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第一章
第1話:復縁
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「ウォード公爵家令嬢カルラ、この度王太子殿下のご厚情を持って、その方の罪を特別に許し、王太子殿下の妾にしてやるとのお達しだ、急ぎ王都にまいるがいい」
このバカは何を言っているんだ?
エヴァの色香に迷い、婚約者であった私を冤罪で王都から追放して、こんな辺境の貧しい神殿に幽閉したのは、色狂いの王太子だろう。
今さら上から目線で妾にしてやるだと?
どうせ聖女の私がいなくなって、凶作と疫病にでも冒されて困っているんだろう。
ざまあみろと罵ってやりたいところだが、その為には王都に行かなければいけないが、そんな事は真っ平ごめんだ。
あんな腐った人間の屑しかいない場所など、二度と近付くものか。
飢えに苦しむ民には同情はするが、その為に自分が不幸になる気などない。
私はそんなマゾヒズムな性質ではないのだ。
「これ、何を黙っている、王太子殿下のご厚情に感謝の言葉を言わんか!」
ギャァァァァ!
眼の前の腐れ外道が、両目を潰されて、岩床の上を痛みでのたうち回っている。
潰れた眼窩から滴り落ちる血が、岩床を赤く染めている。
護衛についていた兵士が、あまりの事に唖然としているが、私は直接何もしていないので、何が起こったのか理解できないようだ。
それもそうだろう、どこの誰が、姿の見えない敵がいると想像するだろう。
人間はもちろん姿を消す事などできないが、現状確認されている魔族や魔獣も、姿を消して人間を襲うことはないのだ。
だから、今目の前で起こった事は、魔族や魔獣の仕業ではなく、天罰だと兵士たちは思う事だろう。
王太子やこの腐れ外道の言動にお怒りになった神が、罰をあたえられたと思うはずだが、それは間違いで、私の恨み辛みが引き寄せた魔獣の仕業だ。
魔獣は人間に恐れられているが、こうして慕われてみれば、魔獣も可愛いものだ。
人間と違って決して主人を裏切らないし、悪事を企む事もない。
私の望み通り、恨み骨髄に徹する相手に報復してくれる。
何時でも報復しようと思えばできたのだが、今日こうして神経を逆なでされるまでは、私の良心が最後の一線を超えさせなかった。
王太子やエヴァ嬢を殺そうと思えば、いつでも殺す事はできたが、流石に魔獣を使って殺すという決断はできなかっただけだ。
だが、ここまでバカにされたら話は別だ。
私の我慢にも限度というものがある、もう絶対に許さない、必ず復讐する。
それもただの復讐では済まさない、やるからには、生まれてきたことを後悔するくらいの苦しみを与え、殺してくださいと懇願するまで苦痛に苛んでやる。
その方法を考えるだけでも、心の中に暗い愉悦が湧き上がってくる。
さて、まずはこの男をどう始末するかですね。
殺してしまっては、王家王国が表立って討伐軍を差し向けてくるかもしれません。
そんな事になったら、無理矢理徴兵される民まで巻き込むことになります。
ここは嘘偽りで恐怖感から与えましょう、今日から悪夢に苦しむがいい。
このバカは何を言っているんだ?
エヴァの色香に迷い、婚約者であった私を冤罪で王都から追放して、こんな辺境の貧しい神殿に幽閉したのは、色狂いの王太子だろう。
今さら上から目線で妾にしてやるだと?
どうせ聖女の私がいなくなって、凶作と疫病にでも冒されて困っているんだろう。
ざまあみろと罵ってやりたいところだが、その為には王都に行かなければいけないが、そんな事は真っ平ごめんだ。
あんな腐った人間の屑しかいない場所など、二度と近付くものか。
飢えに苦しむ民には同情はするが、その為に自分が不幸になる気などない。
私はそんなマゾヒズムな性質ではないのだ。
「これ、何を黙っている、王太子殿下のご厚情に感謝の言葉を言わんか!」
ギャァァァァ!
眼の前の腐れ外道が、両目を潰されて、岩床の上を痛みでのたうち回っている。
潰れた眼窩から滴り落ちる血が、岩床を赤く染めている。
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それもそうだろう、どこの誰が、姿の見えない敵がいると想像するだろう。
人間はもちろん姿を消す事などできないが、現状確認されている魔族や魔獣も、姿を消して人間を襲うことはないのだ。
だから、今目の前で起こった事は、魔族や魔獣の仕業ではなく、天罰だと兵士たちは思う事だろう。
王太子やこの腐れ外道の言動にお怒りになった神が、罰をあたえられたと思うはずだが、それは間違いで、私の恨み辛みが引き寄せた魔獣の仕業だ。
魔獣は人間に恐れられているが、こうして慕われてみれば、魔獣も可愛いものだ。
人間と違って決して主人を裏切らないし、悪事を企む事もない。
私の望み通り、恨み骨髄に徹する相手に報復してくれる。
何時でも報復しようと思えばできたのだが、今日こうして神経を逆なでされるまでは、私の良心が最後の一線を超えさせなかった。
王太子やエヴァ嬢を殺そうと思えば、いつでも殺す事はできたが、流石に魔獣を使って殺すという決断はできなかっただけだ。
だが、ここまでバカにされたら話は別だ。
私の我慢にも限度というものがある、もう絶対に許さない、必ず復讐する。
それもただの復讐では済まさない、やるからには、生まれてきたことを後悔するくらいの苦しみを与え、殺してくださいと懇願するまで苦痛に苛んでやる。
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さて、まずはこの男をどう始末するかですね。
殺してしまっては、王家王国が表立って討伐軍を差し向けてくるかもしれません。
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