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第一章
26話
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カチュア公女の真摯な祈りは、水の精霊の慈愛を余すところなく引き出した。
その効果は絶大で、城壁を越え遥か遠くにまで牧草が生えるのだ。
いや、牧草だけではなく、苺などの実がたわわに実るのだ。
しかもその量が信じられないくらい多いのだ。
新たにサライダ公爵領の農園に逃げ込んだ、多くの奴隷や貧民が、飢えることなく暮らしていけるほどだった。
今迄餓えていた彼らにとったら、新鮮で甘い果実を御腹一杯食べられる今の生活は、まるで夢のようだった。
彼らは常に水精霊様への感謝を忘れず、朝昼夕と聖なる小川に祈りを捧げた。
王太子とメイヤー公爵から救ってくれた、小川を神聖視していた。
その真摯な祈りは、水精霊に更なる力を与えた。
その力によって、牧草や果実草だけではなく、ヤシの木などの樹木さえ育ちだした。
だがその力は、他の坊やオアシスでは全く発揮されなかった。
オアシスの水位は更に低くなり、地下用水路には全く水が流れなくなっていた。
悪事の覚えのある者は、精霊様の怒りを恐れて水に近づくことが出来なかった。
仕方なくエールやワインを求めることになったのだが、とてもではないが数が足りず、恐ろしいほどの高値となった。
水気の多い果物も高値を付けたが、それほど裕福ではない、悪事に加担した徒士が、むりやり家臣の幼い子供に聖なる小川に水を汲ませに行かせた。
しかも、その子供に毒見させたのだ。
何とも無残な行いだ。
子供には何の罰も下らなかった。
すると子供を押しのけて、甕の水をゴクゴクと飲みだした。
すると、激烈な内臓の痛みにのたうち回ることになった。
それこそ、噂に聞く精霊様の怒りだった。
子供を虐待した徒士が罰を受けた事は、その日の内に王国中に広まった。
進退窮まった徒士や騎士は、急ぎ旅支度をして国を逃げ出そうとした。
有り金全てを掻き集めて、暴騰したワインやエール、果実水を買えるだけ買って、東西の大国に向けて逃げ出そうとした。
だが彼らも、サライダ公爵領を流れる聖なる小川が恐ろしかった。
オアシスに近づくのも恐ろしかった。
そうなると、どうしても火竜の砂漠方面から逃げ出すしかなかった。
彼らはただの一人も、東西どちらの大国にもたどり着けなかった。
ドラゴニュートに喰い殺されたのだ。
その効果は絶大で、城壁を越え遥か遠くにまで牧草が生えるのだ。
いや、牧草だけではなく、苺などの実がたわわに実るのだ。
しかもその量が信じられないくらい多いのだ。
新たにサライダ公爵領の農園に逃げ込んだ、多くの奴隷や貧民が、飢えることなく暮らしていけるほどだった。
今迄餓えていた彼らにとったら、新鮮で甘い果実を御腹一杯食べられる今の生活は、まるで夢のようだった。
彼らは常に水精霊様への感謝を忘れず、朝昼夕と聖なる小川に祈りを捧げた。
王太子とメイヤー公爵から救ってくれた、小川を神聖視していた。
その真摯な祈りは、水精霊に更なる力を与えた。
その力によって、牧草や果実草だけではなく、ヤシの木などの樹木さえ育ちだした。
だがその力は、他の坊やオアシスでは全く発揮されなかった。
オアシスの水位は更に低くなり、地下用水路には全く水が流れなくなっていた。
悪事の覚えのある者は、精霊様の怒りを恐れて水に近づくことが出来なかった。
仕方なくエールやワインを求めることになったのだが、とてもではないが数が足りず、恐ろしいほどの高値となった。
水気の多い果物も高値を付けたが、それほど裕福ではない、悪事に加担した徒士が、むりやり家臣の幼い子供に聖なる小川に水を汲ませに行かせた。
しかも、その子供に毒見させたのだ。
何とも無残な行いだ。
子供には何の罰も下らなかった。
すると子供を押しのけて、甕の水をゴクゴクと飲みだした。
すると、激烈な内臓の痛みにのたうち回ることになった。
それこそ、噂に聞く精霊様の怒りだった。
子供を虐待した徒士が罰を受けた事は、その日の内に王国中に広まった。
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オアシスに近づくのも恐ろしかった。
そうなると、どうしても火竜の砂漠方面から逃げ出すしかなかった。
彼らはただの一人も、東西どちらの大国にもたどり着けなかった。
ドラゴニュートに喰い殺されたのだ。
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