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第一章
第8話:豊穣の楽園
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アバディーン王国歴100年9月24日、魔境、聖女深雪視点
「聖女深雪様、この世界の者が申し訳できない悪事を働いてしまいました。
深雪様を無理矢理この世界に連れてきてしまいました。
本当なら直ぐに元の世界、日本にお帰ししなければいけないのですが、重ねて申し訳ない事なのですが、星々の並びが悪く時間がかかってしまいます」
私は悪人に異世界に連れてこられたそうです。
この世界に連れてこられて初めて会ったカーツさんが教えてくれました。
カーツさんは、私を無理矢理この世界に連れて来た国の貴族だそうです。
日本には天皇陛下たちしか王侯貴族がいませんから、貴族と言われてもよく分かりませんが、国会議員のような偉い人のようです。
最初は驚きましたし怖くもありました。
ですが、カーツさんが優しく親切にしてくれましたので、直ぐに安心できました。
私はこう見えてどこでもやっていける性格なのです。
赤ちゃんポストに捨てられていた私は、児童養護施設で育ちました。
児童養護施設で幸せに暮らせる子もいれば、幸せに暮らせない子もいる。
血のつながった家族がいなくても平気な子もいれば、辛く思う子もいる。
私はどうしても日本に帰りたい訳ではありません。
飢える事なく安心して暮らせるなら、異世界でもかまわないのです。
もう1度会いたい子が全くいない訳ではありません。
かと言って、どうしてもと言うほどでもありません。
好き嫌いしないように生きてきたから、食べ物が粗末でも大丈夫だと思っていましたが、意外と食べ物には執着するようです。
異世界と言われたので、食べられる物が限られると思っていましたが、実際には養護施設にいた時よりも自由に食物を選べるようになりました。
カーツさんが毎日3度食べたい物を聞いて作ってくれるのです。
それも大雑把な聞き方ではなく、事細かに聞いてくれるのです。
児童養護施設にいた栄養士さんよりも色んな物を作ってくれました。
毎食肉を食べたいと言ってもその通り作ってくれました。
栄養バランスを取りなさいと、野菜や果物も食べるように言われたけれど、美味しい果物を毎食食べられるので文句なんてありません。
異世界だから、マヨネーズやとんかつソース、醤油や味噌はないと思っていたけれど、少し風味が違うだけのほぼ同じ物がありました。
メーカーによる違いだと言われれば、この程度ならしかたがないと思う程度の違いしかありませんでした。
洋菓子や和菓子は幾ら何でも食べられないと思っていたのに、簡単なモノならカーツさんが作ってくれるのです。
機械が無いから全部手作業で大変だと思って遠慮していたら、魔術があるから平気だと言われてしまいました。
魔術も、私が使いたいと言ったら教えてくれました。
火や水が自分の手の先から出て驚きました!
もっと魔術が上手くなりたい!
「ヒィイイイイイン!」
馬が私を呼んでいる、遊んで欲しいと呼んでいる!
「なに、何がしたいの?」
「ヒィイイイイイン!」
最初は100頭も馬がいるのにとても驚きました。
正直怖いと思ってしまいました。
でもカーツさんが叱ると涙を流して謝るので、可愛いと思うようになりました。
「馬車を引いてくれるの?」
「ヒィイイイイイン!」
私と遊びたい子は、馬車を引く子もいれば背中に乗せようとする子もいます。
自分が遊んでいる所を見ていて欲し子は、急に飛び跳ねたり横に飛んだりします。
私が拍手してあげると、とても喜んで、もっと激しく飛び跳ねます。
多くの子は、カーツさんが木々を伐採した後に、牧草を生やした場所にいます。
牧場と呼ぶべきなのでしょうが、先の景色が霞んで見えるほど広大です。
馬たちは、牧場で私と遊ぶ時以外はのんびりと牧草を食べています。
甘い物が好きな子は、果樹に実るリンゴやナシ、カキやバナナを食べています。
豆が好きな子もいて、牧場には多くの豆が植えられています。
とんでもなくたくさん育てているので、取り合いにならないです。
少し不思議に思ったのでカーツさんに聞いてみました。
日本ではハウス栽培や高地栽培などがあったし、輸入もあったから、季節に関係なく何時でも好きなものを食べる事ができました。
でも、異世界では季節の制限があると思ったのです。
旬、と言うモノがあって、限られた季節にしか食べられない物が多いはずです。
児童養護施設では、予算の都合で旬以外は食べられない果物がありました。
「ああ、それは大丈夫だ、この世界には魔術がある。
その気になれば、旬以外にも果物を実らせられる。
特にここは魔境だから、自分の魔力を使う事なく、地脈の魔力を利用するだけで果物を何時でも実らせられる。
食べたい果物があるなら言ってみなさい、今直ぐに実らせてあげる」
カーツさんがそう言ってくれたので、日本では食べられなかった、シャインマスカットが食べたいと言ってみました。
全く同じ物が食べられると思った訳ではありません。
マヨネーズやソースのように、とても近い物が食べられると思っていたのです。
色や形は違うと思っていたのですが……
確かに、テレビやスーパーで見た事のあるシャインマスカットでした。
不思議に思ったのは、何も説明しないのに、見た目が同じだった事です。
カーツさんは、どうやって日本の果物や調味料を再現しているのでしょうか?
「聖女深雪様、この世界の者が申し訳できない悪事を働いてしまいました。
深雪様を無理矢理この世界に連れてきてしまいました。
本当なら直ぐに元の世界、日本にお帰ししなければいけないのですが、重ねて申し訳ない事なのですが、星々の並びが悪く時間がかかってしまいます」
私は悪人に異世界に連れてこられたそうです。
この世界に連れてこられて初めて会ったカーツさんが教えてくれました。
カーツさんは、私を無理矢理この世界に連れて来た国の貴族だそうです。
日本には天皇陛下たちしか王侯貴族がいませんから、貴族と言われてもよく分かりませんが、国会議員のような偉い人のようです。
最初は驚きましたし怖くもありました。
ですが、カーツさんが優しく親切にしてくれましたので、直ぐに安心できました。
私はこう見えてどこでもやっていける性格なのです。
赤ちゃんポストに捨てられていた私は、児童養護施設で育ちました。
児童養護施設で幸せに暮らせる子もいれば、幸せに暮らせない子もいる。
血のつながった家族がいなくても平気な子もいれば、辛く思う子もいる。
私はどうしても日本に帰りたい訳ではありません。
飢える事なく安心して暮らせるなら、異世界でもかまわないのです。
もう1度会いたい子が全くいない訳ではありません。
かと言って、どうしてもと言うほどでもありません。
好き嫌いしないように生きてきたから、食べ物が粗末でも大丈夫だと思っていましたが、意外と食べ物には執着するようです。
異世界と言われたので、食べられる物が限られると思っていましたが、実際には養護施設にいた時よりも自由に食物を選べるようになりました。
カーツさんが毎日3度食べたい物を聞いて作ってくれるのです。
それも大雑把な聞き方ではなく、事細かに聞いてくれるのです。
児童養護施設にいた栄養士さんよりも色んな物を作ってくれました。
毎食肉を食べたいと言ってもその通り作ってくれました。
栄養バランスを取りなさいと、野菜や果物も食べるように言われたけれど、美味しい果物を毎食食べられるので文句なんてありません。
異世界だから、マヨネーズやとんかつソース、醤油や味噌はないと思っていたけれど、少し風味が違うだけのほぼ同じ物がありました。
メーカーによる違いだと言われれば、この程度ならしかたがないと思う程度の違いしかありませんでした。
洋菓子や和菓子は幾ら何でも食べられないと思っていたのに、簡単なモノならカーツさんが作ってくれるのです。
機械が無いから全部手作業で大変だと思って遠慮していたら、魔術があるから平気だと言われてしまいました。
魔術も、私が使いたいと言ったら教えてくれました。
火や水が自分の手の先から出て驚きました!
もっと魔術が上手くなりたい!
「ヒィイイイイイン!」
馬が私を呼んでいる、遊んで欲しいと呼んでいる!
「なに、何がしたいの?」
「ヒィイイイイイン!」
最初は100頭も馬がいるのにとても驚きました。
正直怖いと思ってしまいました。
でもカーツさんが叱ると涙を流して謝るので、可愛いと思うようになりました。
「馬車を引いてくれるの?」
「ヒィイイイイイン!」
私と遊びたい子は、馬車を引く子もいれば背中に乗せようとする子もいます。
自分が遊んでいる所を見ていて欲し子は、急に飛び跳ねたり横に飛んだりします。
私が拍手してあげると、とても喜んで、もっと激しく飛び跳ねます。
多くの子は、カーツさんが木々を伐採した後に、牧草を生やした場所にいます。
牧場と呼ぶべきなのでしょうが、先の景色が霞んで見えるほど広大です。
馬たちは、牧場で私と遊ぶ時以外はのんびりと牧草を食べています。
甘い物が好きな子は、果樹に実るリンゴやナシ、カキやバナナを食べています。
豆が好きな子もいて、牧場には多くの豆が植えられています。
とんでもなくたくさん育てているので、取り合いにならないです。
少し不思議に思ったのでカーツさんに聞いてみました。
日本ではハウス栽培や高地栽培などがあったし、輸入もあったから、季節に関係なく何時でも好きなものを食べる事ができました。
でも、異世界では季節の制限があると思ったのです。
旬、と言うモノがあって、限られた季節にしか食べられない物が多いはずです。
児童養護施設では、予算の都合で旬以外は食べられない果物がありました。
「ああ、それは大丈夫だ、この世界には魔術がある。
その気になれば、旬以外にも果物を実らせられる。
特にここは魔境だから、自分の魔力を使う事なく、地脈の魔力を利用するだけで果物を何時でも実らせられる。
食べたい果物があるなら言ってみなさい、今直ぐに実らせてあげる」
カーツさんがそう言ってくれたので、日本では食べられなかった、シャインマスカットが食べたいと言ってみました。
全く同じ物が食べられると思った訳ではありません。
マヨネーズやソースのように、とても近い物が食べられると思っていたのです。
色や形は違うと思っていたのですが……
確かに、テレビやスーパーで見た事のあるシャインマスカットでした。
不思議に思ったのは、何も説明しないのに、見た目が同じだった事です。
カーツさんは、どうやって日本の果物や調味料を再現しているのでしょうか?
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