第十六王子の建国記

克全

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本編

再会二

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「若様!」
「よう。元気だったか」
「元気だったかじゃないですよ! 一緒に冒険してくださる約束はどうなったんですか」
「姉御も聞いているかもしれないが、あの後王都で色々な動きがあってね」
「え、あれに若様も巻き込まれてしまったのですか?!」
「ベン男爵の武名は鳴り響いているから、余も巻き込まれたのだよ」
「それは災難でしたね」
「まあそれは仕方のない事なのだが、だがそのせいでドラゴン魔境で狩りをして鍛錬する計画が、頓挫してしまったのだよ」
「それでアゼス魔境で狩りをなさることになったんですか?」
「いや、そこまで時間はないのだよ」
「どう言う事です」
「各地で戦いが起こってしまい、兵糧が不足しているのだよ」
「若様は戦争に行かれているのですか!?」
「ああ、これでも騎士家の部屋住みだから、戦争は仕官の好機だからね」
「でしたら家臣が必要なのではありませんか」
「姉御が手伝ってくれるのかい」
「御望みでしたら、いくらでも手伝わせていただきます」
「気持ちは嬉しいが、騎士家にも仕えてくれる譜代の卒族家がある。そしてその卒族家にも、仕官を望む次男三男がいるのだよ」
「仕官がしたいとは言いません。陣狩りと言うか、御手伝いさせていただけませんかね」
「戦場は男の欲望が剥き出しになる場所だ。姉御のような色っぽい人間がいると、余計な争いごとになってしまうのだよ」
「自分の身は自分で護れます」
「だがその事で味方に恨まれ、後ろから矢を射掛けられてしまう事もあるのだよ」
「どうしても駄目ですか」
「戦争が終わって、改めてドラゴン魔境に狩りに行くことがあれば、その時に考えるよ」
「本当ですね。約束しましたよ」
「やくそくは出来ないよ」
「何でですか!」
「必ず生きて帰れると言い切れないし、仕官が叶えば、御役目によっては、魔境での狩りが許されないこともあるからさ」
「そんな!」
「姉御の気持ちは嬉しいが、他国が攻め込んできた以上、武人には地位に応じた責任があるのだよ」
「だから狩りや冒険は出来ないと言われるのですか?」
「ああ。今回の狩りも冒険ではなく、兵糧の補給だからね」
「そんなに不利な状況なのですか?」
「いや、そうではない」
「では一体どう言う事なのですか」
「勝って捕虜が増えすぎてしまい、見張りに人員が取られてしまった上に、捕虜に喰わせる食糧が不足してしまったのだよ」
「ふぇ?」
「まあそれはネッツェ王国方面だけの事で、エステ王国方面では多くの民が殺されてしまっている」
「それは・・・・・」
「だから姉御、個人的な事は後回しになるのだよ」
「分かりました」
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