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第一章
第28話:チャールズ王太子の失踪と隣国の侵攻
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アバディーン王国歴100年11月11日、新穀倉地帯、カーツ公子視点
(御主人様、チャールズが消えてしまいました!)
俺の命を受けて急ぎ戻った使い魔が念話を送ってきた。
(周囲の使い魔と協力してどこに行ったか探せ。
それで見つからなくても構わない。
どこかに隠れているなら問題だが、消えたのなら構わない。
消えたとしたら堕して腐敗獣化したのだろう。
腐敗獣が神々の創った世界以外に潜むのは普通の事だ)
(あの時、殺して消し去っておくべきでした、申し訳ございません)
(いや、あの時のお前には、そんな権限も知能も与えていなかった。
俺が許していない事を勝手にしない方が正解だ。
お前は俺の指示通りの事をした、良くやってくれた)
(寛大な御心をお許ししていただき感謝の言葉もございません。
これからも御主人様の御力に成れるように努力いたします)
(ああ、これからも頼んだぞ)
チャールズの性根の悪さは、人間の領域を超えていたのだな。
地球の神々から与えられた知識では、腐敗獣にまで堕落できるのは、神々や精霊くらいの力がないと無理だと聞いていた。
チャールズの能力を考えると、普通なら腐敗獣に堕落するのは無理だ。
能力と言えるか別にして、人並外れているのは邪悪さくらいだろう。
その邪悪さがチャールズを腐敗獣に堕落させたとしか考えられない。
(御主人様、チャールズはこの辺りにはいません)
(私の預からせていただいている村と周囲にもチャールズはいません)
(私がお預かりしている国境を越えた様子もありません)
やはり腐敗獣に堕落したとしか考えられない。
俺の血を1滴でも与えた使い魔の能力は、上級精霊に匹敵する。
血を与えていない使い魔でも、国を守っていた最下級精霊を軽く超える能力を持っているのだから。
(引き続き預けた地域を見張り護ってくれ。
チャールズに限らず、腐敗獣が現れたら直ぐに連絡しろ。
自分たちだけで倒せると判断したとしても、まず連絡しろ)
(承りました、御主人様)
(御主人様の命に従い御預かりした地を守らせていただきます)
(国境を越えようとしている隣国の軍勢がございます)
我が国に攻め込んできたイングルウッド王国フレッチャー=ヴェーン家は、それほど大きな国じゃない。
いや、はっきり言って弱小国でしかない。
弱小国だからこそ、俺の事も国の事も探る事ができなかったのだ。
だからこそ好機と考えて全軍で攻め込んできた。
負けたら周辺の小国に侵略されると分かっているのに。
(イングルウッド王国の悪行を世界に知らせるために、1度国境線を越えさせろ。
ただし、民が苦しむような事は絶対にやらせるな。
同時に、民にお前たちの力を見せつける好機だ。
預かっている民を村の城壁に中に囲って守れ!)
(承りました、御主人様)
国中に散らばった使い魔たちが返事をくれる。
イングルウッド王国は、アバディーン王国の北側にある小国群に1つだ。
総人口は10万人程度だから、戦える年齢の民を総動員したとしても、全軍併せて3500人程度だろう。
それも、農閑期で農作業がない時期に限られる。
農繁期だと、無理に兵を集めたら生産力が激減してしまう。
侵攻した国から収奪するにしても、後々の事を考えれば限界がある。
限界を超えて収奪してしまったら、せっかく占領した国が経済崩壊してしまう。
それでは国力を投入して侵略した利が限定されてしまう。
目先に利益だけを考えて、壊して殺して奪うだけ奪う方法もある。
その方法なら、限度を考えず城を攻める事ができる。
例えば城を包囲して疫病を流行らせるような極悪非道な戦術も使える。
イングルウッド王国が送り込んできた軍の総数は3218兵だ。
騎士や徒士もいるが、その大半は農民を徴発した寄せ集めの兵だ。
だから、俺が基準にしている騎士や徒士なら、100人もいれば圧勝できる。
もちろん、俺の血を1滴でも与えられた中級使い魔なら1体で全滅させられる。
いや、血を与えていない下級使い魔でも1体で全滅させられる。
だが今回は、愚かな隣国を思い知らせるのが目的だった。
だから敵を全滅させる事なく、態と国の奥まで引き込んだ。
国境間近の砦兼用の村は、男爵や上級騎士の領都と言っても良い、住民が1000人を越える小都市だ。
攻城3倍の法則を考えても、農民兵中心のイングルウッド王国軍が相手なら、砦兼用の村1つ落とす事などできない。
イングルウッド王国軍は、我が国の王侯貴族士族が王都で全滅したと思い込んで、攻め込んできた愚か者たちだ。
こちらが積極的な迎撃を行わなければ、少しでも領地を広げようと、国境沿いの砦兼用の村を併呑しようとするだろう。
統治が困難だと思っていたとしたら、砦兼用の村の併呑は諦めて、金のありそうな村や都市を襲って略奪しようとするだろう。
現にイングルウッド王国以外の小国も、国境に軍を集結させている。
他の小国は、イングルウッド王国軍の状況を見てから国境を超える気だった。
本当に我が国の軍が全滅しているのか確かめてから侵攻する気だった。
(御主人様、敵軍を引き付けて傷つけないようにしております)
(ああ、そのまま引き続き敵は殺さないようにしてくれ)
(受けました)
(御主人様、チャールズが消えてしまいました!)
俺の命を受けて急ぎ戻った使い魔が念話を送ってきた。
(周囲の使い魔と協力してどこに行ったか探せ。
それで見つからなくても構わない。
どこかに隠れているなら問題だが、消えたのなら構わない。
消えたとしたら堕して腐敗獣化したのだろう。
腐敗獣が神々の創った世界以外に潜むのは普通の事だ)
(あの時、殺して消し去っておくべきでした、申し訳ございません)
(いや、あの時のお前には、そんな権限も知能も与えていなかった。
俺が許していない事を勝手にしない方が正解だ。
お前は俺の指示通りの事をした、良くやってくれた)
(寛大な御心をお許ししていただき感謝の言葉もございません。
これからも御主人様の御力に成れるように努力いたします)
(ああ、これからも頼んだぞ)
チャールズの性根の悪さは、人間の領域を超えていたのだな。
地球の神々から与えられた知識では、腐敗獣にまで堕落できるのは、神々や精霊くらいの力がないと無理だと聞いていた。
チャールズの能力を考えると、普通なら腐敗獣に堕落するのは無理だ。
能力と言えるか別にして、人並外れているのは邪悪さくらいだろう。
その邪悪さがチャールズを腐敗獣に堕落させたとしか考えられない。
(御主人様、チャールズはこの辺りにはいません)
(私の預からせていただいている村と周囲にもチャールズはいません)
(私がお預かりしている国境を越えた様子もありません)
やはり腐敗獣に堕落したとしか考えられない。
俺の血を1滴でも与えた使い魔の能力は、上級精霊に匹敵する。
血を与えていない使い魔でも、国を守っていた最下級精霊を軽く超える能力を持っているのだから。
(引き続き預けた地域を見張り護ってくれ。
チャールズに限らず、腐敗獣が現れたら直ぐに連絡しろ。
自分たちだけで倒せると判断したとしても、まず連絡しろ)
(承りました、御主人様)
(御主人様の命に従い御預かりした地を守らせていただきます)
(国境を越えようとしている隣国の軍勢がございます)
我が国に攻め込んできたイングルウッド王国フレッチャー=ヴェーン家は、それほど大きな国じゃない。
いや、はっきり言って弱小国でしかない。
弱小国だからこそ、俺の事も国の事も探る事ができなかったのだ。
だからこそ好機と考えて全軍で攻め込んできた。
負けたら周辺の小国に侵略されると分かっているのに。
(イングルウッド王国の悪行を世界に知らせるために、1度国境線を越えさせろ。
ただし、民が苦しむような事は絶対にやらせるな。
同時に、民にお前たちの力を見せつける好機だ。
預かっている民を村の城壁に中に囲って守れ!)
(承りました、御主人様)
国中に散らばった使い魔たちが返事をくれる。
イングルウッド王国は、アバディーン王国の北側にある小国群に1つだ。
総人口は10万人程度だから、戦える年齢の民を総動員したとしても、全軍併せて3500人程度だろう。
それも、農閑期で農作業がない時期に限られる。
農繁期だと、無理に兵を集めたら生産力が激減してしまう。
侵攻した国から収奪するにしても、後々の事を考えれば限界がある。
限界を超えて収奪してしまったら、せっかく占領した国が経済崩壊してしまう。
それでは国力を投入して侵略した利が限定されてしまう。
目先に利益だけを考えて、壊して殺して奪うだけ奪う方法もある。
その方法なら、限度を考えず城を攻める事ができる。
例えば城を包囲して疫病を流行らせるような極悪非道な戦術も使える。
イングルウッド王国が送り込んできた軍の総数は3218兵だ。
騎士や徒士もいるが、その大半は農民を徴発した寄せ集めの兵だ。
だから、俺が基準にしている騎士や徒士なら、100人もいれば圧勝できる。
もちろん、俺の血を1滴でも与えられた中級使い魔なら1体で全滅させられる。
いや、血を与えていない下級使い魔でも1体で全滅させられる。
だが今回は、愚かな隣国を思い知らせるのが目的だった。
だから敵を全滅させる事なく、態と国の奥まで引き込んだ。
国境間近の砦兼用の村は、男爵や上級騎士の領都と言っても良い、住民が1000人を越える小都市だ。
攻城3倍の法則を考えても、農民兵中心のイングルウッド王国軍が相手なら、砦兼用の村1つ落とす事などできない。
イングルウッド王国軍は、我が国の王侯貴族士族が王都で全滅したと思い込んで、攻め込んできた愚か者たちだ。
こちらが積極的な迎撃を行わなければ、少しでも領地を広げようと、国境沿いの砦兼用の村を併呑しようとするだろう。
統治が困難だと思っていたとしたら、砦兼用の村の併呑は諦めて、金のありそうな村や都市を襲って略奪しようとするだろう。
現にイングルウッド王国以外の小国も、国境に軍を集結させている。
他の小国は、イングルウッド王国軍の状況を見てから国境を超える気だった。
本当に我が国の軍が全滅しているのか確かめてから侵攻する気だった。
(御主人様、敵軍を引き付けて傷つけないようにしております)
(ああ、そのまま引き続き敵は殺さないようにしてくれ)
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