皇帝の14男ですが、皇位争いの暗殺や謀殺から生き延びて、何とか貧乏辺境伯家に婿入りできました。前世知識と魔力でスローライフしたい。

克全

文字の大きさ
上 下
38 / 111
第1章

第38話:拷問

しおりを挟む
神歴1817年皇歴213年4月30日バカン辺境伯家領都領城拷問部屋
ロジャー皇子視点

 俺が捕らえた闇商人の手先と冒険者、ギルド職員を城に運ばせた。
 同じように家臣たちが領都のあちらこちらで悪人を捕らえる。
 その全員が領城の取調室で厳しい尋問を受ける。

 素直に話す者もいれば、徹底的に認めない者、黙って話さない者もいる。
 中には罪の軽い部分だけ話して、卑怯下劣な罪を隠そうとする者までいる。
 そんな連中に本当の事を白状させるのはとても難しい。

「素直に話すなら少しは罪を軽くしてやれる。
 だがいつまでも話さなかったりウソをついたりしたら、実際にやったこと以上の厳しい罰を与える事になるぞ!」

 話術で上手く自白を導き出す取調官もいれば、暴力、痛みを使って何が何でも罪を白状させようとする取調官もいる。

「さっさと話さないか!」

 バッシーン!

「ギャアアアアア」

 容疑者に、肋骨が折れそうなくらい強く木剣を振るう取調官は鬼に見える。
 だがそれくらいしないと、死刑や終身犯罪者奴隷が間違いない連中は話さない。

 罪の軽い平の受付嬢や解体部門の平職員が全て正直に話しているので、無理に自白させる必要はないのだが、ないよりはあった方が良いので厳しく調べている。

 楽に処刑される前に拷問して被害者の痛みを思い知らせる意味もあるのだが……
 必要であればためらわずにやるが、拷問が好きかと聞かれれば嫌いだと答える。

 罪の軽い連中は家臣たちに任せている。
 重罪の疑いがある連中は後で俺が直々に聞き出す。

 俺が急いで取り調べなければいけないのは闇商人の手先だ。
 絶対に自殺させないように調べるには俺の魔術が必要なのだ。

「パーフェクト・ディスペル」

 何かあった時に手先が大切な情報を漏らさないように、闇商人が強力な呪いをかけている可能性がある。
 だから強力な解呪の魔術をかけてから取り調べる。

「ファサネイト、チャーム、エンチャンテッド、アトラクション」

 俺が使える魅了の魔術を全部使って自供させる。

「誘拐した人々を売っているのだな?」

「ああ、売っている」

「何人売った?」

「さあ、2000人か3000人か、正確な数は記録を見ないと分からない」

「どこにいる、お前が売った人たちはどこにいる?」

「最近仕入れたばかりの人間は、大森林近くのアジトにいる。
 他はもう主の所に送った」

「その主の名前といる場所を言え!」

「主の名前は……ギャアアアアア」

「パーフェクト・ヒール、パーフェクト・パラライズ、パーフェクト・スリープ」

「殿下、自殺する呪いをかけてあったのでしょうか?」
 
 俺の背後を守ってくれていたスレッガー叔父上が聞いて来た。

「そうだと思うが、恐ろしく強力な呪いだった。
 そんな事もあるだろうと思っていなかったら、間に合わなかった」

「ですが事前に解呪の魔術を使っておられましたよね?」

「ああ、確かに使ったが、効果がなかったようだ。
 何か特別な、俺の知らない魔術があるのか、俺のレベルを超える強力な呪いだったのか、調べてみなければ分からない」

「殿下のレベルを超えるですって?!」

「この国の闇には、俺たちの計り知れない強大な悪がいるのかもしれない」

「そんなに強い悪人なのに、表に出て皇国を滅ぼさないのはなぜです?」

「強いと言っても特定の分野にだけの場合がある」

「この場合は、自白させないようにするだけの能力と言う事ですか?」

「その可能性もあるし、支援系、誰かの心に及ぼすだけの能力かもしれない。
 魔術を使うのに多くの制限があったり、必要な物があったりするのかもしれない」

「なるほど、そうでなければ闇に潜んだりしませんね」

「あくまでも推測でしかないから、絶対ではない。
 単に表に出て支配するのが面倒なだけかもしれない」

「そうですね、皇帝になっても好き放題できる訳でもないですし、好きな女を抱いて美味しい酒を飲んで美味い飯を食う、闇に潜んでも十分やれますからね」

「そうだな、だがそんな事はどうでもいい。
 先ずは、今分かっている人たちだけでも助ける!」

「はっ!」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

処理中です...