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11話

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 私はグズグズと時間をかける気はありませんでした。
 勝つか負けるか、生きるか死ぬかの勝負です。
 乾坤一擲の勝負です。
 運を天にまかせて、のるかそるかの大勝負です。
 私は身体強化した脚力にまかせて、一気に飛び跳ねました!

 もちろんそれだけに賭けたわけではありません。
 用意できる限りの準備をしました。
 モントローズ公爵家に伝わる全ての魔道具を引っ張り出して、あらゆる組み合わせを試行錯誤し、利用できるモノは全て利用しました。

 能力増強ができる魔道具は全て装備しました。
 身体を軽くできる魔道具、体重を軽減できる魔道具を全て装備しました。
 魔道具単体では空を飛ぶことも、浮くこともできませんでしたが、脚力に任せて飛び上がる力を十倍にすることができました。
 その力を初めて披露したのです。

「グッ、がぁ、あ!
 なん、だと? 
 なにが、どうなっているんだ?!」

 腹部で身体を両断されたフセインが、血を吐きながら驚愕しています。
 私は奇麗にかっこよく殺す事は、最初からあきらめていました。
 武芸者のように首を刎ね飛ばしたり、袈裟懸けに斬り斃そうとして、空振りしてしまったら、最初で最後のチャンスを逃してしまいます。

 そこでフレインの身体の真ん中を狙って突くことにしました。
 最初から広く長く片刃の太刀を使って、当たる面積を広くとるのです。
 剣先ではなく、両手で刀身を横に持ったぶつかっていくのです。
 普通なら刀身全体を使いなら斬ると表現すべきなのですが、刀身全体を両手で固定して、脚力で跳んだ勢いで体当たりするのです。

 少しでも軌道がずれたら、身体をひねってフセインの中心に狙いを修正します。
 ですが軌道変更の必要はありませんでした。
 フセインは自分の魔力に絶対の自信があったのでしょう。
 確かにそれだけの実力があるからこそ、王家も多くの貴族も平身低頭していたのでしょうが、それが油断となったのです。

 私の捨て身の攻撃を避けられませんでした。
 自業自得というべきでしょう。
 斬り離されたフセインの上半身は、斬り口から内臓をタレ下げ、とめどなく血をまき散らしながらも、フセインの魔力で宙に浮いています。
 一方斬り離されたフセインの下半身は、斬り口から内臓をタレ下げ、とめどなく血をまき散らしながらも、地上に落ちています。

 フセインはまだしぶとく生きています。
 口からも血を吐いていますが、まだ生きています。
 身体を胴で両断されているので、横隔膜と肺が上手く動かせず、私への罵り声が届きませんが、口を動かしているのが分かります。
 まさかとは思いますが、この状態で生き続けられるのでしょうか?

「止めを刺してあげます!」
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