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本編
「宿場役人の言い分」
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「ああ、ああ、ああ、何て事をしてくれたんですか、殿様方!」
「おい! こいつらは天下の街道で乱暴狼藉を働いていたのだ。それを倒した我々に対して、その言い方はおかしいのではないか?!」
急いで宿場役人を連れてきたロジャーが、自分が走って連れてきた宿場役人が何の役にも立たないことから、腹を立てて宿場役人を攻める言葉を吐いている。
「私ら宿場町に住む者は全員、この若殿様方の事は重々身に染みて承知しております。しかしながらフランク様の父上は、このあたり一帯を支配する代官様なのです。我ら平民は我慢するしかないのでございます」
「代官が息子の乱暴狼藉を見逃すと言うのなら、内務省の上役に報告するなり、王国の目付に報告するなりすればいいではないか」
「そんなことをすれば、報告した者が殺されてしまいます」
「それはいったいどういう事なんだ?」
大体の筋書きはパトリックも察しているのだろうが、宿場役人から直接言質を引き出したいのだろう。
「代官の上役である内務省の高官も、代官の不正を正すべき目付も、代官から送られる賄賂で手懐けられているのです」
「代官の手当だけで上役や目付を手懐けることなど出来まい。支配下王領地から不正に年貢を取り立てているのだな」
爺が深く静かに怒っている!
爺は父王陛下の名を汚すものを絶対に許さないから、もう俺が何をやろうと止めに入ることはないだろう。
「はい、ですがそれだけではありません。支配下宿場町の家々から不正に税を取り立てるのは当たり前で、王家が軍事用に提出を義務付けている魔境産の魔晶石や魔石、魔獣の素材まで横流しして金に換え、王都の高官にばら撒いているのです」
「そこまで分かっているのなら、内務省の上役や目付と言わず、大臣の宮中伯に訴え出ればいいではないか」
「殿様方は本当に何も分かっておられないのですよ」
「我らが何を分かっていないというのだ」
ロジャーはまだ若いから、自分達が小者扱いされるのが我慢出来ず、怒りを抑えられないのだろうが、ここまで話が進んだら、後の言葉くらい推察できないといけないね。
「代官の上役様や目付様程度だけではなく、宮中伯閣下も賄賂を受け取って不正を見逃しているのですよ。もうこの国は駄目なのです。王国の根幹まで腐りきっていて、民は皆暴政に苦しみ、救世主が現れることを願っているのです」
「問屋よ、御前の言い分を聞くと、国王陛下まで不正を見て見ぬ振りをしていると言っているように聞こえるが、それで構わないのだな」
「殿様方が若様方を倒して下さったので、王国全ての貴族士族様が腐り切っていないことは分かりました。しかしながら、このような若殿方が大手を振って天下の街道を闊歩し、御代官様が不正を欲しい侭にし、内務省の上役様も目付様も賄賂を受け取り不正を取り締まろうとしない。このような御政道を行う国王陛下を、民が立派な国王だと思うと思われるのですか?」
「ならば我が国王陛下が慈悲深い賢王だと言う事を証明してやろう」
「あなた様は一体どなた様なのでしょうか?」
「我は王家に御仕えするウィンギス男爵である」
「ふぅえ? 男爵閣下であらせられましたか?!」
「おかしな敬語など話さなくていい。それよりもこの屑どもの遺骸を宿場の番屋に叩き込んでおけ。そして御前は私達を代官所に案内するのだ」
「それは男爵閣下様が、直々に御代官様を成敗してくださると言う事でしょうか?」
「おかしな敬語はやめろと言っておる」
「へい、へい、へい、分かってはおるのですが、どうにも直せないのでございます」
やれやれ、問屋も爺を本気で怒らせてしまったと気付いて、冷静に話すことが出来なくなっているな。
「ウィンギス卿、そのような些細なことは気にしないで、早々に代官を成敗するべきではないですか」
「ふむ?」
「問屋の話を聞くと、代官は莫大な資金を手に入れているようだから、多くの私兵を雇っている可能性があります。迎撃の体制を整えられると、味方に死傷者がでてしまう可能性もありますから、急いで奇襲を仕掛けるべきではりませんか」
「アーサー殿の言う事も一理あるが、問屋の言い分だけで代官を処分する訳にも行かぬ。正々堂々と代官所に乗り込んで、不正の証拠を手に入れなければならぬ」
「男爵閣下、それはいくら何でも無謀でございます」
「問屋の言う通りですよ男爵。どうしても不正の証拠を手に入れる必要があるのなら、ロジャーを代官所に忍び込ませて、証拠の品を探させましょう」
「若殿様、その仕事は私に任せていただけませんか」
「ものすごく危険な仕事になるけど、姉御がやってくれるのかい?」
「御仲間に入れていただいて初めての仕事です。ここが斥候の腕の見せ所ですから」
どうするかな?
何気ない所作の一つ一つに隙がなく、凄腕の斥候なのは分かるが、心から信用できるかどうかは別問題だ。
それに俺には王家忍者の精鋭が影供についてくれているから、代官所の証拠品押収は彼らに任せたい。
「冒険者としての経験が豊富な姉御には、危険な魔人や魔獣が闊歩する、魔境内で不正の証拠を手に入れて欲しいんだ。代官所内の証拠品押収は、見つかっても対人戦闘だから、騎士としての修業を積んだロジャーとマーティンに任せたいんだ」
「そう言う事でしたら、私が魔境で不正の証拠を探してきましょう。ですが魔境内での不正の証拠と言っても、書付や帳簿は代官所内にあるのではありませんか?」
「確かに書付や帳簿は代官所にあるだろうけれど、そもそも魔人や魔獣の正しい討伐量が記されているとは思えないんだ」
「代官所に届けることなく、魔境内で全てが処理されていると言う事ですね」
「そうなんだ。だから実際に魔境内で狩りをしている者達に、正しい数を証言してもらえるように、説得してきてもらいたいんだ」
「説得ですか? う~ん、難しいと思いますが、難しいからこそ遣り甲斐もありますね。分かりました。魔境に行って証言してくれる冒険者か狩人を探してきます」
「頼みます。それで今更なんですが、姉御の名前をまだ聞いていない気がするんだが」
「あ? そうでしたそうでしたそうでした。私は斥候職のヴィヴィと申します。御前様と若殿様方には、これからよろしくお願い致します」
「丁寧な挨拶痛み入る。余は王家に仕えるベン・ウィンギス男爵だ」
「私はゴールウェイ騎士家の八男アーサーです」
「私はストリンガー騎士家の次男パトリックだ」
「私はセシル騎士家の次男マーティンだ」
「私はルイス騎士家の次男ロジャーだ」
「私は魔法使いのサイモンと言います。これから宜しく御願いしますね」
「魔法使いがおられるのなら、冒険者のパーティーとしては期待できる布陣ですが、出来れば回復魔法が使える神官が仲間に欲しいですね」
「その心配は無用じゃヴィヴィ。余も若い頃は冒険者のとして実戦を経験しておるし、攻撃魔法も回復魔法も使える賢騎士の称号を得ておる」
「私も少々ですが攻撃魔法と回復魔法の両方が使えます」
「俺は回復魔法が使える聖騎士の称号を得ている」
「私はまだ称号を得るほどではありませんが、攻撃魔法と回復魔法を学んでいます」
「私も攻撃魔法と回復魔法を学んでいて、いずれはウィンギス卿のように賢騎士の称号を得たいと思っている」
「これは、これは、凄いパーティーに入れていただいたようですね! ならなおさら初仕事は頑張らないといけませんね。では早速私は魔境に行ってまいりますが、報告はどちらにすればいいでしょう?」
「本陣が空いていれば本陣に宿をとるが、空いていなければ脇本陣に宿をとる。それも無理なら出来るだけ高級な宿を取る心算だから、どこに泊まっているかは宿の女中にでも聞いてくれ」
「分かりました、では行って参ります」
「頼んだぞ」
「はい!」
「では我々も代官所の方に行ってきます。いくぞ、ロジャー」
「おう! では行って参ります」
「2人とも周囲の確認は怠らないように」
俺が何も言わなくても、爺が二人に目配せしてくれて、忍者に任せるように合図してくれている。
俺に忍術を教えてくれたブラッドリーが差配してくれていると思うから、何の心配もないと思うが、マーティンとロジャーが手柄を焦ってしまうと、思いがけない失敗を犯してしまうかもしれない。
二人共に騎士家の長男として俺の小姓に選抜され、俺が臣籍降下する時に加増と引き換えに家を継ぎ陪臣にない予定だった。
だが俺が王領地を分与されず、独自に貴族家や士族家を興すことが出来たら、彼らも独自で陪臣家を興すことが出来る。
そうなれば弟達の誰かが実家を継ぐことが出来て、路頭に迷う心配がなくなる。
まあ別家を興すことが出来なくても、弟達を従士や徒士として領内分家させることも可能だし、最悪卒族にして路頭に迷わないようにする事も出来るが、そうすれば家臣の誰かが突き出されて召し放ちになってしまう。
だから彼らが独自に家を興すことは、自分の家族は勿論、家臣とその家族にとっても、将来を左右する重大な事なのだ。
平時では沈着冷静な者であっても、初めて重大な任務を任された事で、手柄を焦って失敗してしまうことも当然と言えば当然のだ。
「大丈夫でございますよ。ブラッドリーは歴戦の猛者ですから、ケツの青いマーティンやロジャーが少々失敗したとしても直ぐに尻拭いしてくれます。いや、失敗しそうなところは事前に先回りして、失敗しないように段取りしてくれます」
俺の心配など爺には御見通しだし、マーティンやロジャーの弱点や危険な兆候も、俺以上に理解しており、大きな失敗を犯さないように、事前準備をしてくれているのだろう。
だがそれでも、幼い頃から共に机を並べて学んだ家臣だから、どうしても心配してしまう。
「おい! こいつらは天下の街道で乱暴狼藉を働いていたのだ。それを倒した我々に対して、その言い方はおかしいのではないか?!」
急いで宿場役人を連れてきたロジャーが、自分が走って連れてきた宿場役人が何の役にも立たないことから、腹を立てて宿場役人を攻める言葉を吐いている。
「私ら宿場町に住む者は全員、この若殿様方の事は重々身に染みて承知しております。しかしながらフランク様の父上は、このあたり一帯を支配する代官様なのです。我ら平民は我慢するしかないのでございます」
「代官が息子の乱暴狼藉を見逃すと言うのなら、内務省の上役に報告するなり、王国の目付に報告するなりすればいいではないか」
「そんなことをすれば、報告した者が殺されてしまいます」
「それはいったいどういう事なんだ?」
大体の筋書きはパトリックも察しているのだろうが、宿場役人から直接言質を引き出したいのだろう。
「代官の上役である内務省の高官も、代官の不正を正すべき目付も、代官から送られる賄賂で手懐けられているのです」
「代官の手当だけで上役や目付を手懐けることなど出来まい。支配下王領地から不正に年貢を取り立てているのだな」
爺が深く静かに怒っている!
爺は父王陛下の名を汚すものを絶対に許さないから、もう俺が何をやろうと止めに入ることはないだろう。
「はい、ですがそれだけではありません。支配下宿場町の家々から不正に税を取り立てるのは当たり前で、王家が軍事用に提出を義務付けている魔境産の魔晶石や魔石、魔獣の素材まで横流しして金に換え、王都の高官にばら撒いているのです」
「そこまで分かっているのなら、内務省の上役や目付と言わず、大臣の宮中伯に訴え出ればいいではないか」
「殿様方は本当に何も分かっておられないのですよ」
「我らが何を分かっていないというのだ」
ロジャーはまだ若いから、自分達が小者扱いされるのが我慢出来ず、怒りを抑えられないのだろうが、ここまで話が進んだら、後の言葉くらい推察できないといけないね。
「代官の上役様や目付様程度だけではなく、宮中伯閣下も賄賂を受け取って不正を見逃しているのですよ。もうこの国は駄目なのです。王国の根幹まで腐りきっていて、民は皆暴政に苦しみ、救世主が現れることを願っているのです」
「問屋よ、御前の言い分を聞くと、国王陛下まで不正を見て見ぬ振りをしていると言っているように聞こえるが、それで構わないのだな」
「殿様方が若様方を倒して下さったので、王国全ての貴族士族様が腐り切っていないことは分かりました。しかしながら、このような若殿方が大手を振って天下の街道を闊歩し、御代官様が不正を欲しい侭にし、内務省の上役様も目付様も賄賂を受け取り不正を取り締まろうとしない。このような御政道を行う国王陛下を、民が立派な国王だと思うと思われるのですか?」
「ならば我が国王陛下が慈悲深い賢王だと言う事を証明してやろう」
「あなた様は一体どなた様なのでしょうか?」
「我は王家に御仕えするウィンギス男爵である」
「ふぅえ? 男爵閣下であらせられましたか?!」
「おかしな敬語など話さなくていい。それよりもこの屑どもの遺骸を宿場の番屋に叩き込んでおけ。そして御前は私達を代官所に案内するのだ」
「それは男爵閣下様が、直々に御代官様を成敗してくださると言う事でしょうか?」
「おかしな敬語はやめろと言っておる」
「へい、へい、へい、分かってはおるのですが、どうにも直せないのでございます」
やれやれ、問屋も爺を本気で怒らせてしまったと気付いて、冷静に話すことが出来なくなっているな。
「ウィンギス卿、そのような些細なことは気にしないで、早々に代官を成敗するべきではないですか」
「ふむ?」
「問屋の話を聞くと、代官は莫大な資金を手に入れているようだから、多くの私兵を雇っている可能性があります。迎撃の体制を整えられると、味方に死傷者がでてしまう可能性もありますから、急いで奇襲を仕掛けるべきではりませんか」
「アーサー殿の言う事も一理あるが、問屋の言い分だけで代官を処分する訳にも行かぬ。正々堂々と代官所に乗り込んで、不正の証拠を手に入れなければならぬ」
「男爵閣下、それはいくら何でも無謀でございます」
「問屋の言う通りですよ男爵。どうしても不正の証拠を手に入れる必要があるのなら、ロジャーを代官所に忍び込ませて、証拠の品を探させましょう」
「若殿様、その仕事は私に任せていただけませんか」
「ものすごく危険な仕事になるけど、姉御がやってくれるのかい?」
「御仲間に入れていただいて初めての仕事です。ここが斥候の腕の見せ所ですから」
どうするかな?
何気ない所作の一つ一つに隙がなく、凄腕の斥候なのは分かるが、心から信用できるかどうかは別問題だ。
それに俺には王家忍者の精鋭が影供についてくれているから、代官所の証拠品押収は彼らに任せたい。
「冒険者としての経験が豊富な姉御には、危険な魔人や魔獣が闊歩する、魔境内で不正の証拠を手に入れて欲しいんだ。代官所内の証拠品押収は、見つかっても対人戦闘だから、騎士としての修業を積んだロジャーとマーティンに任せたいんだ」
「そう言う事でしたら、私が魔境で不正の証拠を探してきましょう。ですが魔境内での不正の証拠と言っても、書付や帳簿は代官所内にあるのではありませんか?」
「確かに書付や帳簿は代官所にあるだろうけれど、そもそも魔人や魔獣の正しい討伐量が記されているとは思えないんだ」
「代官所に届けることなく、魔境内で全てが処理されていると言う事ですね」
「そうなんだ。だから実際に魔境内で狩りをしている者達に、正しい数を証言してもらえるように、説得してきてもらいたいんだ」
「説得ですか? う~ん、難しいと思いますが、難しいからこそ遣り甲斐もありますね。分かりました。魔境に行って証言してくれる冒険者か狩人を探してきます」
「頼みます。それで今更なんですが、姉御の名前をまだ聞いていない気がするんだが」
「あ? そうでしたそうでしたそうでした。私は斥候職のヴィヴィと申します。御前様と若殿様方には、これからよろしくお願い致します」
「丁寧な挨拶痛み入る。余は王家に仕えるベン・ウィンギス男爵だ」
「私はゴールウェイ騎士家の八男アーサーです」
「私はストリンガー騎士家の次男パトリックだ」
「私はセシル騎士家の次男マーティンだ」
「私はルイス騎士家の次男ロジャーだ」
「私は魔法使いのサイモンと言います。これから宜しく御願いしますね」
「魔法使いがおられるのなら、冒険者のパーティーとしては期待できる布陣ですが、出来れば回復魔法が使える神官が仲間に欲しいですね」
「その心配は無用じゃヴィヴィ。余も若い頃は冒険者のとして実戦を経験しておるし、攻撃魔法も回復魔法も使える賢騎士の称号を得ておる」
「私も少々ですが攻撃魔法と回復魔法の両方が使えます」
「俺は回復魔法が使える聖騎士の称号を得ている」
「私はまだ称号を得るほどではありませんが、攻撃魔法と回復魔法を学んでいます」
「私も攻撃魔法と回復魔法を学んでいて、いずれはウィンギス卿のように賢騎士の称号を得たいと思っている」
「これは、これは、凄いパーティーに入れていただいたようですね! ならなおさら初仕事は頑張らないといけませんね。では早速私は魔境に行ってまいりますが、報告はどちらにすればいいでしょう?」
「本陣が空いていれば本陣に宿をとるが、空いていなければ脇本陣に宿をとる。それも無理なら出来るだけ高級な宿を取る心算だから、どこに泊まっているかは宿の女中にでも聞いてくれ」
「分かりました、では行って参ります」
「頼んだぞ」
「はい!」
「では我々も代官所の方に行ってきます。いくぞ、ロジャー」
「おう! では行って参ります」
「2人とも周囲の確認は怠らないように」
俺が何も言わなくても、爺が二人に目配せしてくれて、忍者に任せるように合図してくれている。
俺に忍術を教えてくれたブラッドリーが差配してくれていると思うから、何の心配もないと思うが、マーティンとロジャーが手柄を焦ってしまうと、思いがけない失敗を犯してしまうかもしれない。
二人共に騎士家の長男として俺の小姓に選抜され、俺が臣籍降下する時に加増と引き換えに家を継ぎ陪臣にない予定だった。
だが俺が王領地を分与されず、独自に貴族家や士族家を興すことが出来たら、彼らも独自で陪臣家を興すことが出来る。
そうなれば弟達の誰かが実家を継ぐことが出来て、路頭に迷う心配がなくなる。
まあ別家を興すことが出来なくても、弟達を従士や徒士として領内分家させることも可能だし、最悪卒族にして路頭に迷わないようにする事も出来るが、そうすれば家臣の誰かが突き出されて召し放ちになってしまう。
だから彼らが独自に家を興すことは、自分の家族は勿論、家臣とその家族にとっても、将来を左右する重大な事なのだ。
平時では沈着冷静な者であっても、初めて重大な任務を任された事で、手柄を焦って失敗してしまうことも当然と言えば当然のだ。
「大丈夫でございますよ。ブラッドリーは歴戦の猛者ですから、ケツの青いマーティンやロジャーが少々失敗したとしても直ぐに尻拭いしてくれます。いや、失敗しそうなところは事前に先回りして、失敗しないように段取りしてくれます」
俺の心配など爺には御見通しだし、マーティンやロジャーの弱点や危険な兆候も、俺以上に理解しており、大きな失敗を犯さないように、事前準備をしてくれているのだろう。
だがそれでも、幼い頃から共に机を並べて学んだ家臣だから、どうしても心配してしまう。
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