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17話

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「公爵閣下。
 私がやる通りに真似てください。
 まずは広域補助の魔術巻物を展開してもらいます」

 ヨウナスが私に手本を示しながら広域補助の魔術巻物を展開します。

「分かったわ」

 私は空中に静止しながら、ロクスバラ城に狙いを定めています。
 そう、私は浮いているのです。
 いえ、飛んでいるのです!

 私は莫大な魔力があっても、それを魔法として役に立つ形で、外部に展開することができませんでした。
 だから身体強化だけで戦ってきたのです。
 それが、フセインから得た知識と技術に、二人の賢者の知識と技術を得たことで、ある程度有効に使えるようになったのです。
 
 まあ、ある程度しか使えませんし、色々と制限もあります。
 その最たるものが、魔術巻物や魔術書を通してしか使えないというモノです。
 有り余る莫大な魔力も、魔術巻物と魔術書の上限までになっています。

 ですが、それでも、桁外れの恩恵になりました。
 今までは雲散霧消させるしかなかった膨大な魔力を、魔術巻物と魔術書に組み込んだ魔晶石になら、蓄えられるようになったのです。
 いえ、私から魔力を奪う術式を書き込んだ魔術書に魔晶石を置けば、その魔晶石に魔力を蓄えることができるのです。

 もっとも、現段階では、その魔力を再度自分に取り込む事はできません。
 つまり自分の予備魔力とすることはできないのです。
 でも諦めたわけではありません。
 今も研究してもらっています。
 魔晶石から魔力を私に戻すための魔法陣を研究中なのです。

「公爵閣下。
 次は魔力増幅の魔術巻物を展開してもらいます」

「分かったわ」

 ヨウナスに続いて私も魔術巻物を展開します。
 二人の魔法をシンクロさせて、単独の五倍の破壊力を生むのです。
 三人四人で同調できればいいのですが、今はまだ干渉反発してしまいます。
 まあ、今は二人で十分です。
 二人分五倍の破壊力があれば、ロクスバラ城を完全破壊可能です。

 城を破壊できても、ロクスバラ侯爵以下の一族一門、家臣たちを皆殺しにできるわけではありません。
 多くの者が死傷するでしょうが、生き残って反撃する者は結構いるでしょう。
 今回は速度重視で、従軍は飛行魔法の使える者に限定しました。
 生き残った敵と正面から戦うのは厳しいのです。
 ですが正面から戦わなければいいのです。

「予備の者たちも順次攻撃準備に入りなさい。
 ですが気をつけるのですよ。
 魔術展開する時間差を長くとりなさい。
 干渉反発させて威力を落としてはいけません。
 分かりましたね」

「「「「「はい!」」」」」

 これで上空からの遠距離魔法だけでロクスバラ侯爵家を滅ぼせると思うのですが、どうなることでしょうか?
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