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第二章:屍山血河

第68話:閑話:猛将

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天文十四年(1545)10月13日:駿河今川府中館:三好青海入道

 我は殿の命に従うだけ、助けろと言われたら助ける、殺せと言われれば殺す。
 今回は甲斐の民を助けろと言われたから助けた。
 今川義元を殺せと言われたから駿河に攻め込んだ。

 景虎様を総大将に、僧兵六千と潰された古志長尾の残党500が出陣した。
 敵の意表を突くために、右左口峠を越えて九一色領に入った。

 富士の御山と精進湖本栖湖の間を抜けて進み、井出家と南条家を調略した。
 少し進んで、富士川沿いを下って駿河に入った直江大和守景綱軍四万と連絡した。

 予定では、この地域で今川義元勢と睨み合いをする予定だった。
 善得寺城で北条勢に対している今川勢を、何時でも横槍を入れられる布陣にする。
 直江軍は富士川と潤井川の間に布陣して、何時でも今川勢の背後が突ける状態。

 今川勢は、直江軍と戦おうとすると潤井川を渡河しなければいけない。
 渡河の間に背後を北条勢に、横を我らに突かれる。

 今川勢が北条勢と戦おうとすると、滝川、赤淵川、須津川の三つもの川を渡河しなければならず、渡河の間に背後を直江軍と我らに叩かれる。

 今川勢が一番数の少ない我が軍から叩こうとしたら、繰引きをする。
 練度の低い奴隷軍や足軽軍では敗走になってしまうが、長年戦い続けた僧兵の我らなら、崩れる事なく繰引きできる。

 我らが今川勢を引き付け、長く戦線を伸ばしたところを直江軍と北条勢が叩く。
 必勝間違いない軍略を、殿が我らに授けてくださった。
 
 とはいえ、必ずこの軍略に従わなければいけない訳ではない。
 我らの援軍を得た北条勢が、河越城の救援に撤退しても構わない。
 むしろ撤退してくれた方が、突発的な北条勢との戦いが起きなくて助かる。

 殿の予測では、北条勢は直ぐに撤退して河越城の救援に行くはずだった。
 今川義元は、太原雪斎の率いる興津水軍に助けられて遠江に逃げるはずだった。

 ただ、確率は低いが別の可能性も言われていた。
 その時には、情を押し殺して処罰せよと言われていた。
 そのような愚かな行動はして欲しくなかったが、本当にやってしまわれた。

 それは我らと直江軍が時を合わせて駿河に侵攻してから二日後だった。
 田子の浦に、太原雪斎率いる興津水軍が今川義元の救援に現れた。

 今川勢の撤退が始まり、潤井川を渡って興津水軍の船に乗ろうとする。
 殿の戦略では見逃す予定だったが、景虎様が殿の軍令を破って攻撃を仕掛けた。

「ここが勝機ぞ、我に続け!」

 浅くて狭いとはいえ、今川軍は渡河の途中で守りが薄かった。
 背水の陣と言える危険な布陣になってしまっていた。
 それを見逃さず果敢に攻める景虎様には、将器があるとも言える。

 だが、戦術的には正しくても、戦略的に考えると大失敗だった。
 北条勢を撤退させて、駿河の駿東郡と富士郡を楽に手に入れられる状態にする。
 今川義元本人は攻撃せず、興津水軍を追い払うだけにするのが殿の戦略だった。

「景虎様、殿の言葉を忘れられたか、今川勢が攻めて来るまで戦ってはなりません」

 だが殿からは、戦略的に不利になっても景虎様の好きにさせろとも言われていた。
 戦略を言って聞かせても分からないのなら、諦めろと言われていた。
 景虎様が敵の手にかかるようなら、それもしかたがないとも言われていた。

 我と伊佐入道の率いる僧兵六千は景虎様に従わなかった。
 景虎様に従って突撃したのは、古志長尾家の残党五百兵だけだった。
 僧兵は伊佐入道に任せて、我だけが景虎様を追った。

 古志長尾の残党は流石に歴戦の国人だ、一度奴隷に落とされても直ぐに復権した。
 村上義清との戦いで多くの武功を立て、足軽大将や騎乗侍になっていた。

 謀略や欲得に疎い景虎様は、そんな連中を側近に望まれた。
 まだ幼いからかもしれないが、母方の血に繋がる者達を恋しがられた。
 それを許された殿の内心など分からず、殺される恐れを自ら引き寄せられる。

「やあ、やあ、我こそは越後古志の住人、長尾景虎也」

 景虎様は堂々と名乗りを上げて今川勢に攻め込まれた。
 斬り込まれる場所は的確で、今川勢の大多数が蜘蛛の子を散らすように逃げた。
 だが、今川勢にも忠義の士はいて、命懸けで義元を逃がそうとする。

 ここで戦う事で、駿東郡と富士郡の領有を主張したかったのだろう。
 北条軍が兵を進めて戦いに加わろうとした。

「景虎様、このままでは駿東郡と富士郡を北条家に奪われますぞ!
 そのような事になったら、腹を切って殿に詫びねばなりませんぞ!」

「何故だ、相模守殿が駿河を好きにして良いと言ってから援軍したのであろう」

「愚かでございますぞ、領地の為ならどのような恥知らずな嘘をつくのも武士。
 善光寺で何度も御教えした事でございますぞ!」

「それは卑怯下劣な犬武者の事であろう。
 相手は名門伊勢氏の流れをくむ北条相模守殿だぞ。
 そのような恥知らずな嘘をつかれたりはせぬ」

 景虎様は何も分かっておられぬ、我らの育て方が悪かったのか?
 何度御教えしても分かっていただけぬ、本当に御命を奪わなければならぬのか?

「景虎様は殿の命令に背かれた、それだけでも首を刎ねられる叛意です。
 ましてその失策で駿東郡と富士郡を失うような事があれば、絶対に許されません」

「北条相模守殿がそのような恥知らずな事をされるなら、私も許さん。
 兵を率いて北条相模守殿の首を頂き、恥を注ぐから大丈夫だ」

「景虎様、思い上がるのも好い加減になされませ!
 我らは殿の家臣であって景虎様の家臣ではない。
 現に景虎様に従うのは古志長尾家の私兵ばかりですぞ。
 善光寺と顕光寺の僧兵は、もう誰も景虎様の命には従いませぬ!」

「なんじゃと?!」

 景虎様が左右の者を見て、ようやく自分の置かれている立場が分かられた。
 自分に命に従って戦ったのが、一度潰されて再起を賭ける古志長尾だけなのを。
 常に先頭に立って戦われるから気付いておられなかったのだ。

 僧兵達は、遥か後方の陣に残り冷たい目で景虎様達を睨んでいる。
 ただひたすら前だけを見て突撃するのは、猪武者でしかない。
 殿の御舎弟ならば、その程度では家臣に主筋とは認められない。

「駿東郡と富士郡を合わせれば十万石ほどでございましょう。
 殿の三年五作を使えば、四十万石の収穫を見込めます。
 景虎様の見栄のために、越後一国にも匹敵する領地を失う事になります。
 景虎様はもちろん、一度目は奴隷落ちですんだ古志の者も処刑されますぞ」

「武士が正々堂々と戦って何が悪い!
 戦場で武功を立ててこそ武士ではないか!
 北条が約束を違えるというのなら、攻め滅ぼしてしまえばよい!」

「愚かにも程がございますぞ!
 戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり、孫氏の兵法を何度御教えした!
 奴隷であろう足軽であろうと、殿の大切な民!
 それを景虎様と古志の功名のために死なせろと申されるか!?
 傲岸不遜、身勝手もいい加減になされませ!
 どうしても戦いたいのなら、己一人で北条勢に討ち入られよ!
 古志の者共、殿の命に従うというのなら、その場を動くな!」

「わかった、青海入道がそこまで言うのなら、私独りで討ち入って見せてやる!」

 そういう言い争いになったのが、九月十五日の事だった。
 そのまま景虎様が北条勢に突撃され、果てられたら都合よかった。

 だが、本庄実乃のいなくなった古志の者達は殿を極端に恐れていた。
 一度奴隷にされた事で、殿の恐ろしさが身に染みたのだろう。

 長尾豊前守と長尾備中守は馬鹿ではない。
 唆す本庄実乃がいなくなり、一度奴隷に落ちた事で目の曇りが晴れた。
 殿が景虎様を高野山に幽閉したいと思っている事も理解したのだろう。

 謀叛の準備をして奴隷に落とされた身で、殿の命に逆らうような事をすれば、次は問答無用で処刑される事くらい、長尾豊前守も長尾備中守も分かっている。 

 ここは景虎様を見捨てる時だと分かっている。
 分かってはいるが、血の濃い景虎様を見捨てる事もできない。
 長尾豊前守と長尾備中守には辛い状況だ。

「若様、短慮はなりません、ここは我らの諫言に耳を御貸しください。
 戦略を違えて長尾家に損をさせた若様を、殿が怒られるのは当然でございます。
 しかしながら、まだその損は定まっておりません。
 北条相模守様に直談判いたしましょう」

 長尾豊前守と長尾備中守だけでなく、一度奴隷に落とされた古志長尾家の譜代衆も、必死になって景虎様を説得しようとした。

「そうだな、北条相模守殿が本当に恥知らずな嘘をつかれるとは限らん。
 そう言っているのは青海入道だけだ」

 景虎様がねばつくような目で睨んで来た。
 良くも悪くも自分の正義を絶対に曲げられない性格がその目に出ている。
 自分の正義と相容れない者には、恐ろしいほど冷酷になれる性格が出ている。

「若様、長尾家の当主は殿でございます。
 殿の軍令に背くは謀叛、叛逆でございます。
 兄君達の処分を考えれば、御命までは奪われないでしょう。
 ですが、高野山に幽閉されるのは逃れられないと思われよ」

 どれほど真心を込めて御育てしても、持って生まれた性分は治せないのか!?

「愚かな、私は実際に兵を率い村上義清と今川義元を打ち破っている。
 軍を率いる能力は殿にも負けておらん。
 命に従わなかったのは謝るが、戦には勝機と言うものがある。
 勝機を見極め戦に勝つ能力は誰にも負けん。
 殿は有能な指揮官を求めておられる、幽閉されるなどありえぬ」

「では好きになされませ。
 これからは古志の者達だけを率いて戦われると良い」

 景虎様とそういう言い争いをして、我らは袂を分かった。
 その言い争いの間に、北条勢が今川勢を散々叩いた。
 だが、太原雪斎が水運を使って巧みな反撃を行ったので、義元を取り逃がした。

 我らが率いる僧兵六千兵、直江大和守殿率いる四万兵。
 両軍ともに、北条勢と古志長尾の残党と戦う覚悟で布陣した。

「北条相模守殿、貴殿が約束を破って駿東郡と富士郡に居座るという者がいる。
 熊野権現の誓詞を書いた貴殿が約束を破る訳がないと言っておるのに、聞かぬ。
 申し訳ないが、はっきりと断言してくれ。
 さもないと私が殿から処罰されてしまう」

 対陣して大声で話しかける景虎様の言葉を受けた北条勢は、直ぐに動かなかった。
 だが我らが左右の翼軍を伸ばし北条勢と古志長尾家の残党を押し包もうとしたら、慌てて使者を送ってきた。

 北条氏康の出た方次第でどう動くべきかは、殿から命を受けていた。
 高飛車な態度をとって戦も辞さぬ覚悟を示す。

 ここで我らと戦って勝ち、河越に戻って両山内と公方の連合軍にも勝つ。
 そんな事が不可能なのは、北条氏康自身が誰よりも分かっている。
 殿の申されていた通り、北条氏康は駿東郡と富士郡を諦めた。

 北条氏康は軍を率いて河越城の救援に向かった。
 我らは駿河の今川方諸城を調略して、今川氏の府中館を接収した。
 景虎様と古志長尾家の連中は、越後に呼び戻された。

 我らは駿河に残る今川家と北条家の国人地侍を降伏追放させた。
 奪った城を守る兵を分派して、領民の慰撫に力を注いだ。
 駿河統治の拠点は今川家が府中に築いた館とした。
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