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本編
危機感
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「伝令だ」
「はい」
ベン大将軍の命令を受けて、伝令役の騎士が集まってきた。
「敵陣に魔獣の気配有り、魔法攻撃と魔獣の襲撃に備えよ」
「はい」
「しかし大将軍閣下、魔獣が溢れでたとしても、人間が操る事など不可能なのではありませんか?」
さすがに処分を免れた騎士達だけあって、どれだけ疑問があっても将軍の命令に躊躇する者はいない。
伝令役の騎士十二騎は、即座に担当の四個騎士団に駆けて行った。
同時に副官に任じられた騎士が、疑問に思う事を尋ねる。
唯々諾々と言いなりになるのではなく、戦況に影響を与える疑問は確認しようとする。
「探索の魔法を使うと同時に、長年の経験と比較検討したのだが、敵陣には膨大な魔力が感じられる」
「魔法使いの魔力ではないのですか?」
「それも感じられるが、それだけではない。魔獣独特の荒々しい魔力と気配が濃厚に感じられる。まるで竜と対峙しているかのようだ」
「そんな! いくら何でも竜がいるとは思えません」
「確かに竜が人間に使役されるとは考え難いが、竜に匹敵する何者かがいる」
「正直信じられないのですが」
「各騎士団も独自で探索をしているだろうが、竜クラスの敵と対峙したことがあるとは思えない」
「それは、確かにそうですが」
「竜の気配を知っているのは、ドラゴン魔境騎士団の幹部だけだろう」
「はい。それはその通りだと思います」
「エステ王国軍が、ドラゴン魔境騎士団が動けなくなってから攻め込んできたのが気になる」
「・・・・・」
「それに国境の堅城を一撃で破壊する魔法など、どれほど人数を集め時間をかけたとしても、人間だけで放てるとは思えない」
「大将軍閣下は、本気で竜が敵の中にいると考えておられるのですね」
「竜とは限らない。だが竜に匹敵する敵がいるのは確かだ。伝令!」
「はい」
「敵の中に竜に匹敵する者あり! 密集陣形に魔法攻撃を受けないように、百騎単位で散開包囲せよ」
「はい」
近くで副官との会話を聞いていた伝令第二版は、急いで駆けだした。
出陣前に簡単に会議はしたものの、ベン大将軍は王都騎士団を実際に指揮した事などない。
指揮下に入った四個王都騎士団も、団長と副団長に加え、副官や千騎長が処刑された騎士団だ。
御飾りどころか、邪魔でしかなかった団長や副団長などの幹部達だが、いなくなれば新たな団長や副団長、更には副官や千騎長を任命しなければならない。
処刑を免れた千騎長から、兼任の団長や副団長を任じ、千騎長の副官を団長副官や副団長副官に任命した。
後は玉突き式に、処分を免れた百騎長から臨時千騎長を選び、騎士長から百騎長を選ぶ。
百騎長単位で動くなら、何とか臨機応変な対応が可能だった。
何より国境の堅城を一撃で破壊したという魔法が心配だったのだ。
大規模な儀式魔法だという報告はあったが、ベン大将軍はその報告を鵜呑みにはしていなかった。
ネッツェ王国軍の中に、アレクサンダー殿下級の魔法使いがいれば、同じ事が可能だという事を、ベン大将軍はよく承知していたのだった。
「はい」
ベン大将軍の命令を受けて、伝令役の騎士が集まってきた。
「敵陣に魔獣の気配有り、魔法攻撃と魔獣の襲撃に備えよ」
「はい」
「しかし大将軍閣下、魔獣が溢れでたとしても、人間が操る事など不可能なのではありませんか?」
さすがに処分を免れた騎士達だけあって、どれだけ疑問があっても将軍の命令に躊躇する者はいない。
伝令役の騎士十二騎は、即座に担当の四個騎士団に駆けて行った。
同時に副官に任じられた騎士が、疑問に思う事を尋ねる。
唯々諾々と言いなりになるのではなく、戦況に影響を与える疑問は確認しようとする。
「探索の魔法を使うと同時に、長年の経験と比較検討したのだが、敵陣には膨大な魔力が感じられる」
「魔法使いの魔力ではないのですか?」
「それも感じられるが、それだけではない。魔獣独特の荒々しい魔力と気配が濃厚に感じられる。まるで竜と対峙しているかのようだ」
「そんな! いくら何でも竜がいるとは思えません」
「確かに竜が人間に使役されるとは考え難いが、竜に匹敵する何者かがいる」
「正直信じられないのですが」
「各騎士団も独自で探索をしているだろうが、竜クラスの敵と対峙したことがあるとは思えない」
「それは、確かにそうですが」
「竜の気配を知っているのは、ドラゴン魔境騎士団の幹部だけだろう」
「はい。それはその通りだと思います」
「エステ王国軍が、ドラゴン魔境騎士団が動けなくなってから攻め込んできたのが気になる」
「・・・・・」
「それに国境の堅城を一撃で破壊する魔法など、どれほど人数を集め時間をかけたとしても、人間だけで放てるとは思えない」
「大将軍閣下は、本気で竜が敵の中にいると考えておられるのですね」
「竜とは限らない。だが竜に匹敵する敵がいるのは確かだ。伝令!」
「はい」
「敵の中に竜に匹敵する者あり! 密集陣形に魔法攻撃を受けないように、百騎単位で散開包囲せよ」
「はい」
近くで副官との会話を聞いていた伝令第二版は、急いで駆けだした。
出陣前に簡単に会議はしたものの、ベン大将軍は王都騎士団を実際に指揮した事などない。
指揮下に入った四個王都騎士団も、団長と副団長に加え、副官や千騎長が処刑された騎士団だ。
御飾りどころか、邪魔でしかなかった団長や副団長などの幹部達だが、いなくなれば新たな団長や副団長、更には副官や千騎長を任命しなければならない。
処刑を免れた千騎長から、兼任の団長や副団長を任じ、千騎長の副官を団長副官や副団長副官に任命した。
後は玉突き式に、処分を免れた百騎長から臨時千騎長を選び、騎士長から百騎長を選ぶ。
百騎長単位で動くなら、何とか臨機応変な対応が可能だった。
何より国境の堅城を一撃で破壊したという魔法が心配だったのだ。
大規模な儀式魔法だという報告はあったが、ベン大将軍はその報告を鵜呑みにはしていなかった。
ネッツェ王国軍の中に、アレクサンダー殿下級の魔法使いがいれば、同じ事が可能だという事を、ベン大将軍はよく承知していたのだった。
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