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国境線
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「飯だぞ!」
「「「「「はい!」」」」」
俺の呼びかけを受けて、当直以外の冒険者兵士が集まってきた。
彼らが喜んで集まるのも当然だろう。
最前線の偵察部隊なのに、温かくて美味しい飯が食えるのだから。
普通の兵士は、少なくて不味い飯しか支給されない。
いや、支給されればまだいい方だ。
多くの軍では、自分達で食糧を現地調達させようとする。
普通の国は、自国の食糧を減らさないように、敵国に入り込んで、敵国領民から奪えと命じてくる。
酷い国なら、戦時臨時税と言う名目で、飢え苦しむ自国の領民から食糧を奪えて命じるのだ。
だが民も素直に奪われるはずがない。
食糧を奪われたら、飢え死にするのが目に見えているから、必死で隠そうとする。
いや、そもそも奪う食糧など、最初からない村もある。
そして心ある指揮官や兵士なら、飢えに苦しむ民から収奪するなど出来はしない。
だから多くの兵士は、後方の拠点で駐屯しているとき以外は、常に飢えている。
だが俺の指揮下にある兵士は別だ。
アゼス魔境で手当たり次第魔獣を狩っていたので、莫大な量の食糧が魔法袋に蓄えられている。
貧乏人の食事と同じで、肉が主食ではある。
だが本当の貧乏人と違うのは、肉が大量にあることだ。
痩せて収穫量の低い田畑から得られた米や麦の大半は、税金として領主に収奪される。
残された僅かな量では、とても一年間生きてはいけない。
いや、そもそも残された量では、三日に一度パンが食べられる程度だ。
だから多くの民は、森に入って獣を狩る。
そこで得た獣の肉を主食にしているが、それも大切に少しずつ食べることになる。
生き残るために必要な、カロリーの高い脂は奪い合いになる。
だが今回は食べたいだけ肉を用意してあるから、飢えを覚悟していた冒険者兵には大好評だ。
今回アッバース首長家の傭兵隊として戦争に参加した俺達は、王家へ援軍として派遣され、最前線の偵察を命じられた。
てっきり俺は、アッバース首長家とイブラヒム王家の領界警備を命じられると思ったいた。
だがアリー・スライマーン・アル=アッバースは、領地と王家直轄領の境界は、信頼出来る譜代の兵士達に任せることにしたようだ。
その一方で、大貴族として果たすべき参戦義務は、金で搔き集めた傭兵や冒険者、中には兵食目当てに集まった乞食まで兵士に仕立てて、最前線に送り込んだ。
最前線は、アリステラ王国とは反対側にあるイマーン王国領との国境線だ。
イマーン王国はネッツェ王国よりさらに北にあり、しかも領地の大半が山岳地帯の為、食糧生産力がとても低い。
この国が冷害に襲われたのだから、食糧に余裕があるネッツェ王国に攻めこもうとするのは必然だっただろう。
だがそんなイマーン王国に入り込んで、食糧を現地調達しろと命じるとは、ネッツェ王国の将軍は馬鹿としか言えない。
そんな命令をするから、アッバース首長家をはじめとする、国内貴族の忠誠心を失うのだ。
さて、そろそろ頃合だろう。
「「「「「はい!」」」」」
俺の呼びかけを受けて、当直以外の冒険者兵士が集まってきた。
彼らが喜んで集まるのも当然だろう。
最前線の偵察部隊なのに、温かくて美味しい飯が食えるのだから。
普通の兵士は、少なくて不味い飯しか支給されない。
いや、支給されればまだいい方だ。
多くの軍では、自分達で食糧を現地調達させようとする。
普通の国は、自国の食糧を減らさないように、敵国に入り込んで、敵国領民から奪えと命じてくる。
酷い国なら、戦時臨時税と言う名目で、飢え苦しむ自国の領民から食糧を奪えて命じるのだ。
だが民も素直に奪われるはずがない。
食糧を奪われたら、飢え死にするのが目に見えているから、必死で隠そうとする。
いや、そもそも奪う食糧など、最初からない村もある。
そして心ある指揮官や兵士なら、飢えに苦しむ民から収奪するなど出来はしない。
だから多くの兵士は、後方の拠点で駐屯しているとき以外は、常に飢えている。
だが俺の指揮下にある兵士は別だ。
アゼス魔境で手当たり次第魔獣を狩っていたので、莫大な量の食糧が魔法袋に蓄えられている。
貧乏人の食事と同じで、肉が主食ではある。
だが本当の貧乏人と違うのは、肉が大量にあることだ。
痩せて収穫量の低い田畑から得られた米や麦の大半は、税金として領主に収奪される。
残された僅かな量では、とても一年間生きてはいけない。
いや、そもそも残された量では、三日に一度パンが食べられる程度だ。
だから多くの民は、森に入って獣を狩る。
そこで得た獣の肉を主食にしているが、それも大切に少しずつ食べることになる。
生き残るために必要な、カロリーの高い脂は奪い合いになる。
だが今回は食べたいだけ肉を用意してあるから、飢えを覚悟していた冒険者兵には大好評だ。
今回アッバース首長家の傭兵隊として戦争に参加した俺達は、王家へ援軍として派遣され、最前線の偵察を命じられた。
てっきり俺は、アッバース首長家とイブラヒム王家の領界警備を命じられると思ったいた。
だがアリー・スライマーン・アル=アッバースは、領地と王家直轄領の境界は、信頼出来る譜代の兵士達に任せることにしたようだ。
その一方で、大貴族として果たすべき参戦義務は、金で搔き集めた傭兵や冒険者、中には兵食目当てに集まった乞食まで兵士に仕立てて、最前線に送り込んだ。
最前線は、アリステラ王国とは反対側にあるイマーン王国領との国境線だ。
イマーン王国はネッツェ王国よりさらに北にあり、しかも領地の大半が山岳地帯の為、食糧生産力がとても低い。
この国が冷害に襲われたのだから、食糧に余裕があるネッツェ王国に攻めこもうとするのは必然だっただろう。
だがそんなイマーン王国に入り込んで、食糧を現地調達しろと命じるとは、ネッツェ王国の将軍は馬鹿としか言えない。
そんな命令をするから、アッバース首長家をはじめとする、国内貴族の忠誠心を失うのだ。
さて、そろそろ頃合だろう。
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