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第一章
第12話:魔造湖
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アバディーン王国歴100年9月30日、アバディーン王国某所、深雪視点
『この世界を創り出した神々よ、創造者の責任感があるなら最後まで責任を取れ。
お前達の犠牲になった聖女深雪が、この世界を救おうとしているのだから、最大限の手助けをしろ。
深雪が自分の魔力を使う事なく、この世界の魔力で水源地を創れるようにしろ。
この世界の理を変えてでも、好きな場所に水源地を創れるようにしろ』
カーツさんは、神々にはとても強引です。
私にはとても優しいのですが、神々には物凄く厳しいです。
言葉の端々から感じられるのは、とても激しい怒りです。
この世界の神々は、優しいカーツさんをここまで怒らせるほどの、悪事を働いたのですね。
この世界で育っていない私には分かりませんが、異世界の人間を召喚すると言うのは、とんでもない悪事なのでしょう。
「すごい、すごい、凄い、勢い良く水が湧いてきました!」
カーツさんの使う魔術はとても凄いです!
カラカラに乾いていた砂漠のような所に、水を湧かせてしまうのです。
神々を脅すような呪文にはまだ慣れませんが、そうする事で水不足で困っている動物が助かるのなら慣れます、我慢します。
でも、このままでいいのでしょうか?
平らな土地に水が湧いても池や湖にはならないですよね?
動物たちが自由に安心して水を飲めるようにしてあげたいのですが……
『この世界を創り出した神々よ、創造者の責任感があるなら最後まで責任を取れ。
お前達の犠牲になった聖女深雪が、この世界を救おうとしているのだから、最大限の手助けをしろ。
深雪が自分の魔力を使う事なく、水を貯める深くて広い湖を造れ。
この世界の理を変えてでも、好きな場所に湖を造れるようにしろ』
カーツさんの心臓は鉄でできているのですね!
何度もこの世界の神々を脅しています。
神々が相手でも全く怖くないのですね。
私は、神が本当にいるのか半信半疑です。
私をこの世界に連れてきたのも、神ではなく、人間が何かの科学技術を使ったのではないかと思っています。
もし本当に神が存在するのなら、生まれたばかりで何の罪もない私が、両親に捨てられるはずがありません。
前世で何か罪があると言うのなら、その罪の記憶が残った状態でなければ、反省のしようがありません。
児童養護施設の友人の中には、神は全知全能の善神なのではなく、特別な力があるだけの生物だと言っている子がいました。
児童養護施設には、私と同じように神を信じない人が多いです。
特定の人にだけ試練を与えるようなモノが、善良な神とは思えません。
施設に携わる宗教関係の人には本当の気持ちは言えませんけれど。
溢れてしまう心の想いに囚われているうちに、池ができていきます。
起伏のなかった平原に、深く沈む場所と緩やかに盛り上がる場所ができます。
湧き出る水が激しくなり、空に噴き出しています。
カーツさんの話では、諏訪湖くらいの大きさにするそうです。
琵琶湖は広すぎて使い勝手が悪いそうです。
そう言われても、諏訪湖はもちろん琵琶湖の大きさも実感がありません。
魚や水鳥が住めるようにして、私に美味しい魚料理と鳥料理を作ってくれると言っていました。
湖岸の半分くらいは湿地帯にして、レンコンや里芋のような、湿地帯でしか育てられない野菜を育ててくれるそうです。
湖の周囲を200メートルくらいの高さにして、勢い良く溢れる水が川になって周囲に流れるようにするそうです。
清流が四方八方に流れる事で、この乾いた砂漠のような平原が、緑の大地になるそうです。
馬たちが大好きな牧草や豆類だけでなく、蜂蜜をたくさん集められる草花も育てると言っていましたから、今からとても楽しみです。
『この世界を創り出した神々よ、創造者の責任感があるなら最後まで責任を取れ。
お前達の犠牲になった聖女深雪が、この世界を救おうとしているのだから、最大限の手助けをしろ。
深雪が自分の魔力を使う事なく、周囲に水を行きわたらせる川を造れ。
この世界の理を変えてでも、好きな場所に湖を造れるようにしろ』
平原を潤す川も、神々を脅迫して造らせるのですね。
もう慣れましたが、カーツさんと私の感覚は違うのですね。
カーツさんは、神々を信じているから魔術を使えるのでしょうか?
私は、神がいるか半信半疑ですが、それでもストレージの魔術は使えました。
神々を信じていなくても魔術が使えるから、悪い事をする人が現れるのではないでしょうか?
本当に神がいて、人間を正しく導きたいのなら、魔術を使える人を制限すれば良いのです。
神が人々を導くのに相応しいと思う人間だけに、魔術が使えるようにすれば、人々は神の教えに従って生きると思います。
そうすれば、自分の子供を捨てるような親がいなくなります。
子供を虐待するような親もいなくなります。
……本当に何か事情があって、追い込まれて、しかたがなく、どうしようもなくて、子供を捨てなければいけない親は罰しなくても良いです。
でも、自分の機嫌が悪いと言うだけで、子供を殴ったり蹴ったりするような親は、神がいるのなら天罰を下すべきです!
この世界に神がいるというのなら、私の前で天罰を与えて証明してください!
「深雪さん、次の場所では深雪さんに魔術を使ってもらうよ。
今俺が唱えた魔術は覚えたかい?
長ければ短くしても良いんだよ。
最初に教えた長い呪文じゃなくて、後で教えた短い呪文でも良いんだよ」
「カーツさん、本当に『湖を造れ』だけで良いんですか?」
「さあ、やってみなければ分からないが、神々が本気で深雪に詫びる気が有るなら、呪文が短くてもできるはずだよ」
『この世界を創り出した神々よ、創造者の責任感があるなら最後まで責任を取れ。
お前達の犠牲になった聖女深雪が、この世界を救おうとしているのだから、最大限の手助けをしろ。
深雪が自分の魔力を使う事なく、この世界の魔力で水源地を創れるようにしろ。
この世界の理を変えてでも、好きな場所に水源地を創れるようにしろ』
カーツさんは、神々にはとても強引です。
私にはとても優しいのですが、神々には物凄く厳しいです。
言葉の端々から感じられるのは、とても激しい怒りです。
この世界の神々は、優しいカーツさんをここまで怒らせるほどの、悪事を働いたのですね。
この世界で育っていない私には分かりませんが、異世界の人間を召喚すると言うのは、とんでもない悪事なのでしょう。
「すごい、すごい、凄い、勢い良く水が湧いてきました!」
カーツさんの使う魔術はとても凄いです!
カラカラに乾いていた砂漠のような所に、水を湧かせてしまうのです。
神々を脅すような呪文にはまだ慣れませんが、そうする事で水不足で困っている動物が助かるのなら慣れます、我慢します。
でも、このままでいいのでしょうか?
平らな土地に水が湧いても池や湖にはならないですよね?
動物たちが自由に安心して水を飲めるようにしてあげたいのですが……
『この世界を創り出した神々よ、創造者の責任感があるなら最後まで責任を取れ。
お前達の犠牲になった聖女深雪が、この世界を救おうとしているのだから、最大限の手助けをしろ。
深雪が自分の魔力を使う事なく、水を貯める深くて広い湖を造れ。
この世界の理を変えてでも、好きな場所に湖を造れるようにしろ』
カーツさんの心臓は鉄でできているのですね!
何度もこの世界の神々を脅しています。
神々が相手でも全く怖くないのですね。
私は、神が本当にいるのか半信半疑です。
私をこの世界に連れてきたのも、神ではなく、人間が何かの科学技術を使ったのではないかと思っています。
もし本当に神が存在するのなら、生まれたばかりで何の罪もない私が、両親に捨てられるはずがありません。
前世で何か罪があると言うのなら、その罪の記憶が残った状態でなければ、反省のしようがありません。
児童養護施設の友人の中には、神は全知全能の善神なのではなく、特別な力があるだけの生物だと言っている子がいました。
児童養護施設には、私と同じように神を信じない人が多いです。
特定の人にだけ試練を与えるようなモノが、善良な神とは思えません。
施設に携わる宗教関係の人には本当の気持ちは言えませんけれど。
溢れてしまう心の想いに囚われているうちに、池ができていきます。
起伏のなかった平原に、深く沈む場所と緩やかに盛り上がる場所ができます。
湧き出る水が激しくなり、空に噴き出しています。
カーツさんの話では、諏訪湖くらいの大きさにするそうです。
琵琶湖は広すぎて使い勝手が悪いそうです。
そう言われても、諏訪湖はもちろん琵琶湖の大きさも実感がありません。
魚や水鳥が住めるようにして、私に美味しい魚料理と鳥料理を作ってくれると言っていました。
湖岸の半分くらいは湿地帯にして、レンコンや里芋のような、湿地帯でしか育てられない野菜を育ててくれるそうです。
湖の周囲を200メートルくらいの高さにして、勢い良く溢れる水が川になって周囲に流れるようにするそうです。
清流が四方八方に流れる事で、この乾いた砂漠のような平原が、緑の大地になるそうです。
馬たちが大好きな牧草や豆類だけでなく、蜂蜜をたくさん集められる草花も育てると言っていましたから、今からとても楽しみです。
『この世界を創り出した神々よ、創造者の責任感があるなら最後まで責任を取れ。
お前達の犠牲になった聖女深雪が、この世界を救おうとしているのだから、最大限の手助けをしろ。
深雪が自分の魔力を使う事なく、周囲に水を行きわたらせる川を造れ。
この世界の理を変えてでも、好きな場所に湖を造れるようにしろ』
平原を潤す川も、神々を脅迫して造らせるのですね。
もう慣れましたが、カーツさんと私の感覚は違うのですね。
カーツさんは、神々を信じているから魔術を使えるのでしょうか?
私は、神がいるか半信半疑ですが、それでもストレージの魔術は使えました。
神々を信じていなくても魔術が使えるから、悪い事をする人が現れるのではないでしょうか?
本当に神がいて、人間を正しく導きたいのなら、魔術を使える人を制限すれば良いのです。
神が人々を導くのに相応しいと思う人間だけに、魔術が使えるようにすれば、人々は神の教えに従って生きると思います。
そうすれば、自分の子供を捨てるような親がいなくなります。
子供を虐待するような親もいなくなります。
……本当に何か事情があって、追い込まれて、しかたがなく、どうしようもなくて、子供を捨てなければいけない親は罰しなくても良いです。
でも、自分の機嫌が悪いと言うだけで、子供を殴ったり蹴ったりするような親は、神がいるのなら天罰を下すべきです!
この世界に神がいるというのなら、私の前で天罰を与えて証明してください!
「深雪さん、次の場所では深雪さんに魔術を使ってもらうよ。
今俺が唱えた魔術は覚えたかい?
長ければ短くしても良いんだよ。
最初に教えた長い呪文じゃなくて、後で教えた短い呪文でも良いんだよ」
「カーツさん、本当に『湖を造れ』だけで良いんですか?」
「さあ、やってみなければ分からないが、神々が本気で深雪に詫びる気が有るなら、呪文が短くてもできるはずだよ」
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