カラスに襲われているトカゲを助けたらドラゴンだった。

克全

文字の大きさ
上 下
34 / 38
第2章

第34話:帰省?

しおりを挟む
 俺に巻き込まれて殺される事を恐れた国会議員ばかりだったので、俺が提出した議案は全て可決され、臨時国会は早々に閉会された。

 ただ、俺が何所に行くかが東京、大阪、大分で大問題になった。
 国会開催中は全力で警護してくれた警視庁と自衛隊だが、できれば早く大阪か大分に戻って欲しいと思っているようだ。

 一方俺の選挙区がある大阪は、東京に残るか、東京に行くまで住んでいた大分県に戻って欲しいと思っているようだ。

 俺が戻りたいと思っている大分県は、東京や大阪よりも正直だった。
 県警には十分な警護をする人手がないと、正直に言ってきた。
 そう正直に言われると、どうしても大分に帰りたいとは言い難い。

 だが、俺から見て1番安全なのが、リョクリュウがいてくれる大分県宇佐市だ。
 今も俺を守り続けてくれている、警護犬を躾けてくれたのは、他の誰でもないリョクリュウなのだ。

 これまで躾けてくれた警護犬に加えて、鍛え甲斐のありそうな保護犬が、日本中から集められている。

 パミーミルと呼ばれていた、反社構成員が行っていた子供生産工場。
 そこから救い出した犬の中から、優秀な護衛犬に鍛えられそうな犬を、党員が一時的に引き取り、俺が引き渡す事になっているのだ。

 そんな数多くの犬達を鍛えられるのは、リョクリュウだけだ。
 鍛える場所も、買い増した山林がある大分県だけだ。
 だが、大分県が反社の襲撃を恐れる気持ちも良く分かる。

 だから、買い増した山林の中でテント生活すると言った。
 敷地内の入った者は、反社の殺し屋と判断して、護衛犬に咬み殺させると言ったのだが、それでも大分県には来ないで欲しいと言われてしまった。

 セキュリティポリスが所属している、警視庁警備部警護課に党の代表という立場で、要人警護を依頼する事はできる。

 これまで警護してくれていたのは、大政党の党首だからだ。
 1度殺されかけていたし、反社に狙われているのが明らかだったからだ。

 同じ理由で要人警護を依頼する事はできるが、警護時間は自宅を出て自宅に戻るまでだから、家のいる間はどうしようもない。

 国会議事堂や議員会館は、普段から衛士や警察官が護っているし、俺がいる間は警備の人数が大増員されていたが、宇佐の家には護衛がいない。

 本当はリョクリュウがいてくれるから、自宅にいる時が1番安全なのだが、それだけは絶対に公言出来ない。

 ただ、反社撲滅作戦が完遂したら、反社の襲撃を心配しなくてもよくなる。
 少なくとも、表向きは自由に行動できるようになる。
 リョクリュウと会って楽しく話す事ができる。

 だから、一時的な我慢と割り切って、寝る場所を何所よりも安全な場所にした。
 少しでもリョクリュウの近くに居たかったし、襲撃者を誘いだして皆殺しにできると判断して、それまでの間だけ我慢する事にした。

 自衛隊にお願いして、陸上自衛隊別府駐屯地に寝泊まりさせてもらう事にした。
 表向きは陸上自衛隊別府駐屯地の宿泊視察という事になっている。

 自衛隊は、圧倒的な権力を持つ俺の支持が欲しかったのだろう。
 防衛予算を増やしてもらいたいのかもしれない。
 俺の連続宿泊視察をよろこんで受けてくれた。

 俺の移動には、第41普通科連隊に配備されている、軽装甲機動車と高機動車と73式小型トラックを使ってくれることになった。

 その上で警視庁警備部警護課に、大分にいる間の要人警護を依頼した。
 警視庁が防衛省に対抗心を燃やしたのかもしれない。
 思っていた以上の人数と車列警護車両、俺を乗せる防弾車両を出してくれた。

 これだけの警護要員を確保したうえで、大分県に戻りたいと連絡した。
 日中は自衛隊とセキュリティポリスが護ってくれる事と、寝泊まりを陸上自衛隊別府駐屯地にした事で、大分県も戻るのを許してくれた。

 東京から大分県宇佐市まで戻るのに、陸上自衛隊とセキュリティポリスの車列が前後を守ってくれた。

 マスゴミが雇った殺し屋達が、高速道路で俺を襲った事は、日本国民なら誰でも知っている大事件だ。
 
 同じ事が起こらないように、陸上自衛隊と警視庁は厳重な警備をしてくれた。
 その車列の中には、元自衛官も数多くいた。

 警護犬を使って周辺を警備してくれる党職員として、元自衛官を雇用したのだ。
 全員が即応予備自衛官で、毎月党に雇用企業給付金として42500円払われる。
 雇用企業給付金が欲しかったわけではないが、結構助かる。

 予備自衛官を選ばなかったのは、雇用企業給付金がなかったからではない。
 予備自衛官には、退職してから1年以上経った者や予備自衛官補もいたからだ。

 退職後1年以上経過して身体がなまっている者を、十分な自衛官経験がない者、必ず襲撃されると分かっていて、雇う事などできなかったのだ。

 ただこれからは、即応予備自衛官になれない、定年まで勤めあげた自衛官も党の職員として雇いたいと思っている。

 警護に来てくれた陸上自衛隊の指揮官が、50代で定年退職しなければいけない、下士官以下の再就職が大変だと教えてくれたのだ。

 命懸けで助けてくれる人が、部下の再就職に心を痛めているのだ。
 不正にならない範囲で全力を尽くすのが人の道だと思う。
 新しい職場を考え出すまでは、党で雇うしかない。

 パーキングエリアごとに休憩して、尾行する者がいないか確認した。
 同時に、警護犬として躾ける犬をパーキングエリアで党員から受け取った。

 受け取った犬は、元自衛官の党職員がマイクロバスで運んでくれる。
 これまで使っていたマイクロバスに加えて、新たに引き取る犬を全部運べるように、5台のマイクロバスを買い増していた。

 法定速度を守り、頻繁に休憩も取って東京都から大分県まで移動したので、途中のパーキングエリアで夜営する事になった。

 予定通り、2日目の午前中に大分県宇佐市の別宅に到着できた。
 別宅敷地内に入ったら、十分な躾をされた古参の護衛犬は自由にさせた。
 新たに護衛犬候補として集めた犬には基本的な躾をした。

 護衛の自衛官とセキュリティポリスは、周辺警備に集中してくれていた。
 しばらくすると区長が大工さんを連れて来てくれた。
 新しく入った犬達の寝床として、テントを増やすためだ。

 以前に建てたのと同じテントを建てたが、自宅裏の敷地は平坦な場所に限りがあるので、テントを5つもつなげる事はできなかった。

 一気に200頭以上の護衛犬候補が集まったので、多くの寝床が必要だった。
 以前のテントは、リョクリュウが寛げるように、これ以上犬小屋を増やす事ができないので、点在させてでも数多くのテントを立てる必要があった。

 今日はテントを立てる場所を決め、基礎の型枠を造ってアルミの支柱を入れて固定してから、コンクリートを流す。
 養生期間を開けてからテントを張って完成だ。

 だがテントを張るまでは、犬小屋の屋根だけが雨露をしのいでくれる。
 それが分かっていたので、犬小屋は広くて丈夫な物を買ってあった。
 かなりの出費だが、犬達に不自由な生活はさせられない。

 陽が暮れる前に宇佐の家を後にして、陸上自衛隊別府駐屯地に向かった。
 自衛隊とセキュリティポリスに護られる、とても物々しい車列で進む。
 一般人でも申し込めば認められる、自衛隊隊内生活体験扱いになっている。

 とはいえ、無理に何かさせられるわけではない。
 自衛隊員に悪影響を与えるような言動をしなければ良いだけだ。

 即応予備自衛官の党職員は、毎年の訓練で駐屯地内の宿泊には慣れている。
 セキュリティポリスは自衛隊と一線を引きたいようで、駐屯地に泊まる事無く、出張旅費の範囲でビジネスホテルに泊まった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

処理中です...