皇帝の14男ですが、皇位争いの暗殺や謀殺から生き延びて、何とか貧乏辺境伯家に婿入りできました。前世知識と魔力でスローライフしたい。

克全

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第1章

第29話:ゴブリンダンジョン3

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神歴1817年皇歴213年2月29日子爵家ゴブリンダンジョン
ロジャー皇子視点

 ゴブリンダンジョンの地下7階は、ロードゴブリンが指揮する1万体のゴブリン軍を相手に戦わなければいけない。

 ロードゴブリンの指揮のもと、地下6階に現れるヒュージゴブリン率いる1000体の部隊10個が集まるのだ。

 だが俺から見れば大した敵ではない。
 地下6階の攻撃を、1000体ごとに繰り返すだけでいい。
 
「スリー・サゥザンド・マジカル・パワー」

 ゴブリン1000体を3000個の魔力塊で瞬殺して、直ぐに3000個の魔力塊を用意すればいいだけの事だ。

 硬貨や経験値が欲しくなければ、1万の魔力塊を指揮官であるロードゴブリンに叩き付ければ、配下のゴブリンたちは殺さなくても一緒に消える。

 この辺が本物のモンスターとダンジョンモンスターの違いだ。
 俺はドロップした硬貨を集めて地下8階に下りる。

 地下8階に現れるゴブリンの数は地下7階と同じ1万体だ。
 ただ、シャーマンロードゴブリン、プリーストロードゴブリン、ファイターロードゴブリンが現われる。

 地下8階からは、ゴブリンが専門部隊を作るようになった。
 10個の1000体部隊は、8体のファイターロードゴブリンと、1体ずつのシャーマンロードゴブリンとプリーストロードゴブリンが指揮を執る。

 8体のファイターロードゴブリンに率いられた1000体の部隊のうち7隊は、10体のヒュージゴブリンに率いられた、バランスの取れた部隊だ。
 地下6階に現れる100体部隊が10個集まる編成になっている。

 だが、残る1体に率いられたファイターロードゴブリン部隊とシャーマンロードゴブリン部隊、プリーストロードゴブリン部隊は違う。

 ファイター、シャーマン、プリーストといった専門職だけを集めた部隊なのだ。
 ロード級1,ヒュージ級10、ビッグ級989体集めた部隊だ。

 ファイター部隊は突撃して接近戦を挑もうとする。
 シャーマン部隊は離れた位置から一方的に魔術攻撃をしようとする。
 プリースト部隊も離れた位置から味方を回復させようとする。

 攻撃、防御、回復などの魔術を使える人材が少ない人間にはとても不利な場所だ。
 だが同時に、大軍を指揮する経験を積ませて能力をあげるのに、これほど相応しいダンジョンもない。

 建国皇帝がこのダンジョンを活用して、軍指揮官としての能力を開花させたという伝説は真実なのだろう。

 戦乱期に現れた綺羅星のような英雄豪傑を倒して皇国を建国できたのも、このゴブリンダンジョンで実戦訓練を繰り返せたからだろう。

 同時に、攻城戦が苦手だったのも、このダンジョンでは攻城戦の経験がつめないからだと分かった。

 俺も、地下7階に相応しい家臣を手に入れられたら、1万の敵軍を相手にする指揮訓練ができる。

 だが、残念ながら、今の俺には100人に満たない配下がいるだけだ。
 それも皇国からつけられた、いつ皇国に戻されるか分からない者たちだ。

 1日でも早く、俺に心から忠誠を尽くしてくれる家臣が欲しい。
 スレッガー叔父上とカラス家の陪臣だけは信じられるが、カラス家は僕だけでなく同母の兄弟姉妹を守らないといけない。

「テン・サゥザンド・マジカル・パワー」

 まずは自分を徹底的に鍛えるしかない。
 経験値を積み上げて、独りでも誰にも負けないワンマンアーミーになるしかない。
 まずこのゴブリンダンジョンを完全攻略する!

 一方的に攻撃魔術を叩き込まれないように、突撃部隊に支援魔術使わせないように、先に倒すべき敵を見極める。

 戦術的に考えて、プリーストロードゴブリンから倒す。
 それで残っているプリースト系ゴブリンは勝手に消える。

 次にシャーマンロードゴブリンを倒して、残ったシャーマン系部隊は無視する。
 時間が経てば配下のシャーマン系ゴブリンは勝手に消える。

 俺の実力なら地下9階でも地下10階でも簡単に攻略できると思う。
 だが、自信があってもやらない方が良い事もある。

 普通のダンジョンだと、1階深くなるとボスモンスターは10倍強くなる。
 だがゴブリンダンジョンは、ボスが10倍強くなるだけでなく、指揮下にあるゴブリン軍団まで10倍の強さになり、戦術まで巧みになる。

 地下8階のゴブリン軍団を何度も全滅させて経験値とお金を稼ぐ。
 子爵領で仮病を使って長居するのが1番良い方法かもしれない。

 慣れてきたら先に指揮官を倒すのではなく、末端から倒していく。
 その方が指揮官を倒して配下を消してしまうよりも稼げる。
 稼いだお金を子爵に渡して、バカン辺境伯領の様子を探ってもらおう。
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