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第一章
第20話:パーカーとパンツと抱っこ紐
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転移10日目:山本光司(ミーツ)視点
新人と言っても半日しか違わないが、寡婦1人と子供3人を助けた翌朝。
商店街の開始時間に間に合うように館を出た。
俺が全ての品物を亜空間にしまうのを見て全員が眼を剥いていた。
昨日も店から戻る時に亜空間にしまったのだが、見ていなかったのだろうか?
そんなこと以上に驚く事の連続で、目に入っていなかったのだろうか?
俺が彼女達の立場だったら、同じ様に驚いて何も覚えていなかったかもしれない。
寡婦と孤児達が、この世界の服とは思えない清潔でカラフルなモノを着ている。
俺が与えた古着を晴れやかな表情で着こなしている。
それは夜に合流した新人も同じだった。
それ以外にも大きく違う所がある。
小さい子供がいる寡婦が、俺が買い与えた抱っこ紐を使っている。
総勢寡婦18人と子供62人となったが、まだ幼い子も多いのだ。
両手を自由に使うためには、どうしても抱っこ紐が必要になる。
売り子や解体仕事をするとなると、抱くか背負うかする必要がある。
店に着いた後なら、空いた部屋に寝かせて置ける。
年長の子供に見守らせる事もできる。
だが、店までの長い道中は親が背負った方が良い。
「店を開くまでの間にできるだけ多くの解体をしてもらう。
幼い子供達はこの毛皮の上で寝てもらう。
大きな子供達には小さな子を見守ってもらう。
交代で魔術の練習や勉強をしてもいいが、小さい子から目を離すなよ」
「「「「「はい」」」」」
「ではとっておきの歌を教えてやる。
これを覚えれば計算ができるようになる。
商人になるにしても冒険者になるにしても算数はとても大事だぞ!
いんいちがいち、にんにがに、いんさんがさん、いんしがし……」
俺は子供達と解体役の寡婦達に九九の歌を教えてやった。
どのように翻訳されるか分からないが、この世界の神が相応しい言葉に変換してくれるだろう。
「さあ、商売を始めるぞ。
鳥はどんどん焼いてくれればいい。
火が通ったら俺が保管しておく。
お腹が空いたと言えば、熱々のまま取り出してやる。
冷めてしまってもいい、側に置いておきたいと言うのなら、それでもいい。
約束した通り、好きなだけ食べればいい」
寡婦も子供も俺の言葉通り鳥が焼ける端から食べていく。
店の奥で解体と焼をしている者達だけではない。
路面で鳥を焼いている寡婦も美味そうに焼き立ての鳥を食べている。
だがそれが道を歩いている者達の食欲を激しくそそる。
それでなくても肉と脂が焼ける、とんでもなく美味しそうな香りがしているのだ。
まして目の前で食べられたら我慢できるわけがない。
「その串焼きを売ってくれ」
「俺は2本売ってくれ」
「俺は3本買うから直ぐに売ってくれ!」
少しでもお金に余裕のある奴は、朝飯を食った後なのに買い食いをしていく。
特に昨日買って食った事のある奴は我慢できないようだ。
基本は解体に失敗した部位なのだが、少々切り分けが悪くても美味い。
まだ部位ごとの味の違いにこだわりがある人間が少ないのだろう。
こちらが提供する、モモ、ムネ、ササミ、肝、砂肝などを部位指定をする者はいないが、そのうち指定する者も出てくるだろう。
「て、て、て、店主殿。
店主殿の使用人が着ている服は何なのですか?!
あのように色鮮やかで、どのように記されたか分からない絵柄!
どうやって手に入れられたのですか?!
いくら払ったら売っていただけるのですか?!」
門番から情報を得て、薬草か調味料を買おうとしてやってきた今日初めての客。
商人だけあって、表で焼かれている焼き鳥の香り以上に興味を引きたのだろう。
真っ先にパーカーとパンツの事を聞いてきた。
「あれは魔境に生えている恐ろしく貴重で高価な素材で作った服です。
私の力を誇示するために制服として支給しています。
売り物ではありませんので、値段はついておりません」
「そこを曲げて、何とか売っていただけないだろうか?
あのような色鮮やかで、絵柄も美しい服を献上すれば、貴族の歓心を買える。
金貨1枚、いや、金貨1枚と銀貨10枚だそう!」
「あれは私が遠い故国から持ち込んだとても貴重な服です。
魔境の貴重な素材を使っているだけでなく、故国の技術も必要なのです。
それに1度私の使用人に制服として使っているので、貴族の方に献上すると後々大きな問題となるでしょう」
「それはそうでしょうが、あの服を売り物にされて、使用人の制服はよくある毛皮か毛織物にされてはいかがですか?」
「う~ん、1度使用人の制服にした物を、貴族相手に売ると言うのもねぇ~。
何かあれば命を狙われる事になりますよ」
「……確かに、その通りではありますが……」
「故国に仕入れに戻った時に、同じ素材と染色で別の服を仕入れましょう。
また来てくだされば、とても高価になるでしょうが、故国から持ち帰っているかもしれませんよ」
「分かりました、私も命が惜しいので、今日の所は諦めましょう。
所で、砂糖と胡椒が欲しいのですか、ありますか?」
「こちらが見本になります、お確かめください」
最初の客だけでなく、来る客の全てがパーカーとパンツに興味をしめした。
値付けが客によって大きく違うのは、得意先の経済力の差だろう。
だが商人が興味を示したのはパーカーとパンツだけではなかった。
抱っこ紐にも興味を示す客が結構いた。
店が始まってしばらくして、抱っこ紐使う寡婦が鳥を焼き食品を売るのを見て、商人達が目を向いて言った。
「なんだそれは?!
それは売り物なのか?
値段はいくらなのだ?!」
「これは魔境で集めてきたとても貴重で高価な糸を使っています。
とてもではありませんが、人にお売りできるような値段ではありません」
俺はそう言って断った。
だがこれが商機、抱っこ紐がいい商品になると感じた。
奉天市場の商品は売れないが、この世界の皮で作った物なら売れる!
俺にとっては、抱っこ紐で子供を抱きながら作業するのは日常の事だった。
日本では、平安時代には着物の中に子供を入れて帯紐で子供を支えていた。
世界各国でも抱っこ紐が昔から使われていた。
だがこの世界では抱っこ紐が発明されてこなかったようだ。
植物繊維を使った布だけでなく、毛織物すらとても高価だからかもしれない。
伸縮しない毛皮や革で作った抱っこ紐だと、子供に対する当たりが強い気がする。
だがおしゃれなベビースリングなら革でも大丈夫だ。
どうしても両手が使いたいのなら、革をメッシュにすれば通気性が確保できる。
新しい革製の抱っこ紐を考えながら商売に励んだ。
パーカーやパンツを売る事も少しは考えた。
貴族用なら綿ワイシャツとビジネスパンツを用意する事も考えた。
薬草部門の売り上げが金貨24枚(2400万円)銀貨6137枚(6137万円)となった。
調味料部門の売り上げが金貨79枚(7900万円)銀貨3382枚(3382万円)となった。
食肉部門の売り上げが、銀貨39枚(39万円)銅貨6254枚(62万5400円)となった。
新人と言っても半日しか違わないが、寡婦1人と子供3人を助けた翌朝。
商店街の開始時間に間に合うように館を出た。
俺が全ての品物を亜空間にしまうのを見て全員が眼を剥いていた。
昨日も店から戻る時に亜空間にしまったのだが、見ていなかったのだろうか?
そんなこと以上に驚く事の連続で、目に入っていなかったのだろうか?
俺が彼女達の立場だったら、同じ様に驚いて何も覚えていなかったかもしれない。
寡婦と孤児達が、この世界の服とは思えない清潔でカラフルなモノを着ている。
俺が与えた古着を晴れやかな表情で着こなしている。
それは夜に合流した新人も同じだった。
それ以外にも大きく違う所がある。
小さい子供がいる寡婦が、俺が買い与えた抱っこ紐を使っている。
総勢寡婦18人と子供62人となったが、まだ幼い子も多いのだ。
両手を自由に使うためには、どうしても抱っこ紐が必要になる。
売り子や解体仕事をするとなると、抱くか背負うかする必要がある。
店に着いた後なら、空いた部屋に寝かせて置ける。
年長の子供に見守らせる事もできる。
だが、店までの長い道中は親が背負った方が良い。
「店を開くまでの間にできるだけ多くの解体をしてもらう。
幼い子供達はこの毛皮の上で寝てもらう。
大きな子供達には小さな子を見守ってもらう。
交代で魔術の練習や勉強をしてもいいが、小さい子から目を離すなよ」
「「「「「はい」」」」」
「ではとっておきの歌を教えてやる。
これを覚えれば計算ができるようになる。
商人になるにしても冒険者になるにしても算数はとても大事だぞ!
いんいちがいち、にんにがに、いんさんがさん、いんしがし……」
俺は子供達と解体役の寡婦達に九九の歌を教えてやった。
どのように翻訳されるか分からないが、この世界の神が相応しい言葉に変換してくれるだろう。
「さあ、商売を始めるぞ。
鳥はどんどん焼いてくれればいい。
火が通ったら俺が保管しておく。
お腹が空いたと言えば、熱々のまま取り出してやる。
冷めてしまってもいい、側に置いておきたいと言うのなら、それでもいい。
約束した通り、好きなだけ食べればいい」
寡婦も子供も俺の言葉通り鳥が焼ける端から食べていく。
店の奥で解体と焼をしている者達だけではない。
路面で鳥を焼いている寡婦も美味そうに焼き立ての鳥を食べている。
だがそれが道を歩いている者達の食欲を激しくそそる。
それでなくても肉と脂が焼ける、とんでもなく美味しそうな香りがしているのだ。
まして目の前で食べられたら我慢できるわけがない。
「その串焼きを売ってくれ」
「俺は2本売ってくれ」
「俺は3本買うから直ぐに売ってくれ!」
少しでもお金に余裕のある奴は、朝飯を食った後なのに買い食いをしていく。
特に昨日買って食った事のある奴は我慢できないようだ。
基本は解体に失敗した部位なのだが、少々切り分けが悪くても美味い。
まだ部位ごとの味の違いにこだわりがある人間が少ないのだろう。
こちらが提供する、モモ、ムネ、ササミ、肝、砂肝などを部位指定をする者はいないが、そのうち指定する者も出てくるだろう。
「て、て、て、店主殿。
店主殿の使用人が着ている服は何なのですか?!
あのように色鮮やかで、どのように記されたか分からない絵柄!
どうやって手に入れられたのですか?!
いくら払ったら売っていただけるのですか?!」
門番から情報を得て、薬草か調味料を買おうとしてやってきた今日初めての客。
商人だけあって、表で焼かれている焼き鳥の香り以上に興味を引きたのだろう。
真っ先にパーカーとパンツの事を聞いてきた。
「あれは魔境に生えている恐ろしく貴重で高価な素材で作った服です。
私の力を誇示するために制服として支給しています。
売り物ではありませんので、値段はついておりません」
「そこを曲げて、何とか売っていただけないだろうか?
あのような色鮮やかで、絵柄も美しい服を献上すれば、貴族の歓心を買える。
金貨1枚、いや、金貨1枚と銀貨10枚だそう!」
「あれは私が遠い故国から持ち込んだとても貴重な服です。
魔境の貴重な素材を使っているだけでなく、故国の技術も必要なのです。
それに1度私の使用人に制服として使っているので、貴族の方に献上すると後々大きな問題となるでしょう」
「それはそうでしょうが、あの服を売り物にされて、使用人の制服はよくある毛皮か毛織物にされてはいかがですか?」
「う~ん、1度使用人の制服にした物を、貴族相手に売ると言うのもねぇ~。
何かあれば命を狙われる事になりますよ」
「……確かに、その通りではありますが……」
「故国に仕入れに戻った時に、同じ素材と染色で別の服を仕入れましょう。
また来てくだされば、とても高価になるでしょうが、故国から持ち帰っているかもしれませんよ」
「分かりました、私も命が惜しいので、今日の所は諦めましょう。
所で、砂糖と胡椒が欲しいのですか、ありますか?」
「こちらが見本になります、お確かめください」
最初の客だけでなく、来る客の全てがパーカーとパンツに興味をしめした。
値付けが客によって大きく違うのは、得意先の経済力の差だろう。
だが商人が興味を示したのはパーカーとパンツだけではなかった。
抱っこ紐にも興味を示す客が結構いた。
店が始まってしばらくして、抱っこ紐使う寡婦が鳥を焼き食品を売るのを見て、商人達が目を向いて言った。
「なんだそれは?!
それは売り物なのか?
値段はいくらなのだ?!」
「これは魔境で集めてきたとても貴重で高価な糸を使っています。
とてもではありませんが、人にお売りできるような値段ではありません」
俺はそう言って断った。
だがこれが商機、抱っこ紐がいい商品になると感じた。
奉天市場の商品は売れないが、この世界の皮で作った物なら売れる!
俺にとっては、抱っこ紐で子供を抱きながら作業するのは日常の事だった。
日本では、平安時代には着物の中に子供を入れて帯紐で子供を支えていた。
世界各国でも抱っこ紐が昔から使われていた。
だがこの世界では抱っこ紐が発明されてこなかったようだ。
植物繊維を使った布だけでなく、毛織物すらとても高価だからかもしれない。
伸縮しない毛皮や革で作った抱っこ紐だと、子供に対する当たりが強い気がする。
だがおしゃれなベビースリングなら革でも大丈夫だ。
どうしても両手が使いたいのなら、革をメッシュにすれば通気性が確保できる。
新しい革製の抱っこ紐を考えながら商売に励んだ。
パーカーやパンツを売る事も少しは考えた。
貴族用なら綿ワイシャツとビジネスパンツを用意する事も考えた。
薬草部門の売り上げが金貨24枚(2400万円)銀貨6137枚(6137万円)となった。
調味料部門の売り上げが金貨79枚(7900万円)銀貨3382枚(3382万円)となった。
食肉部門の売り上げが、銀貨39枚(39万円)銅貨6254枚(62万5400円)となった。
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