのでとりあえずがんばります!
吉野屋
恋愛
母が亡くなり、伯父に厄介者扱いされた挙句、従兄弟のせいで池に落ちて死にかけたが、
潜在していた加護の力が目覚め、神殿の池に引き寄せられた。
美貌の大神官に池から救われ、聖女候補として生活する事になる。
母の天然加減を引き継いだ主人公の新しい人生の物語。
(完結済み。皆様、いつも読んでいただいてありがとうございます。とても励みになります)

ゲームと現実の区別が出来ないヒドインがざまぁされるのはお約束である(仮)
白雪の雫
恋愛
「このエピソードが、あたしが妖魔の王達に溺愛される全ての始まりなのよね~」
ゲームの画面を目にしているピンク色の髪の少女が呟く。
少女の名前は篠原 真莉愛(16)
【ローズマリア~妖魔の王は月の下で愛を請う~】という乙女ゲームのヒロインだ。
そのゲームのヒロインとして転生した、前世はゲームに課金していた元社会人な女は狂喜乱舞した。
何故ならトリップした異世界でチートを得た真莉愛は聖女と呼ばれ、神かかったイケメンの妖魔の王達に溺愛されるからだ。
「複雑な家庭環境と育児放棄が原因で、ファザコンとマザコンを拗らせたアーデルヴェルトもいいけどさ、あたしの推しは隠しキャラにして彼の父親であるグレンヴァルトなのよね~。けどさ~、アラブのシークっぽい感じなラクシャーサ族の王であるブラッドフォードに、何かポセイドンっぽい感じな水妖族の王であるヴェルナーも捨て難いし~・・・」
そうよ!
だったら逆ハーをすればいいじゃない!
逆ハーは達成が難しい。だが遣り甲斐と達成感は半端ない。
その後にあるのは彼等による溺愛ルートだからだ。
これは乙女ゲームに似た現実の異世界にトリップしてしまった一人の女がゲームと現実の区別がつかない事で痛い目に遭う話である。
思い付きで書いたのでガバガバ設定+設定に矛盾がある+ご都合主義です。
いいタイトルが浮かばなかったので(仮)をつけています。

死にかけ令嬢の逆転
ぽんぽこ狸
恋愛
難しい顔をしたお医者様に今年も余命一年と宣告され、私はその言葉にも慣れてしまい何も思わずに、彼を見送る。
部屋に戻ってきた侍女には、昨年も、一昨年も余命一年と判断されて死にかけているのにどうしてまだ生きているのかと問われて返す言葉も見つからない。
しかしそれでも、私は必死に生きていて将来を誓っている婚約者のアレクシスもいるし、仕事もしている。
だからこそ生きられるだけ生きなければと気持ちを切り替えた。
けれどもそんな矢先、アレクシスから呼び出され、私の体を理由に婚約破棄を言い渡される。すでに新しい相手は決まっているらしく、それは美しく健康な王女リオノーラだった。
彼女に勝てる要素が一つもない私はそのまま追い出され、実家からも見捨てられ、どうしようもない状況に心が折れかけていると、見覚えのある男性が現れ「私を手助けしたい」と言ったのだった。
こちらの作品は第18回恋愛小説大賞にエントリーさせていただいております。よろしければ投票ボタンをぽちっと押していただけますと、大変うれしいです。
婚約破棄されて満足したので聖女辞めますね、神様【完結、以降おまけの日常編】
佐原香奈
恋愛
聖女は生まれる前から強い加護を持つ存在。
人々に加護を分け与え、神に祈りを捧げる忙しい日々を送っていた。
名ばかりの婚約者に毎朝祈りを捧げるのも仕事の一つだったが、いつものように訪れると婚約破棄を言い渡された。
婚約破棄をされて喜んだ聖女は、これ以上の加護を望むのは強欲だと聖女引退を決意する。
それから神の寵愛を無視し続ける聖女と、愛し子に無視される神に泣きつかれた神官長。
婚約破棄を言い出した婚約者はもちろんざまぁ。
だけどどうにかなっちゃうかも!?
誰もかれもがどうにもならない恋愛ストーリー。
作者は神官長推しだけど、お馬鹿な王子も嫌いではない。
王子が頑張れるのか頑張れないのか全ては未定。
勢いで描いたショートストーリー。
サイドストーリーで熱が入って、何故かドタバタ本格展開に!
以降は甘々おまけストーリーの予定だけど、どうなるかは未定
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
サクサク読めて気持ちよかった!
こうゆうお話は珍しくていいですね!
これからも、楽しみにしています!
感想ありがとうございます。
もっと面白く出来るように精進します。