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第1章

第21話:処罰

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神歴1817年皇歴213年2月1日皇都バカン辺境伯家上屋敷:ロジャー皇子視点

「どのような条件でございますか?」

「重臣10家の領地を全て取り上げろ」

「それは、いくら何でも、それでは叛乱を起こしてしまいます!」

「叛乱がやりたければやらせればいい、俺が討伐軍を率いて皆殺しにしてやる。
 建国皇帝陛下が皇国を興されてから1度でも叛乱が成功した事があるか?
 辺境伯家が一致団結して叛乱を起こしたのならともかく、重臣家ていどが10家連合して起こした叛乱など、簡単に皆殺しにできる!」

「私がこの者たちと同調しないと思われているのですか?」

「先ほどの話を聞けば、この連中に恨みはあっても愛情などないのであろう?
 それに、俺につけば少なくとも血統と家名は残るのだ。
 これまで潰された多くの貴族家と同じように、準男爵家か士爵家として残る。
 一族の連座処分も、領地は削られ爵位は下げられるだろうが、軽くなる。
 俺につかない理由などどこにもない」

「この通りでございます、何でもやらせていただきます、だからお許しください!」

 気を失っていない10家の連中が命乞いを始めやがった。

「妻子を人質に差し出させていただきます、だからお許しください!」

「妻も娘も息子も愛妾に差し出させていただきます、だからお許しください!」

「何でもします、足を舐めろと言われれば舐めさせていただきます!
 だから命だけはお許しください!」

「領地は、先祖代々受け継いできた領地と命だけはお許しください!」

 ここまで卑屈になるのなら最初から皇子の命を狙うな、根性なし!
 弱いと思った者には徹底的に尊大になり、強いと思った者に見苦しいほど卑屈になる、吐き気がするほど恥知らずだ!

「俺の命を狙い、何の罪もない辺境伯家に忠誠を誓う者を殺しておいて、己の命だけは惜しむのか、恥知らずが!」

「「「「「ヒィイイイイイ!」」」」」

 つい漏れてしまったわずかな本気の殺気を受けて、気を失っていなかった重臣も卒倒してしまった。

 この程度の胆力しかなくて辺境伯家の重臣とは笑ってしまう。
 もし本当に戦争になっていたら、戦場で脱糞しているだろう。
 肉ダンジョンに放り込んだら、この手を穢すことなく処刑できるかな?

「養父殿、今直ぐ領地に上使を派遣していただく」

 俺もまだ5歳だから、一応バカン辺境伯は養父になってしまう。
 最低限の礼節は守らないと、余計な面倒を抱えてしまう。

 今度の件で実権は俺に来るだろうが、どこにでも忠義の家臣はいる。
 主家のために命を投げ出せる者と敵対するのは嫌だからな。

「はい、どのような内容で送らせていただきましょうか?」

「内容は先ほど言っていた通りだ、この者たちの領地を取り上げて処刑する。
 ただし、領地に残っている家族や陪臣が叛乱しないように、これまで得ていた領地収入の半分を支給するから、全員皇都に出て来るように命じるのだ」

「……素直に出て来るでしょうか?
 領地の者共が叛乱起こしたら、皇国に処罰されるのではありませんか?」

「さっきも言ったであろう、叛乱を起こそうが起こさなかろうが、処分される。
 その処分をできるだけ軽くするために最善を尽くすしかない、それだけだ」

「愚かで申し訳ありません、その通りにさせて頂きます」

「こいつらの手先になっていた者、媚びへつらっていた者も同罪だ。
 養父殿から見て、そう思っていた者に同じ処罰をしろ。
 その上で、こいつらに逆らって養父殿に忠誠を尽くそうとした者は側に置け。
 辺境伯家から追放された者は直ぐに呼び戻せ、いいな?」

「はい、よろこんでやらせていただきます」

「では今直ぐこいつらの手先をここに呼び出せ。
 こいつらと一緒に拝領屋敷に連れて行く」

「まさか、殺されるのですか?」

「殺すのならこの場で殺している。
 皇帝陛下や皇国に報告する際に、罪人がいないと困るのだ。
 既に殺したと言っても、養父殿がたくらんだ叛乱を誤魔化そうとしていると難癖をつけられるだけだ。
 連中の前で殺さなければ、屁理屈を押し通してでも辺境伯家を潰そうとする」

 養父殿に上屋敷にいた悪臣佞臣叛臣を集めさせたが、全員バカだった。

「おのれ、辺境伯家を乗っ取らせるものか!」
「「「「「「死ね」」」」」

 目の前の状況を見て絶対に勝てない相手だと理解できない。
 ここで俺を殺しても後で皆殺しになるだけだと理解できない。
 少しでも知恵があるなら、即座に有り金担いで逃げるべきなのに。

「エリア・スリープ、エリア・パラライズ」

 魔術で身動きできないようにした。
 養父殿がそのまま仕えさせても良いと判断した家臣たちに拝領屋敷まで運ばせた。
 拝領屋敷に地下砦は、犯罪者を収容する刑務所になってしまった。
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