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第一章
第7話:女は度胸
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「それが分かっていて平気で逆らうか、フランセス、いい度胸だな」
ヘンリーという奴が呆れたように答えている。
同じ騎士団長と言っていたから、この国でも有数の騎士なのだろう。
もしかしたら、俺はここにいる連中を全員相手にしても勝てるのか。
念のために手あたりしだいステータスを確認してやる。
『氏名:ヘンリー・ブラックリー』
人体:基礎/レベル54
職業:重戦士/レベル7
:HP/54/54
:MP/54/54
「戦闘スキル」
火魔術:レベル1
水魔術:レベル1
槍術 :レベル7
剣術 :レベル5
短剣 :レベル7
馬術 :レベル7
「生産スキル」
野営 :レベル1
突出したステータスの人間は限られているようだった。
騎士団長だと予想できる人間の基礎レベルは50を越えている。
職業レベルも最低でも7以上ある。
並の騎士だと思われる連中は基礎レベルが20前後だ。
職業レベルに至っては3か4がほとんどだ。
これなら全員を相手にしても勝てそうな気がする。
「別に平気なわけではないが、直ぐに殺されないくらいは分かるさ。
少なくとも召喚した性根の腐った勇者達が、私達より強くなるまでは処分されん。
いや、数各国を征服して、騎士団の規模が3倍や4倍にならない限り、私もアンも処分されたりはしない」
フランセスという名の女騎士団長が平然と言い放つ。
だとしたら、この国の王族はそれなりに賢く慎重なのだろう。
圧倒的な力を手に入れるまでは、利用できるモノを処分しないのだろう。
そんな狡賢い奴が、俺のステータスを確認しなかったのは助かった。
情けない話だが、俺の見掛けからは、よほど小者感が出ているのだろうな。
「それはそうだろうが、何もこれ以上目をつけられる事をする必要もないだろう。
かわいそうだが、この爺さんを殺して印象をよくしたらどうだ」
こら、ヘンリー、余計な事を言うな。
「そんなことができるほど世渡りが上手ければ、最初から王族に相手に逆らわんよ。
それに、年寄りや子供には優しくしろと言われて育ったんだ。
捨て子の私を育ててくれた養母の教えは絶対に守る」
「本当にいいのか、フランセス。
お前が逆らうと、見せしめのためのその養母殿も殺されるかもしれないんだぞ」
「そんな事は分かっているよ。
それでも助けないと養母殿にケツを蹴り上げられちまうよ」
その養母という人は凄いな。
女が騎士団長に成れるのが、この世界で普通の事だとは思えない。
よほど優秀な師匠に恵まれ、たゆまない努力を重ねなければ不可能だろう。
養母という人もフランセスに負けないくらいの女傑なのだろな。
「分かった、分かった、負けだ、負けだ。
それでこの爺さんをどうするつもりだ」
「アンと一緒にエリザベス王女の監視に行かせる。
この国に置いておいたら、あの腐れ勇者どもに殺されるかもしれない。
私も好きで王家の方針に逆らいたいわけじゃない。
もめ事になりそうにモノはスタッフォード王国に送るさ」
スタッフォード王国か、どうやら言葉の感じから下に見ているようだ。
王女の監視という事は、属国なのかもしれない。
今から勇者を鍛えて大陸制覇を始めるのではなく、大陸制覇をしようとして行き詰まったから、慌てて勇者を召喚したのか?
「そうか、それがいいな。
あの国を監視に行く部隊の奴隷にしたと言うのなら、ジョージ王孫殿下のめんもくもたもたれて、フランセスが処分を受ける事もあるまい。
爺さんを急いで王城から出してしまおう
肩を並べて戦う仲間が、家柄だけの弱い騎士団長では、こっちの命まで危うくなるからな」
ヘンリーという奴が呆れたように答えている。
同じ騎士団長と言っていたから、この国でも有数の騎士なのだろう。
もしかしたら、俺はここにいる連中を全員相手にしても勝てるのか。
念のために手あたりしだいステータスを確認してやる。
『氏名:ヘンリー・ブラックリー』
人体:基礎/レベル54
職業:重戦士/レベル7
:HP/54/54
:MP/54/54
「戦闘スキル」
火魔術:レベル1
水魔術:レベル1
槍術 :レベル7
剣術 :レベル5
短剣 :レベル7
馬術 :レベル7
「生産スキル」
野営 :レベル1
突出したステータスの人間は限られているようだった。
騎士団長だと予想できる人間の基礎レベルは50を越えている。
職業レベルも最低でも7以上ある。
並の騎士だと思われる連中は基礎レベルが20前後だ。
職業レベルに至っては3か4がほとんどだ。
これなら全員を相手にしても勝てそうな気がする。
「別に平気なわけではないが、直ぐに殺されないくらいは分かるさ。
少なくとも召喚した性根の腐った勇者達が、私達より強くなるまでは処分されん。
いや、数各国を征服して、騎士団の規模が3倍や4倍にならない限り、私もアンも処分されたりはしない」
フランセスという名の女騎士団長が平然と言い放つ。
だとしたら、この国の王族はそれなりに賢く慎重なのだろう。
圧倒的な力を手に入れるまでは、利用できるモノを処分しないのだろう。
そんな狡賢い奴が、俺のステータスを確認しなかったのは助かった。
情けない話だが、俺の見掛けからは、よほど小者感が出ているのだろうな。
「それはそうだろうが、何もこれ以上目をつけられる事をする必要もないだろう。
かわいそうだが、この爺さんを殺して印象をよくしたらどうだ」
こら、ヘンリー、余計な事を言うな。
「そんなことができるほど世渡りが上手ければ、最初から王族に相手に逆らわんよ。
それに、年寄りや子供には優しくしろと言われて育ったんだ。
捨て子の私を育ててくれた養母の教えは絶対に守る」
「本当にいいのか、フランセス。
お前が逆らうと、見せしめのためのその養母殿も殺されるかもしれないんだぞ」
「そんな事は分かっているよ。
それでも助けないと養母殿にケツを蹴り上げられちまうよ」
その養母という人は凄いな。
女が騎士団長に成れるのが、この世界で普通の事だとは思えない。
よほど優秀な師匠に恵まれ、たゆまない努力を重ねなければ不可能だろう。
養母という人もフランセスに負けないくらいの女傑なのだろな。
「分かった、分かった、負けだ、負けだ。
それでこの爺さんをどうするつもりだ」
「アンと一緒にエリザベス王女の監視に行かせる。
この国に置いておいたら、あの腐れ勇者どもに殺されるかもしれない。
私も好きで王家の方針に逆らいたいわけじゃない。
もめ事になりそうにモノはスタッフォード王国に送るさ」
スタッフォード王国か、どうやら言葉の感じから下に見ているようだ。
王女の監視という事は、属国なのかもしれない。
今から勇者を鍛えて大陸制覇を始めるのではなく、大陸制覇をしようとして行き詰まったから、慌てて勇者を召喚したのか?
「そうか、それがいいな。
あの国を監視に行く部隊の奴隷にしたと言うのなら、ジョージ王孫殿下のめんもくもたもたれて、フランセスが処分を受ける事もあるまい。
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