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本編
王太子無残
しおりを挟む アレクサンダー王子は、付かず離れず魔族達を追った。
魔族達も追われている事に気が付いていたが、引き離す事は出来なかった。
最奥に隠れていた魔族のリーダーも、二枚目の切り札を使うしかなかった。
「やってくれる」
「ふん、王太子を殺せるのか」
「殺すのは簡単だが、遺体を残さないといけないのが面倒だな」
「言ってくれる。こいつの装備はなかなかのモノだぞ」
「俺から見ればおもちゃ同然だよ」
「では、証明して見せろ」
王太子殿下に憑依している魔族は、別の傀儡子型魔族が操っている近衛騎士七騎と共に、アレクサンダー王子に襲い掛かった。
王太子殿下を支配下に置くまで、非常に苦心した魔族は、アレクサンダー王子の言う事など信じていなかった。
だが、アレクサンダー王子の言葉通り、近衛騎士七騎は一瞬で蒸発させられてしまった。
それなりの魔法が組み込まれていたはずの防具は、全く役に立たなかった。
「なんだと」
「この程度の魔法防具など、俺の敵ではない」
「おのれ。だが王太子の装備は、そう簡単に攻略出来んぞ」
「その程度の魔法など、児戯に等しい」
アレクサンダー王子はそう言うと一気に攻撃を開始した。
他の魔族や何か想定外の敵が介入しないように、多少威力の弱まった九十九の業火圧縮連弾を周囲に配置し、一つだけ王太子殿下の攻撃に使った。
兜の額部分に圧倒的な火力で穴を開け、そこで業火圧縮連弾を二つに分けて、王太子殿下を灰にしないように、遺体が残るような火力に調節して、身体の額に穴を開けて脳を破壊した。
「ウギャァァァ」
「馬鹿が。己の実力を思い知れ」
王太子殿下に憑依していた魔族は、身体から離脱出来ずに、王太子殿下と一緒に死んだ。
確かに元々王太子殿下が装備していた防具や武器、護符はこの国で二番目に強力なモノだった。
だから完全な状態で対決すれば、何度も何度も殺さなければいけなかっただろう。
だが王太子殿下は、魔族に負けるまで死力を尽くして戦ったのだ。
当然装備品は全て限界まで酷使されていた。
蘇生・復活の防具と護符は、完全に破損してしまっていた。
攻撃自動反射は機能していたが、自制を外して全力を駆使したアレクサンダー王子には全く効果がなかった。
「王太子殿下、すまない。事ここに行っては、殿下を生き返らせて国を譲るよりは、俺が統治した方が民の為になる。民の為国の為、死んでくれ」
断じて兄弟を殺したアレクサンダー王子ではあったが、臣下として仕える心算だった、半兄の王太子殿下を殺す事には忸怩たる思いがあったのか、思わず独り言をつぶやいていた。
魔族達も追われている事に気が付いていたが、引き離す事は出来なかった。
最奥に隠れていた魔族のリーダーも、二枚目の切り札を使うしかなかった。
「やってくれる」
「ふん、王太子を殺せるのか」
「殺すのは簡単だが、遺体を残さないといけないのが面倒だな」
「言ってくれる。こいつの装備はなかなかのモノだぞ」
「俺から見ればおもちゃ同然だよ」
「では、証明して見せろ」
王太子殿下に憑依している魔族は、別の傀儡子型魔族が操っている近衛騎士七騎と共に、アレクサンダー王子に襲い掛かった。
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だが、アレクサンダー王子の言葉通り、近衛騎士七騎は一瞬で蒸発させられてしまった。
それなりの魔法が組み込まれていたはずの防具は、全く役に立たなかった。
「なんだと」
「この程度の魔法防具など、俺の敵ではない」
「おのれ。だが王太子の装備は、そう簡単に攻略出来んぞ」
「その程度の魔法など、児戯に等しい」
アレクサンダー王子はそう言うと一気に攻撃を開始した。
他の魔族や何か想定外の敵が介入しないように、多少威力の弱まった九十九の業火圧縮連弾を周囲に配置し、一つだけ王太子殿下の攻撃に使った。
兜の額部分に圧倒的な火力で穴を開け、そこで業火圧縮連弾を二つに分けて、王太子殿下を灰にしないように、遺体が残るような火力に調節して、身体の額に穴を開けて脳を破壊した。
「ウギャァァァ」
「馬鹿が。己の実力を思い知れ」
王太子殿下に憑依していた魔族は、身体から離脱出来ずに、王太子殿下と一緒に死んだ。
確かに元々王太子殿下が装備していた防具や武器、護符はこの国で二番目に強力なモノだった。
だから完全な状態で対決すれば、何度も何度も殺さなければいけなかっただろう。
だが王太子殿下は、魔族に負けるまで死力を尽くして戦ったのだ。
当然装備品は全て限界まで酷使されていた。
蘇生・復活の防具と護符は、完全に破損してしまっていた。
攻撃自動反射は機能していたが、自制を外して全力を駆使したアレクサンダー王子には全く効果がなかった。
「王太子殿下、すまない。事ここに行っては、殿下を生き返らせて国を譲るよりは、俺が統治した方が民の為になる。民の為国の為、死んでくれ」
断じて兄弟を殺したアレクサンダー王子ではあったが、臣下として仕える心算だった、半兄の王太子殿下を殺す事には忸怩たる思いがあったのか、思わず独り言をつぶやいていた。
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