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第一章
第38話:決断3
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アバディーン王国歴101年1月1日、新穀倉地帯、深雪視点
私には人の心を読んで気に入られるような言動をする能力があります。
魔術のような特別な能力ではなく、多くの日本人なら成長と共に学び身に着ける能力なのですが、それがこの世界に召喚されてから役に立ちました。
私を聖女として召喚したベンジャミン国王、手助けした精霊が望む言動ができたので、気に入られずに殺されるような最悪の結果は避けられました。
12歳当時の私は、歳よりも大人びていましたし、馬鹿でもありませんでした。
児童養護施設で育った私は、大人の顔色を見るのが得意でした。
大人たちの言動の本心を読んで気に入られるように暮らしていました。
だからこそ、12歳でも下手な事を口にしたら危険だと分かったのです。
どれほど上手く言っていても、相手は他人を無理矢理異世界に連れて来るような人なので、自分たちに都合が悪いと分かったら殺すと思ったのです。
殺されたくない一心で、平静を装って、必死でベンジャミン国王たちの望む態度を取り続けました。
ベンジャミン国王たちが、自分たちに都合の良いバカな聖女を望んでいたので、その通りに受け答えしたのが良かったのでしょう、殺されずにすみました。
たった1人異世界に誘拐され、何の頼りも無い状態でした。
最初の3日は安心して眠る事もできず、日に日に弱りました。
4日目からは、気絶するように瞬間眠ってしまいました。
心から安心して熟睡する事などできませんでした。
それは厳しい目を向ける侍女がつけられても同じで、全く安心できませんでした。
衰弱する私に、ベンジャミン国王たちは侍女を増やし食事の内容も良くしましたが、そもそもその王たちが信用できないのが原因でしたから、治りません。
それでも身勝手なベンジャミン国王たちは救国の準備を進めていました。
その一環で、カーツ様と謁見できたのが転機となりました。
カーツ様は日に日に弱る私を心配してくださり、食事から生活状況まで、事細かに確認して下さったのです。
そしてベンジャミン国王たちに献策してくださいました。
私が閉じ込められている部屋に内側から鍵とかんぬきをかけられるようにしろと。
無理矢理異世界に連れてこられた12歳の少女が、内側から鍵もかけられない部屋に閉じ込められて、安心して眠れる訳がないだろうと!
ベンジャミン国王たちは、カーツ様の献策を不愉快気に顔を歪めて聞いておられましたが、それでも言う通りに鍵とかんぬきをつけてくれました。
最初は鍵だけで良いだろうと王たちが行っていましたが、カーツ様が鍵だけでは合鍵を造られている心配があり、心から安心して眠れないと言ってくださったのです。
大臣の1人が『王や我々が信用できないのかと』私に視線を向けながらカーツ様に文句を言っていました。
ですがカーツ様が『では大臣は、何の承諾も無しに異世界に連れ去られたとして、何の警戒もせずに眠るような教育を娘にされておられるのか?』と言って、その大臣の文句を封じてくださいました。
『そのような教育の行き届いていない、節操のない令嬢を妻に迎えたい貴族などこの国にはいないと思いますが、陛下はどう思われますか?』とカーツ様はベンジャミン国王にまで追及の手を向けてくださったのです。
その結果『余もそのような節操のない令嬢を迎えたいとは思わない』という言質をベンジャミン国王から引き出してくださいました。
そのお陰で、私は安心して眠れる部屋を手に入れる事ができました。
部屋だけでなく、短剣などの武器も与えられました。
ベンジャミン国王は、カーツ様の諫言に従うだけだと、自分の名誉にかかわると思ったのだと感じました。
それと、私を下に見た大臣は即日解任されました。
ベンジャミン国王や大臣たちにも、他の国に対して体裁と整えなければいけない面があったのです。
実際には、何の承諾も無しに無理矢理この世界に転移させられましたが、ベンジャミン国王は、私がこの世界を哀れに思って自ら転移してきたと、大陸各国に説明していたのです。
今だから、カーツ様が全てを暴露してくださったから、知る事ができましたが、私が清廉潔白だと思っていた精霊までが欲望で堕落していたのです。
金銀財宝の輝きに魅了されて、ベンジャミン国王たちの身勝手な願い、私をこの世界に召喚すると言う、カーツ様に言わせれば誘拐拉致召喚に手を貸したのです。
そんな事を表にだすと、大陸各国から非難されるので、私が自らやってきた事にしていたので、下手な事を言わないように閉じ込めて隔離したかったのでしょう。
そんな状況でしたから、同性の侍女もベンジャミン国王たちのつけた見張りですし、救国の旅に同行する騎士や徒士も、私を逃がさないための監視でした。
だから救国の旅を始めた頃は、カーツ様以外は実戦で戦える人がいませんでした。
私もどうやれば腐敗獣を滅ぼせるのか分からない状態でした。
なので、毎回半数以上の騎士と徒士が亡くなられました。
今思えば、カーツ様はわざと力を抜いておられたのです。
私に害を加えようと考えるような騎士や徒士、正確の悪い侍女が死ぬか逃げ出すように仕向けてくださっていました。
カーツ様は、私の事を好きでいてくださるのでしょうか?
私から好きだと言った方が良いのでしょうか?
思うだけで、実際に告白なんて怖くてできませんが。
私には人の心を読んで気に入られるような言動をする能力があります。
魔術のような特別な能力ではなく、多くの日本人なら成長と共に学び身に着ける能力なのですが、それがこの世界に召喚されてから役に立ちました。
私を聖女として召喚したベンジャミン国王、手助けした精霊が望む言動ができたので、気に入られずに殺されるような最悪の結果は避けられました。
12歳当時の私は、歳よりも大人びていましたし、馬鹿でもありませんでした。
児童養護施設で育った私は、大人の顔色を見るのが得意でした。
大人たちの言動の本心を読んで気に入られるように暮らしていました。
だからこそ、12歳でも下手な事を口にしたら危険だと分かったのです。
どれほど上手く言っていても、相手は他人を無理矢理異世界に連れて来るような人なので、自分たちに都合が悪いと分かったら殺すと思ったのです。
殺されたくない一心で、平静を装って、必死でベンジャミン国王たちの望む態度を取り続けました。
ベンジャミン国王たちが、自分たちに都合の良いバカな聖女を望んでいたので、その通りに受け答えしたのが良かったのでしょう、殺されずにすみました。
たった1人異世界に誘拐され、何の頼りも無い状態でした。
最初の3日は安心して眠る事もできず、日に日に弱りました。
4日目からは、気絶するように瞬間眠ってしまいました。
心から安心して熟睡する事などできませんでした。
それは厳しい目を向ける侍女がつけられても同じで、全く安心できませんでした。
衰弱する私に、ベンジャミン国王たちは侍女を増やし食事の内容も良くしましたが、そもそもその王たちが信用できないのが原因でしたから、治りません。
それでも身勝手なベンジャミン国王たちは救国の準備を進めていました。
その一環で、カーツ様と謁見できたのが転機となりました。
カーツ様は日に日に弱る私を心配してくださり、食事から生活状況まで、事細かに確認して下さったのです。
そしてベンジャミン国王たちに献策してくださいました。
私が閉じ込められている部屋に内側から鍵とかんぬきをかけられるようにしろと。
無理矢理異世界に連れてこられた12歳の少女が、内側から鍵もかけられない部屋に閉じ込められて、安心して眠れる訳がないだろうと!
ベンジャミン国王たちは、カーツ様の献策を不愉快気に顔を歪めて聞いておられましたが、それでも言う通りに鍵とかんぬきをつけてくれました。
最初は鍵だけで良いだろうと王たちが行っていましたが、カーツ様が鍵だけでは合鍵を造られている心配があり、心から安心して眠れないと言ってくださったのです。
大臣の1人が『王や我々が信用できないのかと』私に視線を向けながらカーツ様に文句を言っていました。
ですがカーツ様が『では大臣は、何の承諾も無しに異世界に連れ去られたとして、何の警戒もせずに眠るような教育を娘にされておられるのか?』と言って、その大臣の文句を封じてくださいました。
『そのような教育の行き届いていない、節操のない令嬢を妻に迎えたい貴族などこの国にはいないと思いますが、陛下はどう思われますか?』とカーツ様はベンジャミン国王にまで追及の手を向けてくださったのです。
その結果『余もそのような節操のない令嬢を迎えたいとは思わない』という言質をベンジャミン国王から引き出してくださいました。
そのお陰で、私は安心して眠れる部屋を手に入れる事ができました。
部屋だけでなく、短剣などの武器も与えられました。
ベンジャミン国王は、カーツ様の諫言に従うだけだと、自分の名誉にかかわると思ったのだと感じました。
それと、私を下に見た大臣は即日解任されました。
ベンジャミン国王や大臣たちにも、他の国に対して体裁と整えなければいけない面があったのです。
実際には、何の承諾も無しに無理矢理この世界に転移させられましたが、ベンジャミン国王は、私がこの世界を哀れに思って自ら転移してきたと、大陸各国に説明していたのです。
今だから、カーツ様が全てを暴露してくださったから、知る事ができましたが、私が清廉潔白だと思っていた精霊までが欲望で堕落していたのです。
金銀財宝の輝きに魅了されて、ベンジャミン国王たちの身勝手な願い、私をこの世界に召喚すると言う、カーツ様に言わせれば誘拐拉致召喚に手を貸したのです。
そんな事を表にだすと、大陸各国から非難されるので、私が自らやってきた事にしていたので、下手な事を言わないように閉じ込めて隔離したかったのでしょう。
そんな状況でしたから、同性の侍女もベンジャミン国王たちのつけた見張りですし、救国の旅に同行する騎士や徒士も、私を逃がさないための監視でした。
だから救国の旅を始めた頃は、カーツ様以外は実戦で戦える人がいませんでした。
私もどうやれば腐敗獣を滅ぼせるのか分からない状態でした。
なので、毎回半数以上の騎士と徒士が亡くなられました。
今思えば、カーツ様はわざと力を抜いておられたのです。
私に害を加えようと考えるような騎士や徒士、正確の悪い侍女が死ぬか逃げ出すように仕向けてくださっていました。
カーツ様は、私の事を好きでいてくださるのでしょうか?
私から好きだと言った方が良いのでしょうか?
思うだけで、実際に告白なんて怖くてできませんが。
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