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第一章
第24話:脅迫と懐柔
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転移12日目:山本光司(ミーツ)視点
今日は朝から忙しかった。
9人もの寡婦が被害者と孤児を説得に行くのだ。
その穴埋めをどうするかでバタバタしてしまった。
人では足りないが、55部位の解体術を流出させるのは少し嫌だった。
だから鳥や獣の解体を他人に頼むわけにはいかない。
それに比べれば、露店で鳥を焼くのは誰でもよかった。
香草パウダーの配合を知られるのはほんの少しだけ困る。
だが、絶対味覚がある人間に本気で調べられたらバレる事だ。
露店で売っている焼き鳥を買って食べれば済む話だ。
だからここは、マイルズの顔を立ててやるフリをした。
本当は自分の都合なのに、マイルズの頼みを聞いてやるフリをした。
それでマイルズが調子に乗るのか見極める事にした。
「マイルズ、昨日はああ言ったが、お前にも領主としての立場があるだろう。
父親と貴族達を捕らえる時に助けてもらった支援者もいるのだろう。
だからお前の顔を立てて、串焼き売る商人を助けてやる。
銀貨10枚もする香草パウダーは売れないから、俺の店で使ってやる。
朝から晩まで串を焼くのなら、日当に銅貨50枚を払ってやろう」
「ありがとうございます!
そうしていただければ彼らも助かります!」
「ただし、売り上げや誤魔化したり商品を盗んだりしたら、ただでは済まさん」
「それは当然です、窃盗罪で賠償させます」
「俺がそんな軽い罪で済ませる訳がないだろう。
殺しはしないが、醜いヒキガエルに変化させてやる。
人間に踏み潰されるか鳥に喰われるか、1日も生き延びられないだろう」
「そんな!」
「そんな?
お前自身が窃盗を行うかもしれないと思っている連中を、俺に助けろと言ってきたのか?!」
「いえ、そんな事はありません!
彼らはとても善良な人間です!」
「だったら、盗みを働いてヒキガエルに変化させられる心配はいらないだろう?
そのような人間を俺に助けろと言ったお前を見限って、出て行く心配も不要だな」
「あ、う、く、あああああ」
「ではそういう事で、開店までに、お前が言っていた露店で串焼きを商っていた者、8人とその家族を送ってくれ。
その心算で店の前に8つの竈と売り台を用意しておく。
準備が無駄になるようなことがあれば、俺は即日出て行くからな!」
「……分かりました、私も直ぐに準備させてきます」
俺の最後通牒とも言える脅迫に恐怖したマイルズは、急いで戻って行った。
串焼き商人に厳しく注意するだけなのか、他に手を打つのか楽しみだった。
それは店に行って準備している時に分かった。
「我々が連中を見張って絶対に悪事を働かせません。
わずかでも怪しい動きをしたら、その場で斬り捨てます」
マイルズは何時もの警備隊員に加えて、騎士資格を持つ領主軍将校を送ってきた。
彼らが串焼き商人を見張ってくれるのだが、マイルズは分かっているのだろうか?
香草パウダーが100gで銀貨10枚(10万円)もする事を。
その気になって香草を集め、自分達の勢力圏で100kgも売れば、金貨1000枚(10億円)の売り上げになる事を。
金貨の10枚くらいなら平気で賄賂として送る事を。
だが俺の心配は猜疑心が強すぎる間違った考えだった。
マイルズにも信望があり、騎士や市民から忠誠心を得ていた。
少々の賄賂では惑わされない立派な騎士が少なくとも8人はいた。
「ほう、長年商売してきただけあって良い手際だな。
焼いた物は全て保管できるから、売れなくても焼けるだけ焼いてくれ。
こちらの解体が間に合わないのなら、お前達でスズメなどを解体してくれていい。
その代わり、約束していた日当に銅貨10枚を増額してやる」
「それは、私だけでなく手伝っている家族もですか?」
「そうだ、手伝っている女房にも増額してやる。
2人合わせて銅貨120枚だ。
材料費もいらない、売れなくて材料を腐らせる心配もない。
少々忙しいが、商売を考えずに焼くだけで日当に銅貨60枚だ。
女房と一緒にやれば銅貨120枚。
こんないい仕事は滅多にないぞ」
「お願いします、これからもやらせてください、お願いします!」
この世界の人件費が恐ろしく安いのは、地球の中世と同じだ。
命の危険のない料理だけで日当6000円も稼げるのは破格だ。
全く串焼きが売れなくなった自分の店など、今直ぐ閉店する気になるだろう。
「分かった、これから毎日商店街の開店から閉店まで焼いてもらう。
買いに来た人間には愛想よく売れ。
だが、さっきも言ったが、全く売れなくてもかまわない。
焼いた物は全部俺が魔術で保管する」
「「「「「はい」」」」」
俺が話しかけた男と女房だけでなく、他の7店の店主と女房も一斉に答える。
これで焼き手と売り手を確保する事ができた。
いずれ見張りの領主軍将校は引き上げる事になるが、これで大丈夫だ。
串焼き商人達の忠誠心が得られたら、そのまま雇って商売をさせる。
忠誠心が得られていなかったら、館の中で鳥を焼かせればいい。
どれほど大量の焼き鳥でも、非常食として亜空間に保管できる。
……1度奉天市場で売れるか確かめてみる。
「奉天市場買取価格」
スズメ : 300円(1羽)
ウズラ :1500円(1羽)
ハト :3000円(1羽)
ハトモモ : 700円(1枚)
ハトムネ : 500円(1枚)
ハトササミ: 200円(1本)
ハトネック: 100円(1本)
ハトキモ : 50円(1個)
ハト砂キモ: 50円(1個)
ハト手羽元: 50円(1個)
ハト手羽中: 50円(1個)
ハト胴殻 : 200円(1羽)
「奉天市場買取価格」
スズメ串焼き: 500円(1羽)
ウズラ串焼き:1000円(半身)
ウズラ丸焼き:2000円(1羽)
ハト半身焼き:2500円(半身)
ハト丸焼き :4000円(1羽)
ハトモモ串 : 500円(1/2枚)
ハトムネ串 : 500円
ハトササミ串: 500円
ハトネック串: 500円
ハトキモ串 : 500円
ハト砂キモ串: 500円
ハト手羽元 : 300円
ハト手羽中 : 300円
日本の露店で売られている値段に近いのか?
ハトは高級フレンチだったと思うが、この世界の相場よりも高いのか?
部位によって価値も好みも違うから判断が難しい。
だが、1つだけはっきりした事がある。
とても処理しきらないと思っていた鳥を、奉天市場で売ることができる。
叩き売りではなく、十分以上の利益を乗せて売ることができる。
丸のまま売るよりも解体した方が、加工代を加えて高く売れる。
解体すれぼん尻、白子、軟骨、玉ひも、腸などといった希少部位が手に入る。
料理をした方が、料理代を加えて高く売ることができる。
そうと分かれば鳥を解体できる人間を大量に集めなければいけない。
ムダに広い館だったが、十分活用できる。
薬草部門の売り上げが金貨25枚(2500万円)銀貨5439枚(5439万円)となった。
調味料部門の売り上げが金貨102枚(1億200万円)銀貨4318枚(4318万円)となった。
食肉部門の売り上げが、銀貨44枚(44万円)銅貨6972枚(69万7200円)となった。
寡婦21人孤児65人:計算ができる寡婦6人
露天商8人とその妻8人
支払った日当銅貨2010枚(20万1000円)
今日は朝から忙しかった。
9人もの寡婦が被害者と孤児を説得に行くのだ。
その穴埋めをどうするかでバタバタしてしまった。
人では足りないが、55部位の解体術を流出させるのは少し嫌だった。
だから鳥や獣の解体を他人に頼むわけにはいかない。
それに比べれば、露店で鳥を焼くのは誰でもよかった。
香草パウダーの配合を知られるのはほんの少しだけ困る。
だが、絶対味覚がある人間に本気で調べられたらバレる事だ。
露店で売っている焼き鳥を買って食べれば済む話だ。
だからここは、マイルズの顔を立ててやるフリをした。
本当は自分の都合なのに、マイルズの頼みを聞いてやるフリをした。
それでマイルズが調子に乗るのか見極める事にした。
「マイルズ、昨日はああ言ったが、お前にも領主としての立場があるだろう。
父親と貴族達を捕らえる時に助けてもらった支援者もいるのだろう。
だからお前の顔を立てて、串焼き売る商人を助けてやる。
銀貨10枚もする香草パウダーは売れないから、俺の店で使ってやる。
朝から晩まで串を焼くのなら、日当に銅貨50枚を払ってやろう」
「ありがとうございます!
そうしていただければ彼らも助かります!」
「ただし、売り上げや誤魔化したり商品を盗んだりしたら、ただでは済まさん」
「それは当然です、窃盗罪で賠償させます」
「俺がそんな軽い罪で済ませる訳がないだろう。
殺しはしないが、醜いヒキガエルに変化させてやる。
人間に踏み潰されるか鳥に喰われるか、1日も生き延びられないだろう」
「そんな!」
「そんな?
お前自身が窃盗を行うかもしれないと思っている連中を、俺に助けろと言ってきたのか?!」
「いえ、そんな事はありません!
彼らはとても善良な人間です!」
「だったら、盗みを働いてヒキガエルに変化させられる心配はいらないだろう?
そのような人間を俺に助けろと言ったお前を見限って、出て行く心配も不要だな」
「あ、う、く、あああああ」
「ではそういう事で、開店までに、お前が言っていた露店で串焼きを商っていた者、8人とその家族を送ってくれ。
その心算で店の前に8つの竈と売り台を用意しておく。
準備が無駄になるようなことがあれば、俺は即日出て行くからな!」
「……分かりました、私も直ぐに準備させてきます」
俺の最後通牒とも言える脅迫に恐怖したマイルズは、急いで戻って行った。
串焼き商人に厳しく注意するだけなのか、他に手を打つのか楽しみだった。
それは店に行って準備している時に分かった。
「我々が連中を見張って絶対に悪事を働かせません。
わずかでも怪しい動きをしたら、その場で斬り捨てます」
マイルズは何時もの警備隊員に加えて、騎士資格を持つ領主軍将校を送ってきた。
彼らが串焼き商人を見張ってくれるのだが、マイルズは分かっているのだろうか?
香草パウダーが100gで銀貨10枚(10万円)もする事を。
その気になって香草を集め、自分達の勢力圏で100kgも売れば、金貨1000枚(10億円)の売り上げになる事を。
金貨の10枚くらいなら平気で賄賂として送る事を。
だが俺の心配は猜疑心が強すぎる間違った考えだった。
マイルズにも信望があり、騎士や市民から忠誠心を得ていた。
少々の賄賂では惑わされない立派な騎士が少なくとも8人はいた。
「ほう、長年商売してきただけあって良い手際だな。
焼いた物は全て保管できるから、売れなくても焼けるだけ焼いてくれ。
こちらの解体が間に合わないのなら、お前達でスズメなどを解体してくれていい。
その代わり、約束していた日当に銅貨10枚を増額してやる」
「それは、私だけでなく手伝っている家族もですか?」
「そうだ、手伝っている女房にも増額してやる。
2人合わせて銅貨120枚だ。
材料費もいらない、売れなくて材料を腐らせる心配もない。
少々忙しいが、商売を考えずに焼くだけで日当に銅貨60枚だ。
女房と一緒にやれば銅貨120枚。
こんないい仕事は滅多にないぞ」
「お願いします、これからもやらせてください、お願いします!」
この世界の人件費が恐ろしく安いのは、地球の中世と同じだ。
命の危険のない料理だけで日当6000円も稼げるのは破格だ。
全く串焼きが売れなくなった自分の店など、今直ぐ閉店する気になるだろう。
「分かった、これから毎日商店街の開店から閉店まで焼いてもらう。
買いに来た人間には愛想よく売れ。
だが、さっきも言ったが、全く売れなくてもかまわない。
焼いた物は全部俺が魔術で保管する」
「「「「「はい」」」」」
俺が話しかけた男と女房だけでなく、他の7店の店主と女房も一斉に答える。
これで焼き手と売り手を確保する事ができた。
いずれ見張りの領主軍将校は引き上げる事になるが、これで大丈夫だ。
串焼き商人達の忠誠心が得られたら、そのまま雇って商売をさせる。
忠誠心が得られていなかったら、館の中で鳥を焼かせればいい。
どれほど大量の焼き鳥でも、非常食として亜空間に保管できる。
……1度奉天市場で売れるか確かめてみる。
「奉天市場買取価格」
スズメ : 300円(1羽)
ウズラ :1500円(1羽)
ハト :3000円(1羽)
ハトモモ : 700円(1枚)
ハトムネ : 500円(1枚)
ハトササミ: 200円(1本)
ハトネック: 100円(1本)
ハトキモ : 50円(1個)
ハト砂キモ: 50円(1個)
ハト手羽元: 50円(1個)
ハト手羽中: 50円(1個)
ハト胴殻 : 200円(1羽)
「奉天市場買取価格」
スズメ串焼き: 500円(1羽)
ウズラ串焼き:1000円(半身)
ウズラ丸焼き:2000円(1羽)
ハト半身焼き:2500円(半身)
ハト丸焼き :4000円(1羽)
ハトモモ串 : 500円(1/2枚)
ハトムネ串 : 500円
ハトササミ串: 500円
ハトネック串: 500円
ハトキモ串 : 500円
ハト砂キモ串: 500円
ハト手羽元 : 300円
ハト手羽中 : 300円
日本の露店で売られている値段に近いのか?
ハトは高級フレンチだったと思うが、この世界の相場よりも高いのか?
部位によって価値も好みも違うから判断が難しい。
だが、1つだけはっきりした事がある。
とても処理しきらないと思っていた鳥を、奉天市場で売ることができる。
叩き売りではなく、十分以上の利益を乗せて売ることができる。
丸のまま売るよりも解体した方が、加工代を加えて高く売れる。
解体すれぼん尻、白子、軟骨、玉ひも、腸などといった希少部位が手に入る。
料理をした方が、料理代を加えて高く売ることができる。
そうと分かれば鳥を解体できる人間を大量に集めなければいけない。
ムダに広い館だったが、十分活用できる。
薬草部門の売り上げが金貨25枚(2500万円)銀貨5439枚(5439万円)となった。
調味料部門の売り上げが金貨102枚(1億200万円)銀貨4318枚(4318万円)となった。
食肉部門の売り上げが、銀貨44枚(44万円)銅貨6972枚(69万7200円)となった。
寡婦21人孤児65人:計算ができる寡婦6人
露天商8人とその妻8人
支払った日当銅貨2010枚(20万1000円)
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