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「そういう事なら冒険者ギルドを立ち上げましょう」
「冒険者ギルドを立ち上げる?
誘致するのか?
あんな僻地に支部や出張所を出してくれるとは思えんが?」
私の話にフェルガー辺境伯クヴァール卿が驚いています。
ですがそれも当然でしょう。
せっかく狩った素材や食肉も、主要な消費地に届けるまでに傷んでしまいます。
魔法袋を使うという方法もありますが、あんな高価なものを使うに見合う素材や食肉が、簡単に手に入るとは思えないのでしょう。
「クヴァール卿が考えている通り、冒険者ギルドは採算が合わないから受けてくれないでしょう。
だから私達で独自の冒険者ギルドを設立するのですよ。
私達が買い取り販売すれば、冒険者や猟師も集まります」
「独自で冒険者ギルドを設立するのはいいが、買い取り資金はどうするんだ。
俺にはそんな金などないぞ?」
「心配はいりませんよ。
辺境伯領には珍しい薬草が一杯ありました。
それをたくさん摘んでおいたのです。
クヴァール卿は王宮に行っている間に、全部売って現金に変えてあります」
「いや、だが、それはカサンドラ殿の金だ。
使うわけにはいかん」
「誰も差し上げるとは言っていませんよ。
貸すだけです。
それに、王国税法では領主には二割から四割の税を課すことができます。
まずは私が払う二割分の税を使い、それでも足りなければ私が貸します。
返せない時は、その金額分の領地を、トール神殿の領地として割譲してもらいますから、何の心配もいりませんよ」
クヴァール卿が唖然としていますが、大丈夫です。
国王と大臣達の出した条件に、神殿の誘致は許されています。
私が仲間に加わっていて、トール神を布教している事も耳に入っています、
トール神殿を建築し、フェルガー辺境伯家の領教とする事も、クヴァール卿に許可をもらっています。
今さら驚くような事ではないのですが、何に驚いたのでしょうか?
「クヴァール卿、いったい何を驚いているのですか?
領内にトール神殿を作らせてもらう事は、私との約束していた事ですよね?
そのためにわざわざ国王陛下と大臣の方々に許可を頂いたのでしょ?」
「いや、俺に知恵を授け、力を貸してくれることで、神殿領を割譲すると思っていたので、金まで貸してくれるとは思ってもいなかったんだ」
本当にお人好しですね。
これでよく冒険者をやれていたものです。
たぶんですが、いい仲間に恵まれていたんでしょう。
そうでなければ、冒険者ギルドや依頼者に喰いモノにされていたことでしょう。
そのような仲間と別れなければいけなかったのは、本当に惜しい事です。
「では条件を冒険者ギルド王都本部と話し合いましょう。
独立した冒険者ギルドを設立するにしても、いまある冒険者ギルドに話を通して、冒険者や狩人を派遣してもらわなければいけません」
「冒険者ギルドを立ち上げる?
誘致するのか?
あんな僻地に支部や出張所を出してくれるとは思えんが?」
私の話にフェルガー辺境伯クヴァール卿が驚いています。
ですがそれも当然でしょう。
せっかく狩った素材や食肉も、主要な消費地に届けるまでに傷んでしまいます。
魔法袋を使うという方法もありますが、あんな高価なものを使うに見合う素材や食肉が、簡単に手に入るとは思えないのでしょう。
「クヴァール卿が考えている通り、冒険者ギルドは採算が合わないから受けてくれないでしょう。
だから私達で独自の冒険者ギルドを設立するのですよ。
私達が買い取り販売すれば、冒険者や猟師も集まります」
「独自で冒険者ギルドを設立するのはいいが、買い取り資金はどうするんだ。
俺にはそんな金などないぞ?」
「心配はいりませんよ。
辺境伯領には珍しい薬草が一杯ありました。
それをたくさん摘んでおいたのです。
クヴァール卿は王宮に行っている間に、全部売って現金に変えてあります」
「いや、だが、それはカサンドラ殿の金だ。
使うわけにはいかん」
「誰も差し上げるとは言っていませんよ。
貸すだけです。
それに、王国税法では領主には二割から四割の税を課すことができます。
まずは私が払う二割分の税を使い、それでも足りなければ私が貸します。
返せない時は、その金額分の領地を、トール神殿の領地として割譲してもらいますから、何の心配もいりませんよ」
クヴァール卿が唖然としていますが、大丈夫です。
国王と大臣達の出した条件に、神殿の誘致は許されています。
私が仲間に加わっていて、トール神を布教している事も耳に入っています、
トール神殿を建築し、フェルガー辺境伯家の領教とする事も、クヴァール卿に許可をもらっています。
今さら驚くような事ではないのですが、何に驚いたのでしょうか?
「クヴァール卿、いったい何を驚いているのですか?
領内にトール神殿を作らせてもらう事は、私との約束していた事ですよね?
そのためにわざわざ国王陛下と大臣の方々に許可を頂いたのでしょ?」
「いや、俺に知恵を授け、力を貸してくれることで、神殿領を割譲すると思っていたので、金まで貸してくれるとは思ってもいなかったんだ」
本当にお人好しですね。
これでよく冒険者をやれていたものです。
たぶんですが、いい仲間に恵まれていたんでしょう。
そうでなければ、冒険者ギルドや依頼者に喰いモノにされていたことでしょう。
そのような仲間と別れなければいけなかったのは、本当に惜しい事です。
「では条件を冒険者ギルド王都本部と話し合いましょう。
独立した冒険者ギルドを設立するにしても、いまある冒険者ギルドに話を通して、冒険者や狩人を派遣してもらわなければいけません」
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