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第2章
第99話:収穫
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神歴1818年皇歴214年10月1日帝国北部大山脈裾野:ロジャー皇子視点
帝国民を飢えさせない為の大山脈開拓はとても順調だった。
大山脈に生えている大木を手当たり次第伐採して、魔術で乾燥させた。
皇国では自然乾燥させたが、それは船大工に魔海航行艦の建造技術がなく、これまでに伐採していた材木を使って練習した方が良かったからだ。
だが帝国には、魔海航行艦を今直ぐ建造できる優秀な船大工が数多くいた。
普通の材木よりも強度のある大山脈の魔樹を使った方が、遥かに強度のある魔海航行艦を建造できると分かっていたので、余計な魔力を使っても乾燥させた。
それも、大山脈の開拓が順調だったからできた事だ。
俺が自重をかなぐり捨ててやった開拓で、膨大な量の穀物が実った。
解放奴隷の女子供だけでは、100分の1も収穫できない量の穀物だ。
訓練をしていた解放奴隷の巡回部隊、帝国北部にすむ平民を総動員しなければ、とても全部収穫できないくらい膨大な量に収穫だった。
その多さは、1度の収穫だけで全帝国民の年間消費量を軽く超えていた。
2度目の収穫で、帝国全土が凶作になっても大丈夫な量、1年分の備蓄がでいた。
3度目の収穫で、2年分の備蓄ができた。
今は普通にこれまでの農地からの実りを収穫している。
これで3年分の穀物を備蓄できたことになる。
これだけの余裕ができたら、造船用の魔樹を魔力で乾燥させられた。
余裕ができたら少しはゆっくりしたいと思うのが普通の人間だ。
俺だってゆっくりと読書を楽しむ時間が欲しい。
食べられるだけ食べて魔力を蓄えるのは休まないが、少しは発散したくなる。
とはいえ、解放奴隷の村が安全なのか確かめないと読書を楽しめない。
孤児院の子供たちが飢えていないか気になって仕方がない。
「クモちゃん、パンが美味しいね!」
解放奴隷の少女が守護のクモ型使い魔に笑顔で話しかけている。
両親に捨てられた子、両親を亡くした子は親身になってくれる者がいない。
孤児院のような組織は作ったが、陰に隠れて悪事を働く者は必ず現れる
バカで身勝手な者ほど、隠れてやれば見つからないと考えて悪事を働く。
善良は人たちも少しはいるが、彼らには優先しなければいけない家族がいる。
実際、自分や家族が生きていくだけで精一杯だと、他の事には無関心になる。
孤児院という俺が作った組織で、権力を持っていると思われる者の悪事を告発しようとするような、根性のある者はほとんどいない。
俺の作った組織で、俺の権力を笠に着て、弱者を苦しめる者は絶対に許さない!
特に、弱い女子供を苦しめる者は絶対に許さない!
だから、孤児には1人につき1体の使い魔を守り手としてつけた。
子供の中で諍いが起こったら、俺の血と魔力を分けた指揮官使い魔に裁定させる。
最初は数が必要だったので、1番弱い使い魔をつけていた。
だが少し余裕ができてきたので、血と魔力を分けて強く賢くしている。
今日も余裕ができた時間を使って孤児たちを見て回っていた。
そこで、使い魔と心を通わせる少女を見かけたのだ。
自分用に分け与えられたパンを、クモ型の使い魔と分けて食べている。
「オイシイ、ミュウトタベルパン、オイシイ」
多くの孤児が、力の有る男の子の下に集まって徒党を組もうとする。
十分な衣食住が与えられているのに、他の子の分を奪おうとする。
権力を手に入れて人を支配する快感に浸ろうとする。
悪事を働くかもしれない大人を排除しても、子供の中に悪人が生まれてくる。
苦しい生活をしてきた年長の子ほど、そういう傾向がある。
ある程度は仕方がないのかもしれないが、行き過ぎた年長孤児には罰を与えた。
最初に兆候があった頃は、俺もまだ色々と忙しくて余裕がなかった。
だから孤児に対する罰は使い魔に任せていた。
群れをつくる習性のある使い魔は、下位の反抗にはとても厳しい。
クソガキが二度と悪事を働かないように徹底的に痛めつける。
大怪我させると自分たちでは治せないので、ケガの度合いは軽いのだが、激烈な痛みと精神的に折れるような罰を与えた。
性根が腐っていると分かった孤児たちは、善良な孤児、幼い孤児から離した。
今度何かやったら殺すと伝えて隔離した村に住ませた。
他の人間とは行き来できない、大山脈の開拓地でも少し奥まった場所に作った村に住まわせて、他人に迷惑を掛けないようにした。
護衛と監視を兼ねた使い魔たちがいるので、俺に余裕がある場合は絶対に悪事をさせないが、何時何があって使い魔を引き揚げさせるか分からない。
どうしても使い魔を引き上げさせないといけないのなら、悪人につけている使い魔を引き上げる。
守る者と見殺しにする者を選別しなければいけないくらい追い込まれたら、過去に悪事を働いた者、国が乱れたら必ず悪事を働く者を見殺しにする。
そういう基準で住む場所、村を作る場所を決めた。
悪人は、大山脈の開拓地の中では奥まった場所にある村に住まわせた。
善人は、できるだけ帝国の中央にある開拓村に住まわせた。
「もっと食べる?
食べないと死んじゃうよ、クモさんが死んじゃったらまた1人いなっちゃう」
「ダイジョウブ、ムシヲタベタカラダイジョウブ、ミュウモタベル?」
クモ型の使い魔がそう言うと、女の子がうれしそうに笑みを浮かべる。
使い魔が知らせてくれた通りだった、この子は使い魔と心を通わせる事ができる。
この子につけた使い魔に血を与えて、もっと強く賢くしよう。
ミュウと呼ばれている女の子に、魔力を高める方法や魔術を教えられるくらい、強く賢い使い魔にしよう。
効率だけを考えれば、もっと簡単に賢くなれる、イヌ型やサル型の魔獣に護り役を代えるべきなのだが、ここまで愛情を通わせているのは無視できない。
帝国民を飢えさせない為の大山脈開拓はとても順調だった。
大山脈に生えている大木を手当たり次第伐採して、魔術で乾燥させた。
皇国では自然乾燥させたが、それは船大工に魔海航行艦の建造技術がなく、これまでに伐採していた材木を使って練習した方が良かったからだ。
だが帝国には、魔海航行艦を今直ぐ建造できる優秀な船大工が数多くいた。
普通の材木よりも強度のある大山脈の魔樹を使った方が、遥かに強度のある魔海航行艦を建造できると分かっていたので、余計な魔力を使っても乾燥させた。
それも、大山脈の開拓が順調だったからできた事だ。
俺が自重をかなぐり捨ててやった開拓で、膨大な量の穀物が実った。
解放奴隷の女子供だけでは、100分の1も収穫できない量の穀物だ。
訓練をしていた解放奴隷の巡回部隊、帝国北部にすむ平民を総動員しなければ、とても全部収穫できないくらい膨大な量に収穫だった。
その多さは、1度の収穫だけで全帝国民の年間消費量を軽く超えていた。
2度目の収穫で、帝国全土が凶作になっても大丈夫な量、1年分の備蓄がでいた。
3度目の収穫で、2年分の備蓄ができた。
今は普通にこれまでの農地からの実りを収穫している。
これで3年分の穀物を備蓄できたことになる。
これだけの余裕ができたら、造船用の魔樹を魔力で乾燥させられた。
余裕ができたら少しはゆっくりしたいと思うのが普通の人間だ。
俺だってゆっくりと読書を楽しむ時間が欲しい。
食べられるだけ食べて魔力を蓄えるのは休まないが、少しは発散したくなる。
とはいえ、解放奴隷の村が安全なのか確かめないと読書を楽しめない。
孤児院の子供たちが飢えていないか気になって仕方がない。
「クモちゃん、パンが美味しいね!」
解放奴隷の少女が守護のクモ型使い魔に笑顔で話しかけている。
両親に捨てられた子、両親を亡くした子は親身になってくれる者がいない。
孤児院のような組織は作ったが、陰に隠れて悪事を働く者は必ず現れる
バカで身勝手な者ほど、隠れてやれば見つからないと考えて悪事を働く。
善良は人たちも少しはいるが、彼らには優先しなければいけない家族がいる。
実際、自分や家族が生きていくだけで精一杯だと、他の事には無関心になる。
孤児院という俺が作った組織で、権力を持っていると思われる者の悪事を告発しようとするような、根性のある者はほとんどいない。
俺の作った組織で、俺の権力を笠に着て、弱者を苦しめる者は絶対に許さない!
特に、弱い女子供を苦しめる者は絶対に許さない!
だから、孤児には1人につき1体の使い魔を守り手としてつけた。
子供の中で諍いが起こったら、俺の血と魔力を分けた指揮官使い魔に裁定させる。
最初は数が必要だったので、1番弱い使い魔をつけていた。
だが少し余裕ができてきたので、血と魔力を分けて強く賢くしている。
今日も余裕ができた時間を使って孤児たちを見て回っていた。
そこで、使い魔と心を通わせる少女を見かけたのだ。
自分用に分け与えられたパンを、クモ型の使い魔と分けて食べている。
「オイシイ、ミュウトタベルパン、オイシイ」
多くの孤児が、力の有る男の子の下に集まって徒党を組もうとする。
十分な衣食住が与えられているのに、他の子の分を奪おうとする。
権力を手に入れて人を支配する快感に浸ろうとする。
悪事を働くかもしれない大人を排除しても、子供の中に悪人が生まれてくる。
苦しい生活をしてきた年長の子ほど、そういう傾向がある。
ある程度は仕方がないのかもしれないが、行き過ぎた年長孤児には罰を与えた。
最初に兆候があった頃は、俺もまだ色々と忙しくて余裕がなかった。
だから孤児に対する罰は使い魔に任せていた。
群れをつくる習性のある使い魔は、下位の反抗にはとても厳しい。
クソガキが二度と悪事を働かないように徹底的に痛めつける。
大怪我させると自分たちでは治せないので、ケガの度合いは軽いのだが、激烈な痛みと精神的に折れるような罰を与えた。
性根が腐っていると分かった孤児たちは、善良な孤児、幼い孤児から離した。
今度何かやったら殺すと伝えて隔離した村に住ませた。
他の人間とは行き来できない、大山脈の開拓地でも少し奥まった場所に作った村に住まわせて、他人に迷惑を掛けないようにした。
護衛と監視を兼ねた使い魔たちがいるので、俺に余裕がある場合は絶対に悪事をさせないが、何時何があって使い魔を引き揚げさせるか分からない。
どうしても使い魔を引き上げさせないといけないのなら、悪人につけている使い魔を引き上げる。
守る者と見殺しにする者を選別しなければいけないくらい追い込まれたら、過去に悪事を働いた者、国が乱れたら必ず悪事を働く者を見殺しにする。
そういう基準で住む場所、村を作る場所を決めた。
悪人は、大山脈の開拓地の中では奥まった場所にある村に住まわせた。
善人は、できるだけ帝国の中央にある開拓村に住まわせた。
「もっと食べる?
食べないと死んじゃうよ、クモさんが死んじゃったらまた1人いなっちゃう」
「ダイジョウブ、ムシヲタベタカラダイジョウブ、ミュウモタベル?」
クモ型の使い魔がそう言うと、女の子がうれしそうに笑みを浮かべる。
使い魔が知らせてくれた通りだった、この子は使い魔と心を通わせる事ができる。
この子につけた使い魔に血を与えて、もっと強く賢くしよう。
ミュウと呼ばれている女の子に、魔力を高める方法や魔術を教えられるくらい、強く賢い使い魔にしよう。
効率だけを考えれば、もっと簡単に賢くなれる、イヌ型やサル型の魔獣に護り役を代えるべきなのだが、ここまで愛情を通わせているのは無視できない。
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