32 / 111
第1章
第32話:仮病完治
しおりを挟む
神歴1817年皇歴213年3月10日皇室系子爵館・ロジャー皇子視点
思いがけず、表に出せる俺個人の家臣使用人が一気に増えた。
4騎2人しかいなかったのが、500人以上になった。
奴隷同然に扱っていた家族のいる子爵領には残せない。
俺のいない王都に行かせるのも不安がある。
しかたなくバカン辺境伯領に連れて行くが、それには馬車が必要だ。
老若男女混じったこれだけの人数を、馬車と同じ速さで歩かせて移動させるなんて不可能だからだ。
子爵領にいた馬は優劣関係なく全て買い占めた。
それこそ農耕用の老馬も相場よりもかなり高く買い取った。
馬車も箱型にこだわらず農家が使う屋根なしの粗末な物も買った。
入都税を払って集まっていた他領の商人は、ここが商機と考えて、急いで本拠地に戻って馬と馬車をかき集め、俺に売りつけようとした。
当然、子爵領都を出入りするのも商品を持ち込むのも莫大な税がかかる。
子爵家には毎日雨あられとお金が入って来た。
俺が仮病を使って長期滞在したのもあって、莫大だった借金を早期返却できた。
皇子である俺が見届けたので、早期返却分の利息を減らさせた。
子爵が自由に使えるお小遣いとしては莫大な金額だ。
だがその分、俺が払った金はとんでもない額になったが、その数百倍の硬貨が手に入ったから問題ない。
並の人間だと損をするゴブリンダンジョンだが、俺には宝のダンジョンだった。
キングゴブリンが指揮する10万の大軍団を1日に100回は全滅させたのだ。
ドロップの確率が1割しかなくても、1回で25万ペクーニアの硬貨が手に入る。
1日集中して実戦訓練すれば、2500万ペクーニア集められる。
その額は領民50万人貴族の年収に匹敵するのだから凄い。
それが10日間もあったのだから、皇国の年収を超える純利益があった。
馬や馬車の買い占めるくらいどうという事はない。
それよりは、1回で10万枚の硬貨を集める方が大変だった。
ゴブリン軍団を全滅させるよりも時間がかかった。
俺のストレージに、ある程度の範囲ならドロップを自動収納できる能力がなかったら、1回全滅させたら1日中硬貨の回収をしなければいけないところだった。
「ロジャー皇子殿下、この御恩は一生忘れません。
いえ、子々孫々、末代まで語って聞かせます。
何かあれば馬前に参上させていただきますので、いつでも声をかけてください」
子爵が領地のギリギリまで見送りをしてくれた。
俺が皇子であるからだが、それが単なる儀礼ではなく、心からの感謝が籠っているのが分かるだけにうれしい。
「こちらこそ子爵のお陰で良い家臣使用人を召し抱える事ができた」
家臣使用人に関しては本当に感謝している。
一族一門や譜代の家臣に逆恨みされるのが分かっていて、彼らが奴隷のように扱っていた子弟子女を、強権を発動して自由にしてくれた。
子爵の決断がなかったら、俺は表に出せる家臣使用人を手に入れられなかった。
不幸な者たちを救ったという、何1つ世間にはばかる必要のない理由で、ゴブリンダンジョンで戦い続けた経験のある者を雇えた。
「いえ、とんでもありません、殿下のお陰で家畜のように扱われていた者たちを救う事ができました。
長年夜も眠れなくなるくらい悩んでいた事が解消できました。
借金が無くなっただけでなく、投資するだけの余裕も貯金もできました。
これから生まれてくる、家臣の次男以下を人として扱えます」
「そこまで言ってくれるのなら、俺が皇室や皇国にために働く時には声をかける」
「はい、この命ある限り手伝わせていただきます」
俺は子爵に見送られて隣の領地に入った。
皇都から近い場所なので周りは皇室直轄領ばかりだ。
皇室直轄領は出入りが簡単で助かる。
普通の旅人なら厳しく調べられるが、皇子である俺は特別待遇だ。
これからしばらくは川を南上して大山脈方向に向かう。
前世で南上なんて言葉は聞いた事がないが、この国では使う。
南に大山脈があり、全ての川上が南だからだろう。
徐々に川幅が狭くなり、水深が浅くなった辺りに橋がかけられている。
そこを東に渡らないとバカン辺境伯領にはいけない。
旅の途中にある小さな魔境、魔森や魔山で実戦訓練を兼ねた狩りをする。
そのための許可は皇都を出立する前にとっている。
問題はそこを狙って選帝侯たちの手先が襲ってこないかだが……
思いがけず、表に出せる俺個人の家臣使用人が一気に増えた。
4騎2人しかいなかったのが、500人以上になった。
奴隷同然に扱っていた家族のいる子爵領には残せない。
俺のいない王都に行かせるのも不安がある。
しかたなくバカン辺境伯領に連れて行くが、それには馬車が必要だ。
老若男女混じったこれだけの人数を、馬車と同じ速さで歩かせて移動させるなんて不可能だからだ。
子爵領にいた馬は優劣関係なく全て買い占めた。
それこそ農耕用の老馬も相場よりもかなり高く買い取った。
馬車も箱型にこだわらず農家が使う屋根なしの粗末な物も買った。
入都税を払って集まっていた他領の商人は、ここが商機と考えて、急いで本拠地に戻って馬と馬車をかき集め、俺に売りつけようとした。
当然、子爵領都を出入りするのも商品を持ち込むのも莫大な税がかかる。
子爵家には毎日雨あられとお金が入って来た。
俺が仮病を使って長期滞在したのもあって、莫大だった借金を早期返却できた。
皇子である俺が見届けたので、早期返却分の利息を減らさせた。
子爵が自由に使えるお小遣いとしては莫大な金額だ。
だがその分、俺が払った金はとんでもない額になったが、その数百倍の硬貨が手に入ったから問題ない。
並の人間だと損をするゴブリンダンジョンだが、俺には宝のダンジョンだった。
キングゴブリンが指揮する10万の大軍団を1日に100回は全滅させたのだ。
ドロップの確率が1割しかなくても、1回で25万ペクーニアの硬貨が手に入る。
1日集中して実戦訓練すれば、2500万ペクーニア集められる。
その額は領民50万人貴族の年収に匹敵するのだから凄い。
それが10日間もあったのだから、皇国の年収を超える純利益があった。
馬や馬車の買い占めるくらいどうという事はない。
それよりは、1回で10万枚の硬貨を集める方が大変だった。
ゴブリン軍団を全滅させるよりも時間がかかった。
俺のストレージに、ある程度の範囲ならドロップを自動収納できる能力がなかったら、1回全滅させたら1日中硬貨の回収をしなければいけないところだった。
「ロジャー皇子殿下、この御恩は一生忘れません。
いえ、子々孫々、末代まで語って聞かせます。
何かあれば馬前に参上させていただきますので、いつでも声をかけてください」
子爵が領地のギリギリまで見送りをしてくれた。
俺が皇子であるからだが、それが単なる儀礼ではなく、心からの感謝が籠っているのが分かるだけにうれしい。
「こちらこそ子爵のお陰で良い家臣使用人を召し抱える事ができた」
家臣使用人に関しては本当に感謝している。
一族一門や譜代の家臣に逆恨みされるのが分かっていて、彼らが奴隷のように扱っていた子弟子女を、強権を発動して自由にしてくれた。
子爵の決断がなかったら、俺は表に出せる家臣使用人を手に入れられなかった。
不幸な者たちを救ったという、何1つ世間にはばかる必要のない理由で、ゴブリンダンジョンで戦い続けた経験のある者を雇えた。
「いえ、とんでもありません、殿下のお陰で家畜のように扱われていた者たちを救う事ができました。
長年夜も眠れなくなるくらい悩んでいた事が解消できました。
借金が無くなっただけでなく、投資するだけの余裕も貯金もできました。
これから生まれてくる、家臣の次男以下を人として扱えます」
「そこまで言ってくれるのなら、俺が皇室や皇国にために働く時には声をかける」
「はい、この命ある限り手伝わせていただきます」
俺は子爵に見送られて隣の領地に入った。
皇都から近い場所なので周りは皇室直轄領ばかりだ。
皇室直轄領は出入りが簡単で助かる。
普通の旅人なら厳しく調べられるが、皇子である俺は特別待遇だ。
これからしばらくは川を南上して大山脈方向に向かう。
前世で南上なんて言葉は聞いた事がないが、この国では使う。
南に大山脈があり、全ての川上が南だからだろう。
徐々に川幅が狭くなり、水深が浅くなった辺りに橋がかけられている。
そこを東に渡らないとバカン辺境伯領にはいけない。
旅の途中にある小さな魔境、魔森や魔山で実戦訓練を兼ねた狩りをする。
そのための許可は皇都を出立する前にとっている。
問題はそこを狙って選帝侯たちの手先が襲ってこないかだが……
78
お気に入りに追加
1,795
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
わがまま姉のせいで8歳で大聖女になってしまいました
ぺきぺき
ファンタジー
ルロワ公爵家の三女として生まれたクリスローズは聖女の素質を持ち、6歳で教会で聖女の修行を始めた。幼いながらも修行に励み、周りに応援されながら頑張っていたある日突然、大聖女をしていた10歳上の姉が『妊娠したから大聖女をやめて結婚するわ』と宣言した。
大聖女資格があったのは、その時まだ8歳だったクリスローズだけで…。
ー---
全5章、最終話まで執筆済み。
第1章 6歳の聖女
第2章 8歳の大聖女
第3章 12歳の公爵令嬢
第4章 15歳の辺境聖女
第5章 17歳の愛し子
権力のあるわがまま女に振り回されながらも健気にがんばる女の子の話を書いた…はず。
おまけの後日談投稿します(6/26)。
番外編投稿します(12/30-1/1)。
作者の別作品『人たらしヒロインは無自覚で魔法学園を改革しています』の隣の国の昔のお話です。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる