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第2章
第75話:大漁
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神歴1818年皇歴214年3月28日キャバン辺境伯領城:ロジャー皇子視点
拿捕艦の艦底に閉じ込めた捕虜の管理は、貿易湊の当番領主軍に任せた。
人質になっていた人々は、体力が回復次第家に戻す事になっている。
食糧や燃料は、俺が定期的に運ぶことになっている。
一応最低限の事が終わったので、次の段階に進める事にした。
クラーケンに殺された人の葬儀、残された人々への手当は、交易湊の地方役人に全て任せた。
俺は万能ではなく、できない事もとても多い。
俺の身体は1つしかないし、時間も他の人たちと同じように進んでいる。
非情なようだが、亡くなった人の事よりも、今生きている人を優先する。
奴隷にされて、帝国で生き地獄にいる人を助ける方が優先される。
俺は預かっているキャバン辺境伯領に向かって全力で駆けた。
海上ならソニックムーブを気にする事も無い。
マッハ4で駆ければ交易湊からキャバン辺境伯領まで20分弱だ。
「大森林の魔樹を伐採する、お前たちは加工ができるように保管しろ」
俺は辺境伯領に残っている家臣と領民に命じた。
キャバン辺境伯領の東に広がる魔境はとてつもなく広大で、皇国の東側は全て魔樹が生い茂り魔獣が跳梁跋扈しており、大森林と呼ばれている。
とても危険な場所で、並の人間では直ぐに殺されてしまう。
鍛え上げられた有能な猟師冒険者でも、浅い場所で狩りができる程度なのだ。
もっとも、俺が鍛え上げたバカン辺境伯領の騎士団や徒士団なら、浅い場所までなら安全確実に狩りができるようになっている。
キャバン辺境伯家に残っている家臣をそこまで鍛える気はない。
腐敗した連中は、全員犯罪奴隷にするか重追放刑にしてある。
残っている者は小心で無能な者が大半だ。
僅かに心優しく善良な者もいるが、その中で能力のある者は皆無だ。
俺が伐採した魔樹を、善良な者に指揮をさせて材木として使えるまで乾燥させる。
大森林に生えている魔樹は、普通の場所よりも早く成長する。
浅い場所だと、普通に人々が住む場所よりも5倍10倍の速さで成長する程度だ。
それでも、普通の場所だと樹齢100年の大木と思われるような魔樹を伐採しても、20年や10年で元の大きさに再生する。
それに、大森林の奥深くに行くほど魔素が濃くなり成長が早くなる。
普通の場所なら樹齢100年級の大木が、大森林なら2年や1年で再生する。
キャバン辺境伯領で管理できる量の魔樹を1日で伐採して運んだ。
大量の魔樹を伐採する間に、無数の魔獣に襲われた。
無駄な殺戮をする気はなかったのだが、襲われたらしかたがない。
肉食の魔獣は皆殺しにしてストレージに保管した。
草食の魔獣は、人間が使役できる種は魅了して使い魔とした。
使役できない種は追い払おうとしたのだが、余りにもしつこく襲い掛かって来るのだ、しかたなく皆殺しにした。
陽が暮れる前に伐採を終えて拿捕艦の場所にまで20分で戻った。
領主軍と元人質、捕虜の状況を確認してから魔シャチとザラタンを可愛がった。
お腹がいっぱいになるまで餌を与えて一緒に遊んだ。
遊びながら交易湊の沖合からキャバン辺境伯領まで移動した。
流氷上に海獣のコロニーがない場所を確認してザラタンに息継ぎさせた。
魔シャチとザラタンを完全に支配下に置くために、親密になるために、遊びながら移動しよとしていただけなのに、獰猛な魔魚が襲い掛かって来た。
体長20メートルの魔サメは、魔シャチに匹敵する大きさと強さを誇る。
ただ、魔サメは群を作らないので、魔シャチの群れに敵う訳がない。
殺されても構わないのだが、何かの役に立つかもしれないので使い魔にした。
面白かったのが、体長10メートルほどの魔ダツの群れだ。
地球に住むダツと同じように光に集まる習性がある。
上手く使えばバーラント帝国艦隊を壊滅させる事ができる。
1万もの群が夜間に鋭い槍のような口先を振るって飛んでくるのだ。
帝国の艦隊も迎撃は不可能だろう。
問題は、今直ぐ帝国には向かわない事だ。
使い魔にしたら餌くらいあげなければならない。
魔シャチとザラタンがいる状態で、1万もの魔ダツは重荷になる。
そこで、割り切って皆殺しにして食糧にする事にした。
こちらから帝国に攻め込む時期に魔ダツの群れに遭遇したら、改めに使い魔にすれば良いだけの事だ。
魔ダツの群れに遭遇しなかったとしても、それほど問題はない。
魔シャチ、ザラタン、魔サメがいればそれなりの戦力だ。
決して大好きだったサヨリに近い味だから狩ったのではない。
魔ダツを狩ってしばらく進むと、今度は魔タチウオの群れが襲って来た。
体長は10メートルくらいあるだろうか、鋭い歯が肉食を物語っている。
水深100メートル付近から、魔シャチの腹を狙うように急上昇してくる。
俺は思わず湧きだした唾を飲み込んだ。
実は前世ではタチウオが大好きだったのだ。
刺身や塩焼きも美味いが、何より唐揚げが大好きだった。
魔ダツの時には一瞬迷ったが、今度は迷うことなく狩った。
1万匹全部逃すことなく狩った、今日は1人でお魚パーティーだ!
次に何が襲って来るのか楽しみだったが、魔ハモが襲ってきてくれた。
1万もの群で魔シャチの群れを喰らい尽くす気だ。
俺の頭の中は、ハモの照り焼きと湯引き、土瓶蒸しで一杯だった。
醤油を再現して照り焼きにする、湯引き用の梅肉を再現する!
土瓶蒸しにマツタケは欠かせないので、大森林で必ず探しだす!
ありとあらゆる魚を大量に確保できた。
肉食魚はとんでもなく獰猛で、見境なく襲い掛かって来る。
これだけ危険なら、誰も沖合に出ようとしない訳だ。
だが俺にとっては宝の海だ、これからも定期的に狩りをしよう。
魔シャチとザラタンが少し心配だったので、キャバン辺境伯領の民が怖がるかもしれないが、浜の近くで遊ばせる事にしよう。
拿捕艦の艦底に閉じ込めた捕虜の管理は、貿易湊の当番領主軍に任せた。
人質になっていた人々は、体力が回復次第家に戻す事になっている。
食糧や燃料は、俺が定期的に運ぶことになっている。
一応最低限の事が終わったので、次の段階に進める事にした。
クラーケンに殺された人の葬儀、残された人々への手当は、交易湊の地方役人に全て任せた。
俺は万能ではなく、できない事もとても多い。
俺の身体は1つしかないし、時間も他の人たちと同じように進んでいる。
非情なようだが、亡くなった人の事よりも、今生きている人を優先する。
奴隷にされて、帝国で生き地獄にいる人を助ける方が優先される。
俺は預かっているキャバン辺境伯領に向かって全力で駆けた。
海上ならソニックムーブを気にする事も無い。
マッハ4で駆ければ交易湊からキャバン辺境伯領まで20分弱だ。
「大森林の魔樹を伐採する、お前たちは加工ができるように保管しろ」
俺は辺境伯領に残っている家臣と領民に命じた。
キャバン辺境伯領の東に広がる魔境はとてつもなく広大で、皇国の東側は全て魔樹が生い茂り魔獣が跳梁跋扈しており、大森林と呼ばれている。
とても危険な場所で、並の人間では直ぐに殺されてしまう。
鍛え上げられた有能な猟師冒険者でも、浅い場所で狩りができる程度なのだ。
もっとも、俺が鍛え上げたバカン辺境伯領の騎士団や徒士団なら、浅い場所までなら安全確実に狩りができるようになっている。
キャバン辺境伯家に残っている家臣をそこまで鍛える気はない。
腐敗した連中は、全員犯罪奴隷にするか重追放刑にしてある。
残っている者は小心で無能な者が大半だ。
僅かに心優しく善良な者もいるが、その中で能力のある者は皆無だ。
俺が伐採した魔樹を、善良な者に指揮をさせて材木として使えるまで乾燥させる。
大森林に生えている魔樹は、普通の場所よりも早く成長する。
浅い場所だと、普通に人々が住む場所よりも5倍10倍の速さで成長する程度だ。
それでも、普通の場所だと樹齢100年の大木と思われるような魔樹を伐採しても、20年や10年で元の大きさに再生する。
それに、大森林の奥深くに行くほど魔素が濃くなり成長が早くなる。
普通の場所なら樹齢100年級の大木が、大森林なら2年や1年で再生する。
キャバン辺境伯領で管理できる量の魔樹を1日で伐採して運んだ。
大量の魔樹を伐採する間に、無数の魔獣に襲われた。
無駄な殺戮をする気はなかったのだが、襲われたらしかたがない。
肉食の魔獣は皆殺しにしてストレージに保管した。
草食の魔獣は、人間が使役できる種は魅了して使い魔とした。
使役できない種は追い払おうとしたのだが、余りにもしつこく襲い掛かって来るのだ、しかたなく皆殺しにした。
陽が暮れる前に伐採を終えて拿捕艦の場所にまで20分で戻った。
領主軍と元人質、捕虜の状況を確認してから魔シャチとザラタンを可愛がった。
お腹がいっぱいになるまで餌を与えて一緒に遊んだ。
遊びながら交易湊の沖合からキャバン辺境伯領まで移動した。
流氷上に海獣のコロニーがない場所を確認してザラタンに息継ぎさせた。
魔シャチとザラタンを完全に支配下に置くために、親密になるために、遊びながら移動しよとしていただけなのに、獰猛な魔魚が襲い掛かって来た。
体長20メートルの魔サメは、魔シャチに匹敵する大きさと強さを誇る。
ただ、魔サメは群を作らないので、魔シャチの群れに敵う訳がない。
殺されても構わないのだが、何かの役に立つかもしれないので使い魔にした。
面白かったのが、体長10メートルほどの魔ダツの群れだ。
地球に住むダツと同じように光に集まる習性がある。
上手く使えばバーラント帝国艦隊を壊滅させる事ができる。
1万もの群が夜間に鋭い槍のような口先を振るって飛んでくるのだ。
帝国の艦隊も迎撃は不可能だろう。
問題は、今直ぐ帝国には向かわない事だ。
使い魔にしたら餌くらいあげなければならない。
魔シャチとザラタンがいる状態で、1万もの魔ダツは重荷になる。
そこで、割り切って皆殺しにして食糧にする事にした。
こちらから帝国に攻め込む時期に魔ダツの群れに遭遇したら、改めに使い魔にすれば良いだけの事だ。
魔ダツの群れに遭遇しなかったとしても、それほど問題はない。
魔シャチ、ザラタン、魔サメがいればそれなりの戦力だ。
決して大好きだったサヨリに近い味だから狩ったのではない。
魔ダツを狩ってしばらく進むと、今度は魔タチウオの群れが襲って来た。
体長は10メートルくらいあるだろうか、鋭い歯が肉食を物語っている。
水深100メートル付近から、魔シャチの腹を狙うように急上昇してくる。
俺は思わず湧きだした唾を飲み込んだ。
実は前世ではタチウオが大好きだったのだ。
刺身や塩焼きも美味いが、何より唐揚げが大好きだった。
魔ダツの時には一瞬迷ったが、今度は迷うことなく狩った。
1万匹全部逃すことなく狩った、今日は1人でお魚パーティーだ!
次に何が襲って来るのか楽しみだったが、魔ハモが襲ってきてくれた。
1万もの群で魔シャチの群れを喰らい尽くす気だ。
俺の頭の中は、ハモの照り焼きと湯引き、土瓶蒸しで一杯だった。
醤油を再現して照り焼きにする、湯引き用の梅肉を再現する!
土瓶蒸しにマツタケは欠かせないので、大森林で必ず探しだす!
ありとあらゆる魚を大量に確保できた。
肉食魚はとんでもなく獰猛で、見境なく襲い掛かって来る。
これだけ危険なら、誰も沖合に出ようとしない訳だ。
だが俺にとっては宝の海だ、これからも定期的に狩りをしよう。
魔シャチとザラタンが少し心配だったので、キャバン辺境伯領の民が怖がるかもしれないが、浜の近くで遊ばせる事にしよう。
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