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イマーン王国軍来襲

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「やれやれ、ネッツェ王国を追い返したと思ったら、直ぐにイマーン王国とはな」
「我々がネッツェ王国との戦いで疲弊していると思ったのでしょう」
「実際疲弊しているじゃないか」
「確かに殿下は精神的に疲弊されておられますね」
「冷たい言い方だな」
「もう覚悟を決めておられると思いましたので」
「何でも御見通しだと言いたいのか?」
「そうは申しませんが、殿下の弱点は心得ている心算です」
「俺の弱点とはなんだ?」
「善良な民を見捨てられないところでございます」
「やれやれ。そう口にされると否定も出来ないな」
「はい。もっと難しい局面ならば御止めするのですが、今はそれほど大変な局面ではございませんので、後押しさせていただきます」
「確かに、ネッツェ王国軍から奪った兵糧があるから、イマーン王国の民を抱え込んでも大丈夫だが」
「それにイマーン王国軍も、今回は多少の兵糧を持参しておるようです」
「だがどう考えても少なすぎるな」
「はい。無理矢理動員した農民兵には、我々の食糧を奪うように指示しているのでしょう」
「そうだろうな」
 俺に爵位を与えると言ってきていたイマーン王国だが、ネッツェ王国軍が退却し、各城砦の増改築が終わった翌日に、十万の大軍で攻め寄せてきたのだ。
「それで殿下、今回は攻めに転じても宜しいのではありませんか?」
「積極的に領地を切り取れと言うのか?」
「はい。ドワフランド王国と領地が接するように、ネッツェ王国とイマーン王国の領地を切り取りましょう」
「う~ん。だがそうなると、街道を整備して警備隊も巡回させなければならなくなる」
「城砦や街道を創り出すのは、時間さえかければ、殿下の魔法で可能ではありませんか」
「だが警備隊を創設するのは難しい」
「守備兵を転用するのは嫌でございますか?」
「ああ。家族を護る為に、城の守備に就くのは家長の義務だと思うが、街道警備まで命ずるのはどうかと思うのだが」
「ですが殿下、殿下の加護がなければ、食糧や収入を確保する為に、ドワフランド王国とアリステラ王国の中継貿易を盛んにする必要があると、以前から申しておられたではありませんか」
「確かに言った。う~ん」
「全てを話し、志願者だけで街道警備隊を編成すればいいのではありませんか?」
「そうだな。必要なのは間違いないから、志願制にするか」
「巡回日数に応じて、奴隷解放点数を与えられてはいかがでしょう?」
「そうだな。そうすれば励みになるだろう」
「はい。ではそのように手続きし、高札場に掲示してまいります」
「分かった。そうと決まれば、早々にイマーン王国軍を追い払って来る」
「苦しんでいる農民兵は、捕虜になされるのですね?」
「ああ、新しい城を創り出すのなら、新たに奴隷が増えても養っていけるだろう」
「御武運を」
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