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第2章
第92話:内政
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神歴1818年皇歴214年8月10日帝国帝都帝宮:ロジャー皇子視点
「殿下、帝国全土を完全に掌握したとは言い切れませんが、帝都の掌握は終わりました、この後の指示をお願いします」
アントニオ騎士隊長が次の指示を求めてきた。
彼には帝国軍の総司令官になってもらった。
帝国軍の総司令官ともなれば、侵略征服した国の騎士や徒士を束ねないといけないので、それなりの直臣を持っているとはいえ、とても大変だと思う。
だが、俺が心から信用できる者は護衛騎士以外にはいないので、彼に頑張ってもらうしかない。
アントニオ騎士隊長には、帝国内にも領地を与えよう。
大山脈以外の場所でも、俺の魔力と魔術を使えば広大な荒地を豊かな農地に変えられるから、その収穫で開放奴隷から見所のある者を家臣にできるようにしよう。
「国境線には使い魔を放っているから、隣国の侵攻は心配しなくていい。
アントニオ帝国軍総司令官には、帝都の掌握と軍の訓練を頼む。
特に解放奴隷で編成した巡視部隊の強化を期待している。
その中から能力のある者を直臣にしろ、必要な領地と費用は俺が用意する」
「過分な褒美を賜り感謝の言葉もございません。
殿下ご恩に報い、ご期待に添えるように、精一杯頑張ります」
アントニオ帝国軍総司令官は、そう返事をすると急いで政務室を出て行った。
本当に忙しいから、最近では報告以外に会う事が少なくなった。
彼としては、護衛騎士隊長として俺の側にいたいのだろうが、現状自分以外に帝国軍を束ねられる者がいないのも理解してくれている。
「殿下、大山脈の開拓の方はどうなっているのですか?」
アントニオ騎士隊長に代わって、常に俺の側にいて守ってくれている、ウッディ騎士長が内政について聞いて来た。
「土魔術で耕して、正確さよりも早さを優先して種をまいたから、正確に間隔を計って種をまくようにはいかないが、ずんずん育っている。
このまま上手く行けば、年内に2回から5回の収穫が期待できる」
「飛竜が襲って来る気配はありますか?」
俺が説明しなくても、皇国民なら大山脈の危険は良く知っている。
皇国でも、迂闊に飛竜の縄張りに入って喰い殺された者が多いのだ。
「今のところ飛竜の気配は一切ない。
魔獣や魔蟲が俺の植えた麦を狙って現れるが、それは使い魔が斃してくれている」
今のところ、俺の使い魔に斃せない魔獣や魔蟲は現れていない。
魔獣が人間を狙ってくれるお陰で、使い魔の餌を用意する必要が無くなった。
肉以外は素材として有効に使えている。
植えた麦の種や成長した麦を狙う魔鳥や魔蟲も、使い魔の餌になってくれている。
特に魔蟲は、虫型使い魔の良い餌になってくれている。
お陰で俺は、開拓以外で帝国北部に行かなくても良くなった。
そうは言っても、毎日北部に行って時間の許す限り開拓をしている。
麦を育てられるくらいに大地を耕し、急いで種をまいている。
管理と手入れは、解放奴隷の女子供に任せている。
解放奴隷の男たちには、巡回部隊として戦闘訓練をさせている。
帝国騎士に負けないくらい強くなったら、後は好きにしてもらうが、今は自衛できるだけの武力を鍛える時だ。
帝国に残る道を選んだのだ、俺の加護を失う覚悟はしている。
自分だけでなく家族も自分の力で守らなければいけない。
その為の鍛錬から逃げる事は許されないし許さない!
「テキノテイサツ、コロス?」
帝国の西国境を見張らせているトビの使い魔から念話が伝わって来た。
それでなくても視力の良い鳥が、俺の血と魔力を与えられて、とんでもなく遠くまで正確に見渡せる視力を手に入れたのだ。
「人質のような者はいないか?
意識をもっと強く繋ぐから待ってくれ」
「アルジ、マツ」
膨大な数の使い魔と、意識を密接に繋ぎ過ぎると情報過多で狂ってしまう。
だから、普段はほとんどの使い魔との繋がりを断っている。
だが、あまりに長く繋がりを断つと使い魔ではなくなってしまうので、1日に1度は、数秒間だけでも軽く繋ぐようにしている。
特に、大山脈で農業をしている民を護っている使い魔と、東西の国境や海を見張り護ってくれている使い魔は、他の使い魔よりは長く強く繋げる。
今回のように敵を見つけてくれた使い魔には、意識を乗り移すくらい深く強く繋げるので、使い魔たちが争って敵を探してくれる。
軍服は着ていないが、動きが猟師や農民ではない者が54人もいる。
普通に考えて敵の偵察部隊だが、全く懲りない連中だ。
俺に何人の人間を殺させるつもりなのだ!?
毎日のように偵察を送り込んでは皆殺しにあっているのに、全く諦めない。
王が命じているのか大臣が命じているのかは分からないが、無残に殺される兵士達の恐怖と無念を全く分かっていない。
彼らにだって人生があり、家族もいれば恋人もいるのだ。
それを、全く勝ち目がないどころか、近づくだけでも殺されると分かっていて偵察を命じるなんて、どれほど愚かで身勝手なんだ!
とはいえ、偵察に来た奴を見逃す訳にはいかない。
ここで手心を加えたら、必ず図に乗って大軍を送り込んでくる。
どれほどの大軍でも瞬殺する力はあるが、その魔力が惜しいのだ。
今使える魔力は全て大山脈の開拓に使いたい。
解放奴隷と貧民がお腹一杯食べられるように、できるだけ多くの収穫を得たい。
できる事なら数年分の備蓄を作っておきたいのだ。
「でみるだけ苦しまないように殺してやってくれ」
「クルシマナイヨウニ、コロス」
卑怯なのは分かっているが、自分の手で殺すのは嫌だった。
全く相手にならない弱い人間を殺すのが嫌だった。
それでも、繋がりは切らずに自分の罪を最後まで見た。
「殿下、帝国全土を完全に掌握したとは言い切れませんが、帝都の掌握は終わりました、この後の指示をお願いします」
アントニオ騎士隊長が次の指示を求めてきた。
彼には帝国軍の総司令官になってもらった。
帝国軍の総司令官ともなれば、侵略征服した国の騎士や徒士を束ねないといけないので、それなりの直臣を持っているとはいえ、とても大変だと思う。
だが、俺が心から信用できる者は護衛騎士以外にはいないので、彼に頑張ってもらうしかない。
アントニオ騎士隊長には、帝国内にも領地を与えよう。
大山脈以外の場所でも、俺の魔力と魔術を使えば広大な荒地を豊かな農地に変えられるから、その収穫で開放奴隷から見所のある者を家臣にできるようにしよう。
「国境線には使い魔を放っているから、隣国の侵攻は心配しなくていい。
アントニオ帝国軍総司令官には、帝都の掌握と軍の訓練を頼む。
特に解放奴隷で編成した巡視部隊の強化を期待している。
その中から能力のある者を直臣にしろ、必要な領地と費用は俺が用意する」
「過分な褒美を賜り感謝の言葉もございません。
殿下ご恩に報い、ご期待に添えるように、精一杯頑張ります」
アントニオ帝国軍総司令官は、そう返事をすると急いで政務室を出て行った。
本当に忙しいから、最近では報告以外に会う事が少なくなった。
彼としては、護衛騎士隊長として俺の側にいたいのだろうが、現状自分以外に帝国軍を束ねられる者がいないのも理解してくれている。
「殿下、大山脈の開拓の方はどうなっているのですか?」
アントニオ騎士隊長に代わって、常に俺の側にいて守ってくれている、ウッディ騎士長が内政について聞いて来た。
「土魔術で耕して、正確さよりも早さを優先して種をまいたから、正確に間隔を計って種をまくようにはいかないが、ずんずん育っている。
このまま上手く行けば、年内に2回から5回の収穫が期待できる」
「飛竜が襲って来る気配はありますか?」
俺が説明しなくても、皇国民なら大山脈の危険は良く知っている。
皇国でも、迂闊に飛竜の縄張りに入って喰い殺された者が多いのだ。
「今のところ飛竜の気配は一切ない。
魔獣や魔蟲が俺の植えた麦を狙って現れるが、それは使い魔が斃してくれている」
今のところ、俺の使い魔に斃せない魔獣や魔蟲は現れていない。
魔獣が人間を狙ってくれるお陰で、使い魔の餌を用意する必要が無くなった。
肉以外は素材として有効に使えている。
植えた麦の種や成長した麦を狙う魔鳥や魔蟲も、使い魔の餌になってくれている。
特に魔蟲は、虫型使い魔の良い餌になってくれている。
お陰で俺は、開拓以外で帝国北部に行かなくても良くなった。
そうは言っても、毎日北部に行って時間の許す限り開拓をしている。
麦を育てられるくらいに大地を耕し、急いで種をまいている。
管理と手入れは、解放奴隷の女子供に任せている。
解放奴隷の男たちには、巡回部隊として戦闘訓練をさせている。
帝国騎士に負けないくらい強くなったら、後は好きにしてもらうが、今は自衛できるだけの武力を鍛える時だ。
帝国に残る道を選んだのだ、俺の加護を失う覚悟はしている。
自分だけでなく家族も自分の力で守らなければいけない。
その為の鍛錬から逃げる事は許されないし許さない!
「テキノテイサツ、コロス?」
帝国の西国境を見張らせているトビの使い魔から念話が伝わって来た。
それでなくても視力の良い鳥が、俺の血と魔力を与えられて、とんでもなく遠くまで正確に見渡せる視力を手に入れたのだ。
「人質のような者はいないか?
意識をもっと強く繋ぐから待ってくれ」
「アルジ、マツ」
膨大な数の使い魔と、意識を密接に繋ぎ過ぎると情報過多で狂ってしまう。
だから、普段はほとんどの使い魔との繋がりを断っている。
だが、あまりに長く繋がりを断つと使い魔ではなくなってしまうので、1日に1度は、数秒間だけでも軽く繋ぐようにしている。
特に、大山脈で農業をしている民を護っている使い魔と、東西の国境や海を見張り護ってくれている使い魔は、他の使い魔よりは長く強く繋げる。
今回のように敵を見つけてくれた使い魔には、意識を乗り移すくらい深く強く繋げるので、使い魔たちが争って敵を探してくれる。
軍服は着ていないが、動きが猟師や農民ではない者が54人もいる。
普通に考えて敵の偵察部隊だが、全く懲りない連中だ。
俺に何人の人間を殺させるつもりなのだ!?
毎日のように偵察を送り込んでは皆殺しにあっているのに、全く諦めない。
王が命じているのか大臣が命じているのかは分からないが、無残に殺される兵士達の恐怖と無念を全く分かっていない。
彼らにだって人生があり、家族もいれば恋人もいるのだ。
それを、全く勝ち目がないどころか、近づくだけでも殺されると分かっていて偵察を命じるなんて、どれほど愚かで身勝手なんだ!
とはいえ、偵察に来た奴を見逃す訳にはいかない。
ここで手心を加えたら、必ず図に乗って大軍を送り込んでくる。
どれほどの大軍でも瞬殺する力はあるが、その魔力が惜しいのだ。
今使える魔力は全て大山脈の開拓に使いたい。
解放奴隷と貧民がお腹一杯食べられるように、できるだけ多くの収穫を得たい。
できる事なら数年分の備蓄を作っておきたいのだ。
「でみるだけ苦しまないように殺してやってくれ」
「クルシマナイヨウニ、コロス」
卑怯なのは分かっているが、自分の手で殺すのは嫌だった。
全く相手にならない弱い人間を殺すのが嫌だった。
それでも、繋がりは切らずに自分の罪を最後まで見た。
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