19 / 111
第1章
第19話:ダンジョンの秘密2
しおりを挟む
神歴1817年皇歴213年1月30日皇都肉ダンジョン:ロジャー皇子視点
地下30階のボス部屋に100頭のブーバルス牛が現れた!
それも全部ボスサイズの巨体なのだから笑ってしまう。
俺のレベルだ、と経験値的にもドロップ的にも美味しくはないが、ダンジョンの秘密を明らかにするには必要な実験だ。
それに『塵も積もれば山となる』という言葉通り、安全に強くなろうと思うのなら、確実に倒せるモンスターを大量に狩るのが1番良い。
命の危険が伴うようなモンスターを狩るのは馬鹿のする事だ。
どうしても必要な時以外は、できるだけ危険を避けるべきだ。
などと考えながら待機させていた魔力を放って狩る。
ボタ、ボタと30kgのロース肉が落ちる。
倒したダンジョンモンスターの、1%の肉塊が落ちるルールはどの階も同じだ。
地下1階に落ちるドロップ肉も、ベッカリー豚ロース肉400gと決まっている。
「テン・サゥザンド・マジカル・パワー」
安全第一で常に周囲に魔力塊を用意しておく。
その上で孤児に集めさせた虫を100匹ずつ潰して、ボスブーバルス牛100頭を呼び出して狩る。
無限ループとは言わないが、流れ作業のようボスブーバルス牛に狩って、経験値を稼ぎ食料を確保する。
これまでの検証で分かったのは、ダンジョンの中でダンジョンモンスター以外の命を奪うと、ダンジョン内に現れるダンジョンモンスターの数が増える事。
それも、命を奪った階層のダンジョンモンスターが増える。
年々浅い層に現れるダンジョンモンスターが増え、階層が広くなるのも、身の程知らずの人間が浅い階で死ぬからだろう。
今俺が確かめたくて繰り返しているのは、地下31階層が生まれるどうかだ。
どれほど新しい命を地下30回で奪っても地下31階が造られないのか?
それとも、一定以上の命を捧げれば地下31階が造られるのか?
それを確かめたくて繰り返し狩りを続けているのだが、まだ分からない。
地下30階は広くなっているし、ボス部屋以外のブーバルス牛も増えている。
だが地下31階が造られる気配は全く無い。
「テン・サゥザンド・マジカル・パワー」
孤児たちが集めてくれた虫を1万匹以上潰したが、今日もダメだった。
これ以上地下30階で粘っても意味がないので、地下29階に上がる。
ブーバルス牛のロース肉ばかりあっても飽きてしまうから、ボスフェルス豚の両前脚を斬り落とし、下半身も内臓込みで斬り落としてストレージに入れる。
「パーフェクト・ヒール」
これでストレージに入れた素材は消えて無くならない。
俺が魔力を使った分が現実となって残るのだと理解している。
本当かどうかは分からないが、他に納得できる答えがない。
地下30階で2時間ほど狩りをしていたから、地下29階に使える時間は30分ほどしかない。
ブーバルス牛とフェルス豚だけでは飽きるので、アルクトドゥス熊、バイソン牛、スース豚、ヤク牛、クロコダイルと徐々に階層をあげて剥ぎ取りをやる。
今王都にいる騎士や徒士、平民の中に地下16階のボスアリゲーターに勝てる猛者はいないと聞いている。
ボス以外のアリゲーターが相手だと、水の中にいない状態なら狩れる騎士や徒士、平民がいるそうだが、ボスに勝てる者はいないらしい。
だがそれもしかたがないと思う。
通常の倍以上あるボスが水の中で待ち構えているのだ。
地下17階のボスエピオルニス鳥を狩れる者でも、ボスアリゲーターは狩れない。
そういう状況なので、アリゲーター肉が少しだけ皇都に出回っているのに、ボス部屋にやって来る者はない。
つまり、どれだけボスアリゲーターの剥ぎ取りを行っても、誰にも見られる心配がないという事だ。
家臣使用人に隠れて自分だけ美味しい物を食べる気にはなれない。
だから家臣と一緒に食べられるアリゲーターを剥ぎ取れるだけ剥ぎ取る。
時間ギリギリまで粘ってボスアリゲーターを剥ぎ取ってから、スレッガー叔父上の家臣と合流する。
「戻ったぞ」
脅かさないように、先に近くに石を投げて気付かせてから声をかける。
「殿下、お待ちしておりました」
スレッガー叔父上の家臣たちは、予定時間まで浅層で狩りを続けていた。
ストレージや魔法袋がないので、自分たちが背負える重さ限界まで狩っては地上に上がり、皇国ダンジョンドロップ買取所に持ち込む。
定め通り5割を税として納め、残る5割を買い取ってもらう。
少しの手間と時間を惜しまなければ、皇城の城門と吊り橋を越えた外にある、皇都内の平民商家に売りに行く事もできる。
皇都の商人も熱心で、肉ダンジョン出入口に近い地区に、ドロップ肉を買い取る店が数多く出している。
「平民の店に行って水晶を売り、備蓄用の穀物を買う。
表向きに売買する分と、闇商人と取引する分に分けてある」
「はい、これまで通りやらせていただきます」
闇商人、皇室や皇国に隠れて商売をする者たち。
最初は腐り切った皇国役人が甘い汁を吸うために見逃している連中だったそうだ。
だが今では、皇国役人を顎で使うほどの権力、経済力を持っている。
そんな連中をのさばらせる訳にはいかないから、色々と探りを入れている。
もしオスカー兄上が皇位を継ぐような事になったら、腐り切った選帝侯以下の役人はもちろん、闇商人も排除しなければいけない。
「お前たちに万が一の事があってはいけないから、絶対に無理はするな。
俺が与えた護符と武器を必ず身に付けておくのだぞ」
地下30階のボス部屋に100頭のブーバルス牛が現れた!
それも全部ボスサイズの巨体なのだから笑ってしまう。
俺のレベルだ、と経験値的にもドロップ的にも美味しくはないが、ダンジョンの秘密を明らかにするには必要な実験だ。
それに『塵も積もれば山となる』という言葉通り、安全に強くなろうと思うのなら、確実に倒せるモンスターを大量に狩るのが1番良い。
命の危険が伴うようなモンスターを狩るのは馬鹿のする事だ。
どうしても必要な時以外は、できるだけ危険を避けるべきだ。
などと考えながら待機させていた魔力を放って狩る。
ボタ、ボタと30kgのロース肉が落ちる。
倒したダンジョンモンスターの、1%の肉塊が落ちるルールはどの階も同じだ。
地下1階に落ちるドロップ肉も、ベッカリー豚ロース肉400gと決まっている。
「テン・サゥザンド・マジカル・パワー」
安全第一で常に周囲に魔力塊を用意しておく。
その上で孤児に集めさせた虫を100匹ずつ潰して、ボスブーバルス牛100頭を呼び出して狩る。
無限ループとは言わないが、流れ作業のようボスブーバルス牛に狩って、経験値を稼ぎ食料を確保する。
これまでの検証で分かったのは、ダンジョンの中でダンジョンモンスター以外の命を奪うと、ダンジョン内に現れるダンジョンモンスターの数が増える事。
それも、命を奪った階層のダンジョンモンスターが増える。
年々浅い層に現れるダンジョンモンスターが増え、階層が広くなるのも、身の程知らずの人間が浅い階で死ぬからだろう。
今俺が確かめたくて繰り返しているのは、地下31階層が生まれるどうかだ。
どれほど新しい命を地下30回で奪っても地下31階が造られないのか?
それとも、一定以上の命を捧げれば地下31階が造られるのか?
それを確かめたくて繰り返し狩りを続けているのだが、まだ分からない。
地下30階は広くなっているし、ボス部屋以外のブーバルス牛も増えている。
だが地下31階が造られる気配は全く無い。
「テン・サゥザンド・マジカル・パワー」
孤児たちが集めてくれた虫を1万匹以上潰したが、今日もダメだった。
これ以上地下30階で粘っても意味がないので、地下29階に上がる。
ブーバルス牛のロース肉ばかりあっても飽きてしまうから、ボスフェルス豚の両前脚を斬り落とし、下半身も内臓込みで斬り落としてストレージに入れる。
「パーフェクト・ヒール」
これでストレージに入れた素材は消えて無くならない。
俺が魔力を使った分が現実となって残るのだと理解している。
本当かどうかは分からないが、他に納得できる答えがない。
地下30階で2時間ほど狩りをしていたから、地下29階に使える時間は30分ほどしかない。
ブーバルス牛とフェルス豚だけでは飽きるので、アルクトドゥス熊、バイソン牛、スース豚、ヤク牛、クロコダイルと徐々に階層をあげて剥ぎ取りをやる。
今王都にいる騎士や徒士、平民の中に地下16階のボスアリゲーターに勝てる猛者はいないと聞いている。
ボス以外のアリゲーターが相手だと、水の中にいない状態なら狩れる騎士や徒士、平民がいるそうだが、ボスに勝てる者はいないらしい。
だがそれもしかたがないと思う。
通常の倍以上あるボスが水の中で待ち構えているのだ。
地下17階のボスエピオルニス鳥を狩れる者でも、ボスアリゲーターは狩れない。
そういう状況なので、アリゲーター肉が少しだけ皇都に出回っているのに、ボス部屋にやって来る者はない。
つまり、どれだけボスアリゲーターの剥ぎ取りを行っても、誰にも見られる心配がないという事だ。
家臣使用人に隠れて自分だけ美味しい物を食べる気にはなれない。
だから家臣と一緒に食べられるアリゲーターを剥ぎ取れるだけ剥ぎ取る。
時間ギリギリまで粘ってボスアリゲーターを剥ぎ取ってから、スレッガー叔父上の家臣と合流する。
「戻ったぞ」
脅かさないように、先に近くに石を投げて気付かせてから声をかける。
「殿下、お待ちしておりました」
スレッガー叔父上の家臣たちは、予定時間まで浅層で狩りを続けていた。
ストレージや魔法袋がないので、自分たちが背負える重さ限界まで狩っては地上に上がり、皇国ダンジョンドロップ買取所に持ち込む。
定め通り5割を税として納め、残る5割を買い取ってもらう。
少しの手間と時間を惜しまなければ、皇城の城門と吊り橋を越えた外にある、皇都内の平民商家に売りに行く事もできる。
皇都の商人も熱心で、肉ダンジョン出入口に近い地区に、ドロップ肉を買い取る店が数多く出している。
「平民の店に行って水晶を売り、備蓄用の穀物を買う。
表向きに売買する分と、闇商人と取引する分に分けてある」
「はい、これまで通りやらせていただきます」
闇商人、皇室や皇国に隠れて商売をする者たち。
最初は腐り切った皇国役人が甘い汁を吸うために見逃している連中だったそうだ。
だが今では、皇国役人を顎で使うほどの権力、経済力を持っている。
そんな連中をのさばらせる訳にはいかないから、色々と探りを入れている。
もしオスカー兄上が皇位を継ぐような事になったら、腐り切った選帝侯以下の役人はもちろん、闇商人も排除しなければいけない。
「お前たちに万が一の事があってはいけないから、絶対に無理はするな。
俺が与えた護符と武器を必ず身に付けておくのだぞ」
97
お気に入りに追加
1,803
あなたにおすすめの小説
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
外れスキルで始める、田舎で垂れ流しスローライフ!
Mr.Six
ファンタジー
「外れスキル」と嘲笑され、故郷を追放された青年リクト。彼の唯一のスキル「垂れ流し」は、使うと勝手に物が溢れ出すという奇妙な能力だった。辿り着いたのは、人里離れた小さな村。荒れた畑、壊れかけの家々、そしてどこか元気のない村人たち。
役立たずと思われていたスキルが、いつしか村を救う奇跡を起こす。流れ出る謎の作物や道具が村を潤し、彼の不器用ながらも心優しい行動が人々の心を繋いでいく。畑を耕し、収穫を喜び、仲間と笑い合う日々の中で、リクトは「無価値なスキル」の本当の価値に気付いていく。
笑いと癒し、そして小さな奇跡が詰まった、異世界スローライフ物語!
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる