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反乱編
7話
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皇帝エマヌエーレは心底後悔していた。
自分が浅はかだったと心底反省していた。
だが今更反省してもどうにもならない。
死んでいった者達は帰ってこないし、追い込まれている現状も変わらない。
自分が勝って生き残っても、クリスティアンが見逃してくれるとは思えない。
だがディエゴ勝って自分が死ねば、クリスティアンによって皇族が皆殺しにされるのは確実だった。
いや、クリスティアン自身は生き残るし、ファインズ公爵家も残されるかもしれないが、ウォレス皇家の歴史が一度は幕を下ろすことになる。
皇国を滅ぼした暗愚の昏君として歴史に名を残すことになるだろうと、エマヌエーレは絶望的な気分になっていた。
「陛下!
ここで諦めてはなりませんぞ!
どれほど追い込まれようとも、陛下が皇帝なのです。
皇太子は陛下が任命されたから権力があるだけで、皇帝陛下なくしては存在せず、何の権力もないのです。
直ぐに全ての貴族に、ディエゴを皇太子から廃嫡した事と討伐を命じる勅命をくだしてください。
この場に集まった者達に命じてください。
攻め寄せている貴族士族兵士に命じてください!」
皇帝はマッテオの真心のこもった叱咤激励を受けて、勇気を振り絞った。
玉座の間にある魔道具の存在を思い出した。
魔道具の一つを起動し、宮殿内にいる全ての貴族士族召使に皇太子と皇后の謀反を知らせ、皇后を廃位し皇太子を廃嫡するという勅命をくだした。
正式な文章ではないもの、明らかに魔道具が使われており、皇帝陛下の声であったため、日頃から皇太子や皇后に恨みを抱いていた者は好機と考えた。
だがそれでも、貴族士族は直ぐに兵を挙げるほど愚かではなかった。
誰だって命は惜しいし、家を護りたいと思っているのだ。
負ける方に味方すれば、自分は殺され家が滅ぶのだ。
そういう点でいえば、皇太子と皇后の残虐非道は貴族士族を心底恐れさせていた。
だが皇帝は、その弱気な性格から舐められていた。
例え味方しなくても罰せられないだろうと思われていたのだ。
これが勝負どころで生死を分ける。
今回も皇帝に味方したい者は二の足を踏み、皇太子に味方している者は急いで皇帝を殺してしまおうとした。
普通ならばここで完全に謀反は成功していただろう。
父殺し夫殺しは成功していただろう。
だがここで事態が混沌とする要因があった。
ファインズ公爵率いる辺境派遣軍の行軍が遅々として進んでいなかったのだ。
従軍を命じられた貴族士族が惰弱過ぎて、行軍が遅れに遅れていた。
マッテオが派遣した速足の密使がファインズ公爵に追いつき、援軍が間に合うかどうかで勝敗が決まる状況となっていた。
自分が浅はかだったと心底反省していた。
だが今更反省してもどうにもならない。
死んでいった者達は帰ってこないし、追い込まれている現状も変わらない。
自分が勝って生き残っても、クリスティアンが見逃してくれるとは思えない。
だがディエゴ勝って自分が死ねば、クリスティアンによって皇族が皆殺しにされるのは確実だった。
いや、クリスティアン自身は生き残るし、ファインズ公爵家も残されるかもしれないが、ウォレス皇家の歴史が一度は幕を下ろすことになる。
皇国を滅ぼした暗愚の昏君として歴史に名を残すことになるだろうと、エマヌエーレは絶望的な気分になっていた。
「陛下!
ここで諦めてはなりませんぞ!
どれほど追い込まれようとも、陛下が皇帝なのです。
皇太子は陛下が任命されたから権力があるだけで、皇帝陛下なくしては存在せず、何の権力もないのです。
直ぐに全ての貴族に、ディエゴを皇太子から廃嫡した事と討伐を命じる勅命をくだしてください。
この場に集まった者達に命じてください。
攻め寄せている貴族士族兵士に命じてください!」
皇帝はマッテオの真心のこもった叱咤激励を受けて、勇気を振り絞った。
玉座の間にある魔道具の存在を思い出した。
魔道具の一つを起動し、宮殿内にいる全ての貴族士族召使に皇太子と皇后の謀反を知らせ、皇后を廃位し皇太子を廃嫡するという勅命をくだした。
正式な文章ではないもの、明らかに魔道具が使われており、皇帝陛下の声であったため、日頃から皇太子や皇后に恨みを抱いていた者は好機と考えた。
だがそれでも、貴族士族は直ぐに兵を挙げるほど愚かではなかった。
誰だって命は惜しいし、家を護りたいと思っているのだ。
負ける方に味方すれば、自分は殺され家が滅ぶのだ。
そういう点でいえば、皇太子と皇后の残虐非道は貴族士族を心底恐れさせていた。
だが皇帝は、その弱気な性格から舐められていた。
例え味方しなくても罰せられないだろうと思われていたのだ。
これが勝負どころで生死を分ける。
今回も皇帝に味方したい者は二の足を踏み、皇太子に味方している者は急いで皇帝を殺してしまおうとした。
普通ならばここで完全に謀反は成功していただろう。
父殺し夫殺しは成功していただろう。
だがここで事態が混沌とする要因があった。
ファインズ公爵率いる辺境派遣軍の行軍が遅々として進んでいなかったのだ。
従軍を命じられた貴族士族が惰弱過ぎて、行軍が遅れに遅れていた。
マッテオが派遣した速足の密使がファインズ公爵に追いつき、援軍が間に合うかどうかで勝敗が決まる状況となっていた。
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